アーカイブ - 2009年 9月 11日 - book

1. はじめに

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1.1 本研究の背景および目的

 近年、出版コンテンツのデジタル化が急速に進展し、「電子書籍」への注目が高まっている。とりわけ2007年には電子書籍に関する複数のニュースが国内の図書館界を駆けめぐった。11月に東京・千代田区立図書館は電子書籍貸出しサービスを開始し、同じく11月には紀伊國屋書店とOCLCによる学術系電子書籍サービス「NetLibrary」に和書コンテンツが搭載されるなど、著作権の保護期間が満了していない日本語の電子書籍をインターネット経由で提供するタイプの図書館サービスが新たに登場したのである。

 一方、「魔法のiらんど」など携帯電話用ネットサービスに発表された「ケータイ小説」が主に若年層を中心に広く受容され、ネットでのアクセス数の多いケータイ小説が逆に単行本化され、大手取次のトーハン調べによる文芸部門ベストセラーの1位から3位を独占したのも2007年のことであった(1)

概要

(調査の目的)

 近年、「電子書籍」の量的拡大、コンテンツの多様化、ネットワーク配信が進んでいる。統計によると市場規模は年々拡大しており、とりわけ携帯電話による電子書籍配信事業が拡大の一途をたどっている。そのようなコンテンツの1つ、「ケータイ小説」は若年層に広く受容されており、ネット上でのアクセス数の多い「ケータイ小説」が単行本として出版され、2007年にはベストセラーの上位層を占めるに至った。

 このような状況を踏まえ、2008年現在の国内における電子書籍の流通・利用・保存の現況について、図書館とのかかわりを視野に入れつつ調査を実施した。

(方法)

 質問紙調査によって、電子書籍の流通・利用・保存に関する実態・意識調査を、出版社を対象に実施した。さらに電子書籍関連事業者を対象にインタビュー調査を実施した。また利用者調査の代替として、国立国会図書館職員を対象に、電子書籍の利用実態および意識に関する質問紙調査を実施した。

(結果)

 各種統計や歴史的経緯の分析から、電子書籍の厳密な定義は困難である。そこで産業的実態から電子書籍を定義し、流通・利用・保存の現状分析を試みた。

1.6.2 図書館とフィランソロピー

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獨協大学 経済学部  井上 靖代(いのうえ やすよ)

はじめに

 図書館活動へ個人や企業が財政的な援助をしたり、ボランティアや友の会のメンバーとして自分の時間を「寄付」することはアメリカでは一般的である。特に公共図書館への貢献は民主主義社会の具現化行為として、熱心におこなわれている。地域社会活動に参加することは個人として当然の行為なのである(1)。地域社会として公共図書館活動の存在やその活動を社会の目的の実現として受け入れているからである。

1.6.1 Library Advocacy from the U.S. Perspective

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Barbara J. Ford
Director, C.Walter and Gerda B. mortenson Center for International Library Programs and Mortenson Distinguished Professor,
Member of IFLA Governing Board,
Past President of the American Library Association

What Is Library Advocacy?

   Library advocacy is the act of voicing your support for libraries and encouraging others to do the same.

1.6.1 アメリカの見地からの図書館アドヴォカシー

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Barbara J. Ford
Director, C.Walter and Gerda B. mortenson Center for International Library Programs and Mortenson Distinguished Professor,
Member of IFLA Governing Board,
Past President of the American Library Association

(イリノイ大学モーテンソン・センター長、国際図書館連盟理事、アメリカ図書館協会元会長  バーバラ・フォード)

(1) 図書館のアドヴォカシー(advocacy)とは何か?

 図書館のアドヴォカシーとは、図書館に対するサポートを声に出して表明し、また他の人々にも同じように行ってもらうようにする行為である。図書館が地域コミュニティの形成にいかに貢献しているかを他の人々が知っているとは限らない。

1.5.2 E-rateの概要と運用の実情 ~公共図書館との関連を中心に~

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国立情報学研究所 情報社会相関研究系  古賀 崇(こが たかし)

はじめに

 米国の図書館、特に公共図書館および学校図書館をめぐる財政に関して、1990年代末より大きな比重を占めているのが“E-rate”という補助金制度である。これは“educational rate”を意味し、手短に言えば、学校・図書館を対象とするインターネット接続料金割引のしくみと言えるものである。本稿においては、E-rateの概要や、その運営の実情、問題点などを概説したい。なお、紙幅の都合もあり、本稿では公共図書館にかかわる側面を中心に述べる。

1.5.1 図書館ファンドレイジングの動向

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北海学園大学 経済学部地域経済学科  福田 都代(ふくだ いくよ)

(1) ファンドレイジングの必要性

 米国では図書館において、近年ファンドレイジングはますますその重要性を帯びている。ファンドレイジングとは一般に資金調達活動を意味するが、ドナー(個人や団体)から寄付金を募ることだけでなく、現金化が可能な資産や資機材の形態での寄付も受け入れられている。寄付金の大部分は個人からもたらされ、各州には図書館へ補助金を出資する様々な民間財団が存在する。

 ファンドレイジングは1970年代から取り組まれたが、公立図書館では財源を外部に求める行為が図書館予算の大部分を占める公的資金の削減につながりかねないという懸念があった。しかし1980年代中頃から多様な利用者に対する図書館サービスの拡大、資料費の上昇およびIT機器の導入に対処しなければならず、図書館員の間でファンドレイジングの必要性がさらに認識されるようになった。1990年代には現実の財政問題を克服しつつ、「図書館の発展」を結びつけ、積極的に推進されるようになったといえる。

1.4.2 米国の出版状況・概況・動向(電子)

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山形大学学術情報部 学術情報ユニット  加藤 信哉(かとう しんや)

 電子出版(Electronic Publishing)は,「文字・画像情報をデジタルデータに編集加工して、CD-ROMなどの電子メディアやネットワークにより配布する活動」(1)である。ここでは電子書籍と電子ジャーナルを中心に米国の電子出版の状況について触れてみたい。

(1) 電子書籍

 電子書籍(Electronic Book, e-book)は、「コンテンツがインターネット接続により電子的に利用可能で、コンピュータ画面に表示され、ページが印刷でき、手元にダウンロードできるもの」(2)である。

1.4.1 アメリカの出版・書店事情を考察する

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出版メディアパル編集長  下村 昭夫(しもむら てるお)

 本項では、日本で一般的に入手可能なアメリカの出版産業データ(主として『出版年鑑』に収録されている統計)を駆使して、非再販制度下で活躍するアメリカの出版産業の現状を把握し、日本の出版産業の現状との相違点を比較研究する。

(1) アメリカの出版概況

 『出版年鑑2006版』によると、2003年の最終売上規模で224億2,357万ドル(前年比4.6%増)、04年の中間予測規模は237億1,541万ドル(前年比1.3%増)となっている(図1参照;出所『出版年鑑2001年~2006年版』(1)

1.3.3 図書館友の会とボランティア活動

 

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  吉田 右子(よしだ ゆうこ)

(1) 「図書館友の会」とは

 アメリカの公共図書館は、コミュニティの文化の拠点として地域住民と密接に関わりあいながら発展してきた。住民は利用者として図書館を利用するだけでなく、図書館を支えるためにさまざまな活動を行っている。その多くは無償あるいは低報酬のボランティアによって支えられている。図書館ボランティアは図書館と一般住民を結ぶ架け橋として、アメリカの公共図書館において欠かせない存在となっている。

1.3.2 人気ある職業にするには ~How to be popular~

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James M. Matarazzo
Dean and Professor Emeritus at the Simmons College Graduate School of Library and Information Science in Boston
(シモンズ・カレッジ図書館情報学大学院 名誉大学院長・名誉教授  ジェームズ・マタラーゾ)
Joseph J. Mika
Director of the Library and Information Science Program at Wayne State University in Detroit
(ウェイン州立大学 図書館情報学プログラム長  ジョゼフ・ミカ)

(※本稿は著者の許諾を得て、Matarazzo, James M. et al. How to be popular. American Libraries, 2006, 37(8), p. 38-40. を翻訳したものである。

1.3.1 司書養成・研修・採用

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獨協大学 経済学部  井上 靖代(いのうえ やすよ)

はじめに――現状および将来的な課題

 アメリカでは2004年段階で、librarianが15万9千人、para-professionalとよばれるlibrary technicianが12万2千人、library assistantが10万9千人働いている(1)

1.2.4 障害者サービスに対する法の動向

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  山本 順一(やまもと じゅんいち)

 アメリカには、現在、約4,300万人の身体や精神に障害を持つ人たちがいる。この数は年々増加している。これら障害をもつ人たちは、教育を受けるうえで、また職業に就く際、そして生活を支える所得を得る場合など、生活の様々な局面で実質的に差別されてきたし、現に差別されている。アメリカ連邦憲法修正14条が保障する「平等原則」に照らせば、障害をもつ人たち自身に帰責できない差別については、基本的人権を守るという観点から、極力是正する努力が払われるべきである。

(1) アメリカ議会図書館

 アメリカ議会図書館の中に全国盲人・身体障害者図書館サービス局(National Library Services for the Blind and physically Handicapped:NLS)が設置されている。

1.2.3 知的自由に関する法の動向 ~ 愛国者法、CIPA、COPA、DOPA ~

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大阪教育大学 生涯教育計画論講座  高鍬 裕樹(たかくわ ひろき)

(1) 愛国者法の成立とその改正

 愛国者法(Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism: USA PATRIOT Act)は2001年10月26日の成立である(1)。いうまでもなく2001年9月11日の同時多発テロを受けたものであるが、わずか6週間で成立したこともあって、成立時にその是非についてほとんど議論はなかったといってよい。そのため、社会が冷静さを取り戻すにつれて愛国者法の危険性が叫ばれるようになってきている。

1.2.2 近年の米国の著作権法の動向

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早稲田大学大学院法学研究科 博士後期課程・研究助手  張 睿暎(ちゃん いぇよん)

(1) 米国著作権法の沿革(1)

 米国連邦議会は、米国憲法第1条第8節第8項(2)で委任された権限を行使して、1790年に著作権法を制定した。その後1909年、1971年の改正を経て成立した1976年の著作権法(3)が現行の著作権法(1976年法)である。

1.2.1 公共図書館の設置・運営に関する法的基盤

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立正大学 文学部 平野 美惠子(ひらの みえこ)

(1) 連邦、州、地方の権限

 米国では、公共図書館の設置・運営に関わる法律は、州ごとに制定されている。連邦レベルで制定されない理由は、合衆国憲法に文化・教育に関わる明文規定がなく、さらに1791年に成立した合衆国憲法修正第10条で「合衆国に委任されず、州に対して禁止されていない権限は、それぞれ州又は人民に留保される」と規定したことにある。連邦政府はこの規定を狭く解釈して、文化・教育への積極的な関与を極力控えてきたが、1956年成立の「図書館サービス法(Library Services Act:LSA)」に基づき農村図書館の振興を助成するモデル事業に成功してから、州権を乗り越えて連邦政策を遂行する方向に大きく転換を図った。この背景には、連邦資金の投入を求める州との利害一致があった。

1.1.2 図書館における「民営化」

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獨協大学 経済学部 井上 靖代(いのうえ やすよ)

(1) 背景

 1990年代は、アメリカで全国的に公立公共図書館の運営財源の大幅な削減がおこなわれた。これは全米の景気後退を受け、図書館運営資金、特に地域の不動産(固定資産)の税割合にもとづく図書館税収入や地域で決定する直接税としての図書館税収入の減少の影響である。図書館の設立時期が古く、図書館運営歴の長いウースター図書館(マサチューセッツ州、市の人口17万人)が、1990年に6つの地域館すべてを閉鎖して以降、全米で閉鎖される図書館が急増した。ネヴァダ州では州立図書館の資料費が1992年に15万3千ドルから1993年にはゼロとなるなど、各地で閉鎖ないしは資料費などの運営費が大幅削減を迫られた時期にあたる。

1.1.1 図書館の運営形態

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科 山本 順一(やまもと じゅんいち)

 図書館は、公共図書館であれ、大学図書館、学校図書館、専門図書館であっても、それぞれ地域社会、キャンパス・コミュニティ、校内の児童生徒・教職員、当該専門主題に関心をもつ社会層といった、ある種の「コミュニティ」の抱える情報ニーズを満たすためにサービスを提供することを任務としている。それだけではなくて、そもそもその図書館自体が当該コミュニティによって産み出され、日常的な維持・管理に必要な多様な諸資源をそこから調達していることが一般的である。ここでは、アメリカの公共図書館を念頭におきつつ、図書館の運営形態について論じることにしたい。

5.2 米国におけるオープンアクセスの動向

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慶應義塾大学大学院 図書館・情報学専攻  三根 慎二(みね しんじ)

(1) オープンアクセス運動の世界的展開

 世紀をまたぐころから、学術情報流通においては電子化とオープンアクセスが一大テーマとなっている。それは、これら2つの現象が、学術情報流通を根本的に変革させる可能性を持つからである。これまで研究者、図書館、学協会・出版社を主な利害関係者として成立していたが、ここに大学、政府、研究助成機関が新たに加わることにより、既存の利害関係者が果たしてきた機能や役割が改めて問われる事態になっている。オープンアクセスとは、学術情報への制限のない無料でのアクセスをオンライン上で提供する理念であり運動であるが、オープンアクセスを巡って百家争鳴の時代を迎えている。本稿では、米国の最近の動向に関して、パブリックアクセス方針や図書館の活動を中心に述べる。

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