アーカイブ - 2009年 5月 - car

5月 29日

群集の暴動で記録文書が破壊されてしまった事件から学ぶもの(インド)

インドのプネ市にあるBhandarkar東洋研究所に2004年1月4日、およそ150人の武装した若者が政治的スローガンを叫びながら乱入し、閲覧室の設備を破壊し、手稿や記録文書、石板など(数点から数点まで諸説ありとのこと)を破壊・盗難するという事件が発生しました。この事件がなぜ起きたのか、その歴史・文化・宗教的背景(植民地、カースト等)、同研究所のような研究図書館・文書館が持つ文化・政治的な象徴性などを分析し、このような事件がインド以外でも起こりうることを説き、それを避けるためにはどうすればよいのかを論じた論文が、LIBRI誌の“Best Student Paper Award 2008”に選ばれ、オンラインで公開されています。

Michelle Caswell. Irreparable Damage: Violence, Ownership, and Voice in an Indian Archive. Libri. 2009, 59(1), p. 1-13.
http://www.librijournal.org/pdf/2009-1pp1-13.pdf

元バスターミナルを改築して作られた図書館分館が、同居する文化施設とともに果たす役割(スウェーデン)

スウェーデンのマルメ市は2008年、築100年の元バスターミナルを改築し、“Garaget”(「ガレージ」に相当)という通称の文化複合施設を構築しました。このうちの一部は2008年に、残りは2009年2月にオープンしていますが、後者にはマルメ市立図書館の分館も含まれています。同館が、市やマルメ大学、そしてGaraget内にあるカフェ、文化施設などとともに、移民・難民や、橋で隣接するデンマークからの通勤者など、多様な言語・文化的背景を有する人々の社会的包摂(social inclusion)を目指し行っている活動が、Scandinavian Public Library Quarterly誌2009年1号で紹介されています。

Andreas Ingefjord. Garaget –All this and books too. Scandinavian Public Library Quarterly. 2009, 42(1).
http://www.splq.info/issues/vol42_1/03.htm

Päivi Jokitalo. Scandinavian Shortcuts: A public library up-to-date. Scandinavian Public Library Quarterly. 2007, 40(4).

環太平洋デジタル図書館連合(PRDLA)、参加館のデジタルコレクションの新ポータルサイト“PRL”を立ち上げ

環太平洋デジタル図書館連合(PRDLA)が2009年2月、参加している米国、カナダ、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、オーストラリアの大学図書館がデジタル化したコレクション37万点以上を統合検索できるポータルサイト“PRL(Pacific Rim Library;発音は「pearl」と同じとのこと)”を新しく立ち上げました。これは、各機関からメタデータを収集して構築しているもので、もとは2006年に“DSpace”で開発し運用していたものの、30万点を超えたところからパフォーマンスが悪化してきたため、欧州原子核研究機構(CERN)が開発したオープンソースのデジタル図書館ソフトウェア“CDS Invenio”に移行してリリースしたとのことです。

PRDLA Archive
http://prdlaarchive.lib.hku.hk/

PRDLA Collections Registry - Browse by Institution
http://prdla.ucmercedlibrary.info/collections-sorted-by-insitution-name/
(※デジタルコレクションのメタデータを提供している機関とコレクション名)

Pacific Rim Library

“Europeana”セマンティック検索エンジンのプロトタイプ版

欧州デジタル図書館“Europeana”の実験サイトで、セマンティック検索エンジンのプロトタイプ版が公開されています。2009年5月29日時点では、ルーブル美術館など3館のコレクション、TGN、WordNet、AATなど7つのシソーラスを用いて構築されています。

Europeana's semantic search engine
http://eculture.cs.vu.nl/europeana/session/search

Europeana - Thought lab
http://www.europeana.eu/portal/thought-lab.html

Nielsen Book社、図書館が貸し出した書籍のISBNからトレンドを紹介するサービス“LibScan”の拡大を発表

マーケティング、視聴率調査等の事業を展開するNielsen社の子会社で、英国・アイルランドのISBN付与センターとなっているNielsen Book社が2009年5月26日、図書館が貸し出した書籍のISBNを集め、全国的なトレンドをリポートするサービス“LibScan”の拡大を発表しました。同社がこのサービスを利用する図書館から、各々の図書館管理システム(LMS)を通じて貸し出された書籍のISBNを取得し、集計・分析して作家ごと、分野ごとのトレンドを各利用館に提供するというもので、図書館にとっては他館との比較ができるというメリットがあるとのことです。2009年4月時点で、英国の15図書館が利用していますが、同社は2009年末までに英国の図書館の半分まで利用館を拡大することを目標としています。

26/05/2009 - Nielsen Book's LibScan Service - a major new resource for libraries
http://www.bookscan.com/press.php?release_id=36

Nielsen Book LibScan Shows Library Authorities How They Stack Up - Information Today, Weekly News Digest

図書館をもう少し「green」にする100の方法

米国のオンライン学位情報サイト“Bachelors Degree Online”のブログ中の「あなたの図書館をもう少し「green」にする100の方法」という記事が注目を集めています。環境に配慮した製品の購入やリサイクルの推奨、節電、植樹、自転車駐輪場の拡大といった一般的な方法のほか、各種イベントの開催、利用者に環境について意識させるような展示、有用な電子的ツールを利用することによる紙の削減、環境にやさしい活動としての読書の広報、各種の環境保護ネットワーク・活動等への参加など、図書館ならではの方法も紹介されています。

100 Ways to Make Your Library a Little Greener - Learn-gasm
http://www.bachelorsdegreeonline.com/blog/2009/100-ways-to-make-your-library-a-little-greener/

NPO法人「共同保存図書館・多摩」による蔵書の「里親探し」事業

東京都調布市のNPO法人「共同保存図書館・多摩(多摩デポ)」が実施している、図書館で廃棄される蔵書の「里親探し」事業が報じられています。多摩地域の図書館の協力を得て、蔵書を維持できない図書館と蔵書が足りない図書館を橋渡しする事業で、2008年7月の開始以降、148冊の仲介を行ったとのことです。

廃棄蔵書:「里親探し」注目 図書館同士橋渡し、148冊の仲介に成功 /東京(2009年5月29日付け毎日jpの記事)
http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20090529ddlk13040301000c.html

特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩 
http://www.tamadepo.org/index.html

大学図書館のILLのベストプラクティスとは?(米国)

米国の調査会社Primary Research Groupが、大学図書館のILLについて、9大学図書館にその実態やサービス向上の取り組みなどをインタビューし、ベストプラクティスを探るレポートを発表しています。

本体は有料ですが、ResourceShelfが概要の一部を伝えています。

Profiles of Best Practices in Academic Library Interlibrary Loan
http://www.primaryresearch.com/200905061-Libraries--Information-Science.html

韓国国立デジタル図書館“dibrary”開館

韓国国立中央図書館が2009年5月25日、国立デジタル図書館“dibrary”を開館しました。ウェブサイトは、日本語を含む外国語でも作成されています。

なお、ノ・ムヒョン前大統領の死去をうけて、開館記念式典・文化イベント等は中止され、国際会議「グローバル知識情報社会を先導する図書館」(5月25、26日)と施設観覧だけが行われたようです。

dibrary
http://www.dibrary.net/

dibrary日本語版
http://foreign.dibrary.net/main.do?lang=ja_JA

국립중앙도서관 디지털도서관 개관행사 취소
http://www.nl.go.kr/notice/board_info/view.php?bbs=BOARD_NOTICE_TEMP&no=463
(※開館行事中心の案内)
디지털도서관 개관관련 국립중앙도서관 이용 안내
http://www.nl.go.kr/notice/board_notice/view.php?bbs=BOARD_NOTICE_TEMP&no=772
(※dibrary開始に伴う利用方法(ウェブサイトへのログイン等)変更の案内)

国際会議「グローバル知識情報社会を先導する図書館」
http://www.nl.go.kr/conference/

図書館で自分磨きと「靴磨き」 - 千代田図書館

東京・千代田区立の千代田図書館では、ビジネスパーソン向けのイベントとして、2009年6月から毎月1回、「図書館で靴も自分も磨く」と題し、靴磨き職人が利用者の靴を手入れするコーナー(有料)が設けられるそうです。「ピカピカに磨かれた靴で気分がリフレッシュし、図書館での調査・研究も進み、また、靴磨き中の会話から生まれた発想・発見を、明日のビジネスに役立てていただけることでしょう。」とのことです。靴磨きを担当するのは、カウンタースタイルの靴磨き店をオープンし注目を浴びる“Brift H(ブリフトアッシュ/南青山)”の店主・長谷川裕也氏とのことです。

図書館で靴磨き…東京・千代田区(2009年5月29日付けYOMIURI ONLINEの記事)
http://job.yomiuri.co.jp/alacarte/afterfive/af_09052901.htm

千代田図書館で靴も自分も磨く~BOOTBLACK at Library~ 開催のお知らせ(千代田図書館ウェブサイトのお知らせ)
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/guidance/bootblack.html

千代田図書館で“靴磨き”靴と自分を磨いて、明日のビジネスに!(2009年5月18日付け千代田図書館のプレスリリース)

Microsoft社、新検索エンジン「Bing」を発表

2009年5月28日、Microsoft社は、新しい検索エンジン「Bing」を発表しました。ユーザーの意思決定を助ける「Decision Engine」との位置付けで、特に、買い物・旅行・健康情報・地域情報の4つの分野にフォーカスしているとのことです。2009年6月3日までにグローバル版のサービスが開始され、その後、各地域版がリリースされる予定とのことです。

Microsoft’s New Search at Bing.com Helps People Make Better Decisions(2009年5月28日付けMicrosoft社のプレスリリース)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2009/may09/05-28NewSearchPR.mspx

「Kumo」改め:Microsoft、新検索エンジン「Bing」を発表(2009年5月29日付けITMedia Newsの記事)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0905/29/news023.html

マイクロソフト、新検索エンジン「Bing」を発表(2009年5月29日付けCNET Japanの記事)

5月 28日

さいたま市図書館、「友だちに教えてあげたい、子どもたちに読んでほしい100冊の本」を発表

さいたま市図書館が、2008年に応募した、「友だちに教えてあげたい、子どもたちに読んでほしい100冊の本」の子ども100選リストを発表しています。

小中学生を中心に2万通以上の応募があったとのことです。

さいたま市「心を潤すこの一冊」子ども100選事業
友だちに教えてあげたい、子どもたちに読んでほしい100冊の本が決まりました。
http://www.lib.city.saitama.jp/kikaku/saitama100sen.html

CAS、一般向け化学物質情報サイト"Common Chemistry"を開設

米国化学会(ACS)のChemical Abstracts Service (CAS)は、化学研究者ではない一般向けに、化学物質情報を無料で提供するサイト"Common Chemistry"を開設しています。

7800の化学物質について、化学式や構造式、CAS登録番号(CAS Registry Numbers)などを提供しています。

CAS Launches Free Web-Based Resource "Common Chemistry" for General Public
http://www.cas.org/newsevents/releases/commonchemistry051209.html

Common Chemistry
http://www.commonchemistry.org/

グーテンベルグプロジェクトの新たな目標、「読者10億人」

著作権の切れた作品を全文デジタル化してインターネット上で公開しているグーテンベルグプロジェクトでは、これまで目標としていた「読者1億人」を改め、「読者10億人」を目指すことを発表しました。これは、昨今の携帯電話の普及を考慮した結果だということです。グーテンベルグプロジェクトでは、「読者10億人」という目標を、簡単には達成できるものではないが、実現可能である、としています。

New Goal Set for Project Gutenberg: One Billion Readers
Project GutenbergNews 2009/5/24付けの記事
http://www.pg-news.org/20090524/new-goal-set-for-project-gutenberg-one-billion-readers/

学術会議中の参加者のTwitterの使い方

参加できなかった同僚との情報共有のために、また参加者の“裏チャンネル”として、学術会議でTwitterを活用する研究者が増え始めているということです。先日オーストリアで開催された“EduMedia Conference”において、「学術会議中の参加者のTwitterの使い方」に関する調査の報告が行われ、ドラフトが公開されています。

How People Are Using Twitter During Conferences
http://lamp.tu-graz.ac.at/~i203/ebner/publication/09_edumedia.pdf

EduMedia Conference 2009のプログラム
http://edumedia.salzburgresearch.at/index.php?option=com_content&task=view&id=196&Itemid=175

Paper Highlights Pros and Cons of Twittering at Academic Conferences
- Wired Campus 2009/5/26付けの記事

名古屋大学附属図書館、「学術機関リポジトリをプラットフォームとする電子出版システムの開発」「学術機関リポジトリのためのシステム連携用ツールの開発」の開発ツール等を公開

名古屋大学附属図書館を中心に取り組まれている「学術機関リポジトリをプラットフォームとする電子出版システムの開発」プロジェクトが、『学術機関リポジトリをプラットフォームとする電子出版システム(EPSIR)調査報告書』および開発したソフトウェアを公開しています。

また、同じく名古屋大学附属図書館を中心に取り組まれている「学術機関リポジトリのためのシステム連携用ツールの開発」プロジェクトが、システム連携にあたって必要となるデータ変換ツールや著者名解決ツールのプログラム類およびドキュメント類を公開しています。

学術機関リポジトリをプラットフォームとする電子出版システムの開発
http://info.nul.nagoya-u.ac.jp/pubwiki/index.php?EPSIR

学術機関リポジトリのためのシステム連携用ツールの開発
http://info.nul.nagoya-u.ac.jp/pubwiki/index.php?ITIR

Name Authority Resolution System
http://info.nul.nagoya-u.ac.jp/resolve/search/

参考:
arXivとOJSを活用したオーバーレイジャーナルの構想(英国)
http://current.ndl.go.jp/node/7854

大リーグトリビアクイズに答えて、情報リテラシーを高めよう!(米国)

米国図書館協会(ALA)は「野球の殿堂(National Baseball Hall of Fame)」と協同で、大リーグや野球に関するトリビアクイズに答えることを通じて、図書館利用者の情報リテラシーを高めようというプログラム“Step Up to the Plate @ your library”をスタートしました。参加者は、プログラムのウェブサイトに準備されているクイズに、図書館の紙資料や電子資料を使って答えます。優勝者には、「野球の殿堂」への旅が贈られます。なお、多くのエントリーがあった図書館にも報奨が設けられており、最もエントリーが多い図書館に100ドル分の書店ギフトカードが贈られるということです。

日本文藝家協会、Googleブック検索の和解案を受け入れへ

Googleブック検索について、日本文藝家協会が和解案を受け入れる考えを明らかにしたと報じられています。同協会は和解案に抗議する声明を2009年4月に発表していましたが、来日した全米作家協会や全米出版社協会の担当者らと意見交換し、日本で刊行中の書籍は除外されるという説明を受けたとのことです。会員に対して呼びかけていた、Google社に対するデータ削除申請の要請も撤回するとのことです。

文芸家協会:グーグル和解案受け入れ 絶版書籍デジタル化(2009年5月28日付け毎日jpの記事)
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20090528k0000m040131000c.html

5月 27日

英国の7研究図書館、JISCの助成のもと19世紀のパンフレット100万ページ分をデジタル化

英国情報システム合同委員会(JISC)の助成、英国研究図書館協会(RLUK)のスポンサードのもと、ブリストル大学など7大学が所蔵する19世紀の政治・経済・社会に関するパンフレット26,041点、合計100万超ページをデジタル化する2年間のプロジェクトが2009年3月終了し、このほど資料選定・デジタル化・著作権処理等の手順、メタデータ等に関する報告書がJISCから刊行されました。スキャニングを行ったのはサウザンプトン大学のデジタル化センター、提供プラットフォームはJSTORです。

19th Century Pamphlets Online : JISC
http://www.jisc.ac.uk/Home/publications/documents/pamphletsfinalreport.aspx

JSTOR: 19th Century British Pamphlets Project
http://www.jstor.org/page/info/participate/other/britishPamphlets.jsp
Title List - 19th Century British Pamphlets

岡山県立図書館協議会の提案書『岡山県立図書館サービスの在り方について』

岡山県立図書館協議会が、報告書『岡山県立図書館サービスの在り方について - 提案書 -』を2月に発表しています。

岡山県立図書館サービスの在り方について - 提案書 -
http://www.libnet.pref.okayama.jp/kyougikai/shiryou08-2/teiansho.pdf

平成20年度第2回協議会(H21.2.27開催) - 岡山県立図書館協議会
http://www.libnet.pref.okayama.jp/kyougikai/shiryou.htm#dai2kai

参考:
岡山県立図書館の2008年度入館者数・貸出冊数ともに過去最高に
http://current.ndl.go.jp/node/12852

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