著作権

英国の著作権管理団体Copyright Licensing Agency、新型コロナウイルス拡大危機下にある高等教育機関支援のため「高等教育ライセンス」の条件を一時的に緩和

2020年4月14日、英国の著作権管理団体Copyright Licensing Agency(CLA)は、新型コロナウイルス拡大による困難が続く中、機関が平時の状態に戻るまでは、研究者・図書館・学生が多くの学習資源を利用できるようにする目的で、「高等教育ライセンス(Higher Education Licence)」の主要条件を一時的に緩和することを発表しました。

「高等教育ライセンス」は、高等教育機関の教育・学習目的の利用による著作物の複製を、CLAの管理に基づいて一定の条件の下で許可する制度です。CLAは主な変更点として以下の2点を挙げています。

・機関が印刷体の原本を所有していることを定めた要件を緩和し、機関でオリジナルの資料を所有していなくてもCLAが管理するデジタル資料のリポジトリDigital Content Store (DCS)に保存された必要な資料の抜粋を利用することなどが可能になる

・合意した出版社刊行の書籍については、複写可能となる範囲が、全体の10%または1章分のいずれかのより多い方から、全体の30%または3章分のいずれかのより多い方へ拡大する。

大学図書館問題研究会、第28回大図研オープンカレッジ「オンラインミーティング開催講座」の講演資料等を公開

2020年4月14日、大学図書館問題研究会(大図研)は、4月5日にオンライン会議ツールZOOMを利用して実施した第28回大図研オープンカレッジ「オンラインミーティング開催講座」の開催を報告しました。

第28回大図研オープンカレッジは、新型コロナウイルスの影響により、大学のイベントの中止、図書館の休館、サービス制限などが相次ぎ、感染防止のため、社会全体がソーシャルディスタンシング政策に向かう中、場としてのオンラインミーティング技術に注目が集まっていることを背景に、オンラインセミナーとして開催されました。学会、研究会のようなイベントから日常の会議などに対してどのように向き合っていくかなどをテーマに、大向一輝氏(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)と吉本龍司氏(株式会社カーリル代表取締役)による講演が行われています。

大学図書館問題研究会学術基盤整備研究グループのウェブサイト上で、大向氏・吉本氏の講演資料のほか、参加者からチャットで寄せられた参考資料など、オンラインセミナー当日に扱われた資料が公開されています。

チェコ共和国、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言中、同国の大学生・教員を対象に、著作権保護期間中の著作物を含む国立図書館及び公立大学のデジタルコレクションへの一時的なアクセスを許可

2020年3月23日、チェコ国立図書館は、3月16日の同館館長と著作権管理団体DILIAとの合意により、3月17日から、新型コロナウイルスによる同国の緊急事態宣言中、大学生及び教員を対象に、著作権保護期間中の著作物を含む同館及び公立大学のデジタルコレクションへの一時的なアクセスが許可されたと発表しています。

これにより、5,900万ぺージにわたる、20万6,000タイトルを超す単行書と定期刊行物が、電子図書館Krameriusを通じて利用可能となります。著作権保護期間中のものは閲覧のみでダウンロードやプリントアウトはできません。

Books to University Students Online(National Library of the Czech Republic, 2020/3/23)
https://www.en.nkp.cz/aktuality/novinky-titulni-strana/books-to-university-students-online

日本図書館協会(JLA)、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、「オンライン授業における三ツール(『日本十進分類法(NDC)新訂10版』『日本目録規則(NCR)1987年版改訂3版』『基本件名標目表(BSH)第4版』)の活用について」を発表

2020年4月13日、日本図書館協会(JLA)が、オンライン授業における三ツール(『日本十進分類法(NDC)新訂10版』『日本目録規則(NCR)1987年版改訂3版』『基本件名標目表(BSH)第4版』)の活用についてを発表しました。

発表では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、オンライン形態(リアルタイム・オンデマンドの双方を含む)の授業へ切り替える大学が増えつつあることから、JLAでは、図書館情報学教育の質が保てるよう、特例的な措置を、次の二つに分けて、検討してきたとしています。

(1) 三ツールの部分的な利用
(2) PDFファイルによる,三ツールのオンライン配信

今回は(1)に関しての発表で、2020年度に限り、著作権に関する特例的な措置(利用の許諾)を講じるとして、図書館情報学の科目において『日本十進分類法(NDC)新訂10版』『日本目録規則(NCR)1987年版改訂3版』『基本件名標目表(BSH)第4版』の特定のページの内容を、オンライン形態の授業において、下記のような活用が行われる場合、後記の事項に留意することを前提に、申請することなく活用することを許諾するとしています(ただし、活用するページが大量に及ぶ場合は要相談)。

福井県文書館、「デジタルアーカイブ福井」において新たな資料を公開:明治期新聞画像(文化庁長官の裁定制度も活用)・越前松平家資料群・福井藩士菅沼家文書

2020年4月6日、福井県文書館が、4月10日に「デジタルアーカイブ福井」において新たな資料を公開すると発表しています。

公開されるのは、文化庁長官の裁定制度も活用して公開した明治期(明治15年から明治24年)の新聞(第一次福井新聞など)画像1,800日分、同館及び福井市立郷土歴史博物館・福井市立図書館の3施設で分蔵されている越前松平家関連資料群の集約公開、福井藩の上級藩士である菅沼家の子孫が所蔵する古文書等約120点です。

文書館における新たな資料公開について事前説明を行います(福井県, 2020/4/6)
http://www2.pref.fukui.jp/press/view.php?cod=b7481S158556841086

カナダ出版者協会(ACP)及びアクセス・コピーライト、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ“Read Aloud Canadian Books Program”を開始:加盟出版社の本を用いた教員・図書館員によるオンラインでの読み聞かせにおける著作権使用料を免除

2020年3月26日、カナダ出版者協会(ACP)及びカナダの著作権管理団体のアクセス・コピーライト(Access Copyright)が、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ“Read Aloud Canadian Books Program”の開始を発表しています。

ACP加盟出版社の本を用いた教員・図書館員によるオンラインでの読み聞かせや動画の投稿における著作権使用料を免除するもので、教員・図書館員からの要請に応じたものです。

ACPとアクセス・コピーライトでは、同プログラムを活用した教員や図書館員に対して、ハッシュタグ#ReadAloudCanadianを用いて、ACP、アクセス・コピーライト、著者、出版者へのメンションとともにSNSに投稿するよう求めています。

国際図書館連盟(IFLA)、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、連携機関と共同で作成した知的財産権に関する世界知的所有権機関(WIPO)宛公開書簡を発表

2020年4月3日、国際図書館連盟(IFLA)が、知的財産権に関する世界知的所有権機関(WIPO)宛の公開書簡を公表しています。

新型コロナウイルス感染拡大をうけ、IFLAが連携機関と共同で作成したもので、4月5日時点では312団体が署名しています。

知的財産権に関する法律や慣行が新型コロナウイルスへの対応の障害とならないようにすることを目的としており、出版者による多くの積極的な取組が行なわれているものの、図書館からの呼びかけに応じたものが多く、すべてのニーズや状況に対応しているものではないことから、加盟国が著作物の公的利用という柔軟性を活用すること、権利者が利用に必要な許可を与えること、治療法の開発と提供を支援するための措置をとること、の必要性を強調しています。

公開書簡への署名は継続されています。

IFLA Leads Open Letter on Intellectual Property and COVID-19(IFLA, 2020/4/3)
https://www.ifla.org/node/92993

授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)、「授業目的公衆送信補償金制度」施行のための補償金を「無償」により認可申請:新型コロナウイルス感染症拡大を背景とした2020年度のみの特例

2020年4月6日、授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)は、2018年著作権法改正により創設された「授業目的公衆送信補償金制度」施行のための補償金を「無償」として、文化庁長官に認可申請することを発表しました。

SARTRASは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、教育機関でオンラインでの遠隔授業等の教材として著作物への需要が急速に高まっていることを背景に、これらが円滑に利用できるように、2020年度に限った特例として補償金を「無償」として認可申請を行った、としています。2021年度については、当初予定通り「有償」として再度、補償金額の認可申請が行われる見込みです。

SARTRASは、教員等の教育機関所属者が同制度の利用にあたって参照すべき「運用指針」を近日中に公表する予定です。

2020年度の特例として「授業目的公衆送信補償金制度」施行のための補償金の「無償」による認可申請を決定(SARTRAS,2020/4/6)
https://sartras.or.jp/archives/20200406/

北米の研究図書館センター(CRL)、デジタル化資料約1万タイトルへのアクセス制限を一時的に解除

2020年4月3日、北米の研究図書館センター(CRL)は、これまでCRLのメンバー以外からのアクセスを制限していたデジタル化資料のうち、約1万タイトルへのアクセス制限を一時的に解除したことを発表しました。

アクセス制限を解除されたコンテンツは、1920年代から1960年代にかけて出版された資料を含み、約85%は米国外で出版された資料です。米国において著作権の登録あるいは更新がなされていないと思われるもの、フェアユースのガイドラインの下、アクセス制限を解除してもリスクがほとんどないとCRLが認識しているものからなります。

国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)は、2020年3月13日、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大と図書館サービス・図書館資料への影響に関する声明を発表し、出版社等に対し、オンライン・遠隔形式で教育活動が継続できるようにコンテンツへのアクセス面で様々な配慮を求めています。CRLも、同声明の署名機関として研究・教育支援のための対策を検討しており、その具体策として今回の取組が実施されました。

文化庁、「著作権法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集を実施:2018年著作権法改正により創設された「授業目的公衆送信補償金制度」施行のため

2020年4月1日、文化庁は、行政手続法第39条に基づいて、「著作権法施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集を実施することを発表しました。意見募集の実施期間は2020年4月1日から4月10日までです。

2018年著作権法改正により創設された「授業目的公衆送信補償金制度」制度の施行に先立って、制定が不可欠な同制度に関する省令案への意見募集が行われています。新型コロナウイルス感染症の流行に伴う遠隔教育等のニーズに緊急的に対応するため、2020年4月中に同制度を施行予定であることが意見募集の背景として説明されています。文化庁が意見募集を求めている省令案は、改正後の著作権法施行令において「文部科学省令で定める割合」と規定されている、同制度の補償金の徴収・分配を担当する指定管理団体が、著作権及び著作隣接権の保護に関する事業並びに著作物の創作の振興及び普及に資する事業に支出すべき額の割合について、これを「2割」と定める、という内容です。

2020年度の「授業目的公衆送信補償金制度」は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う緊急のニーズに対応した暫定的な運用を行う予定であり、省令案の「2割」という定めはこれに対応したものです。2021年度以降は、教育現場における実際の著作物等の利用状況等を精査した上で、改めて割合を定めることが想定されています。

ページ