アーカイブ - 2009年 9月 11日 - book

5.1 Googleの動向 ~Scholar、Book Searchを中心に~


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国立国会図書館関西館 事業部図書館協力課  村上 浩介(むらかみ こうすけ)

(1) はじめに

 2004年、優れた検索エンジンを擁してインターネットビジネスを主導してきたGoogleが、2つのサービスを発表し、米国の図書館界に大きな衝撃を与えた。学術文献専用の検索サービス“Google Scholar”と、図書館蔵書や出版社の販売書籍をデジタル化して提供する“Google Print”(後の“Google Book Search”)である。

 実のところ、これらのサービスは、Googleが新規に創出したものではない。学術文献の検索サービスとしては、EBSCOの“Academic Search Premier”やThomson Scientificの“Web of Science”など、すでに商用のものが存在しており、研究図書館を中心にサービスの重要な一翼を担っていた。

4.2 生涯学習機関としての図書館 ~高齢者サービス~

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北陸学院短期大学 コミュニティ文化学科  髙島 涼子(たかしま りょうこ)

 公立図書館は他の施設と並んで生涯学習の重要な機関として認識されており、高齢者向けの学習プログラムも大学、美術館、博物館、教会、シニアセンター、病院、退職者コミュニティ、高齢者デイケアセンターなどと共に図書館でも開催されている。現在、全米の動向を知る際に、高齢者への図書館サービスについては「アメリカ図書館協会高齢者に対する図書館サービス委員会(American Library Association Library Services to an Aging Population)」や「アメリカ合衆国全国図書館情報学委員会(U.S. National Commission on Libraries and Information Science:NCLIS)」が主要な情報提供源となっている。

4.1 公共図書館における地域情報の提供

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筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科  吉田 右子(よしだ ゆうこ)

(1) 地域情報サービスとは

 米国の公共図書館は地域社会と密接な関係を保って発展してきた。個々の図書館はコミュニティに根ざしており、利用者にコミュニティの情報を提供することが、図書館の重要な役割の1つとなっている。図書館はコミュニティに関する情報をコミュニティ・インフォメーション・ファイルとして用意するとともに、利用者のニーズに応じて他機関への照会サービスを行ってきた。公共図書館におけるこうしたコミュニティ情報源に関する情報提供サービスを、米国ではコミュニティ情報・照会サービス(community information and referral service)と呼ぶ。

 地域情報サービスは、すでに1920年代には米国の公共図書館で実施されていた。

3.4 読書プログラムの現状と課題

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京都ノートルダム女子大学 人間文化学科・人間文化研究科  岩崎 れい(いわさき れい)

はじめに

 図書館の中では、公共図書館の成立した早い時期から、読み聞かせやストーリーテリングなどの読書プログラムが行われてきたが、現在注目されているのは、むしろ、全米規模・各州規模で実施されている、より幅広い概念の読書プログラムである。本稿では、米国連邦教育省が推進している計画の全体像を概観し、また、各団体や図書館が具体的に取り組んでいるプログラムを紹介する。

(1) 米国連邦教育省の計画

 米国連邦教育省のコミュニケーション・アウトリーチ局では、高等教育、成人教育、遠隔教育など、多様な分野にわたって、教育支援プログラムを設けている(1)。この中で、読書プログラムと位置づけられているのは5種類である。

3.3 公共図書館が教育やリテラシーに果たす役割

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金城学院大学 文学部  薬師院 はるみ(やくしいん はるみ)

 今日の米国において、公共図書館は、教育やリテラシーに貢献すべき機関だとみなされている。例えば、1998年に米国公共図書館協会が定義した公共図書館が担うべき13の責務の中にも、「基礎的リテラシー」、「正規学習課程支援」「情報リテラシー」、「生涯学習」等の項目が掲げられている(1)

3.2 大学図書館が教育・リテラシーに果たす役割 ~情報リテラシー教育とインフォメーション・コモンズ~

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関西学院大学図書館利用サービス課  魚住 英子(うおずみ えいこ)

はじめに

 大学図書館のミッションは、学術情報の収集や提供によって、その大学における教育と研究を支援することである。そのミッションの実現のために、現代の大学図書館は伝統的な図書館業務に加えて、さらに能動的かつ主体的に大学教育に関わろうとしている。

 大学図書館の従来のイメージといえば、ずらりと本が並んだ書架に囲まれた重厚かつ静謐な空間で黙々と読書に励む学生の姿であるが、今や図書館の内部にワークステーションやソファーなどが配置された明るくカジュアルな雰囲気の場が出現し、小人数のグループがパソコンのモニターを見ながらディスカッションしている様子が日常的に見られる。このように、21世紀の大学図書館は、情報の収集・整理・交換・発信の基地として機能するよう変化しつつある。

 その変化は、大学図書館が学内の教務やシステムなどの部署と連携して、全学的な学生の情報リテラシー教育に積極的に加担していることから生じている。

3.1 米国の学校図書館の概況 ~NCLB法の影響を中心に~

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同志社大学 社会学部教育文化学科  中村 百合子(なかむら ゆりこ)

はじめに

 現ブッシュ(George W. Bush)政権は教育改革に重点的に取組んでおり(1)、その影響は学校図書館にも当然及んでいる。特に公立学校は、2002年1月8日に落ちこぼれを作らないための初等中等教育法(1965年初等中等教育法の改正法)(No Child Left Behind Act of 2001: NCLB 法)が制定されてから、大きな変化が求められている。本稿では、同法を概説したうえで、その学校図書館への影響について、次の2点に注目して述べる。ひとつには、同法のリテラシー向上施策の学校図書館への影響である。もうひとつには、同法によっても促されている、公教育の根本からの問い直しに繋がるような、学校運営の改革の学校図書館への影響についてである。

2.2 ホームレスにとっての公共図書館の役割

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第一福祉大学 人間社会福祉学部  清重 知子(きよしげ ともこ)

 アメリカのホームレスの数は推定年間350万人と言われ、これは総人口の約1%に相当する(1)。このうち18歳以下の児童は推定135万人(約39%)、世帯別に見ると児童を含む世帯の占める割合は約33%であり、児童及び児童を含む世帯がホームレス者の内訳として近年最も増加している。ホームレス化の要因としては、安価な賃貸住宅の減少、貧困の拡大、社会保障の縮小、障害者やDV被害者への社会的支援の不足などが挙げられる。ホームレスは経済的困窮の結果住居を失った状態であるだけでなく、社会的排除、すなわち、制度的、社会的居場所を失い、異質な存在として周縁化された状態でもある。私的生活空間を失ったホームレスは公共空間での生活を余儀なくされ、日常的に誰の目にもとまる存在でありながら、もはや通常の社会の中に属さない者として排除され生きている人たちと言える。

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