電子ジャーナル

米・カリフォルニア大学の教員が連名書簡により大学とElsevier社の新契約締結までCell Press社刊行誌の編集委員としての活動を停止する可能性に言及

米・カリフォルニア大学に所属し、Cell Press社刊行誌の編集委員(editorial board)を務める31人の教員が、カリフォルニア大学とElsevier社が新たに契約を締結するまで、編集委員としての活動を停止する可能性に言及した連名の書簡を2019年8月7日付で公開しました。

Cell Press社はElsevier社を親会社とする学術出版社で、“Cell”をはじめとする生物学分野の著名な学術雑誌を刊行しています。カリフォルニア大学バークレー校が発行するBerkeley Newsの記事によると、この書簡にはゲノム編集技術「CRISPR-cas9」の共同開発者であるジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授をはじめ、Cell Press社刊行誌の編集委員を務めるバークレー校の研究者の約3分の1が署名しており、教員らの編集委員活動の停止が実施されれば、Cell Press社刊行誌はこれまで無償で得てきた編集委員らの名声と質の高い査読を失うことになる、としています。

米・バージニア州の図書館コンソーシアムVIVA、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約を締結

2019年8月7日、米・バージニア州の学術図書館コンソーシアムThe Virtual Library of Virginia (VIVA)とWiley社は、オープンアクセス(OA)出版に関する基金とジャーナル購読を組み合わせた包括的契約の締結を発表しました。

この契約は2020年に開始する2年間の試験的な契約で、Wiley社はプレスリリースで北米では初めての種類の契約である、としています。この契約によりVIVA参加機関に所属する全ての研究者は、 Wiley Open Access AccountのサービスをAPC支払のための中央基金として利用し、Wiley社のゴールドOA誌上で論文を公開可能になります。また、コンソーシアムの購読する同社のジャーナル全範囲へのアクセスも維持されます。

さらにVIVAは管理用のダッシュボードを利用することが可能になり、ダッシュボード上で著者からのAPC支払リクエストへの対応やレポート機能による出版状況の確認を行うことができます。

SPARC、ジャーナル出版社との契約交渉の詳細を比較可能なデータベース“Big Deal Knowledge Base”を公開

SPARCがウェブサイト上で、ジャーナル購読パッケージに加盟機関が支払った金額や契約の詳細を示し、比較可能にしたデータベース“Big Deal Knowledge Base”を公開しています。このデータベースに収録された価格データ等を利用して、加盟機関はビッグディール契約の適合性を明確に評価し、出版社との交渉力を強化できる、としています。

LJ infoDOCKETの同データベースに関する記事によると、“Big Deal Knowledge Base”の搭載データはダウンロードが可能で、出版社・大学のカテゴリを示したカーネギー分類・FTE(フルタイム換算値)など様々な尺度から検索・ダウンロードすることもできます。

データベースの情報源として使用されたデータセットは、2019年7月29日付でCC0ライセンスを付与の上、リポジトリZenodoで公開されています。

Big Deal Knowledge Base(SPARC)
https://sparcopen.org/our-work/big-deal-knowledge-base/

Elsevierの電子ジャーナルからもSci-Hubへのリンクが存在することが指摘される

英ロンドン大学教授Martin Paul Eve氏のブログで、Elsevier社の電子ジャーナルプラットフォーム、ScienceDirectからも、Sci-Hubへのリンクが存在している、という指摘がなされています。

この指摘は2019年8月3日付けの記事でなされたもので、Elsevier社がSci-Hubにリンクしているサービスに対し、法的手段を取るとする通知を送った、という話題を契機としています。

これに対しEve氏は、そもそもElsevier社のScienceDirect中にも、参考文献記述の中でリンク先としてSci-Hubがあがっている例が複数あることを示しています(現在は指摘された論文のリンク先は修正されたようです)。Eve氏はElsevierが自身のサイト上の著作権侵害を真剣にはチェックしていないことの証左であるとし、他者を訴えるよりまず自身のことから手を付けるべきではないかとしています。

早稲田大学、米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)と試験的な“Read and Publish”契約を締結

米国物理学協会の出版部門(AIP Publishing)の2019年7月22日付のお知らせで、早稲田大学とAIP Publishingの試験的な“Read and Publish”契約締結が発表されています。早稲田大学はAIP Publishingの試験契約に参加するアジアで最初の学術機関となります。この試験契約は2019年中の出版物が対象となります。

試験契約に基づき、早稲田大学が現在購読するAIP Publishingのハイブリッドジャーナルにアクセプトされた論文について、同大学に所属する全ての著者は論文投稿料(APC)が免除されます。

英国学士院(The British Academy)、改訂されたPlan Sに対する懸念事項を表明

2019年7月23日、英国学士院(The British Academy)は改訂版Plan Sの解説を公開し、解説の中で改訂版Plan Sの内容に対する懸念事項を表明しています。

英国学士院は、改訂により効力発生が1年延期されたことやオープンアクセス(OA)出版物を提供するプラットフォームに要求される技術的仕様が緩和されたことなどについては評価していますが、効力発生までに残された18か月という期間はジャーナル出版の大勢を根本的に変更するには短すぎること、Plan Sの成功に不可欠なプラットフォーム開発がほとんど行われていないことを懸念事項として挙げています。

また、特に以下の3点についても問題点を指摘しています。
・キャリア初期の研究者等の研究助成金へのアクセスに不利な立場にある研究者へ与える影響
・改変を禁止したCC BY-NDライセンスを自動付与すべきであること
・ほとんどの研究が論文処理費用(APC)の助成を受けておらず、発行されるジャーナルの10分の9がハイブリッド型であるなど、自然科学系とは異なる人文社会科学系の状況が改訂前同様に軽視されていること

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約締結に向けて今後の交渉の指針となる共通原則を定めた覚書に署名

2019年7月12日、スウェーデン・Bibsamコンソーシアムを代表してライセンス契約の交渉を行っているスウェーデン王立図書館(NLS)は、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約締結に向けて今後の交渉の指針となる共通原則を定めた覚書(Memorandum of Understanding)に署名したことを発表しました。

覚書では、BibsamコンソーシアムとWiley社が、購読だけでなくOA出版に関する内容を含んだ契約形成に向けて取り組むことが示されています。また、両者は即時OA化への転換を加速することに協力して取り組むことにも合意しています。

BibsamコンソーシアムとWiley社は、覚書で示された共通原則等を反映し2020年1月1日が契約開始日となる新契約に2019年中に合意することを目指しています。

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、年次統計を基に英国の研究支援活動における図書館の役割を分析した結果を発表

2019年7月15日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)が、2017年-2018年度の年次統計の公表とあわせ、その分析結果である“Research support offered by UK academic libraries”を発表しました。

同分析は、オープンアクセス(OA)・研究データ管理(RDM)・デジタルリテラシー講習・ジャーナルの購読契約・ILLなど、英国の研究支援活動における図書館の役割に焦点をあてたものです。

主な知見として、

・英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)の会員館や創立年が古い大学は、新しい大学と比較して、職員の勤務時間全体で、5%以上研究支援に費やす傾向がある。

・回答のあったSCONULの会員館の4分の3が機関リポジトリを所管しており、同じく回答のあったうちの半数が、RDMに関して少なくとも一部の責任が図書館にあることを示した。

・ジャーナルの提供は増加しており、その結果、ILLに関する図書館への依存度は低下しているように見え、SCONULの会員館全体の平均の申し込み件数は10年前と比べて56%減少している

をあげ、図書館が学術界を支援できるように多様化し続けていることを指摘しています。

早稲田大学図書館、「早稲田大学における電子ジャーナルの利用実態に関するアンケート調査」の調査結果を公表

2019年7月12日、早稲田大学図書館は、「早稲田大学における電子ジャーナルの利用実態に関するアンケート調査」の調査結果を公表しました。

同調査は、全学的な学術情報基盤の維持および発展に関する施策の一環として、同大学に所属する常勤教員・大学院学生・学部学生を対象に行われたものです。概要報告によれば、調査の実施期間は2019 年 3 月 4 日から3 月 22 日までであり、有効回答数は999票でした。

今回の調査により、契約により現在提供されている電子ジャーナルの重要性が改めて浮き彫りとなったとし、特にElsevier社など大手出版社7社との「ビッグディール契約」に基づき提供される学術雑誌等は、同大学の研究・教育を支える学術情報基盤として、分野を問わず必要不可欠であることが確認されたとしています。

【結果報告】早稲田大学における電子ジャーナルの利用実態に関するアンケート調査(早稲田大学図書館, 2019/7/12)
https://www.waseda.jp/library/news/2019/07/12/6828/

Springer Nature社とResearchGate、一部の同社雑誌掲載記事の全文をResearchGate上で公開する試行プログラムについて延長を発表

2019年7月11日、Springer Nature社と研究者向けのSNS・ResearchGateは、2019年3月に開始した一部の同社雑誌掲載記事の全文をResearchGateの研究者個人のプロフィール画面上で公開し、閲覧・ダウンロード可能にする試行プログラムについて、延長を発表しました。

延長された試行プログラムの第2フェーズでは、Springerのジャーナルの一部も公開対象に加わり、ResearchGateのプラットフォーム全体では従来の4倍のSpringer Nature社の記事が公開されることになります。

試行プログラムの第1フェーズ中にResearchGateの利用者700人以上に対して行われた調査では、97%がこの試行プログラムについて肯定的な反応を返し、96%がResearchGate上にNatureのジャーナルの全文記事が掲載されたことに満足していると回答するなど、非常に肯定的に受け止められており、試行プログラムの継続はこの結果を受けて行われました。

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