学術情報流通

米・ブラウン大学デジタル出版イニシアティブ、同大学初のボーンデジタルの学術単行書を米・ヴァージニア大学出版局から出版

2020年7月21日、米・ブラウン大学は、同大学デジタル出版イニシアティブ(Digital Publications Initiative)作成のボーンデジタルの学術単行書“Furnace and Fugue”が、米・ヴァージニア大学出版局から出版されたことを発表しました。

発表によると、同大学にとって初のボーンデジタルの学術単行書であり、テキストと画像、楽譜、音声が含まれています。同出版局は、同書をオープンアクセスで公開する予定としています。

また、同大学では、デジタルでの単行書の出版について、新たな学術的形式の構築および検証が行われています。同イニシアティブは、2021年にボーンデジタルの単行書1冊を米・スタンフォード大学出版局から出版予定であり、アンドリュー・W・メロン財団の助成を受けて、今後6年間で4つから5つの新たなプロジェクトの追加を計画しています。

内閣府、「統合イノベーション戦略2020」を公表

内閣府が2020年7月17日に閣議決定された「統合イノベーション戦略2020」を公表しています。

「統合イノベーション戦略2020」は、新型コロナウイルス感染症の拡大や大規模災害の発生、イノベーションをめぐる覇権争いの激化など、国内外の状況が著しく変化したこと、また、第201回国会において、人文・社会科学やイノベーションの概念を追加する改正科学技術基本法が成立したことを踏まえて、重点的に取り組むべき施策として策定されました。以下の4点が戦略の柱として盛り込まれています。

① 新型コロナウイルス感染症により直面する難局への対応と持続的かつ強靭な社会・経済構造の構築
② スタートアップ・エコシステム拠点都市の形成やスマートシティの実現と国際展開などの推進
③ 研究力を強化するための若手研究者の挑戦支援や、大学等の間での連携による世界に伍する規模のファンドの創設、人文・社会科学の更なる振興
④ AI、バイオ、量子技術、マテリアルといった基盤技術や、感染症や自然災害などに対する安全・安心に関する科学技術、環境エネルギーなど重要分野の取組の強化

cOAlition S、欧州研究評議会(ERC)科学評議会のオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表

2020年7月21日、cOAlition Sは、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)によるオープンアクセスとPlan Sへの声明に対する返答を公表しました。

声明では、過去20年間にわたってハイブリッドジャーナルへの支援がオープンアクセスの速やかな進展を妨げてきたこと、転換契約がないハイブリッドジャーナルには出版社の二重取り(double-dipping)を阻止する手段がないことが指摘されています。

さらに、ハイブリッドジャーナルの現状を維持することは、潤沢な研究資金が与えられている研究者のみがハイブリッドジャーナルでのOA出版に要する費用を調達できることから、欧州の研究者間の不平等を悪化させると述べられています。リポジトリへの登録によるPlan Sへの準拠を可能とする権利保持戦略が存在することから、研究者はハイブリッド型を含むいずれのジャーナルも選択することが可能であると指摘しています。

また、cOAlition Sは若手研究者の懸念に特に注意を払っており、若手研究者を支援する機関との緊密に協働していることが述べられています。

欧州研究評議会(ERC)科学評議会、オープンアクセスについてCoalition Sから独立した活動を行うことを発表:若手研究者や助成が少ない国の研究者等のニーズに焦点

2020年7月20日、欧州研究評議会(ERC)の科学評議会(Scientific Council)が、Coalition Sのサポーターをやめ、オープンアクセス(OA)の実現に向けて独立した活動を行うことを決定したと発表しました。

発表によると、若手研究者をはじめとした研究者のニーズや、研究コミュニティや欧州の国家間での公平性の担保等に焦点が当てられます。また、Coalition Sが示している、2021年1月1日から発効する完全・即時のOAに関する原則Plan Sについて、特に若手研究者や代替となる助成が少ない国の研究者、OA方針の導入が難しい分野の研究者にとって弊害となり得ると指摘しています。

同審議会は、欧州委員会(EC)と連携し、Horizon EuropeのOAに関する規則と齟齬なく、ERCを含めたプログラム全てに適用可能な解決策を模索するとしています。

オランダの学術雑誌にオープンアクセス(OA)出版を提供するプラットフォーム“OpenJournals.nl”の構築が始まる:2020年秋に運用開始予定

オランダのオープンアクセス(OA)に関する情報を提供するウェブサイト“open access.nl”の2020年7月14日付の記事で、オランダ王立芸術科学アカデミー (KNAW)が同国の学術雑誌へOA出版を提供するプラットフォーム“OpenJournals.nl”の構築を開始したことが紹介されています。

プラットフォームの構築には、オランダ科学研究機構(NWO)が助成しており、KNAWとNWOはOpenJournals.nlによって、規模が小さく独自にOA出版へ移行する手段に乏しい社会科学・人文科学分野のOAを促進することを意図しています。OpenJournals.nlは学術雑誌をOA出版するためのデジタル基盤と技術的支援を提供するものであり、各雑誌及び編集者のコンテンツ・購読構造等に関する自律的な運営機能は維持される、と説明しています。

文部科学省、ジャーナル問題検討部会(第3回)の議事録・配布資料を公開

文部科学省のウェブサイトにおいて、2020年6月15日にオンラインで開催された科学技術・学術審議会情報委員会ジャーナル問題検討部会(第3回)の議事録と配布資料が公開されています。

ジャーナル問題検討部会 議事録・配付資料(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu29/001/giji_list/index.htm
※第3回の議事録・配布資料も掲載されています。

参考:
文部科学省、ジャーナル問題検討部会(第2回)の議事録・配布資料を公開
Posted 2020年5月28日
https://current.ndl.go.jp/node/41066

FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言(文献紹介)

2020年7月7日付で、Elsevier社傘下Cell Pressが刊行するデータサイエンス分野の査読付きオープンアクセス(OA)誌“Patterns”掲載記事として、FAIR原則に従ったサービスを実践するためのデータ及びインフラサービスプロバイダに対する提言“Recommendations for Services in a FAIR Data Ecosystem”が公開されています。

同記事で示された提言は、欧州のFAIR原則促進プロジェクト“FAIRsFAIR”、研究データ同盟(RDA)の欧州における活動拠点RDA Europe、OA学術コンテンツの国際的データベースOpenAIRE、欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)実現のためのポータルサービスEOSC-hub、永続的識別子に関する基盤の発展を目指すプロジェクトとして欧州委員会の出資するFREYA projectが、2019年中に共同実施した3回のワークショップの成果に当たるものです。これらの団体は協調して、FAIR原則の実現に貢献すべきサービスにとっての共通課題と優先順位を明らかにすることへ取り組み、EOSCの構築を念頭に置きながら、データ基盤の発展とFAIR原則準拠のサービス提供のための協力に関する提言を作成しました。

オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、2019年度JPCOAR総会の資料を公開

2020年7月14日、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)、2019年度JPCOAR総会の資料を公開したことを発表しました。

2019年度のJPCOAR総会は政府の「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」を受けて、2020年3月5日から16日までオンライン投票方式で実施され、会長の選出や会費規程の改正などが行われており、総会資料や議事要旨が公開されています。また、グリーンオープンアクセス(OA)のグッドプラクティスの先行共有のため、総会の第2部として開催予定であった「グリーンOAのグッドプラクティスと課題」における各大学の報告資料等も併せて公開されています。

2019年度JPCOAR総会資料の公開について(JPCOAR,2020/7/14)
https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/?page_id=141#_href_510

2019年度JPCOAR総会資料(JPCOAR)
http://id.nii.ac.jp/1458/00000217/

cOAlition S、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開

2020年7月10日、cOAlition Sは、研究の慣行や学術情報流通におけるPlan Sの影響関係をモニタリングするための枠組みを公開したことを発表しました。

cOAlition Sは、Plan Sの実施は研究者の出版慣行や研究活動・評価に大きな影響を与えることが予想され、Plan Sの実現にかかる手引きに対する600件以上のフィードバックでも、分野間の出版慣行の相違や出版のための費用へのアクセス等に関する不平等など、多くの監視・対処すべき課題を挙げられたことから、モニタリングのための枠組み構築を進めました。

公開された枠組みはPlan Sに署名する助成機関が、利害関係者とPlan Sの影響関係を議論するにあたって、肯定的な影響・否定的な影響の双方を追跡・監視できることを目的として構築されました。枠組みはScience Europe、UK Research and Innovation (UKRI)などのcOAlition Sを構成する助成機関や、European Council of Doctoral Candidates and Junior Researchers(Eurodoc)などのPlan Sの影響に関する懸念が特に示されたキャリア初期の研究者が構成する団体のタスクフォースによって策定されました。

欧州14大学の共同運営による機関リポジトリを統合して学術成果物を迅速にオープンアクセス(OA)出版するためのプラットフォーム“University Journals”(文献紹介)

2020年6月29日付で、欧州研究図書館協会(LIBER)の季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻第1号(2020)掲載の事例研究として、複数の大学の共同運営によって、個々の機関リポジトリを統合し参加大学所属の研究者による成果物をオープンアクセス(OA)出版するために整備中のプラットフォーム“University Journals”設立の経緯や展望を紹介した論文が公開されています。

“University Journals”は、査読を経て商業出版社の購読誌に学術成果を発表する伝統的な学術出版システムがオープンサイエンスの発展を阻害している一方、機関リポジトリによる成果物のOA化は研究者に十分なメリットを示せていないため進展していないという問題意識から設立の検討が始まりました。個々の大学の機関リポジトリと接続し、出版社から独立した効率的・高品質で持続可能性の高い出版プラットフォームを構築するプロジェクトとして、オランダのPICA財団等の助成を受けながら、欧州14大学のコンソーシアムにより共同研究が進められています。

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