電子ジャーナル

オランダの学術雑誌にオープンアクセス(OA)出版を提供するプラットフォーム“OpenJournals.nl”の構築が始まる:2020年秋に運用開始予定

オランダのオープンアクセス(OA)に関する情報を提供するウェブサイト“open access.nl”の2020年7月14日付の記事で、オランダ王立芸術科学アカデミー (KNAW)が同国の学術雑誌へOA出版を提供するプラットフォーム“OpenJournals.nl”の構築を開始したことが紹介されています。

プラットフォームの構築には、オランダ科学研究機構(NWO)が助成しており、KNAWとNWOはOpenJournals.nlによって、規模が小さく独自にOA出版へ移行する手段に乏しい社会科学・人文科学分野のOAを促進することを意図しています。OpenJournals.nlは学術雑誌をOA出版するためのデジタル基盤と技術的支援を提供するものであり、各雑誌及び編集者のコンテンツ・購読構造等に関する自律的な運営機能は維持される、と説明しています。

文部科学省、ジャーナル問題検討部会(第3回)の議事録・配布資料を公開

文部科学省のウェブサイトにおいて、2020年6月15日にオンラインで開催された科学技術・学術審議会情報委員会ジャーナル問題検討部会(第3回)の議事録と配布資料が公開されています。

ジャーナル問題検討部会 議事録・配付資料(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu29/001/giji_list/index.htm
※第3回の議事録・配布資料も掲載されています。

参考:
文部科学省、ジャーナル問題検討部会(第2回)の議事録・配布資料を公開
Posted 2020年5月28日
https://current.ndl.go.jp/node/41066

欧州大学協会(EUA)、転換契約と学術出版システムの将来に関する調査報告書を公表

2020年7月15日、欧州大学協会(EUA)は、学術誌の転換契約と学術出版システムの将来に関する調査報告書“Read & Publish contracts in the context of a dynamic scholarly publishing system”の公開を発表しました。

本報告書は、EUAから調査を受託したコンサルタント会社Technopolis Groupが2019年6月から2020年3月にかけて実施した、欧州の大学・図書館関係者等を中心としたステークホルダーへのインタビュー、デルファイ法を用いた調査等によるデータ収集・分析の成果をまとめたものです。調査の実施目的として、転換契約が今後どのように発展し得るか、そのさらなる拡大が学術出版システムにどのような影響を与え得るかをより良く理解することを挙げています。

報告書では、学術出版システムの主なビジネスモデルに基づいて、学術出版システムの将来シナリオを3パターン設定し、参照シナリオとの比較検討を行っています。

フィンランドのコンソーシアム“FinELib”とTaylor & Francisグループ、Read&Publish契約の締結を発表

2020年7月3日、フィンランドの大学、研究機関、公共図書館等によるコンソーシアム“FinELib”とTaylor & Francisグループが、Read&Publish契約を締結したことを発表しました。

同契約は、2019年から行われていた交渉の結果締結されたものであり、契約期間は2022年12月31日までです。

今回の契約により、契約に参加しているフィンランドの15の機関に所属する研究者は、2020年6月3日から2022年12月31日まで、同社の2,000タイトルを超えるハイブリッドジャーナルで追加費用を支払うことなく論文のオープンアクセス(OA)出版が可能となります。年間で合計442本までが対象です。あわせて、同社が刊行する1,800タイトル以上の雑誌にアクセスできるとしています。

Springer Nature社とスイスの大学の連合団体swissuniversities、“Read and Publish”契約に最終合意

2020年7月1日、Springer Nature社とスイス学術図書館コンソーシアム(Consortium of Swiss Academic Libraries:CSAL)は、2020年4月に取り交わされた覚書を受けて、同社とスイスの大学の連合団体swissuniversitiesとの“Read and Publish”契約が最終合意に至ったことを発表しました。

同契約は2022年12月31日まで有効な3年間の契約です。契約期間中、swissuniversities及びCSALの契約参加機関に所属する著者は、自身の研究成果を2,200誌以上のSpringer Nature社のハイブリッド誌で即時オープンアクセス(OA)化することが可能になります。また、SpringerLink上で公開された全ての研究成果にアクセス可能となります。

同契約はSpringer Nature社にとって、国レベルで転換契約を締結した11番目の事例となります。また、2024年までに研究成果の100%OA化を目指すswissuniversitiesにとって、2020年5月に締結されたElsevier社との契約に続く2番目の大手学術出版社とのOA出版に関する契約となります。

契約書の全文はCSALのウェブサイトで公開されています。

韓国のコンソーシアムKESLI、学術出版社に対し、新型コロナウイルス感染症による予算削減に図書館界が対応するための協力を要請する公開書簡を発表

2020年6月30、韓国科学技術情報研究院(KISTI)が所管する、電子情報の共同購入のためのコンソーシアムKESLI(Korean Electronic Site License Initiative)が、学術出版社に対して公開書簡を発表しました。

公開書簡では、同国をはじめとする12か国の科学技術担当大臣による新型コロナウイルス感染症関連の出版物やデータへの即時のアクセスや再利用の要求や、図書館団体等による幅広いアクセスへの要求に対して協力した出版社に感謝の意を表すとともに、新型コロナウイルス感染症対応のため図書館の予算が減少する現下の状況においても、引き続き知識の共有と協力が可能となるよう、電子情報の提供者に対し以下の要請を行っています。

・全世界の公衆衛生や経済の危機が回復するまでの購読料の値下げ
・購読更新期限の延長や支払期限の延長
・オンライン情報へのリモートアクセスの拡大および代替認証方法の開発提供
・購読コンテンツの制限(同時アクセス数、相互貸借、複写)の一時的緩和
・オープンアクセス(OA)出版の拡大

米・マサチューセッツ工科大学出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19”を公開

2020年6月29日、米・マサチューセッツ工科大学(MIT)出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が、新型コロナウイルス感染症に関連する研究成果の迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19” (RR:C19)を公開したことを発表しました。

同ジャーナルでは、人工知能(AI)を用いて、プレプリントリポジトリから有望な研究成果を抽出し、専門家にピアレビューを依頼し、透明性が担保された過程を経て結果をオープンアクセス(OA)プラットフォームで出版するとしています。

発表によると、研究助成団体であるPatrick J. McGovern Foundationから助成を得て、オープンソースの出版プラットフォームであるPubPub上にホストされています。

最初のレビューは、2020年7月に公開される予定です。

2010〜2018年のドイツにおけるオープンアクセス状況の調査(文献紹介)

2020年6月15日、2010年から2018年までのドイツのオープンアクセス状況に関する論文”Open Access Uptake in Germany 2010-18: Adoption in a diverse research landscape”がZenodo上で公開されました。著者はゲッティンゲン州立・大学図書館のAnne Hobert氏ら5名です。

調査は、Web of Science、Unpaywall、ISSN-Gold-OA 3.0 list、OpenDOAR等のデータを利用して実施されました。調査では45%の文献がオープンアクセスであることが報告されています。特に、分野に特化したリポジトリでの公開が最も普及しているオープンアクセスの手法であることが述べられています。一方、オープンアクセスジャーナルや機関リポジトリを利用したオープンアクセスも近年その割合が上昇していることが報告されています。

また、大学、ヘルムホルツ協会、マックスプランク協会、ライプニッツ協会、政府系研究機関、フラウンホーファー研究機構ごとのオープンアクセス状況の調査も実施しています。それぞれの機関が異なる使命をもつことから、オープンアクセス状況にもばらつきがあることが報告されています。

オープンアクセス誌を発行する出版者(文献紹介)

オープンアクセスの査読誌PLOS ONEに、2020年6月5日付けで、オープンアクセス誌を発行する出版者について調査した論文” Open access publishers: The new players”が掲載されています。

論文では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌を刊行する出版者とAPCについて調査が実施されています。調査では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌において、一部商業出版社が大きな割合を占めることが報告されています。特にSpringer Natureはジャーナル件数では全体の35%、論文件数では全体の65%を占めています。APCについては、医学分野のオープンアクセス誌が最も高額であることが報告されています。一方、27%のオープンアクセス誌はAPCを要しません。

著者らは、学術コミュニケーションシステムを制御しかねない商業出版社による寡占の存在を指摘しています。さらに、研究者が何をどこに出版するか決定する力をほとんど持たない依存の状態を生み出していると結論付けています。

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