第1章 調査研究の方法と対象について



第1章 調査研究の方法と対象について


1 調査の方法


 調査は二つの方法を組み合わせた。


 一つは、対象とした団体・組織・機関(以下「団体等」とする。)及びそれらの主催する研修事業に関する公開された文献に基づいて行うものである。


 調査する文献の範囲については、本調査研究の趣旨が「急速に変化する社会経済構造に対応できる図書館職員、図書館サービスを実現できる研修のあり方」なので、当該組織の原初までさかのぼる必要はないと判断した。調査研究に着手した時点においては、精々直近の5年程度と考えていたが、意外と「公開された文献」は少ないことが判明し、さらに5年さかのぼることにした。けれども、収集できた文献は研修事業そのものについて論述されたものは多くは無く、研修参加者による研修内容の紹介であったり、参加した上で得られた知見を感想的に述べたものがその大半を占めることとなっている。しかし、感想的に述べられたなかに、今後の研修事業のあり方を示唆するところもあり、第2章以下の「調査結果の報告」においては、それらを適切に利用することとした。


 二つめの調査方法は、対象とした団体等において研修事業の企画・運営を中心的に担っている方々へのヒアリングである。


 調査研究の統一性を確保するために、調査項目について第1回目の調査研究班会議において論議を行い、それをもとに、つぎの五つの大きな項目(各項目は、さらにいくつかの項目に細分した。)を設定した。


1.研修事業の目的、趣旨、実施の背景


2.研修事業の実施体制


3.研修カリキュラムの実態及び過去5年間の研修カリキュラムの変遷


4.研修事業の評価


5.研修事業の今後の展開


 事前に担当者に対し、これらの項目を提示し、関連する資料等のご準備をお願いし、効率的なヒアリングを実施した。


 ヒアリングにあたって、なかでも重視した項目は、「4.研修事業の評価」と「5.研修事業の今後の展開」である。評価については、団体等の内部で実施されるもの、参加者をはじめとする外部からのものが想定されるが、それらが「今後の展開」にどのように反映されるようになっているかという体制についても調査研究を試みた。




2 調査対象


 調査研究班の研究会においては、多くの調査対象候補が提起された。


 それらの中から、つぎの七つの団体等を対象に選定した。


1.日本図書館協会


2.社会教育実践研究センター


3.筑波大学(旧:図書館情報大学)


4.専門図書館協議会


5.国立大学図書館協会


6.日本私立大学協会


7.日本私立短期大学協会


 これらの団体等を選定した理由は、


(1)受講対象が全国規模であること


(2)同一対象、同一目的の研修を、継続して実施していること


(3)中堅職員を対象とした研修を実施していること


(4)選定した団体等の全体で、各館種の職員をカバーできること


であった。


 (2)の「継続して実施」については、研修事業実施のための委員会等の組織が設置されているかどうかを重視した。また、研修の内容において、連続していなくても良いが数日間にわたるものが実施されていることを要件と設定した。


 なお、「中堅職員」の定義は、それぞれの研修事業実施組織において考えているものに従った。そのため経験年数は3年を要件とするところも、7年を要件とするところも同じように扱った。研修事業において「中堅」という意味は、研修対象とする職における相当な経験年数を積み重ねていることと、研修修了後においても当該の職にあって将来の職場における中核ないし指導者として活躍することが期待されるものであろう。これらのことは研修受講時における設定であり、必ずしも保証されたものではない。研究調査の対象とした各組織等においても経験年数においては条件づけをしていても、将来の職場における役割までをも規定しているところはなかった。


 結果として、大学図書館を対象とする団体等が多くなったのは、大学については設立母体による状況の違い等があると想定されたためである。