アーカイブ - 2009年 9月 8日 - book

はじめに

はじめに

 日本の図書館の現状については、関係者の間では、‘危機的状況’にあるとの認識が確実に共有されているように思われる。1990年代以来のインターネットの普及が急速に推し進めている‘デジタル・ライブラリー’化の趨勢に立ち向かわなければならない一方で、国・地方の財政破綻を背景に資料費は見事なまでに減少し、民間委託やPFI(Private Finance Initiative)、指定管理者制度が浸潤しつつあり、人員削減の圧力により、図書館の正規職員のポストは図書館サービスにまったく無縁の首長部局等や法人本部等からの機械的人事異動のたんなる受け皿となり、従前通り図書館に踏みとどまる図書館職員は高齢化が進行し、若い世代の多くはせいぜい‘非常勤専門職員’というきわめて不安定な待遇に甘んじている。

 高度情報通信化への対応の必要性、財政窮乏、組織と業務の合理化、関係職員の高齢化・世代交代の問題などは、日本の図書館だけが遭遇している課題ではなく、すべての先進諸国の図書館が効果的な解決を迫られているものである。

 日本の図書館は、とくに第二次世界大戦後、アメリカをモデルに発展してきた。

はしがき

はしがき

 情報技術の進展を基盤とした新しいサービスの導入はもとより、指定管理者制度の導入や業務の民間委託の伸長、定年退職者の増加など、我が国の図書館を取り巻く環境の変貌は著しく、また課題が多い状況である。このような中、他国の図書館ではどのような計画を立案し、どのようなプロジェクトを遂行して環境の変貌や課題に対応しようとしているのかを知ることは、当館及び我が国の図書館の将来にとって必要不可欠である。しかしながら、各国の政策、財政、法制度や社会基盤、また図書館界全体の方向性などを踏まえた鳥瞰的・基礎的な調査研究は未だ行われておらず、個々の図書館の事例を散発的に紹介する論文・記事が見られる程度である。そこで、当館では平成18年度の「図書館及び図書館情報学に関する調査研究」として、世界の図書館活動を牽引する存在である米国の図書館事情について調査を行った。今回刊行する『図書館研究シリーズ』第40号は、その調査成果を、論集の形で取りまとめたものである。

 この調査は、社団法人システム科学研究所に委託し、以下のメンバーによる研究会が企画・構成を担当した。

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