学術情報流通

科学技術振興機構(JST)、J-STAGE利用発行機関向けに編集登載システムの新機能をリリース:全文XML作成ツールの提供・PMC、DOAJ形式ファイルのダウンロード機能など

2020年9月15日、科学技術振興機構(JST)は、JSTの構築する電子ジャーナル出版推進のためのプラットフォームJ-STAGEについて、利用発行機関向けに編集登載システムの新機能をリリースすることを発表しました。

編集登載システム新機能のリリースは2020年9月26日に実施されました。新機能のリリースによって、J-STAGE利用発行機関はWordもしくはLaTeX形式の原稿ファイルを元にJ-STAGEに登載可能な全文XMLファイルを作成・編集できるツールの利用や、J-STAGEに登載済みの記事データのPubMed Central(PMC)・DOAJ(Directory of Open Access Journals)に対応した形式のXMLファイルによるダウンロードなどが可能となっています。また、早期公開記事の改版記事を登載・公開するための管理機能や、各記事の抄録の二次利用について可・不可のフラグの設定等に関する機能も併せて公開されています。

抄録データのオープン化を推進するイニシアティブI4OAが立ち上げられる

2020年9月24日、I4OA(Initiative for Open Abstracts)は、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)が同日開催するオンライン会議上で、正式な立ち上げを行うことを発表しました。

I4OAは、学術出版社・学術図書館員・研究者・インフラ提供者・その他ステークホルダーの協働により設立された、抄録(Abstract)データのオープン化を推進するイニシアティブです。

多くの抄録がすでに複数の書誌データベース上で利用可能となっている一方で、購読が必要・機械可読でない・分野が限定されている、といった制約も存在します。I4OAは、研究における発見を加速化するため、全ての学術出版社に対し抄録データのオープン化を、特にCrossrefへの提供を通じたオープン化を求めています。

すでに40の学術出版社がI4OAへの支持とCrossrefへの抄録データの提供に同意しており、図書館・図書館協会・インフラ提供者・国際的な研究助成機関を含む56のステークホルダーも支持を表明しています。I4OAの発表には、これら支持者のリストも掲載されています。

韓国科学技術情報研究院(KISTI)、科学技術情報プラットフォームScienceONにおいて、研究テーマの発展の全体的な流れを把握することができる「論文タイムラインサービス」の試験運用を開始

韓国科学技術情報研究院(KISTI)が、2020年9月21日から、KISTIが運営する科学技術情報提供プラットフォームScienceONにおいて、「論文タイムラインサービス」の試験運用を開始しています。

当該論文の引用・被引用情報を分析し、その論文を中心として、引用・被引用された論文を時系列順(タイムライン)に生成するもので、関心のある分野の研究テーマがどのように発展してきたか、その全体の流れを把握することが可能です。

これにより、研究者が既存の研究結果をもとに自身の研究を次の段階に発展させるとともに、隣接分野との融合研究を行うにあたって、論文の時系列情報を根拠に革新的な研究を発見し、また、研究の方向性を確立することに役立てることが期待されています。

ScienceON, ‘논문타임라인 서비스’ 개편(ScienceON、「論文タイムラインサービス」改編)(KISTI,2020/9/20)
https://www.kisti.re.kr/promote/post/news/5022?t=1600993924341

ハゲタカジャーナル・ハゲタカ出版に対する「警戒リスト」「安全リスト」の質的内容分析(文献紹介)

2020年9月8日付で、Elsevier社が刊行する大学図書館の関わるテーマを主に扱う査読誌“The Journal of Academic Librarianship”掲載記事として、米・テキサス工科大学の研究者5人による共著論文“A qualitative content analysis of watchlists vs safelists: How do they address the issue of predatory publishing?”がオープンアクセス(OA)で公開されています。

学術出版において、ハゲタカジャーナル・ハゲタカ出版に対する懸念はますます高まっています。この問題へ対抗するため、多くの個人・団体・企業がハゲタカ雑誌・出版社の特定を目的とした「警戒リスト(watchlist)」や、信頼のおける雑誌・出版社の特定を目的とした「安全リスト(safelist)」の作成を試みています。

日本学術会議、提言「シチズンサイエンスを推進する社会システムの構築を目指して」を公表

2020年9月14日、日本学術会議は、同会議の若手アカデミーによる提言「シチズンサイエンスを推進する社会システムの構築を目指して」を公表しました。

同提言は、職業科学者ではない一般の市民によって行われる科学的活動「シチズンサイエンス」について、海外と比べて拡大の兆しが見えず、展開されたとしても実施のための基盤整備が十分とは言えない点を日本における推進の課題として指摘しています。具体的な問題点として、「シチズンサイエンスを広げるシステムの不足」「シチズンサイエンスの研究倫理を保持する基盤整備の不足」「職業科学者とシチズンサイエンスを行う市民を橋渡しし、双方向性のあるシチズンサイエンスを推進するための基盤整備の不足」「シチズンサイエンティストの活動を支援する研究資金制度の不足」の4点を挙げ、これらの現状と問題点を踏まえて以下の4点を提言しています。

(1) シチズンサイエンスの知識生産活動への拡大に向けた広報活動
(2) シチズンサイエンスの研究倫理を保持する基盤整備
(3) シチズンサイエンスを推進するための社会連携の基盤整備
(4) シチズンサイエンティストの活動を支援する研究資金制度の確立

一般社団法人情報科学技術協会(INFOSTA)、『情報の科学と技術』誌掲載記事のオープンアクセス(OA)ポリシーを策定:グリーンOAによる公開手続・時期等を明確化

2020年9月9日、一般社団法人情報科学技術協会(INFOSTA)は、会誌『情報の科学と技術』について、掲載記事のオープンアクセス(OA)ポリシーを策定したことを発表しました。

INFOSTAはOAポリシーの策定によって、同誌へ記事を執筆した著者が機関リポジトリ等でグリーンOAにより記事の公開を実施する際の手続・時期等を明確化しました。OAポリシー策定に伴い、同誌への原稿の執筆・提出・掲載の詳細を定めた「『情報の科学と技術』原稿執筆の手引き」の「5. 著作権」のうち第3節の改訂が行われています。

米・Authors Alliance、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)第1201条へ研究目的のテキスト・データ・マイニング(TDM)を可能にするための例外追加を求めた申立を提出

2020年9月8日、作家の利益促進のために活動する米国の非営利団体Authors Allianceは、米国著作権局に対してデジタルミレニアム著作権法(DMCA)第1201条へ研究目的のテキスト・データ・マイニング(TDM)を可能にするための例外追加を求めた申立(petition)を提出したことを発表しました。

DMCA第1201条は、著作権保護のため著作物に設定された技術的保護手段の回避を禁じていますが、特定の条件下で適用を除外して回避を認める例外を規定し、3年ごとに例外対象の見直しを行っています。米国著作権局は2020年6月22日付で、通算8度目の見直しの開始と要望等の受付を通知し、Authors Allianceはこの手続きに基づいて、米国図書館協会(ALA)・北米研究図書館協会(ARL)・大学・研究図書館協会(ACRL)で構成する図書館著作権同盟(LCA)、及び米国大学教授協会(American Association of University Professors:AAUP)とともに申立を提出しました。

Springer Nature社、オンラインイベント「査読の透明性とオープン化:研究の信頼性を構築するために」を開催

2020年9月25日、Springer Nature社が、オンラインセミナー「査読の透明性とオープン化:研究の信頼性を構築するために」(Building trust in research through transparency in peer review)を開催します。

9月21日から9月25日にかけてのPeer Review Week 2020に関連したセミナーです。Sowmya Swaminathan氏により、査読の概要、査読に関する同社の取組や成果、新型コロナウイルス感染症の時代における査読等の内容について、英語で講演が行われます。

参加費は無料で、事前の申し込みが必要です。

査読の透明性とオープン化:研究の信頼性を構築するために(Springer Nature)
https://www.springernature.com/jp/20200925/18347366

“Peer Review Week 2020”は2020年9月21日から9月25日:テーマは“Trust in Peer Review”

2020年9月21日から9月25日にかけて、ピアレビューが科学的質の担保において果たす役割をたたえる国際的イベント“Peer Review Week 2020”が開催されます。

今回のテーマは“Trust in Peer Review”です。ピアレビューの過程がどのように機能しているのか、ピアレビューがなぜ研究の信頼性構築に役立つのかについて焦点を当てると述べられています。

Peer Review Week 2020
https://peerreviewweek.wordpress.com/peer-review-week-2020/

参考:
2019年9月16日から20日はPeer Review Week 2019 今年のテーマは”Quality in Peer Review”
Posted 2019年9月17日
https://current.ndl.go.jp/node/39042

2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」の講演資料が公開される

2020年8月28日にオンラインで開催された、2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」の講演資料が、9月14日に公開されました。

同セミナーで行われた以下の講演について、資料が掲載されています。

・研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化
倉田敬子氏(慶應義塾大学)

・Research data and scholarly journals: developments, policy and implementation
Dugald McGlashan氏(INLEXIO)、Caroline Hadley氏(INLEXIO)
※試訳が付いています。

・社会科学分野における研究データの公開
朝岡誠氏(国立情報学研究所)

・実験技術開発における研究データ公開の役割について
笹川 洋平氏(理化学研究所)

・J-STAGE Dataのご紹介
科学技術振興機構(JST)

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