ドイツ

ドイツ医学中央図書館(ZB MED)、2020年版以降の医学件名標目表(MeSH)のドイツ語翻訳事業をドイツ医療文書情報機構(DIMDI)から承継

2020年5月20日、ドイツ医学中央図書館(ZB MED)は、米国国立医学図書館(NLM)が整備する医学件名標目表(MeSH)のドイツ語翻訳事業について、ドイツ医療文書情報機構(Deutsche Institut für medizinische Dokumentation und Information:DIMDI)から移管を受け、2020年版以降の翻訳を同館が担当することを発表しました。

MeSHは年に一度更新される世界的に普及した医学用語のシソーラスです。書籍等の主題索引から、データベースの索引、医学・生命科学分野の検索プロファイル作成まで多方面で活用されています。

MeSHのドイツ語翻訳事業は2018年までDIMDIが担当し、2020年5月時点では2019年版MeSHのドイツ語翻訳版がDIMDIのウェブサイトからダウンロード可能になっています。ZB MEDはDIMDIとの緊密な連携の下で、翻訳事業を引き継ぎ、後日2020年版MeSHのドイツ語翻訳版を提供する予定です。

国・大学レベルのオープンアクセス状況の調査(文献紹介)

2020年5月21日、英Open Universityの機関リポジトリにおいて、国・大学レベルのオープンアクセス(OA)状況調査の論文”Open Access 2007 - 2017: Country and University Level Perspective”のプレプリントが公開されました。著者は同大学のBikash Gyawali氏ら3名です。同論文は2020年8月開催のACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries (JCDL)に採択されています。

調査は8カ国(オーストリア, ブラジル, ドイツ, インド, ポルトガル, ロシア, 英国, 米国)と、それらの国の約400大学を対象とし、Microsoft Academic Graph(MAG)と英国の機関リポジトリアグリゲーターであるCOREのデータを使用して実施されました。

米・Ithaka S+R、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始

2020年5月28日、米・Ithaka S+Rは、研究図書館11館とともにビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係の調査プロジェクトを開始したことを発表しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う図書館予算への影響もあり、すでに多くの学術図書館が電子ジャーナルのビッグディール契約の中止を検討しています。図書館の厳しい財政状況から、既存のパッケージ契約がこれまで利用可能だったタイトルへの継続アクセスを保証した「転換契約」のような代替の契約に置き換わる可能性はさらに低下していると言えます。こうした傾向は図書館が利用者へ提供できるタイトルが不十分となる状況をもたらし、ILLやプレプリントサーバー、研究者同士のネットワークなど、他のコンテンツ入手手段への依存を高めることが予想されます。こうした学術情報資源を取り巻く環境の急速な変化の中、研究者へより発展的なコンテンツの発見・アクセス戦略を提供しつつ、こうした変化が研究者の図書館への認識にどのように影響を与えているか把握することが、学術図書館にとって不可欠になっています。

オーストリア図書館協会(BVÖ)、新型コロナウイルス感染症拡大下における図書の貸出・返却時に図書館が順守すべき衛生対策を公表

2020年4月20日、オーストリア図書館協会(Büchereiverband Österreichs:BVÖ)は、新型コロナウイルスから利用者と職員を守るため、図書の貸出・返却時に図書館が順守すべき衛生対策をウェブサイト上で公表しました。

オーストリアでは、4月30日に新型コロナウイルス感染症拡大に関連した外出規制を緩和する連邦社会・保健・介護・消費者保護省(Bundesministeriums für Soziales, Gesundheit, Pflege und Konsumentenschutz)の省令が発令されています。5月1日の同省令発効後も、図書館は入館禁止対象の施設となっていますが、連邦芸術・文化・公共サービス・スポーツ省(Bundesministerium für Kunst, Kultur, öffentlichen Dienst und Sport)はソーシャル・ディスタンシングや衛生面の規定の順守、図書館サービスを資料の貸出返却のみに限定することを条件に、5月15日から図書館が再開できる可能性について言及しています。

BVÖが公表した衛生対策では、4月28日付けの更新を含め主として以下のようなことが示されています。

ドイツ国立図書館(DNB)、2020年5月4日から事前予約制により閲覧室の利用を限定的に再開

2020年4月27日、ドイツ国立図書館(DNB)は、ライプツィヒ館、フランクフルト・アム・マイン館の閲覧室利用を5月4日から限定的に再開することを発表しました。

閲覧室を利用するためには、オンライン上の予約システムを使って事前予約する必要があります。事前予約は1週間前から1日単位で申込できます。手続き完了後に送信される確認メールを予約した日に提示することで閲覧利用が可能になります。また、予約完了後にDNB所蔵資料の利用申込が可能となります。各館の閲覧室には100席が用意されており、希望日がすでに満席であった場合には、別の日に予約を切り替える必要があります。

DNBは閲覧利用の際の注意点として、衛生面や距離を保つことに留意すること、口や鼻を覆う手段の用意を強く推奨すること、入館はメインエントランスのみとなること、フランクフルト館の地下駐車場は閉鎖されていること、食堂やレストランも閉店していることなどを挙げています。

ドイツ図書館協会(DBV)、小規模自治体図書館の「サードプレイス」化を支援する資金援助プログラムを実施

2020年4月20日、ドイツ図書館協会(DBV)は、人口2万人以下の小規模自治体の図書館を対象とした資金援助プログラム「全ての人のための場所(Vor Ort für alle)」の実施を発表しました。

公共図書館は、資料の貸出だけでなく、学習スペース・カフェ・メイカースペース・共同作業スペース・イベント会場などの提供を通して、デジタル化の進む社会における住民への文化的資源の供給を保証する重要な機能を担っています。“Vor Ort für alle”は、小規模館や地方の図書館をこのような機能を果たす「サードプレイス」へ変容させるための資金援助プログラムで、デジタル機器の設置や現代的な図書館の取り組みの実施等への支援が行われます。人口2万人以下の自治体の図書館はDBVへ最大2万5,000ユーロの支援を申請することができます。また、DBVに加盟していない図書館も申請することができます。

同プログラムは、ドイツ連邦議会の決議に基づき、文化・メディア庁(Beauftragten der Bundesregierung für Kultur und Medien : BKM)による「農村地域の文化(Kultur in ländlichen Räumen)」プログラムの一部として実施されます。

独・アーロルゼン・アーカイブズ、ナチス政権の迫害に関する約2,600万点の文書をオンライン公開

2020年4月14日、ドイツのアーロルゼン・アーカイブズ(Arolsen Archives)は、約2,600万件の文書をオンライン公開したことを発表しました。

アーロルゼン・アーカイブズは、ホロコーストの記憶の継承を使命とするInternational Center on Nazi Persecutionが運営する、ナチス政権の迫害に関する世界で最も包括的なアーカイブです。所蔵文書はユネスコの「世界の記憶」にも登録され、点数は3,000万点以上にのぼります。今回ホロコーストの犠牲者約2,100万人の名前が記された約2,600万点の文書がオンライン公開され、アーロルゼン・アーカイブズの所蔵資料の大部分がオンライン上で利用可能になりました。

アーロルゼン・アーカイブズの文書のデジタル化は、イスラエルのヤド・ヴァシェム世界ホロコースト記憶センター(the World Holocaust Remembrance Center Yad Vashem)とともに取り組まれ、2019年5月に「世界の記憶」登録文書を含む約1,300万点の文書がすでにオンライン公開されています。

新型コロナウイルス感染症の拡大と国立図書館の対応

新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、各国の国立図書館でも来館サービスの休止が相次いでいます。米国、英国、フランス、イタリア、ドイツ、中国、韓国の国立図書館について、各館ウェブサイトの情報から2020年4月15日時点での対応状況をまとめました。

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象とするオープン化された教科書シリーズの第1弾として“Krisenmanagement”を公開

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)は、2020年4月9日付のブログ記事において、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象としたオープン教育資源(OER)の教科書シリーズ第1弾として、“Krisenmanagement(危機管理)”の公開を発表しました。

TIBでは、同館のオープンサイエンスラボが新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者支援を目的として、迅速な図書製作(book sprints)・OER開発に取り組んでいます。この取り組みの一環として、8冊の公衆衛生サービスに関する教科書シリーズの製作が進められており、公開された“Krisenmanagement”は、このシリーズの最初のタイトルとなります。

“Krisenmanagement”はオープンアクセス(OA)となっており、GitHub上にも様々なフォーマットで公開されています。また、ドイツのeラーニングプロバイダー“oncampus”のウェブサイト上で、同書のコンテンツを基にしたMOOCが提供されています。このため、公衆衛生分野を新たに学ぶ医学生はすぐにこの教材を活用可能になっています。

新型コロナウイルス流行下の社会の記憶を収集・アーカイブするプロジェクト“coronarchiv”(ドイツ)

2020年3月26日、ドイツのハンブルク大学は、同大学及びボーフム大学・ギーセン大学の研究者らが共同して、“coronarchiv”プロジェクトを開始したことを発表しました。

新型コロナウイルスとこれに対する政治的反応は、市民社会の生活全般を根本的に変革しつつあり、ウイルスの大流行とそれがもたらす帰結はすでに歴史的な重要性を帯びています。新型コロナウイルスの大流行は、報道やソーシャルメディア上で、画像・音声・動画等の形で広く流通しており、“coronarchiv”はこれらの記録を電子的な形で収集・アーカイブするプロジェクトです。

ページ