教科書

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学術機関支援強化として高等教育向け教科書700タイトルの無料公開等を実施

2020年3月17日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う学術機関の支援を強化することを発表しました。

支援強化の一環として、CUPの刊行する高等教育向けの教科書700タイトルが、過去の購入の有無にかかわらず、学術プラットフォームCambridge Core上でHTML形式により無料で利用可能になっています。これらのタイトルは2020年5月末まで無料で利用可能です。また、Cambridge Coreのプラットフォームを利用中の機関向けに、CUPの刊行するレファレンス資料コレクションへの無料アクセスのリクエストが2020年5月末まで受付されています。

今回のCUPの支援強化は、すでに実施済のコロナウイルス関連研究の無料提供実施に続く支援として行われることが表明されています。

U.S. PIRG、出版社と大学の契約によって学生が割引された教科書費用を授業料として自動的に支払う“inclusive access”契約の調査レポートを公開

2020年2月28日、米国の消費者権利団体であるU.S. PIRGがTwitterアカウント上で、U.S. PIRGの教育基金(Education Fund)が作成した調査レポート“Automatic textbooks billing: an offer students can’t refuse?”を紹介しています。

米国では多くの大学が、セメスターの初めに支払う授業料により、学生が授業で使用される出版社プラットフォーム上の教材へアクセス可能となる“inclusive access”契約を出版社と締結しています。この契約では市場価格から割引された価格の教科書費用を授業料に含むことで、学生は授業料の支払によって、実質的な費用負担を少なく、かつ自動的に教科書を利用できる、とされています。

U.S. PIRGは全米の31大学、及び70万人以上の学部生に対する調査に基づいてレポートを作成し、次のような知見を示しながら、“inclusive access”契約について、割引が不十分または実行されていないこと、学生に契約への参加を強制する構造、契約に関する情報の欠落、等の問題点を指摘しています。

米・コロンビア大学バトラー図書館、低所得の大学第一世代の学生のみ貸出可能な教科書のコレクションを提供:該当学生の財政的負担軽減のため

米・コロンビア大学の学生新聞“Columbia Daily Spectator”の2020年2月19日付の記事において、同大学のバトラー図書館が、両親ともに大学卒ではない大学第一世代(first-generation)で低所得の学生のみ貸出可能な教科書コレクションを提供していることが紹介されています。こうした学生の財政的負担の軽減を意図した試みです。

“Columbia Daily Spectator”の記事によると、この試みは同大学の低所得の大学第一世代の学生を支援する学生団体“Columbia First-Generation Low-Income Partnership(FLIP)”と図書館の提携により実施されるものです。FLIPは低所得の大学第一世代向けに学生からの寄付による教科書を貸出するプロジェクトを2014年から実施しています。

コロンビア大学はニューヨーク・タイムズ紙による社会経済的に多様な背景を持つ学生が利用しやすい大学のランキングで20位以内に入っているものの、同大学の学生は、ほとんどの授業の必需品である教科書価格が高額であることが学生生活の障壁になっていることを繰り返し指摘しています。

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国の競争・市場庁(CMA)へMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について正式な調査の実施を求めた書簡を提出

2020年1月28日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)は、英国の競争・市場庁(Competition and Markets Authority:CMA)に対して、米国に拠点を置く世界的教育出版社のMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について、正式な調査を実施することを求めた書簡を提出しました。

SCONULは書簡の中で、両社の合併計画が先行して問題となっている米国・オーストラリアと同様に、英国の学術教科書市場は限られた出版社による寡占状態にあり、この合併が学術教科書の価格競争の深刻な縮小をもたらし得ると指摘しています。また、各出版社が印刷体教科書の販売からデジタル教科書の販売へ移行を進めていることと関連して、合併により学術教科書市場の独占・寡占が進行すると、図書館が極めて高額なライセンス料で教科書を購入する状況を促進し図書館の財政を深刻に圧迫する、学生の利用に関するデータが限られた出版社に集中する、等の観点からも問題点を指摘しています。

両社の合併計画について第2段階の正式な調査が実施されるかどうかは、2020年3月10日にCMAが発表する予定です。

高等教育出版社Cengage社、2020年8月から大学教科書・教材の購読制サービス“Cengage Unlimited”内でデジタル教科書等に絞った購読が可能なオプションサービスを開始

2020年1月14日、米国に本社を置く高等教育出版社Cengage社は、2020年8月から同社の大学教科書・教材の購読制サービス“Cengage Unlimited”内で、デジタル教科書等に絞った購読が可能なオプションサービス“Cengage Unlimited eTextbooks”を開始することを発表しました。

“Cengage Unlimited eTextbooks”は1セメスター当たり69.99ドルの定額料金で、1万4,000タイトル以上のデジタル教科書・学習ツール等へのアクセスや、印刷体の教科書を希望する場合は1冊当たり7.99ドル・送料無料で4冊まで注文することが可能になります。また、オンライン宿題のアクセスコードや学習用教材等を利用できる完全な“Cengage Unlimited”へアップグレードも可能です。

“Cengage Unlimited”はCengage社が教科書出版業界として初めて導入した購読制サービスで、2018年8月の開始以来急速に普及し200万以上の登録を得ています。

米・カリフォルニア大学デービス校、2020年秋から全ての学部生を対象に定額制で教科書等の授業教材をオンライン提供するサービス“Equitable Access”を開始予定

米・カリフォルニア大学デービス校が発行する同校卒業生向け雑誌“UC Davis Magazine”の2019-20年秋冬号に、同校が2020年秋から開始予定の試験サービス“Equitable Access”が紹介されています。

“Equitable Access”は暫定的に199ドルと設定された四半期ごとの定額料金で、教科書等の授業教材にオンライン上でアクセス可能となるサービスです。教科書価格の変動による不公平への対処を目的としており、現在教科書・教材のための費用として、年間約1,136ドルを要する状況に大幅な変革を起こすものである、としています。

“Equitable Access”は全ての学部生が利用可能となる予定です。四半期ごとに料金を支払うモデルは、同校キャンパス内を運行する交通システム“Unitrans”等の全ての学生が支払を行っているモデルを真似て設計されています。

同校の購買部(UC Davis Stores)のウェブサイト上には“Equitable Access”の特設サイトが設けられており、サービスの詳細は2020年春後半に公開する、としています。

オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)、世界的教育出版社Cengage社・McGraw-Hill社の合併計画の問題点に関する声明を公開

2019年12月12日、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、米国に拠点を置く世界的教育出版社のCengage社・McGraw-Hill社の合併計画について、その問題点の概要を示した声明として“Statement of Issues”を公開しました。

ACCCは、両社はオーストラリアの高等教育機関にとって重要な役割を果たす出版社であり、合併がオーストラリアの学生に対して、製品の価格上昇、製品の品質低下、製品の選択肢の減少等をもたらす予備的な懸念があることを指摘しています。また、合併による競争の減少が、教育資料の著者にとっては、印税の減少や契約条件の低下へつながる可能性についても言及されています。

ACCCは、両社の合併計画の問題点に関する予備的な見解の提示・さらなる調査が必要な分野の特定・問題点の評価のための利害関係者からのコメントや情報の募集を企図して、“Statement of Issues”を同日付で公開しています。2020年1月20日までこの問題に関する利害関係者からの意見が募集され、集まった意見に基づいて、2020年3月12日に、合併計画に対するACCCの最終的な判断が下される予定です。

米国図書館協会(ALA)、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行是正を求めたレポートを米国下院に提出

2019年10月23日、米国図書館協会(ALA)は、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行の是正を求めたレポートを米国下院に提出したことを発表しました。レポートは、Macmillan社が2019年11月1日から実施する図書館向け電子書籍の新しい提供モデルへのALAの抗議キャンペーン“#eBooksForAll”に続く形で公開されました。

ALAは、米国の下院司法委員会の下に設置された独占禁止法・商法および行政法に関する小委員会によるデジタル市場における競争の状況に関する情報提供の求めに応じたレポートとして、2019年10月15日付で“Competition in Digital Markets”を作成しました。ALAはレポートを通して、デジタル市場におけるAmazon社・Macmillan社等の企業の商慣行が、米国民の何をどのように選んで読書を行うかに関する権利を脅かし、合衆国憲法修正第1条で定められた基本的な自由を損なっていることを強調し、こうした反競争的な商慣行是正を議員らに訴えています。

米・カリフォルニア大学デービス校が2020年秋から実施予定の定額制教科書・授業教材提供サービス“Equitable Access”の展望(記事紹介)

学術出版系ブログ“The Scholarly Kitchen”の2019年9月4日付の投稿において、米・カリフォルニア大学デービス校が2020年秋から実施する定額制の教科書・授業教材提供サービス“Equitable Access”に関して、購買部(Campus Stores)でExecutive Directorを務めるJason Lorgan氏へインタビューを実施した記事が掲載されています。

カリフォルニア大学デービス校は、キャンパス規模で出版社と契約を結び学生全体に均等にコストを配分することで、同校の学生が教科書やその他の授業教材を利用するためのコストを大幅に削減することを意図した新プログラム“Equitable Access”実施の準備を進めています。Lorgan氏はインタビュー記事の中で質問への回答の形で“Equitable Access”実施の背景や展望を説明しています。

国立教育政策研究所教育図書館の明治期教科書デジタルアーカイブがリニューアル:「近代教科書デジタルアーカイブ」にウェブサイト名称を変更

2019年8月19日、国立教育政策研究所教育図書館は、同館の明治期教科書デジタルアーカイブをリニューアルしたことを発表しました。

このリニューアルにより、ウェブサイト名称が「近代教科書デジタルアーカイブ」に変更され、英語版サイトが公開されています。

また、同日付で国定教科書(尋常小学校・高等小学校)約860冊の本文画像追加も行われています。

国立教育政策研究所教育図書館近代教科書デジタルアーカイブ
https://www.nier.go.jp/library/textbooks/
※お知らせ欄に「2019/08/19:国定の約860冊の本文画像を追加しました。サイト名を「近代教科書デジタルアーカイブ」に変更しました。英語ページを追加しました。」とあります。

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