資料保存

E2328 - 米国国立農学図書館によるデータレスキュープロジェクト

2020年8月,米国国立農学図書館(NAL)と米国のメリーランド大学情報学部との協働で実施したデータレスキュープロジェクトの報告書“Final Report and Recommendations of the Data Rescue Project at the National Agricultural Library”が同大学の機関リポジトリで公開された。同プロジェクトは,退職する研究者や閉鎖される研究室のデータや書類を迅速に評価する試験的プロセスの開発を目的としたものであり,データレスキュー実践のガイドである“Data Rescue Processing Guide: A Practical Guide to Processing Preservation-Ready Data From Research Data Collection”を作成している。報告書ではガイドの作成プロセスや実際のデータレスキューの評価,今後の展望について報告している。以下では,どのような視点でガイドを作成し,ガイドを用いてどのような処理を行ったのかに着目して報告内容を紹介する。

名古屋大学附属図書館、重要文化財「高木家文書」の修復のためのクラウドファンディングプロジェクト「【第2弾】名古屋大学の使命!重要文化財の絵図を守り継ぐ」を開始

2020年11月24日、名古屋大学附属図書館の特定基金ワーキンググループは、同館所蔵の重要文化財「高木家文書」の修復を目的としたクラウドファンディングプロジェクトとして、「【第2弾】名古屋大学の使命!重要文化財の絵図を守り継ぐ」を開始しました。

「高木家文書」は、同館の所蔵する旧旗本交代寄合の西高木家の旧蔵文書群で、2019年7月に国の重要文化財に指定されました。同館は2018年にクラウドファンディングプロジェクト「名古屋大学の使命!東海地方の貴重な古文書を後世に」を実施し、高木家文書の『御用日記』2冊の修復と約500点のデジタル画像化を達成しました。

第2弾のプロジェクトは、高木家文書のうち木曽三川流域を描いた川絵図2点の修復を目的として行われます。目標金額は150万円で、期間は2020年11月24日から12月25日までです。

附属図書館クラウドファンディング「【第2弾】名古屋大学の使命!重要文化財の絵図を守り継ぐ」を開始しました(名古屋大学,2020/11/24)
http://www.nagoya-u.ac.jp/info/20201127_do.html

【イベント】文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」(12/11・オンライン)

2020年12月11日、東京国立博物館、九州国立博物館、及び独立行政法人国立文化財機構の文化財防災センターの主催により、文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」がオンラインで開催されます。

近年の頻発する災害による文化財の被害の増加、ミュージアム自体の被災という事例を受けて、最近の災害の事例をもとに、文化財関係者が今できることを考える機会として開催されます。

セミナーはウェブ会議サービスZoomのウェビナーとYouTubeライブ配信により実施されます。参加には電子メールで事前の申し込みが必要です。Zoom ウェビナーによる参加には先着順に100人の定員が設けられています。YouTubeライブ配信には定員はありません。また、YouTubeライブ配信の様子は、セミナー終了後から12月20日までアーカイブが限定公開されます。当日の主なプログラムは次のとおりです。

●「川崎市市民ミュージアム 台風被害に係る災害対応検証及び今後のあり方について」
  平井孝氏(川崎市市民文化局市民文化振興室)

●「長野市立博物館における令和元年東日本台風による被災資料の保全活動」
  原田和彦氏(長野市立博物館)

【イベント】シンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」(11/22・オンライン)

2020年11月22日、YouTube Live配信によりシンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」が開催されます。

同シンポジウムは、岩手県立博物館を中核館とする、文化庁の地域と共働した博物館創造活動支援事業「津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト」の実行委員会の主催により開催されます。東日本大震災以降、文化遺産保全ネットワークなど、自然史標本を含む災害により被害を受けた文化財を救うための取り組みが進む一方、自然史標本のレスキューには、技術的にも、制度的にも、まだ難しい課題が残されています。講演・パネルディスカッションを通して、自然史標本のレスキューと将来の体制構築に向けた議論が行われます。

また、同シンポジウムは、大阪市立自然史博物館と西日本自然史系博物館ネットワークが共催します。大阪市立自然史博物館は2020年10月16日から11月29日まで、テーマ展示「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化」を開催しており、シンポジウムを同展示の関連イベントに位置づけています。

【イベント】国立国会図書館(NDL)第31回保存フォーラム「戦略的「保存容器」の使い方―さまざまなカタチで資料を護る―」(12/16-1/15・オンライン)

2020年12月16日から2021年1月15日まで、国立国会図書館(NDL)は、オンライン会議ツールWebexを利用した参加登録者限定のオンライン動画配信により、第31回保存フォーラム「戦略的「保存容器」の使い方―さまざまなカタチで資料を護る―」を開催します。

資料を長期的に保存するための基本的かつ簡便な保存技術であり、適切に使用することによって、資料を劣化・破損させる様々な外的要因からの保護機能が期待できる「保存容器」について、原点・開発と普及・活用事例に関する報告等を通して、未来への備えを考える材料とすることを目的に開催されます。

参加費は無料です。定員は300人(先着順)で、定員に達した時点で受付を終了します。参加者は期間中いつでも配信動画を視聴することができます。

主な内容は次のとおりです。

E2321 - JADS第99回研究会「新型コロナ資料の収集」<報告>

2020年9月12日,アート・ドキュメンテーション学会(JADS)の第99回研究会・第3回オンラインイベント「新型コロナ資料の収集」が開催された。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって,私たちの生活は一変し,様々な感染症対策をとりながらの日々が続いている。行事中止のお知らせやチラシ,各種店舗における営業案内の貼り紙などは,この生活変化に伴って生まれたものであり,後世に現状を伝える貴重な資料である。こうした「新型コロナ資料」は,博物館等を中心に収集活動が展開されている。その中でも,浦幌町立博物館(北海道)と吹田市立博物館(大阪府)は,日本国内でいち早く新型コロナ資料の収集を開始した。本研究会では,2館の活動についての報告と対談が設けられ,新型コロナ資料収集の意義や今後の展開について語られた。

東京大学経済学図書館・経済学部資料室、「〔書き込み式〕図書館資料保存の基本」2020年度版を公表

2020年11月10日、東京大学経済学図書館・経済学部資料室が、「〔書き込み式〕図書館資料保存の基本」2020年度版を公表しています。

同資料は、図書館における資料保存業務の参考に供するために最低限必要と考えられる知識やポイントをまとめたもので、イラスト・写真・図表を用いて視覚的にわかりやすく、また必要に応じて自由に書き込んで活用できるようになっています。

「〔書き込み式〕図書館資料保存の基本」の公表(東京大学経済学図書館・経済学部資料室,2020/11/10)
http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/?p=11974

〔書き込み式〕図書館資料保存の基本」2020年度版 [PDF:2ページ]
http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/contents/hozon_poster.pdf

科学研究費助成事業特別推進研究「地域歴史資料学を機軸とした災害列島における地域存続のための地域歴史文化の創成」のウェブサイトが開設

2020年11月6日、歴史資料ネットワークが、同ネットワークの代表が研究代表者を務める科学研究費助成事業特別推進研究「地域歴史資料学を機軸とした災害列島における地域存続のための地域歴史文化の創成」のウェブサイトが開設されたと紹介しています。

同プロジェクトは、これまでの成果を踏まえ、社会構造の大変動による人口減少や大規模災害等により危機に瀕している日本の地域存続の基盤となる、新たな地域歴史文化創成のための実践的研究領域を確立することを目的としています。

そして、具体的には、

(1)地域住民を軸とする地域歴史資料と地域歴史文化の未来への継承方法の確立
(2)地域歴史文化創成に資するデータの国際標準構築と全国的データインフラストラクチャー構築
(3)大災害が続発する日本列島において、地域歴史文化は災害の記憶を蓄積する文化を内包させてきたことを踏まえ、地域歴史文化創成の基礎となる新たな地域社会形成史の通史的提示

を行うと説明されています。

また、その取組の中で、災害事象等についての歴史的データの発見、確度の向上をはかり、減災研究にも寄与し、さらには、地域社会において同様な課題を持つ世界各地の研究者間の課題共有をはかり、国際的な学術研究プラットフォーム形成を進めるとしています。

熊本大学附属図書館、オンライン貴重資料展「甦った絵図と古文書」の特設ウェブサイトを公開中

2020年11月4日、熊本大学附属図書館は、オンライン貴重資料展「甦った絵図と古文書」の特設ウェブサイトを公開したことを発表しました。

熊本大学附属図書館では2020年度の貴重資料展として、「甦った絵図と古文書」をテーマに準備が進められていましたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために開催が見送られることになりました。そこで、直接来場しなくても別の形で貴重資料を鑑賞できる機会とするために、特設ウェブサイトを開設してオンライン貴重資料展を開催しています。

同館が開設した特設ウェブサイトでは、細川藩第一家老・松井家に伝わる文書の中から、保存のために修復の行われた初公開となる資料として、絵図「肥前国有馬城之絵図」と古文書「細川忠興駿河御普請中掟」「細川家老衆廻状(千代姫様へ御礼申上次第)」の画像が解説とともに公開されています。特設ウェブサイトでは、画像内のスライダーバーを動かすことで修復の前後を容易に比較できる工夫が施されています。

オーストラリア国立公文書館(NAA)、2025年までに再生できなくなる可能性が高い視聴覚記録のデジタル化保存のため300万ドルを拠出すると発表

2020年10月27日、オーストラリア国立公文書館(NAA)が、視聴覚記録のデジタル化保存のため300万オーストラリアドルを拠出すると発表しました。5年計画の最初の1年分の作業の資金となります。

予算が逼迫するなかでも、今後5年間で、技術や機器の入手が困難となり、また、媒体自体も劣化することで、再生できなくなる可能性が高い磁気メディアの記録の保存を重視して決定したもので、この拠出により、同館のデジタル化された視聴覚資料は12万アイテムを超えるまで増加し、最も重大な危機にさらされている資料のほぼ半分がデジタル化保存されることになります。

NAAが所蔵する視聴覚記録には、先住民(アボリジニとトレス海峡諸島民)の言語・物語・オーラルヒストリー、同国の南極観測基地への遠征隊、オーストラリア郵便公社の広告、ウーメラ試験場から発射されたロケット、スノーウィーマウンテンズ水力発電計画による建設に関する記録があると紹介されています。

ページ