第2章 調査の結果 7 日本私立短期大学協会「図書館情報担当者研修会」

第2章 調査の結果7 日本私立短期大学協会「図書館情報担当者研修会」(1) 日本私立短期大学協会(以下、「日短協」と記す)は、私立短期大学における教育研究の充実と向上、および経営の安定強化などを目的として、昭和25年(1950)4月に設立された全国の私立短大の経営者団体である。会…

第2章 調査の結果

 

7 日本私立短期大学協会「図書館情報担当者研修会」(1)

 日本私立短期大学協会(以下、「日短協」と記す)は、私立短期大学における教育研究の充実と向上、および経営の安定強化などを目的として、昭和25年(1950)4月に設立された全国の私立短大の経営者団体である。会員校数は414短大(平成16年(2004)4月28日現在)。全国私立短大の約9割が加盟している。主な事業内容は、(1)常設委員会活動(基本問題・広報・財務・学生生活・教務・図書館情報・就職・体育大会の8委員会)、(2)特別委員会活動(協会在り方検討・短大振興対策の2委員会)、(3)短大職員を対象とした各種研修会の実施、(4)機関紙の編集・発行、(5)全国の私立短大生が参加する体育大会の実施、などとなっている。(2)

 本調査で取り上げた「図書館情報担当者研修会」(以下、「図書館担当者研修会」と記す)は、日短協の常設委員会のひとつである「図書館情報研究委員会」(以下、「図書館研究委員会」と記す)が現在隔年で実施しているものである。昭和34年(1959)の開始以来45年、通算35回を数える歴史ある研修会である。

 以下、「図書館担当者研修会」についてヒアリング調査と関連資料にもとづいて述べる。

 

(1)研修事業の目的、趣旨、実施の背景

1)研修の目的について

 「図書館担当者研修会」は、短期大学図書館の改善充実をはかるために実施される、短大図書館職員の実務者研修である。

 上にも書いたが、日短協は短大職員を対象とした各種研修会を実施しており(3)、「図書館担当者研修会」はそのうちのひとつにあたる。これらの研修会はすべて「財団法人私学研修福祉会」の主催であり、日短協はこの研修事業に対して「協力」という形をとる。しかし、研修会を実際に企画・運営するのは日短協の各委員会であって、「私学研修福祉会主催」というのは、ここからの助成金を受けて実施されるという意味である。日短協は「私立短期大学における教育研究条件の充実向上」を主要事業目標に掲げており、そのためには短大職員の質的向上が不可欠である。職員研修の必要性はここにあると考えられる。

 「図書館担当者研修会」の研修目的には、図書館職員を対象とした実務研修と情報交換のふたつの意味があるという。外部の空気を吸って、新しい知識を身に付けさせること、また、短大図書館員どうしの相互交流・情報交換を行うということである。

 参加対象者は、平成15年度の「実施要領」によれば「私立短期大学の理事長・学長、図書館情報関係教職員」となっている。中堅職員や管理職、あるいは初任者といった経験年数やレベルは特に設定されていない。実際の参加者も、図書館長、図書館事務長、司書、事務職員など多様である。たとえば平成9年度の「図書館担当者研修会」の参加者名簿を見ると、経験年数1年の司書から30年以上のベテラン職員まで、参加者がたいへん幅広いことがわかる。(4)

 なお、参加対象に「理事長・学長」という経営者層があげられている理由はふたつあると考えられる。ひとつは、各短大の理事長や学長が、日短協の理事として研修会の運営を担当する委員会に関わっているため。もうひとつは、短大経営者である理事長・学長にも研修会に参加してもらうことで、短期大学図書館の実状や存在意義を理解してもらいたいというものである。(5)

 

2)研修開始のきっかけについて

 日短協の「図書館担当者研修会」は、昭和34年(1959)に開始された。短期大学制度および日短協の創設間もないこの頃の状況を知る手がかりとして、『日本私立短期大学協会50年史』から次の一節を引用しよう。

 「私学発展のために次に求められたことは、何よりもまず教育内容の充実であり、実質的には教育に携わる教職員の質を向上させることに帰着する。教職員の研修の場をいかに確保するかが数年来の課題となっており、研修施設とともに私学諸団体の事務所の機能も備えた私学会館の建設が構想された。」(「1956[昭和31年]」の解説より)(6)

 ここには、教育内容の充実のために教職員の質を向上させること、そのための研修の重要性と、研修場所の確保が差し迫った課題であることが簡潔に記されている。

 昭和31年6月、私学教職員の研修と福祉に資する財団法人「私学研修福祉会」が設立され、「私学振興会」(現在の「日本私立学校振興・共済事業団」)からの助成金を研修事業に充てることが可能になった。日短協は、私学研修福祉会主催の団体研修の第1回目として、「私立短大事務担当者研修会」を同年10月末に開催する。これを皮切りに、「私立短大厚生補導研修会」「教務事務担当者研修会」など5種類の研修会を、昭和33年(1958)末までに次々と実施していく。同年11月には私学会館が完成し、私学教職員のための研修施設が確保される。その翌年(昭和34年)6月、私学会館を使用する初めての日短協研修会(日短協としては6番目の研修会である)が3日間にわたって開催された。これが、「図書館担当者研修会」の第1回目である。(7)

 また「第1回図書館担当者研修会」開催の経緯については、次のような記述が見られる。

 「(前略)本年は私立短大図書館担当者研修会を実施することになった。このため図書館関係者の中から準備委員十五名を委嘱し、去る二月十七日以来数度の準備委員会を開催して、日程・資料・講師・研修問題・運営組織・実行委員等について協議検討する一方……。(略)ついで短期大学協会は準備委員の中から八名の実行委員(指導員)を指名し、その実行委員によってここに実施要項の定案を得た。」 (8)

 このように日短協は、短大教職員を対象とした団体研修を各種実施する中で、「図書館担当者研修会」も実施することを決定した。昭和34年2月、研修会準備委員会を立ち上げ、6月の研修会当日までに委員会を数回開いて、研修内容の検討・準備を行った。

 準備委員会は、「第1回研修会」の実施に際して、全国の私立短期大学図書館の実態調査を行っている。調査内容は、管理方法、予算、職員、施設設備、蔵書の状況、整理の方式、閲覧・貸出の制度および利用状況などである。また、研修テーマを選定するためのアンケート調査も事前に行われている。このような手法は、近年の「研修会」にも受け継がれた。そしてここで入手した資料・情報をもとに、研修内容が決定されたのである。

 第1回目の研修内容は、

1日目:アメリカの大学図書館の活動についての講演、日短協の近況報告、総合研修(蔵書構成と予算および標準冊数の基準について、短大図書館のあり方など)、参加短大の実情交換、懇親会

2日目:分科会ごとの研修(第一分科会(図書館経営関係)、第二分科会(図書館実務関係))

3日目:見学(国立国会図書館、跡見学園短大図書館、実践女子学園図書館など5館)

 というものであった。(9) ここでは、図書館員としての知識や技術の向上というよりも、現場の問題点を話し合って短期大学図書館の改善・向上につなげていきたい、という意図がより強く感じられる内容である。

 この「第1回研修会」の参加者は82校138名。短期大学図書館の研修会として初めて実施されたということもあり、この中には、主任司書クラスの図書館職員のほかに、短大理事・学長・教授・図書館長も相当数参加されていたようである。(10)

 なお、「図書館担当者研修会」の運営を担当する「図書館研究委員会」は、この時まだない。「第1回研修会」において、協会内に図書館に関する常設の研究機関設置の要望が参加者より出されたため、これを受けて昭和34年(1959)7月、教育研究委員会の中に図書館小委員会(委員8名)を設けることが決定されたが(11)、これが出発点であろう。その後、やはり「第1回研修会」で出された「私立短大図書館改善要項」作成の要望を受けて、「図書館研究小委員会」が「改善要項」の作成を担当することになった。昭和34年9月から翌年3月までの年度内に何回か検討が行われ、短期大学図書館の実務指針である「改善要項」の草案が作成された。しかし、これをより適切なものにするためには、さらに検討を加える必要があったこと、また、短大図書館としての機能を発揮するために研究すべきことも多数あるとの理由から、日短協は昭和35年(1960) 5月、図書館研究小委員会を教育研究委員会から独立させ、新たに「図書館研究委員会」を設置した。(12) 図書館研究小委員会の委員はそのまま「図書館研究委員会」の委員となり、引き続き「図書館担当者研修会」の運営と「改善要項」の検討・作成を担当したのである。

 

(2)研修事業の実施体制

1)参加者の募集方法について

 開催通知(実施要領・参加要領)を日短協加盟大学の理事長・学長と図書館長あてに送付している。参加資格は、(1)の1)でも書いたように「私立短期大学の理事長・学長、図書館情報関係教職員」である。

 

2)費用負担について

 日短協の研修会は「私学研修福祉会」が主催し、日短協は「協力」という形をとる。これは日本私立大学協会の研修も同じであったが、研修会の企画・運営は日短協が担当するのに対し、私学研修福祉会からは助成金が交付されるということによる。この助成金は、もとは「日本私立学校振興・共済事業団」からの交付金であり、それが研修会の運営経費の一部に当てられているのである。

 研修会参加費は32,000円。参加者側の費用負担は、個人ではなく公費(各短期大学の負担)である。個人が負担したという話は聞いたことがない、とヒアリング担当者は言う。

 しかし、近年の「図書館担当者研修会」への出席率はよくない。平成15年度の研修会参加人数は、運営委員を含めて96校110名。これは加盟校の4分の1以下である(13)。そのため赤字が出るという。ヒアリング担当者は「なるべく多く参加してもらいたいが、短大の図書館は職員が2〜4人というところも多く(14)、職員が忙しくて研修に参加しにくい状況にある。地方の大学はなお難しい。参加者を出してもらえるよう、個々の大学に個別に声をかけることもある」と話された。

 

3)講師の依頼基準について

 講師の選定は委員が提案し、委員会で決定している。資格や基準等は特になく、「その時の話題や研修テーマに合った人に講師をお願いしている」とのことである。また、「できるだけ幅広い意見を聞くため、講師は図書館関係者や図書館学の教員に限らない。むしろその方がよいと思う」との考えも示されていた。

 なお近年は、予算不足で講師謝礼を出せないため、できるだけ外部の講師を避け、委員が講師を務めるか、委員のコネクションに頼って講師を依頼している。民間業者に講師をお願いする場合も、宣伝になるからということで、講師料は払っていないそうである。

 

4)事務局の運営方法・体制について

 「図書館担当者研修会」の企画・運営は、図書館研究委員会が担当している。その委員構成は、各短大の図書館学の教員を中心に、図書館の管理職・課長・司書などが加わって構成される。現在は12名の委員と、委員長1名(日短協理事。短大理事長)および副委員長2名の計15名で構成されている。しかし委員について、「必ずしも図書館が専門の者でなくてもよいと考えている」との発言があった。

 委員の選出は本来、各地区ごとに大学から選出していたが、現在は、委員がやめるときに後任を推薦するなどで補充している。推薦により理事会の承認を経て決定される。任期は2年であるが、再任により長くつとめる場合もままある。

 委員会は、2〜3か月に1回程度開催される。各委員は、4〜5名が1つのグループになって小委員会を構成する。委員会の議事はきちんと記録し、保存するように努めている。

 なお、研修会当日の司会進行・会場設営その他の運営全般を担当する委員は、「運営委員」と呼ばれる。図書館研修委員会の委員は、基本的に研修会の「運営委員」を務める。運営委員は、小委員会ごとに研修会の各分科会に分かれ、それぞれの分科会で「指導員」を務めることになっている。

 

5)プログラムの企画・方針の策定方法と体制について

 研修プログラムは、図書館研究委員会で検討して理事会に提案し、そこでの承認を得て決定される。

 図書館研究委員会は、毎年一定のテーマを決めて研究活動を行っている。図書館の現場で問題になっていることや、改善・充実が必要なことを研究テーマに取り上げ、深く掘り下げて、『改善要項』に沿って問題の解決を図ろうとするものである。研修会は、その活動の一環とされる。「図書館担当者研修会」では、例年3つ前後の分科会が設定されるが、これら分科会のテーマは、ほぼその年度の図書館研究委員会の研究テーマ(研究課題)からとられることになっている。

 委員会の近年の研究課題は、『私立短期大学図書館改善要項ガイドブック』(以下、『ガイドブック』と記す)(15) の中から選定されているという。『ガイドブック』は、短期大学図書館の基本理念と方向を述べた『私立短期大学図書館改善要項(1998年版)』(以下、『改善要項』と記す)(16) の意図や留意点を解説・詳述したもので、各短大図書館の改善・充実のための実務レベルの手引きとして作成されたものである。「第1章 機能」「第2章 サービス」「第3章 資料」「第4章 施設設備」「第5章 職員」「第6章 組織・運営」からなり、各章の中に『改善要項』の本文が掲載されて、その解説とチェックポイントが示される。この中から、短大図書館として新たな対応を迫られている重要な事項を、研究課題として取り上げるのである。ただし、『ガイドブック』の中に研究課題がストレートに記されているわけではなく、研究が必要なことがらを拾い出すための「素材」と考えるほうが、わかりやすい。参考のため、<図表7.1>として図書館研究委員会の「過去10年間の課題一覧」を掲げておく。 平成12年度で言えば、(2)「短期大学ネットワークと図書館」、(3)「短期大学図書館の自己評価」はこれに該当しよう。また、(1)「短期大学図書館業務の外部委託」も、「第5章 職員」等の内容に関わって『ガイドブック』作成時に念頭に置かれていることがらであるので、研究課題3つとも、基本的に『ガイドブック』から選定したと言える。なおこれらの研究課題は、単年度でなく2年あるいは数年間にわたって研究が継続されるのが普通である。

 

<図表7.1> 日本私立短期大学協会図書館情報研究委員会の過去10年間の研究課題一覧

年度研  究  課  題
8〜9(1)短期大学図書館の情報管理に関する研究
(2)「私立短期大学図書館改善要項」に関する研究
10〜11(1)短期大学図書館における「諸規定」に関する研究
(2)「私立短期大学図書館改善要項(1998年版)」のガイドブックに関する研究
(3)短期大学図書館の情報管理に関する研究
12〜13(1)短期大学図書館業務の外部委託に関する研究
(2)短期大学ネットワークと図書館に関する研究
(3)短期大学図書館の自己評価に関する研究
14〜15(1)短期大学図書館業務の外部委託(アウトソーシング)と利用者サービスの向上に関する研究
(2)短期大学図書館ネットワークと資料の組織化に関する研究
(3)短期大学の自己評価と図書館のあり方に関する研究
16〜17(1)短期大学図書館の自己点検・評価に関する研究
(2)図書館の専門性から見たアウトソーシング問題と利用者サービスの向上に関する研究
(3)ネットワーク時代の資料の組織化に関する研究
(4)インターネットを利用した図書館情報の発信に関する研究

注)主に『図書館年鑑'96』〜『図書館年鑑2003』を参照して作成

 

 さらにまた、現場で困っている問題をまずアンケートで聞いておき、それにあわせて研修テーマを考えることもある、とのことである。これは、具体的には図書館研究委員会が各年度の研究テーマにあわせて実施するアンケート調査に絡めて行われることも多いようであるが、たとえば、平成12年度に図書館研究委員会が実施した「図書館業務のアウトソーシングに関するアンケート調査」などは、そのひとつの例であろう。アンケートの内容について、質問項目のみ抜粋して<図表7.2>に示す。

 この質問項目のうち、設問5以下が評価あるいは問題点の指摘を求めているものであるが、特に設問6や設問10がより当てはまるようだ。

 

<図表7.2>「図書館業務のアウトソーシングに関するアンケート調査」質問項目

図書館業務のアウトソーシングに関するアンケート調査

日本私立短期大学協会図書館研究委員会

設問1 図書館職員の構成についてお尋ねします。図書館長を含めて何名ですか!

設問2 図書館職員の内、専任職員は何名配置されていますか!
    専任職員の内、専門職員(司書)は何名配置されていますか!

設問3 図書館業務の内、次ぎに掲げる業務について外注または外部委託をされたことがありますか!(以下略)

設問4 外部委託を行うことについて質問します。

   1 図書館業務の集中化がはかられると思いますか!
   2 図書館業務の軽減化がはかられると思いますか!
   3 コストの削減がはかられると思いますか!
   4 業務のスピード化がはかられると思いますか!
   5 専門性の向上がはかられると思いますか!
   6 新しい分野の業務への展開がはかられると思いますか!
   7 業務の再構築(リストラ)がはかられると思いますか!
   8 その他メリットがあると思われることがあれば具体的に記入してください。

設問5 外部委託についての評価に関して質問します!

   1 外部に委託して良かったと思いますか!
   2 外部委託の評価からどのようなことが言えますか!具体的に記入してください。

設問6 現在図書館の業務遂行に関して困っていることがありますか!あれば具体的に記入してください。

設問7 外部委託を考えていますか!考えていることがあれば具体的に記入してください。

設問8 開館延長の問題について、貴図書館はどのように対処していますか!具体的に記入してください。

設問9 図書館業務を一括して引き受ける業者がありますか!あれば具体的に記入してください。

設問10 以上の他、この図書館研究委員会で検討してほしい課題がありますか!あれば具体的に記入してください。

注)『平成13年度私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 2002.3, p.90-93 をもとに作成。

 

(3)研修カリキュラムの実態および過去5回の研修カリキュラムの変遷

 日短協の過去5回(第31回(平成7年度)〜第35回(平成15年度))の研修会の概要を、<図表7.5>にまとめた。これにもとづいて、研修カリキュラムの実態や変遷について述べていく。

 「図書館担当者研修会」は、現在は2日間の日程で隔年開催となっているが、過去にさかのぼって調べてみると、開始当初(昭和34年度)から昭和61年度(第27回)までは毎年開催されていた。しかし、<図表7.3>「日本私立短期大学協会の研修会実施状況(昭和60年以降)」を見ていただくとわかるように、昭和62年度は休会、以後、昭和63、平成2、4、7、9、・・・と途中2回の協議会を挟みながら、隔年開催に変更されている。開催日程も、昭和58年度まではほぼ4日間の日程で行われていたが(ただし昭和34年度と36〜38年度は3日間)、昭和59年度から平成4年度は3日間、平成7年度以降は2日間と、次第に短縮されてきている。(17) なお「図書館担当者研修会」が隔年開催となった理由は、「予算不足のため」ということであった。

 

<図表7.3> 日本私立短期大学協会の研修会実施状況(昭和60年以降)

年度回次・名称開催日・日数メインテーマ開催地参加校・人数
昭和60第26回研修会60.7.19〜21機械化に伴う図書館の変容と司書の役割金沢166校224名
  61第27回研修会61.7.16〜18若者文化と図書館東京163校232名
  62開催せず     
  63第28回研修会63.7.20〜22情報の多様化と司書―これからの図書館を考える―広島162校208名
平成元第1回協議会元.7.24〜25情報化時代における図書館東京197校283名
  2第29回研修会2.7.16〜18情報化時代における図書館札幌164校207名
  3開催せず     
  4第30回研修会4.7.20〜22多様化時代の図書館鹿児島145校185名
  5第2回協議会5.7.20〜21多様化時代の図書館大阪182校236名
  6開催せず     
  7第31回研修会7.7.20〜21新時代の短期大学図書館徳島147校179名
  8開催せず     
  9第32回研修会9.7.23〜24マルチメディア時代と短期大学図書館名古屋179校216名
  10開催せず     
  11第33回研修会11.10.5〜6変わりゆく短大図書館大阪113校133名
  12開催せず     
  13第34回研修会13.7.23〜2421世紀と短期大学図書館−IT時代の図書館像を求めて−仙台 95校112名
  14開催せず     
  15第35回研修会15.7.10〜11短期大学図書館の現状と将来−新時代に即した図書館業務の構築をめざして−京都 96校110名
  16開催せず     
  17第36回研修会  未定  東京 

注)平成11年度〜平成15年度の『私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, により作成

 

 開催地は、東京と地方の主要都市であるが、参加者の出張費が高くつくため、地方では参加者が少なくなる。これからはできるだけ東京で開催したいと考えておられた。

 研修会のプログラムは、委員会報告・講演・分科会および事例報告・見学などから構成される。最近はシンポジウム形式を取り入れて、参加者が関心のあるテーマ(困っていることや問題になっていること)を取り上げている。

 分科会のテーマの多くは、図書館研究委員会の研究課題に沿って設定される。たとえば平成13年度の「研修会」分科会のテーマは、第1分科会「短期大学図書館の業務再見−望まれる図書館〜図書館業務の実情と今後の役割−」、第2分科会「IT時代におけるインターネットと図書館」、第3分科会「短期大学図書館の自己評価−職員・組織をめぐって−」であるが、第1分科会は外部委託の実態と業務の在り方について、第2分科会はインターネットと図書館、第3分科会は短期大学図書館の自己評価をそれぞれテーマとしており、(2)の 5)で取り上げた平成12年度の委員会の研究課題が、翌年の「研修会」の分科会のテーマに反映されていることがわかる。

 各委員は、3〜4の小委員会に分かれて、それぞれの研究課題(研究項目)の検討を重ねていく。主要な作業としては、実態把握のためのアンケート調査の実施がしばしば行われている。平成12年度の3つの研究課題のうち、(1)「図書館業務の外部委託」については「図書館業務のアウトソーシングに関するアンケート調査」、(2)「短期大学ネットワークと図書館」については「図書館研究委員会機械化小委員会アンケート」が実施されている。また最近の例では、平成15年度「研修会」の第1分科会「利用の保障とアウトソーシング」でも同じテーマでアンケートが事前に行われているし、第2分科会「資料の組織化と短期大学図書館ネットワーク」でも「情報化についてのアンケート」がやはり事前に行われている。研修会では、このアンケート調査の結果が報告され、それにもとづいて各分科会で参加者からの実情報告、および意見交換が行われる。参加館の事例報告が組まれる場合もある。運営委員が事例発表したり、講演するケースも多い。

 

1)司書課程カリキュラムとの関係について

 ヒアリングでの回答は、研修プログラムと司書課程カリキュラムとの関連性についてではなかったが、「司書課程との関連性は意識している」との回答をいただいた。具体的には、「アウトソーシング(外部委託)を導入して喜んでいる大学があるが、それで図書館運営やサービスが可能であれば、司書はいらないのではないか」「司書課程があって司書を育てている大学の図書館が、司書資格を持たない人を雇用するのはおかしい」など、図書館員の専門性を重視して司書資格を持った専門職員を配置すべき、との考えを述べられた。しかし、「このことを大学や短大の経営者にいかに理解させるかが難しい」とも話された。ヒアリング担当者の考えとしては、図書館には司書を置くことが望ましく、また研修によって専門性を高めようと努力することが大切である、ということであった。

 

2)カリキュラムの継続性について

 ここでは、カリキュラムの継続性というよりも、研究テーマの継続性について述べる。ヒアリングでは、「毎年取り上げ方は異なるが、前年のテーマを踏襲していく。1年限りということはない。たとえば「自己点検・評価」のテーマは4〜5年続いている。同じテーマで角度を変えたり、中心となる話題を変えたりしながら続けている」との回答があった。

 確かに、継続して取り上げられるテーマは多い。たとえば「図書館の機械化」については、「情報化時代における図書館の重要課題であり、本委員会でも昭和五十八年開催の「私立短大図書館担当者研修会」で機械化の分科会を設置、併せて「短期大学図書館における機械化」の調査を行い、継続的に調査研究を進めてきた」と書かれている。(18) 実際に、昭和58年以降、毎回のようにメインテーマや分科会のテーマとして取り上げられている。参考のため、それらを書き出してみる。

第26回(昭和60年度)メインテーマ「機械化に伴う図書館の変容と司書の役割」
 第2分科会テーマ「業務の機械化」
第27回(昭和61年度)第2分科会テーマ「機械化 a.導入 b.導入後 c.利用技術」
第28回(昭和63年度)解説「MARCの利用について」
 第4分科会テーマ「図書館の機械化」
第29回(平成2年度)委員会報告「短期大学図書館における機械化実態調査について」
 パネルディスカッション「図書館の機械化−その効果と問題点−」
第31回(平成7年度)第2分科会テーマ「ネットワークと短大図書館」
第32回(平成9年度)メインテーマ「マルチメディア時代と短期大学図書館」
 第4分科会テーマ「マルチメディアとネットワーク」
第33回(平成11年度)第4分科会テーマ「マルチメディアとネットワーク」
第34回(平成13年度)第2分科会テーマ「IT時代におけるインターネットと図書館」
第35回(平成15年度)第2分科会テーマ「資料の組織化と短期大学図書館ネットワーク−ブロードバンドと電子資料の活用−」

 

 このほか、「自己点検・評価」についても、平成12年度に図書館研究委員会の研究課題で取り上げられて以降、継続して取り組まれている。研修会のみ書き出しておく。

第34回(平成13年度)委員会報告3.「短期大学図書館の自己評価に関する研究」
 第3分科会テーマ「図書館の自己評価」について
第35回(平成15年度)第3分科会テーマ「短期大学の自己評価と図書館のあり方−図書館サービスを中心として−」

 

 また、短期大学図書館でそのときに問題になっていることをテーマに取り上げているが、基本は『ガイドブック』からテーマを選び、継続して研究活動を行うということで、おのずと継続性が生じていると思われる。

 

3)他の研修プログラムや他団体の研修プログラムとの関連について

 ヒアリングにおける回答は、他団体の研修についてあまり意識していない、というものであった。「短期大学では一番大きな組織なので、他団体の研修を気にしたことはない。どちらかといえば、委員の問題意識に即した内容の研修を行うことが大切だと考えている。個々の大学図書館で行う研修には限界があり、その限界を越えた部分を日短協ですくいあげていきたい。他団体の研修情報は委員が知っているので、委員から得られるが、それ以上の連携の必要性は感じていない」と述べられた。

4)研修プログラムの担当講師について

 <図表7.5>を参照していただきたい。日短協の「図書館担当者研修会」の講師の特徴は、委員会報告を含めて、講演や事例報告も運営委員が担当する場合が多いということであろう。外部講師を依頼することは、講師謝礼の問題があり、どちらかというと行わない。分科会では、運営委員が指導員として分科会の進行や趣旨説明、参加者への助言という役割を担っている。

 

(4)研修事業の評価

1)実行主体の評価について

 研修会の参加者にアンケートを実施している。また、研修会開催後は必ず報告書を作成し、次回研修会に反映させるようにしている、とのことであった。

 ただしこの報告書は、委員会が事前に実施したアンケート調査報告や事例報告、分科会報告、講演などの内容を冊子にまとめたものであり、「研修会」参加者による評価アンケートの結果までは含まれていない。しかし、各分科会の報告には、分科会の概略とともに「まとめ」として評価・反省が含まれており、次回に活かすことが可能である。

 

2)参加者の評価について

 研修会参加者のアンケートによる。『平成15年度図書館情報担当者研修会報告書』に、第3分科会のみ、参加者アンケートのまとめが収録されているので、これを参考にしたい。

 このように、アンケート結果はまとめられ、委員会で話し合われる。

 

<図表7.4>「第3分科会アンケートまとめ」(抜粋)

第3分科会アンケートまとめ   (第3分科会参加者36名中、31名回答)

1)(第3分科会の)「講演」と「事例発表」についての感想・意見

・どちらも好評であった。

・講演に関しては、「NPO、企業など他機関の評価方法がわかり、自館の自己評価の参考になる」など。一方で「企業などの評価方法の図書館での応用例、図書館定量評価の具体例を知りたかった」など。

2)会の運営について

・「良かった」という感想が多かった。しかし、分科会の人数、参加者の構成(司書、管理者、館長)など考慮が必要、などのコメントもあった。

3)今後の研修会の企画について    略

4)その他のコメント

・司書の交流をはかるメーリングリストなど考えてほしい。

・参加費が高い。

注)『平成15年度私立短期大学図書館情報担当者研修会報告書』p.62より作成。

 

(5)研修事業の今後の展開

1)現在の研修プログラムの課題について

 近年は、少子化・四大志向による私立短期大学経営の厳しさと高等教育の変革・IT化など、短期大学を取り巻く状況そのものの急激な変化について理解と対応を促す必要があり、私立短大経営の立場からみた短期大学図書館のあり方をテーマに加えたり、短大または私学全体の経営や教育のあり方についての講演も実施されるようになっている(平成15年度研修会の基調講演「短期大学をめぐる諸問題」,シンポジウム「短期大学図書館の現状と将来」など)。事前アンケートで、短大の経営者側が図書館のことをどう捉えているか知りたいという声も出ていた。実務者研修といっても、かつてのように各短大図書館の事例報告や図書館に特有のトピックだけを取りあげるのではなく、短期大学の将来像をふまえた幅広い立場からの図書館員養成・研修が求められていると考えられる。

 

2)今後の研修事業の中長期的方針について

 新しい試みとして、日短協のホームページ(広報委員会が作成)の中に図書館研究委員会が新しく情報交換のページをつくることを検討している。「どこそこの図書館ではこういうことをやっている」というような情報提供(特色ある図書館活動)や、情報交換(図書館運営上の問題点を話し合ったり、委員がアドバイスをする)などをやれるようにしたい。図書館の活動を広くアピールしたいと考えている、とのことであった。

 

(6)図書館員の研修に関して国立国会図書館に求めること

1.短大図書館の職員には、国立国会図書館を見たことがない、行ったことがないという人が多くいる。短大図書館のように小さい図書館の職員にとっては、見るだけでも勉強になるが、なかなか機会がない。日曜日に参観ができれば、行ってみようという気になるのではないか。「図書館担当者研修会」のときに見学を実施してはいる。

2.研修会の講師を国立国会図書館に頼みたいということはあるが、それよりも、講師のできる人の一覧や、担当した内容がわかる冊子があればよいと思う。この人にこのテーマの講義を頼めるという一覧が必要だと思う。

3.地方の図書館員には、国立国会図書館は敷居が高いという感じがあるので、見学コースなどをつくって、気軽に見学できるようにしてほしい。

 

(7)まとめ

 日短協の「図書館担当者研修会」は、図書館研究委員会の研究活動の一環として実施されているところに、その特色がある。研修内容は、図書館研究委員会がアンケートを実施し、短期大学図書館の現状と問題点をさまざまに拾い上げようと努力することで、現場に密着したものになっていた。またその一方で、委員会の研究活動の成果として『改善要項』と『ガイドブック』がまとめられ、委員会の研究テーマのベースになると同時に、「図書館担当者研修会」における分科会のテーマにも結び付いていた。いわば、図書館研究委員会が、短期大学図書館の改善・充実のため、その理論と実践を具体化する役割を果たしてきたと考えることができる。

 しかしながら、今回のヒアリング調査でも明らかなとおり、ただでさえ小規模の短期大学図書館でのアウトソーシングの進行、母体となる短期大学の経営難による予算の削減、研修会参加の難しさなど、図書館のレベルにとどまらない問題点も見受けられた。そのため、研修会のテーマも、図書館員としての専門性や技術の向上などよりも、図書館運営の基本を話し合うような傾向があった。

 さらにまた、個々の短期大学の経営難は、その加盟団体である日短協の運営や財政にも影響を及ぼさないとも限らない。そのとき、短期大学図書館職員の研修を責任持って行えるか、という不安もある。これまで他団体との連携をあまり考えていなかった日短協であるが、今後のことを視野に入れて、早い時期に他団体(たとえば私立短期大学図書館協会など)との連携を模索し、協力関係を築いていく必要があろう。

 

<図表7.5>過去5回の「図書館情報担当者研修会」の概要
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[注]

(1) 本稿をまとめるにあたり、以下の資料を参考にした。いずれも、ヒアリング調査の際受領したか、日短協事務局からお借りしたものである。ここに御礼申し上げる。

1 『平成13年度私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 2002.3, 136,23p.

2 『平成15年度私立短期大学図書館情報担当者研修会資料集』日本私立短期大学協会, 2003.7, 73p.

3 『平成15年度私立短期大学図書館情報担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 2004.3, 69p.

4 日本私立短期大学協会図書館研究委員会編『私立短期大学図書館改善要項ガイドブック』日本私立短期大学協会,2000.3, 76p.

5 「平成15年度私立短期大学図書館情報担当者研修会開催について(通知)」平成15年5月12日付,9,[3]p.

6 椎名仙卓「図書館研究委員会の活動(平成14年度常設委員会の活動状況)」『短期大学教育』59号,2003.4,p.77-80)

7 『平成11年度私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 2000.3, 64p.

8 『平成9年度私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 1997.11, 87p.

9 『平成7年度私立短大図書館担当者研修会報告書』日本私立短期大学協会, 1995.11, 39p.

(2) 以下を参照した。

日本私立短期大学協会ホームページ「概要」http://www.tandai.or.jp/about/about.html

(3) たとえば平成16年度は、入試広報担当者研修会、就職担当者研修会、経理事務等担当者研修会、教務担当者研修会、学生生活指導担当者研修会、などが実施されている。(日本私立

短期大学協会ホームページ「お知らせ」http://www.tandai.or.jp/about/index.html

(4) 前掲(1)の8,p.81-87

(5) この点については、「第3回図書館担当者研修会」の概要を伝える報告記事の中に、次のような記述が見られる。

「(略)二つには図書館の実際を大学の理事者なり学長なりに知って貰いたいということから、出席者の資格を図書館員だけではなく、学長なり理事者なりにまで拡げ、その出席を期待しているのである。(中略)実際に学長、理事者、教授などの兼任館長などという方達が相当数出席をして居られるが、図書館の実状を知り、改善に注意を払ってもらうには大変役に立つことだと思うのである。」(田中初男「第三回図書館担当者研修会―会を重ねる毎に充実する図書館―」『短期大学教育』13号,1961.10, p.85)

(6) 『日本私立短期大学協会50年史』日本私立短期大学協会広報委員会編,日本私立短期大学協会,2000.10,p.63

(7) 前掲(6),p.60-70参照

(8) 清水福市「図書館担当者研修会実施の概況―企画・実施・結果―」『短期大学教育』9号,1959.9,p.29

(9) 前掲(8),p.30-34

(10) 『短期大学教育』43号,1986.11,p.118

(11) 「協会の動き」『短期大学教育』9号,1959.9,p.73-74

(12) 前掲(10),p.118

(13) <図表7.3>に、「研修会」の各回の参加校数と参加者数を示しているので、確認してほしい。平成9年度(第32回)は168校から200名以上が参加しているが、平成11年度(第33回)から急激に減少していることがわかる。

(14) 図書館の平均職員数については、「四大との併設館で12人、短大のみの単独館では3.7人」という数字が見られる。(前掲(1)の6,p.77)

なお、『日本の図書館―統計と名簿―2003』によれば、図書館総数324館(うち回答館数289館)に対して、短期大学図書館の専任職員数は445人、兼任職員数は288人で、1館あたり約2.5人となる。これに非常勤職員(パート・アルバイト)を1人加えても3.5人である。

(15) 前掲(1)の4に同じ。

(16) 『私立短期大学図書館改善要項(1998年版)』日本私立短期大学協会,1998.1
なお『私立短期大学図書館改善要項』は、昭和36年第1版、昭和49年改訂版、1989年版、1998年版、と継続して改訂が行われてきている。

(17) 前掲(6)の文献を参照。

(18) 高鳥正夫「図書館研究委員会(委員会の活動)」『短期大学教育』47号,1990.10,p.180