アーカイブ - 2020年 5月 - book

5月 28日

E2261 - ORCIDへの期待とコンソーシアム

2020年4月,ORCID日本コンソーシアムが本格的に始動した。日本におけるORCIDコンソーシアム設立に関する明示的な検討は,2017年9月に国内の会員機関のORCID担当者による会議から始められた。それまでにもコンソーシアム設立に対する期待はあったものの,実現に向けた明示的な行動は見られなかった。しかし,この会議において有志によるコンソーシアム設置に向けた努力を進めるという合意がなされ,2020年3月までに2年間で18回のコンソーシアム運営委員会(以下「運営委員会」)が行われ,準備が進められた。筆者は,このコンソーシアム運営委員会の発起人の一人であり,委員長として関わっている。

E2262 - シンポジウム「社会に魅せる研究力」を測る<報告>

2020年2月13日に,国立国語研究所IRシンポジウム「社会に魅せる研究力を測る-論文では見えてこない社会に貢献する研究を評価する指標-」が国立国語研究所(東京都立川市)にて開催された。

E2260 - Open Research Libraryの動向

Open Research Library(ORL)は,世界中のオープンアクセス(OA)の査読付き学術単行書や論文集等のチャプターを単一のプラットフォームから利用可能とするKnowledge Unlatched(KU)の新しい取組であり,2019年5月にベータ版,2020年1月に正式版がリリースされた。OA学術単行書はオンライン上に散在しており,利用者が見つけ出したり,図書館が流通・利用状況を管理したりすることは,困難である。ORLはその解消を目指している。

E2258 - 山形県立図書館のリニューアルについて

2020年2月1日,山形県立図書館がリニューアルオープンした。現在の遊学館に移転した1990年から四半世紀が経過し,開館当時と求められる役割や活用状況が変化したことに加えて,一部施設・設備の老朽化が見受けられたことから,県立図書館のさらなる活性化に向け改修することを決定し2016年3月にその指針となる「山形県立図書館活性化基本計画」を策定した。翌2017年12月には工事概要を公表し,「県民が集い・学ぶ 本のまち」を基本コンセプトに,2018年8月に改修工事は始まった。

E2259 - CUPからのRead & Publishモデル契約の提案について

大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE;E1189参照)は,2019年8月29日に英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)からのRead & Publishモデル契約を含んだ提案に合意した。この合意は,JUSTICEにとって初のRead & Publishモデルに関する合意となった。本稿では,この合意に至るまでの経緯とその提案内容について紹介する。

E2263 - 吉永元信国立国会図書館新館長インタビュー

2020年3月31日付けで国立国会図書館(NDL)の羽入佐和子館長(E1811参照)が退任し,翌4月1日付けで吉永元信新館長が第17代の館長に就任した。NDLの元職員が館長となるのは,第15代館長を務めた大滝則忠元館長(E1289参照)に続き二人目となる。今後どのようにNDLを運営していこうと考えているのか。いまの想いについて吉永館長にインタビューを行った。

5月 27日

5月 15日

No.18 地域の拠点形成を意図した図書館の施設と機能

 本調査研究では、「地域の拠点形成を意図した図書館の施設と機能」をテーマとして取り上げました。

 近年、まちづくりや地域コミュニティの形成・再生等を目的の一つとして、図書館が新設・更新されることが多く、これらの図書館は、多くの人を集める魅力的な存在として注目されています。本調査研究では、それぞれに特色を有する公立図書館5 館を取り上げ、その施設が地域の拠点として実際にどのように機能しているかを調査分析しました。

 具体的には、気仙沼図書館(宮城県)、大和市立図書館(神奈川県)、田原市中央図書館(愛知県)、瀬戸内市民図書館(岡山県)、伊万里市民図書館(佐賀県)を対象館とした事例調査と、図書館施設についての文献調査を実施しました。事例調査では、実地調査や関係者へのインタビュー等により、施設面の特徴や、その施設が地域の拠点形成の面でどのように機能しているかを分析しました。文献調査では、建築分野における図書館研究の動向、図書館建築に関する先行研究、近年新築又は改築を行った国内公共図書館の情報等を整理しました。

 この調査研究の報告書が、今後図書館の新設・更新を予定している地方公共団体や図書館等における検討に資するとともに、図書館が展開する多様なサービスを支える「器」である図書館施設への知見を深める一助となることを願っています。

5月 14日

E2257 - 「国立国会図書館関西館書庫棟」の竣工

国立国会図書館は,納本制度に基づき,国内で刊行された出版物を網羅的に収集しており,収集した資料は,東京本館(1,200万冊収蔵可能),関西館本館(600万冊収蔵可能),国際子ども図書館(105万冊収蔵可能)の3施設に分散して保存している。所蔵資料の増加に対応した書庫の確保は,国立国会図書館の重要な課題となっているが,2002年の関西館開館から18年が経過し,東京本館,関西館ともに書庫の収蔵能力が限界に近づいてきたため,関西館第2期施設整備事業として,「関西館書庫棟」(以下「書庫棟」)を関西館本館(以下「本館」)の南側敷地に建設し,2020年2月に竣工した。

E2255 - 分散型のオープンな出版フレームワーク“Pubfair”

1665年のオルデンバーグ(Henry Oldenburg)による英語圏で最古の学術雑誌Philosophical Transactionsの出版から355年,学術出版の形態は大きく変わることなく現在も続いている。1994年,ハーナッド(Steven Harnad)は「転覆提案(The Subversive Proposal)」を公表し,学術出版に係るコストの適正化を目的に,ギンスパーグ(Paul Ginsparg)によるプレプリントサーバー(後のarXiv.org)を参考にした,インターネットを活用した既存の学術出版システムに依存しない新たな学術出版のあり方を提案した。ハーナッドの提案は,その後のオープンアクセス(OA)運動に大きな影響を与え,学術論文などの研究成果物を保存・公開する数多くのリポジトリを生み出したが,学術雑誌を中心とした学術出版の変革までには至らなかった。Pubfairは,この旧態依然の学術出版を取り巻くシステムを,機関とそのリポジトリによるリポジトリネットワークとそこにあるコンテンツを利用して構築される,分散型のオープンな出版フレームワークに置き換えることを目指している。Pubfairに関するホワイトペーパーの初版は2019年9月に,第2版は同年11月に公開された。

E2254 - 蔵書2,000冊 書店による企業主導型保育所「本のほいくえん」

2020年2月,株式会社今井書店は,島根県松江市に企業主導型保育所「本のほいくえん」を開所した。「なぜ,書店が保育所を?」と思う人も多いだろう。もちろん当社グループの従業員の働きやすさの向上や,松江市の待機児童の課題に貢献する目的もあるが,実はそこには当社の創業者の思いが大きく反映されている。

E2253 - 「自主学習できる図書館」への沖縄県立図書館の取組

沖縄県立図書館では,これまで閲覧室での自主学習を認めていなかった。自主学習への対応を本格的に検討し始めたのは,ある出来事がきっかけである。当館は2018年12月に新館へ移転し(E2114参照),座席数は全体で約500席と,約2倍になった。さらにバスターミナルと商業施設との複合施設となったため,来館者が増加した。その増加のピークとして,2019年2月,一日の来館者が約7,000人を記録した日があった。その日は開館前に150人は下らない人数がエントランスホール入口前に待機し,開館時には職員の制止の声も聞かずになだれ込み,館内を走り回って座席を確保していく。まるでバーゲンセールかのような有り様に,本格的な対策を考えなければならないと職員一同が感じたのである。