E788 - LC,Flickrでの写真公開プロジェクトを試行中

カレントアウェアネス-E

No.128 2008.05.28

 

 E788

LC,Flickrでの写真公開プロジェクトを試行中

 

 米国議会図書館(LC)は2008年1月から,Yahoo!が運営する画像共有ウェブサイト“Flickr”で,著作権保護期間が満了している写真の公開を開始した。2008年5月26日現在,1910年代のモノクロのニュース写真2,050枚と,1930年代から1940年代のカラー写真1,615枚がアップロードされている。なおこの取り組みは,試験プロジェクトとして位置付けられている。

 図書館によるFlickrを利用したサービスの例は,少なくない(E636参照)。例えば,オーストラリア国立図書館(NLA)では,オーストラリアの過去や現在の様子を伝える写真を保存・共有するための一つの手段として,2006年からFlickrを利用している(E443参照)。Flickrのアカウントを持っている人なら誰でも,NLAの設定した2つのテーマに沿った写真をアップロードすることができる。

 しかし,LCの今回のプロジェクトは,NLAとはその主眼を異にする。LCによると,今回Flickrを利用することにした目的は,(1)LCのウェブサイトを訪れない人とも,LCの写真コレクションを共有すること,(2)ソーシャルタギングやコミュニティによる情報の入力(CA1623E595参照)が,LCとコレクションの利用者の双方にとって,どのような利益をもたらすのかについて理解を深めること,(3)LCの多様な資料に関心を持っているウェブコミュニティに自ら参加するという経験を得ること,であるという。

 FlickrのLCのページでは,LCが公開している写真に対し,写真の来歴を知る手がかりの情報などについて,利用者が自由にタグやコメントを付与することができ,LCは原則として提供された情報に手を加えない。LCがFlickrへの写真公開を開始してから24時間で,合わせて1,100ものタグがFlickrのコミュニティによって付与されたという。さらにLCでこのプロジェクトに携わる担当者によると,これまでに100件以上のLCの目録記述が,こうしたタグやコメントをもとに変更され,LCはFlickr APIを利用し,コミュニティからの情報を集積するデータベースの構築にも着手しているとのことである。

 プロジェクトが始動してから,3か月あまりが経過した。試験プロジェクトの期間は明確に示されておらず,利用者の関心の大きさと,写真へのタグ付けの量によって決められるという。また,Flickrのコミュニティから得た情報をLCが今後どう活用していくかは,プロジェクト終了後に検討される予定である。今回の取り組みが,LCにおいてどのような展開を見せていくのか,引き続き注目したい。

Ref:
http://www.flickr.com/photos/library_of_congress/
http://www.loc.gov/blog/?p=233
http://hangingtogether.org/?p=401
http://www.webware.com/8301-1_109-9928433-2.html
http://www.loc.gov/today/cyberlc/feature_wdesc.php?rec=4281
CA1623
E443
E595
E636