学術雑誌

学術雑誌契約のオープンアクセス(OA)要項モニタリングに必要な論文レベルのメタデータのチェックリスト化(文献紹介)

2019年11月26日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、論文“Monitoring agreements with open access elements: why article-level metadata are important”が掲載されました。英・JiscのMafalda Marques氏、オランダ・ライデン大学図書館のSaskia Woutersen-Windhouwer氏、フィンランド国立図書館のArja Tuuliniemi氏による共著論文です。

近年、コンソーシアムや学術機関が、論文処理費用(APC)の割引・オフセット契約・“Read and Publish”契約といったオープンアクセス(OA)要項を含む契約を出版社と締結する事例が増加しています。こうした契約を締結した場合、コンソーシアムや学術機関はOAで出版された論文数、契約のコスト、契約の価値をモニタリングする必要があるため、出版社は契約に基づきOAで出版された論文に関して、コンソーシアム・研究機関・資金助成機関に対する説明責任を負います。出版社がこうした説明を行うための方法の1つは定期的に論文レベルのメタデータをレポートとして報告することです。

cOAlition S、“Transformative Journals”の枠組み案を公開:フィードバックを募集中

2019年11月26日、cOAlition Sは、“Transformative Journals”(転換雑誌)の枠組み案を公開しました。

“Transformative Journals”は2019年5月に改訂された「Plan Sの実現にかかる手引き(Guidance on the Implementation of Plan S)」で導入された概念で、(1)OAコンテンツのシェアを徐々に増やし、(2)(二重支払いを防ぐために)出版サービスへの支払いをサブスクリプション費用の相殺に用い、(3)全査読済み論文を合意した期間内に完全・即時OAに移行することへの明確なコミットメントを有する学術誌とされています。

今回公開された“Transformative Journals”の枠組み案では、その必須要件と、“Transformative Journals”の出版社に向けた推奨要件の具体案が示されており、2020年1月6日までのフィードバックを募集するとともに、2020年3月末までに最終版を公開する予定であることが述べられています。

cOAlition S、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書を公開

2019年11月21日、cOAlition Sは、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書として、“Open access potential and uptake in the context of Plan S - a partial gap analysis”を公開したことを発表しました。

OA2020、学術雑誌のオープンアクセス(OA)への転換に関する達成状況を示した“OA2020 Progress Report”の最新版として2019年11月版を公開

2019年11月18日、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化を目指すイニシアチブ“OA2020”は、Twitterアカウント上でその取り組みの達成状況を示した“OA2020 Progress Report”の最新版として2019年11月版が利用可能であることを発表しました。

2019年11月版の“OA2020 Progress Report”では、2018年12月の“14th Berlin Open Access Conference”に参加した37か国の代表によって発された最終声明以来の進捗状況が報告されています。2019年11月現在、OA2020には全世界の4,600以上の機関を代表して140以上の組織が署名しています。African Open Science Platform等と共同したサンパウロ声明の公表やcOAlition Sと共同でOA転換の加速化に取り組むことを示した声明に見られるように、OA2020の理念は他のOAに関するイニシアチブを含む世界中の利害関係者からコンセンサスを獲得しており、協調して取り組みを進めていることが紹介されています。

独・OA2020-DE、オープンアクセス(OA)出版のための資金調達要件に関する調査レポートを公開

2019年10月29日、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化を目指すイニシアチブ“OA2020”のドイツにおける連絡窓口“OA2020-DE”は、OA出版のための資金調達要件に関する調査レポートとして、“Transformationsrechnung: Mittelbedarf für Open Access an ausgewählten deutschen Universitäten und Forschungseinrichtungen”を公開したことを発表しました。

購読型の学術雑誌が、論文処理費用(APC)の支払によるOA化という現在国際的学術誌で支配的なビジネスモデルへ移行するにつれて、機関の学術雑誌への財政負担の構造に変化が生じます。各機関で学術雑誌のOA化に適切に対応し積極的な役割を果たすためには、予想される機関のAPC支払総額について信頼できる推定が必要となります。OA2020-DEは、機関が学術雑誌のOA化への転換に備えコストモデルを形成できる方法を解説することを目的として調査レポートを作成しています。

米・カリフォルニア大学バークレー校教員のオープンアクセス(OA)推進の動きに関する意識調査(記事紹介)

2019年11月12日、米国のITHAKA S+Rは、米・カリフォルニア大学バークレー校図書館と協力して同校教員に対して実施した、オープンアクセス(OA)推進の動きに関する意識調査とその結果を紹介した記事を公開しました。

カリフォルニア大学バークレー校図書館は、情報アクセスに関する障壁を取り除いて研究の影響力を最大限発揮できる出版のエコシステムを促進するため、OAの推進に多大な努力を費やしています。こうした問題に対する同校教員の意見を把握する目的で、2018年10月に同校教員2,748人のうち、全体の30%に当たる811人に対してアンケート調査を実施しています。

記事ではアンケート調査の結果に基づいて、同校教員のOA推進の動きに関する意識として、次のようなことが示されています。

・教員の大多数が従来の購読ベースの出版モデルがOA出版システムに転換することを歓迎している。研究成果を最大限アクセス可能にすることが研究成果の影響力を最大化するために重要な方法であることについて強い同意がある。生命科学・健康科学分野の教員がこの傾向をやや強く示している。

・教員は既存の出版社がOA出版モデルに転換することを望んでいる。多くの教員は研究成果をどの学術出版社で公表するかを重視している。

オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)、英国生化学会の完全子会社であるPortland Press社と“Read & Publish”契約を締結

2019年11月1日、オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)は、英国生化学会(Biochemical Society)の完全子会社であるPortland Press社と“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。Portland Press社にとっては初めてのオープンアクセス(OA)への「転換契約」となり、CAULにとっては2例目の「転換契約」となります。

この契約は、ウェルカム・トラスト等による、学会系出版社の即時オープンアクセス(OA)転換とPlan S原則に準拠した「転換契約」締結支援プログラム“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”を契機として締結されました。オプトイン方式による2020年から2022年までの3年間の試験的な契約となります。

契約に基づき、英国生化学会の学術雑誌7誌(完全OA誌2誌含む)について、オーストラリア及びニュージーランドの契約参加機関に所属する研究者は、追加費用を支払することなく研究成果をOAにすることが可能になります。また、契約参加機関からのハイブリッド誌5誌へのアクセス、機関リポジトリ登録用の出版社版(version of record)PDF通知なども含む内容となっています。

米国図書館協会(ALA)、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行是正を求めたレポートを米国下院に提出

2019年10月23日、米国図書館協会(ALA)は、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行の是正を求めたレポートを米国下院に提出したことを発表しました。レポートは、Macmillan社が2019年11月1日から実施する図書館向け電子書籍の新しい提供モデルへのALAの抗議キャンペーン“#eBooksForAll”に続く形で公開されました。

ALAは、米国の下院司法委員会の下に設置された独占禁止法・商法および行政法に関する小委員会によるデジタル市場における競争の状況に関する情報提供の求めに応じたレポートとして、2019年10月15日付で“Competition in Digital Markets”を作成しました。ALAはレポートを通して、デジタル市場におけるAmazon社・Macmillan社等の企業の商慣行が、米国民の何をどのように選んで読書を行うかに関する権利を脅かし、合衆国憲法修正第1条で定められた基本的な自由を損なっていることを強調し、こうした反競争的な商慣行是正を議員らに訴えています。

オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結:CAULとして初めての「転換契約」

2019年10月17日、オーストラリア大学図書館員協議会(CAUL)と英国微生物学会(Microbiology Society)は、試験的なオープンアクセス(OA)等に関する出版契約として、2年間の“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。

CAULにとって今回の契約は出版社と締結する初めてのOAへの「転換契約(transformative/transitional agreement)」です。同契約はオプトイン方式による2020年から2021年までの試験的な契約です。オーストラリア及びニュージーランドの契約参加機関に所属する研究者は、英国微生物学会の刊行する雑誌へ著者として掲載された全ての研究成果が初めからOAで公開されると同時に、学会の刊行するコンテンツについて1947年までのアーカイブも含めて全てアクセス可能になります。

英・Jisc、英国微生物学会(Microbiology Society)と2年間の“Publish and Read”契約を締結

2019年10月16日、英・Jiscと英国微生物学会(Microbiology Society)は、試験的なオープンアクセス(OA)等に関する出版契約として、2年間の“Publish and Read”契約を締結したことを発表しました。

この契約により契約参加機関に所属する研究者は、英国微生物学会の刊行する雑誌へ著者として掲載された全ての研究成果が初めからOAで公開されると同時に、学会の刊行するコンテンツについて1947年までのアーカイブも含めて全てアクセス可能になります。

英国微生物学会はJiscのコンソーシアムを通してOA出版への転換契約を締結した最初の学会系出版者となります。契約の効力発生は2020年からで、“Microbiology”や“Journal of Medical Microbiology”など、OA誌、購読誌、ハイブリッド誌を含む英国微生物学会の刊行誌6タイトル全てが契約対象となります。

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