学術情報流通

Springer Nature社とスイスの大学の連合団体swissuniversities、“Read and Publish”契約に最終合意

2020年7月1日、Springer Nature社とスイス学術図書館コンソーシアム(Consortium of Swiss Academic Libraries:CSAL)は、2020年4月に取り交わされた覚書を受けて、同社とスイスの大学の連合団体swissuniversitiesとの“Read and Publish”契約が最終合意に至ったことを発表しました。

同契約は2022年12月31日まで有効な3年間の契約です。契約期間中、swissuniversities及びCSALの契約参加機関に所属する著者は、自身の研究成果を2,200誌以上のSpringer Nature社のハイブリッド誌で即時オープンアクセス(OA)化することが可能になります。また、SpringerLink上で公開された全ての研究成果にアクセス可能となります。

同契約はSpringer Nature社にとって、国レベルで転換契約を締結した11番目の事例となります。また、2024年までに研究成果の100%OA化を目指すswissuniversitiesにとって、2020年5月に締結されたElsevier社との契約に続く2番目の大手学術出版社とのOA出版に関する契約となります。

契約書の全文はCSALのウェブサイトで公開されています。

オランダ科学研究機構(NWO)、同機構の助成規則におけるPlan S実施のための指針を発表

2020年7月1日、オランダ科学研究機構(NWO)は、2021年1月1日のPlan S発効に先立ち、研究者に十分な準備期間を与える目的で、NWOの助成規則におけるPlan S実施のための指針を発表しました。

NWOでは2015年以降、助成を受けた研究成果は全てオープンアクセス(OA)化するポリシーを実施していますが、2021年1月のPlan S発効後は今回発表された指針の枠組みで、2019年5月31日に発表された改訂版のPlan S実現に取り組みます。

NWOは2021年1月1日以降に公表された助成成果に当たる研究論文は、クリエイティブ・コモンズのCC BYライセンスの下で、エンバーゴの付かない即時OAとしなければならず、即時OA化は以下の3種類のいずれかの方法をとらなければならないとしています。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、報告書「COVID-19研究に関する国際共著状況:2020年4月末時点のデータを用いた分析」を公開

2020年7月3日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、「DISCUSSION PAPER No.185」として、報告書「COVID-19研究に関する国際共著状況:2020年4月末時点のデータを用いた分析」を公開したことを発表しました。

発表によると、新型コロナウイルス感染症の研究活動における国際協力の状況を把握し、協力関係構築の推進に向けたデータを提供することを目的に、文献産出の地理的状況や国際共著の状況に関して分析が行われました。対象となったのは、2020年4月末時点で、世界保健機関(WHO)が公開している文献データとElsevier社が提供する論文データベースScopusから特定できた、新型コロナウイルス感染症関連の文献4,753件です。

報告書では、文献産出は、アジアが39.9%と最も多く、続く欧州連合(EU)が23.2%、北米が17.7%であり、上位3エリアで合計約80%を占めていること等が指摘されています。また、国際共著状況については、3か国・地域以上による国際共著が長期的に増加していること等が記述されています。

Elsevier社と米・フロリダ大学図書館、オープンアクセス出版と研究を支援する試験的な契約を締結

2020年7月1日、Elsevier社が、米・フロリダ大学のジョージA. スマザーズ図書館と、オープンアクセス(OA)出版と研究を支援する試験的な契約を締結したと発表しました。

発表によると、今回の契約は同社と同大学の現行のライセンス契約を修正したもので、2020年7月1日から発効しています。

同契約により、同大学の論文著者は、同社が刊行する大部分のOAジャーナルおよびハイブリッドジャーナルでOA論文の出版費用が割引されます。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)、報告書「COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析」を公開

2020年6月30日、科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が、[DISCUSSION PAPER No. 186]として「COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析」を公開したことを発表しました。

同分析はarXivやmedRxiv等の主要なプレプリントサーバでの新型コロナウイルス感染症関連の文献リストを対象に、新型コロナウイルス感染症に関する研究の概況を把握することを目的として行われました。

分析の結果として、医療系に加え、人文社会系、物理・情報系に主軸を置くプレプリントサーバでも新型コロナウイルス感染症に関する投稿が見られることが挙げられています。また、発表の中では、論文の内容の時系列推移について、疫学調査のステップに合致するような傾向がみられることなどが述べられています。

COVID-19 / SARS-CoV-2 関連のプレプリントを用いた研究動向の試行的分析[DISCUSSION PAPER No. 186]の公表について(NISTEP, 2020/6/30)
https://www.nistep.go.jp/archives/44760

Clarivate Analytics社、Journal Citation Reports(JCR)の2020年版をリリース

2020年6月29日、Clarivate Analytics社は、学術誌評価分析データベース“Journal Citation Reports”(JCR)2020年版のリリースを発表しました。

2020年版では最新版のジャーナル・インパクトファクター(JIF)2019を参照することができます。83か国の学術雑誌12,000誌以上の情報を収録し、収録誌のうち完全オープンアクセス(OA)誌は1,600誌以上です。また、351誌の新規タイトルのうち178誌がOA誌です。

2020年版のJCRでは、OAに関する新たなデータが追加され、各学術雑誌の論文をアクセスモデル別に表示するデータが提供されます。これにより、ゴールドOAの学術論文が学術雑誌全体のコンテンツ量と被引用数にどの程度貢献しているかについて、透明性のある出版社中立の情報を研究コミュニティに提供可能になっています。また、7,487タイトルのハイブリッド誌について、従来の購読モデルで発行された論文数とクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で出版されたゴールドOAの論文数とを容易に識別可能になっています。

その他、過剰な自誌引用や不自然な引用等に関するモニタリングを行った結果として、33タイトルの除外や、15タイトルへの懸念表明を実施したことを表明しています。

Knowledge Unlatched(KU)、OpenAPCのデータセットの収録範囲が単行書のオープンアクセス化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表

2020年6月30日、Knowledge Unlatched(KU)は、機関が実際に支払した論文処理費用(APC)のデータセットを提供するイニシアチブ“OpenAPC”とともに、OpenAPCの提供するデータセットの収録範囲が単行書オープンアクセス(OA)化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表しました。

OpenAPCは、OA出版物のAPCの透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”の一部を構成するイニシアチブで、ドイツのビーレフェルト大学図書館が運営しています。今回の初めてのOpenAPCへのBPCの登録では、KUの共同出資による選書プログラムの下で、KUが出版社に支払した全ての費用に関する約1,000冊相当のデータが含まれています。また、KUが資金を募っているその他のコレクションについても、詳細な支払関連データを共有することが予定されています。KUは、自身のOpenAPCへの貢献により、OA単行書のための新しいデータベースが立ち上げられた、としています。

BPCを含んだデータセットは、OpenAPCイニシアチブのウェブサイトで公開されています。2020年夏以降に現在のデータセットからの拡張が予定されています。

DataCite、既存の永続的識別子(PID)関連サービスの発見性向上のためのレジストリ“PID Services registry”を公開

2020年6月26日、DataCiteが、既存の永続的識別子(PID)及びPID関連サービスの発見性向上のためのレジストリ“PID Services registry”を公開したことを発表しました。

欧州オープンサイエンスクラウド(EOSC)においてPID関連分野で特に貢献し、欧州委員会が出資するFREYA projectにおいて、PID Services registryは開発されました。既存のPID関連サービスを簡単に調べることが可能なサービスとして提供され、PID関連サービスのDOI及びDOIに関するメタデータが登録されています。公開時点では、様々な分野のPID関連サービス35件が登録されており、今後拡張することが予定されています。

DateCiteでは、2020年7月8日の午前11時(中央欧州夏時間)から、PID Services registryを紹介するウェビナーの開催を予定しています。

Introducing the PID Services Registry(DataCite Blog,2020/6/26)
https://doi.org/10.5438/pwjv-9m56

韓国国立中央図書館(NLK)、機関リポジトリ普及促進事業OAKの2020年の対象機関を発表:同事業によるリポジトリ設置機関が53機関に

2020年7月1日、韓国国立中央図書館(NLK)は、6月30日に、機関リポジトリ普及促進事業OAKの2020年の対象機関として、啓明大学校医学図書館・済州大学校中央図書館・朝鮮大学校中央図書館・韓国職業能力開発院・韓国韓医薬振興院の5機関と契約を締結したと発表しています。これにより同事業により設置された機関リポジトリは53となります。

2014年に開始された同事業では、77万件の学術情報がOAKの国家リポジトリを通じて検索できるようになっており、今回契約した機関では、バイオ、生物資源、自然生態系、観光、レジャー等に関する研究成果や、人工知能事業の推進と連携した研究情報、韓医薬の素材に関する研究情報や特許資料といった韓医薬産業に関する機関リポジトリが構築されます。

5機関では、OAKのメタデータ標準が適用された最新型リポジトリの構築、内部システム連携、1年間の無償メンテナンス、運営者教育などの支援を受けることになります。

米・マサチューセッツ工科大学出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19”を公開

2020年6月29日、米・マサチューセッツ工科大学(MIT)出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が、新型コロナウイルス感染症に関連する研究成果の迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19” (RR:C19)を公開したことを発表しました。

同ジャーナルでは、人工知能(AI)を用いて、プレプリントリポジトリから有望な研究成果を抽出し、専門家にピアレビューを依頼し、透明性が担保された過程を経て結果をオープンアクセス(OA)プラットフォームで出版するとしています。

発表によると、研究助成団体であるPatrick J. McGovern Foundationから助成を得て、オープンソースの出版プラットフォームであるPubPub上にホストされています。

最初のレビューは、2020年7月に公開される予定です。

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