オーストラリア

オーストラリア国立公文書館(NAA)、第二次世界大戦時の兵役記録(service record)約65万件をデジタル化

2020年11月10日、オーストラリア国立公文書館(NAA)が、第二次世界大戦時の65万件を超す兵役記録(service record)の一括デジタル化作業の契約を行なったことを発表していました。

4年間・1,000万オーストラリアドルによる第二次世界大戦時の記録の大半をデジタル化するプロジェクトの一環であり、今回デジタル化の対象となるのは、同館所蔵のB883(第二次オーストラリア帝国軍の兵役記録 1939年から1947年)とB884(市民軍の兵役記録 1937年から1947年)です。

作業は2023年半ばまでが予定されていますが、すでにB884のデジタル化は開始されており、デジタル化された記録は、2020年12月以降同館ウェブサイトを通じて無料で公開されます。

第二次世界大戦時の兵役記録は、2023年までに100万近くがデジタル化され利用できるようになると説明されています。

オーストラリア図書館協会(ALIA)とオーストラリア学校図書館協会(ASLA)、学校図書館への人員配置に関する推奨基準を改訂

2020年11月24日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、ALAとオーストラリア学校図書館協会(ASLA)が実施した、学校図書館への人員配置に関する推奨基準“Recommended minimum information services centre staffing”の改訂について発表しています。

The Sydney Morning Heraldの同日付け記事でもこの改訂について報じており、21世紀におけるニーズを満たせるよう学校図書館に配置される“teacher librarian”の増加を意図したものであること、“teacher librarian”は教育及び情報サービスの修士号が求められる職位であること等が紹介されています。

ALIAの発表によれば、オーストラリアでは過去27年間において、生徒数に対する教師数の比率に改善が見られます。しかし、学校図書館で勤務する“teacher librarian”の数は減少し、不利な条件に置かれた地域(disadvantaged areas)の学校では特にその傾向が強いとしています。これは若年層のリテラシー・レベルに直接的な影響を及ぼすとし、ALIAとASLAは、州・準州の政府による対処が必要であると述べています。

失われた文学遺産を救出する:オーストラリアの絶版書電子化プロジェクト(記事紹介)

オーストラリア・メルボルン大学のマルチメディアプラットフォーム“Pursuit”において、2020年11月22日付けで絶版書電子化プロジェクトに関する記事“Rescuing Australia's lost literary treasures”が公開されています。筆者はオーストラリア・メルボルン大学の准教授ギブリン(Rebecca Giblin)氏です。

本記事で紹介されている絶版書電子化プロジェクト“Untapped: the Australian Literary Heritage Project”は、ギブリン氏が率いる研究者チームと、オーストラリア作家協会、オーストラリアの公共図書館が連携して実施するものであり、2020年11月に立ち上げられました。図書館コレクションの専門家チームとの協力により文化的に重要な絶版書をリスト化した上で、それらを電子書籍化し、販売や図書館でのデジタル貸出を行うという内容です。

絶版書のためのマーケットを用意し作家の収入を改善することも意図したプロジェクトであり、作家側は電子書籍の販売や貸出に伴う収益を受け取ります。記事によれば、オーストラリアでは作家が執筆活動から得る収入は年々減少しており、最新の数字では一年当たり平均1万2,900オーストラリアドルの収入とあります。

デジタル化された太平洋地域の文化遺産を集約するオンラインポータル“digitalpasifik.org”のベータ版が公開される

2020年11月18日、ニュージーランド国立図書館(NLNZ)は、デジタル化された太平洋地域の文化遺産を集約するオンラインポータル“digitalpasifik.org”の公開を発表しました。11月25日現在ではベータ版となっており、オーストラリア国立図書館の情報探索システム“Trove”など5つのコンテンツ・パートナーから提供を受けた49,464点の情報を収録しています。

“digitalpasifik.org”は、“Pacific Virtual Museum”パイロットプロジェクトにより構築されました。同プロジェクトは、世界の博物館・美術館・図書館・文書館・大学・その他機関が所蔵する太平洋の文化遺産への単一アクセスポイントとなるオンラインポータルの構築を目指しており、オーストラリア政府による支援の下、ニュージーランド国立図書館とオーストラリア国立図書館が協力して実施しています。

同プロジェクトは2022年2月まで実施され、今後もポータルの機能拡張、コンテンツ・パートナーの追加等が行われる予定となっています。また、2022年3月以降も同プロジェクトの目標に持続的に取組み、支援するための方法の検討も行われます。

オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)、新型コロナウイルス感染症拡大期の著作権法規定の利用状況に関する会員館向けアンケート調査の結果を公開

2020年11月11日、オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)は、新型コロナウイルス感染症拡大期の学生・研究者支援における「1968年著作権法(Copyright Act 1968)」規定の利用状況調査として実施した、会員館向けアンケートの要約を公開したことを発表しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大は、大学キャンパスへの物理的なアクセスがほぼ不可能となる前例のない環境を作り出し、オーストラリアの大学図書館は大学構成員向けにオンラインリソースの提供・リモートアクセスサービスの案内・デジタル複製の活用等を進めてきました。オーストラリアの著作権法は、デジタル複製の作成や遠隔地への資料提供を可能にする規定がありますが、感染症拡大期にこれらの規定が大学図書館において、どの程度利用されたかの情報を収集するためにアンケート調査が実施されました。アンケート調査にはCAULの会員館のうち25館が回答し、回答から得られた主な知見として以下のことが示されています。

E2322 - オランダ・ILP Labによるウェブサイト収集への提言

オランダのアムステルダム大学情報法研究所(Institute for Information Law)が所管する学生イニシアチブ,The Glushko & Samuelson Information Law and Policy Lab(ILP Lab)は,2020年8月,ポリシーペーパー“Web harvesting by cultural heritage institutions”を公開した。

オーストラリア国立公文書館(NAA)、2025年までに再生できなくなる可能性が高い視聴覚記録のデジタル化保存のため300万ドルを拠出すると発表

2020年10月27日、オーストラリア国立公文書館(NAA)が、視聴覚記録のデジタル化保存のため300万オーストラリアドルを拠出すると発表しました。5年計画の最初の1年分の作業の資金となります。

予算が逼迫するなかでも、今後5年間で、技術や機器の入手が困難となり、また、媒体自体も劣化することで、再生できなくなる可能性が高い磁気メディアの記録の保存を重視して決定したもので、この拠出により、同館のデジタル化された視聴覚資料は12万アイテムを超えるまで増加し、最も重大な危機にさらされている資料のほぼ半分がデジタル化保存されることになります。

NAAが所蔵する視聴覚記録には、先住民(アボリジニとトレス海峡諸島民)の言語・物語・オーラルヒストリー、同国の南極観測基地への遠征隊、オーストラリア郵便公社の広告、ウーメラ試験場から発射されたロケット、スノーウィーマウンテンズ水力発電計画による建設に関する記録があると紹介されています。

デジタルアーカイブの資料で作成するGIFアニメの国際的なコンペティション“GIF IT UP”が開催中:2020年はジャパンサーチも協力

Europeanaの2020年9月30日付けのブログ記事で、GIFアニメの国際的なコンペティション“GIF IT UP”の開催と、2020年10月1日から31日にかけて作品の投稿を受け付けていることが紹介されています。

“GIF IT UP”は、コンテンツ・パートナーから利用できるパブリックドメインやオープンライセンスの動画・画像・テキスト等を使用して作成したGIFアニメのコンペティションです。応募作品の中から、優勝、次点(3作品)、people's choice賞等が選ばれ、賞品が授与されます。

7回目の開催となる2020年は、従来のEuropeana、DPLA、ニュージーランド国立図書館のDigitalNZ、オーストラリア国立図書館のTroveに加えて、日本のジャパンサーチ、インド・コルカタのDAG Museumsもコンテンツ・パートナーとして協力しています。

オランダ・ILP Lab、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関するポリシーペーパーを公開:収集における法的課題や複数国の法制度等を調査

2020年8月28日、オランダのThe Glushko & Samuelson Information Law and Policy Lab(ILP Lab)は、ポリシーペーパー“Web harvesting by cultural heritage institutions”の公開を発表しました。

ILP Labは、オランダ・アムステルダム大学情報法研究所(Institute for Information Law)に属しており、学生が運営するイニシアチブです。欧州の情報法分野において、基本的な権利と自由の保護を踏まえた政策解決の発展・促進に携わっています。

このポリシーペーパーは、ILP Labがオランダ国立図書館及びオランダ視聴覚研究所との協力のもと作成したものであり、文化遺産機関によるウェブサイト収集に関する法制度を策定する際に考慮すべき事項を論じています。作成の背景として、オランダには文化遺産機関がウェブサイト収集を許諾なしに行うための法制度がないためオンラインの文化遺産が収集されず日々失われつつあることを、作成の目的として、現在オランダで進められている法制度導入の検討に資することを挙げています。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、オーストラリアの図書館員らを対象とした給与・雇用状況等に関する大規模調査の結果を公表

2020年8月26日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、オーストラリアの図書館員らを対象とした給与・雇用状況等に関する大規模調査の結果を公表しました。

近年、ALIAでは給与の目安としてニュー・サウス・ウェールズ州の公務員給与に関する規定である“Crown Employees Award”を参照してきたものの、これらの給与レベルが職場の現実を反映していない可能性を懸念しており、そのため図書館セクターで働く人々を対象とした調査を行うこととした、と調査の目的を述べています。

調査は2019年12月12日から2020年3月6日にかけてオンラインアンケートツールSurveyMonkeyを用いて実施され、1,794の有効回答を得ました。調査結果から判明した点の一つとして、高等教育資格(tertiary qualifications)がより高い年間給与額に繋がっていることを挙げ、例えば、二重資格(dual qualifications)を持つ司書教諭の給与が最も高い部類に属することを紹介しています。

調査結果をまとめた報告書“ALIA LIS pay and employment snapshot 2020”のほかに、館種ごとの調査結果を一目で(at a glance)分かるよう簡潔にまとめた資料も公開しています。

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