欧州

欧州委員会(EC)、有形文化遺産の3Dデジタル化における基本原則等を示した報告書を公開

2020年9月11日、欧州委員会(EC)は、デジタル文化遺産とEuropeanaに関する専門家グループ(Expert Group on Digital Cultural Heritage and Europeana:DCHE Expert Group)が、有形文化遺産の3Dデジタル化における基本原則等を示した報告書として、“Basic principles and tips for 3D digitisation of cultural heritage”を作成したことを発表しました。

2019年に欧州27か国が署名した文化遺産のデジタル化促進のための共同宣言において、欧州各国は、欧州の立体物の文化遺産の包括的な3D記録の作成に資する共通ガイドラインを開発するため、DCHE Expert Groupへ貢献を求めることが明記されています。DCHE Expert Groupはこの要請への対応の一環として、外部有識者の意見を参考にしながら、有形文化遺産の3Dデジタル化における基本原則と関連する留意点をリスト化した報告書を作成しました。

報告書は3Dデジタル化の経験の有無にかかわらず、全ての関係者を対象に作成されています。以下の10項目の原則が、各原則に関連する留意点等ともに示されています。

国際図書館連盟(IFLA)、欧州の「デジタルサービス法」への意見を提出

2020年9月8日、国際図書館連盟(IFLA)は、欧州委員会による「デジタルサービス法」(Digital Services Act)策定に関する意見募集に応じ、意見を提出したことを発表しました。欧州委員会は、2020年6月2日から9月8日にかけて意見募集を行っていました。

IFLAの発表によれば、デジタルサービス法はインターネットのプラットフォームに関する新たなルールの策定をもたらすものであり、これらのルールは政府によるオンライン規制の新基準を設定しうるため、図書館界を含むデジタル分野の全ステークホルダーに対し世界的な影響を及ぼします。

IFLAは、次の法的枠組みにおいて、著作権の例外や制限を含め、表現の自由や情報へのアクセスの自由といったユーザーの基本的権利の尊重と確保を主張するため、図書館分野を代表して意見提出を行ったと述べています。IFLAの意見として以下の内容等が示されています。

E2298 - 南欧の国立図書館における複写貸出サービス

2019年の晩秋,南欧4か国の国立図書館や大学図書館を実地に訪ね,利用者サービスについて調査を行う機会を得た。訪ねたのはポルトガル,スペイン,イタリアそしてギリシャの4か国である。本稿ではイタリア以外の3か国の国立図書館について職員へのインタビューによって得た見聞をもとに,複写および貸出サービスの実態を紹介したい。イタリアの国立図書館における複写サービスについては同僚の伊藤暁子が2018年にローマとフィレンツェの2館を訪問し(E2165参照),『国立国会図書館月報』第706号に豊富な写真つきでまとめている。イタリア以外の欧州の国立図書館についても知ることができる。ぜひ参照されたい。

Springer Nature社、同社と国家レベルで締結された転換契約のオープンアクセス出版への影響を発表

2020年8月25日、Springer Nature社が、同社と国家レベルで締結された転換契約による、オープンアクセス(OA)出版への影響について発表しました。

発表では、2019年時点で同社と有効な転換契約を締結している8か国において、同社のコンテンツの70%から90%がゴールドOAで出版される等、国家レベルの完全OAへの転換につながっていることが、同社の最新のデータから明らかになったということが述べられています。

Springer Nature’s Transformative Agreements enable country level transition to open access(Springer Nature, 2020/8/25)
https://group.springernature.com/gp/group/media/press-releases/springer-nature-transformative-agreements/18311262

Sparc Europe、欧州の高等教育機関の図書館におけるオープンエデュケーション(OE)の推進を目的とした2年半の新プログラムの立ち上げ計画を発表

2020年8月27日、欧州の高等教育機関の図書館におけるオープンエデュケーション(OE)の推進を目的とした2年半の新プログラムの立ち上げを計画していることを発表しました。

SPARC Europeは計画中の同プログラムについて、ユネスコのオープン教育資源(OER)促進を目的とした勧告の実現に貢献するものであり、プログラムの実施を通して欧州の高等教育図書館のOEに関するニーズ・進捗状況の把握、各国間の知識共有、OER・OEポリシー等の普及につながるものである、としています。

同プログラムでは、オランダ・デルフトで開催されたOEに関する国際会議“OE Global Conference”の成果として構築された欧州の図書館員のネットワーク“European Network of Open Education Librarians(ENOEL)”を実践的なコミュニティへと発展させること、OEやOERの方針・実践について個々のメンバーの知見の活用・共有等を行う専属の「コミュニティマネージャー」をENOEL内に設置することなどが計画されています。

なお、同プログラムには米国のWilliam and Flora Hewlett財団が助成を行っています。

【イベント】公開コロキウム「著作権法50周年に諸外国の改正動向を考える ~デジタルアーカイブ、拡大集中許諾制度、孤児著作物対策~」(9/16・オンライン)

2020年9月16日、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)が主催する公開コロキウム「著作権法50周年に諸外国の改正動向を考える ~デジタルアーカイブ、拡大集中許諾制度、孤児著作物対策~」が開催されます。

Zoomを用いたオンライン開催であり、拡大集中許諾制度や孤児著作物対策における欧米・韓国の最新動向の紹介、日本における対応策の模索が行われます。

参加費は無料ですが、事前の申込みが必要です。当日のプログラムは以下のとおりです。

〇主催者挨拶
松山良一氏(国際大学GLOCOM所長)

〇基調講演1
山田太郎氏(参議院議員、自由民主党 知的財産戦略調査会 デジタル社会実現に向けての知財活用小委員会 事務局長)

〇基調講演2
福井健策氏(弁護士・ニューヨーク州弁護士、日本大学芸術学部・神戸大学大学院客員教授)

欧州国立図書館員会議(CENL)、新型コロナウイルス感染症の拡大や“Black Lives Matter”運動の展開などの社会情勢に対応して2つの基金を設立

2020年8月14日、欧州国立図書館員会議(CENL)は、新たな基金として“Covid-19 Support Fund”、“Hidden Stories Fund”を設立したことを発表しました。

これらの基金の設立は、新型コロナウイルス感染症の拡大とそれに伴うロックダウンが多くの国立図書館の財政基盤やサービスのあり方に影響を与えたこと、米国の黒人男性ジョージ・フロイド氏の殺害事件とそれに続く“Black Lives Matter”運動の展開が、国立図書館における物語の収集・研究・伝達のあり方に歴史的な課題として現れたことを背景に行われました。基金は、この新たな課題へ対応しようとする会員館を支援する意図で設立されています。

“Covid-19 Support Fund”は、加盟館が新型コロナウイルス感染症による危機に関連して直面する課題への対応、長期的な将来に向けた協働体制への適応と再構築を支援するものです。加盟館は、感染症対応のための追加費用や創造的なプロジェクトについて、最大2,500ユーロの助成金を申請することができます。

所蔵品の画像を印刷したマスクを販売するセルビアの博物館:マスク着用の啓発と作品のキャプションを通じた教育効果を視野に(記事紹介)

Europeana Proの2020年8月6日付けブログ記事において、博物館の所蔵品画像を印刷したマスクの作成・販売の取組が紹介されています。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、セルビアの博物館2館が新たに開始した取組であり、記事の筆者はセルビア国立図書館のデジタル図書館部門長(Head of Digital Library Department)であるTamara Butigan氏です。

ベオグラードのセルビア国立博物館では、洗えば繰り返し使用できる特別な紙製のマスクを1.70ユーロで販売しています。マスクには所蔵品の画像が印刷され、作品のキャプションが記載されています。40のモチーフを使用しており、子ども用も4パターンのデザインが用意されています。

同館では、社会的責任のある機関として、手頃な価格での販売により市民へのマスク着用の啓発を目指したほか、作品のキャプションを通じた教育効果も視野に入れています。

ベオグラードの民俗誌博物館でも同様のプロジェクトを行っており、パートナー企業と協力して絹製のマスクを作成、7.20ユーロで販売しているとあります。

ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方:文字起こし、アノテーション、字幕等(記事紹介)

Europeana Proに掲載された2020年8月12日付け記事で、ユーザー作成コンテンツの著作権に関するEuropeanaの考え方が紹介されています。筆者はEuropeana財団のJunior Policy AdvisorであるAriadna Matas氏です。

Europeanaが、クラウドソーシングのプロジェクト等を通じてユーザーによるコンテンツの文字起こし、アノテーション付与、エンリッチメントを進めてきたことに触れつつ、これらのユーザー作成コンテンツの著作権をどう扱うかについてEuropeanaとしての考え方を示しています。

アノテーションとエンリッチメントについては、Europeanaのデータパートナーから提供されるメタデータと同じ扱いとし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC0での提供とすべきとしています。一方、文字起こしと字幕については、それらが基づくコンテンツの知的財産権を尊重し、データパートナーがコンテンツに設定した権利ステートメントと同条件での提供としています。

視聴覚コレクションへの相互運用可能なアクセス:“Avalon Media System”について(記事紹介)

europeana proの2020年8月3日付の記事“Interoperable access for audiovisual collections - exploring Avalon Media System”で、デジタルの音声・動画コレクションへのアクセスを管理、提供するためのオープンソースのシステム“Avalon Media System”が紹介されています。

記事によると、同ウェブサイトの2020年6月12日付の記事で紹介されたEuropeanaの新しいメディアプレーヤーは、同システムおよびIIIFの成果をもとに構築されています。

同システムは、米・インディアナ大学と米・ノースウェスタン大学によって2011年に共同開発が開始され、同記事の執筆時点では少なくとも12の機関で利用されています。音声・動画コレクションへの柔軟なアクセスを提供するものであり、HTMLのiframe(インラインフレーム)を用いて他のウェブサイトにメディアプレーヤーを埋め込むことが可能です。

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