知的財産権

知的財産権の保護強化を唱える「PRO-IP法」、米国連邦議会を通過

米国では、著作権侵害に対する非親告罪化や損害賠償額、罰金額の増額、知的財産権の強化に向けた新たな役職の設置など、知的財産権の強化を図る法案“Prioritizing Resources and Organization for Intellectual Property Act(PRO-IP Act)”が、連邦議会で審議されていました。このほど著作権侵害に対する非親告罪化の条文を撤回する修正をおこない、上院(2008年9月26日)および下院(2008年9月28日)で採決が行なわれ、賛成多数により大統領に回付されました。
ただしホワイトハウスは、知的財産権強化に向けた新たな役職の設置に消極的であることから、同法案に反対の意向を示しているとされています。

海外在住の日本研究者による画像利用の実態調査

北米日本研究資料調整協議会(NCC)は2007年から、日本の画像を海外の教育・研究の場で利用する際に必要となる、権利者の許諾を得るためのプロトコルについて、円滑化・整備することを目的としたタスクフォース「画像資料使用特別委員会」を立ち上げています。このほど、このタスクフォースが、北米・ヨーロッパ・オーストラリアなどの日本研究者が参加するメーリングリストを通じて実施した、海外在住の日本研究者による画像利用の実態調査の報告書を公表しました。この調査からは、

・画像の著作権、利用許諾にかかる問題は大変複雑である
・回答者に共通する傾向として、法的な問題の理解、海外と日本の間の文化・社会的差異の理解に欠けており、コミュニケーションの問題も抱えているという側面が見られた

著作権例外規定改正案への意見募集とLACAによる意見(英国)

英国知的財産局(UK-IPO)は、2006年の知的財産権に関するレビュー“Gowers Review”で勧告された知的財産権の見直しを実現するべく、著作権例外規定に関するGowers Reviewの改正勧告とその法的・制度的論点についてまとめ、2008年1月から4月まで意見募集を行っていました。この意見募集に対し、英国情報専門家協会(CILIP)、英国図書館(BL)、博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)などが加盟する図書館・文書館著作権同盟(LACA)が、図書館・文書館等における著作権例外規定についての意見を提出しています。

UK-IPOでは今後、寄せられた意見をまとめ年末に第二次の意見募集を行い、その後に法制化の方法等を検討していくとしています。

経団連の提言『国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて』『「知的財産推進計画2008」の策定に向けて』

社団法人日本経済団体連合会(経団連)が、提言『国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて』を発表しています。

また、提言『「知的財産推進計画2008」の策定に向けて』『知的財産政策の評価に関するアンケート調査結果』も公表しています。

国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/018/index.html

「知的財産推進計画2008」の策定に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/009.pdf

知的財産政策の評価に関するアンケート調査結果
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/009enquete.pdf

参考:

デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会(第1回)

政府の知的財産戦略本部内に置かれた「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」の第1回会合が、4月24日に開催されています。この資料が、同本部のウェブサイトで公開されています。

この専門調査会は、契約ルール、法制度等の知財制度が、「社会全体としてデジタル情報やネットの機能を十分活用しうる環境」を提供できていないのではないかという懸念のもと、デジタル・ネット社会における著作権制度の役割の捉え方、デジタル・ネット社会の進展の中で著作権制度が不適合を起こしている点の調査・分析を行うとしています。図書館に関連するトピックとしては、

・研究開発等を目的とするデジタル著作物のインターネット等を通じた収集、共有、保存等の在り方

・図書館等における情報のデジタル化や、大学におけるe ラーニング等、デジタル環境を活用した教育・文化事業の円滑な展開を促すための法的対応

CrossRef、剽窃行為発見サービスを開始

CrossRefは2007年夏から、剽窃判別ソフトTurnitinを開発しているiParadigms社と協同で剽窃防止の実験プログラム"CrossCheck"に取り組んでいましたが、このほど実験が成功のうちに終了し、2008年6月より実際のサービスとして運用を開始することになりました。

CrossRefのプレスリリース
http://www.crossref.org/01company/pr/press041508.html

CrossRef to Launch Plagiarism Detection Service
- Information Today 2008/4/21付け記事
http://newsbreaks.infotoday.com/wndReader.asp?ArticleId=48820

参考:

BL、知財に関するeラーニングサービスを無料提供開始

英国図書館(BL)のビジネス・知財センターが、「知財のエッセンスを学べる」eラーニングサービスを無料提供開始しました。特許、著作権、登録意匠、登録商標の各々について、そもそも何か、どのようにすれば効力が発揮するのかなどの説明、デシジョンチャート、事例紹介などで実践的に学べるようになっています。また、理解度テストもついています。

Intellectual property simplified with the help of new British Library e-courses
http://www.bl.uk/news/2008/pressrelease20080410.html

British Library - Intellectual Property Learning
http://bipc-ecourses.bl.uk/

研究者はウェブで公開されている成果の知的財産権をどう考えているか?(英国)

英国図書館(BL)は、オンラインで公開されている研究成果の知的財産権に対し、研究者たちがどのような意識を持っているのかを調査し、その結果をこのほど公開しました。複製や剽窃が容易となったデジタル時代が到来し、著作権のバランスが崩れてきており、現状把握が必要であるという問題意識が調査の動機です。主な結果には以下のようなものがあります。

・93%の回答者が、デジタル形式の成果にも紙媒体と同様に知的財産権が存すると考えている。
・87%の回答者が、非営利の調査、私的な研究、レビューなどを行う際には、権利所有者の許諾を得ることなく、知的財産権が保護されている業績を複製して利用できるなど、公正な使用(fair dealing)という例外を認めるべきだと考えている。
・68%の回答者が、紙媒体とデジタルフォーマットにそれぞれ異なる公正使用のための法律を設けることに反対している。

JISC、Web 2.0と知的財産権に関するツールキットを刊行

英国情報システム合同委員会(JISC)が、Web 2.0環境における知的財産権の問題を研究し、実践的なツールキットを作成するプロジェクト“Web2Rights”の成果物及びブリーフィング・ペーパーを公開しています。

Web 2.0環境では、誰もが潜在的なコンテンツ作成者・出版者であり得ること、国を超えて面識のない複数の人々が協同するような場合も多いこと、といった特徴から、著作権の帰属、適用されるルール・手続きなどの問題が発生するとされています。こうした問題に関する考え方やTipsについてツールキットが作成されているほか、ライセンスや契約のひな型、FAQなども公開されています。

the Web2.0 Rights project
http://www.web2rights.org.uk/

Web 2.0 and Intellectual Property Rights

知的財産戦略本部会合(第19回)の配布資料、議事録

2008年3月13日に開催された、政府の知的財産戦略本部会合第18回の議事次第、議事録が公開されています。

なお、配布資料中の知的財産による競争力強化専門調査会報告書『オープン・イノベーションに対応した知財戦略の在り方について』では、「オープン・イノベーションを支える基盤の整備」として、図書館に存在する学術情報等へのアクセスの改善、インターネットを利用した教材へのアクセスの改善、研究のための映像・テキスト情報の利用の円滑化などの重要性を挙げながら、著作権法を始めとする知財法制の在り方について早急に検討に着手することが必要、としています。

知的財産戦略本部会合(第19回)議事次第
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/dai19/19gijisidai.html
知的財産戦略本部会合(第19回)議事録

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