アドヴォカシー

E2246 - 不確実で複雑な時代の図書館の役割:IFLA Trend Report 2019

不確実で複雑な時代における図書館の役割とは何だろうか。2019年12月,国際図書館連盟(IFLA)が,“Trend Report”の2019年更新版を公開した。同レポートは,図書館内外の様々な分野の専門家からの知見を得て社会の新しいトレンドを調査し,図書館が単に生き残るためでなく,そのようなトレンドに対処し,大きな役割を果たすための議論の叩き台として,2013年にその初版(E1474参照)が作成されたものである。初版では,図書館に影響を与える世界的な情報環境のトレンドとして「情報へのアクセス」「教育」「プライバシー」「市民の関与」「技術革新」の5点を掲げ,その理解の延長線上に方向性や論点を追加する更新版を2016年・2017年・2018年と継続的に作成してきた。2020年には初めての大きな改訂を実施するとしている。

米・ニューヨーク州議会へ事業者に合理的な条件で電子書籍を図書館へ提供することを義務づけた法案が上程される

米・ニューヨーク州議会(The New York State Senate)に2020年1月28日付で、事業者に「合理的な条件(reasonable terms)」で電子書籍を図書館へ提供することを義務づけた法案として、“Senate Bill S7576”が上程されています。

同法案は、電子書籍が「合理的な条件」により州内の公共図書館で公平にアクセス可能となるように、ニューヨーク州の一般事業法(General Business Law)へ電子書籍のライセンスについて定めた349-G項を新設して修正することを求めたものです。同法案では「合理的な条件」の内容として、利用者の同時アクセス数の制限・利用者にアクセスを提供できる日数の制限・ライセンス外の利用を防止する技術的保護手段の採用の3点を挙げています。同時に、図書館が同じ日に購入する電子書籍のライセンス数に対する制限は「合理的な条件」に含まれないことが明記されています。

米・児童図書館サービス部会(ALSC)、児童サービスの重要性を説明するための“Championing Children's Services Toolkit”を公表

2019年12月23日、米国図書館協会(ALA)児童図書館サービス部会(ALSC)が、広報委員会が作成した“Championing Children's Services Toolkit”を公表しました。

同ツールキットの作成事業は2017年9月に開始され、2019年6月に完成したもので、公務員や図書館の管理者といった利害関係者と児童サービスに関して対話する際に役立つ事を意図しています。

児童サービスの効果を明確に示すことに特化した8つの“Because Statements”からなる“Championing Children's Services Toolkit”、重要な関係の構築・子どもの擁護における図書館員の役割やコミュニティにもたらす計り知れない価値について説明するビデオ“Championing Children's Services Video”、裏面にPew Research CenterとALAの統計を載せる“Because Statements”、利害関係者への説明に使えるパワーポイントのテンプレート、地方議員等に送付することも想定されているポストカード、図書館における早期学習と開発標準に関するインフォグラフイックから構成されます。

北米の都市図書館協議会(ULC)の電子書籍への公平なパブリック・アクセスの必要性に関する声明に対して北米の市・郡の公選役職者77人が署名

2019年11月7日、北米の都市図書館協議会(ULC)は、電子書籍への公平なパブリック・アクセスの必要性に関する声明“Statement on Equitable Public Access to E-Books”に対して、北米地域の市長や郡長官等の公選役職者77人が署名したことを発表しました。ULCは署名者が所属する自治体の住民数を合計すると4,400万人以上に上ることを発表しています。

国際図書館連盟(IFLA)、改正EU著作権指令に関する図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事を掲載

2019年11月6日、国際図書館連盟(IFLA)は、2019年6月に施行された改正EU著作権指令について、図書館員の関与の重要性と関与のための手順等を解説した記事として、“European Copyright Directive Implementation Advances: How Can You Get Involved?”を掲載しました。

改正EU著作権指令の発効後、オランダ・ドイツでは図書館を含む様々な利害関係者の提言を集めるためにすでに公開協議が開催され、フィンランド・ハンガリー・アイルランドでは、図書館の専門家がそれぞれの政府と協議を開始するなど、実施に向けた準備が進んでいます。IFLAは改正EU著作権指令に含まれる内容と図書館員の関与の重要性、関与のために踏むべき手順等を同記事の中で解説しています。

大手出版社Macmillan社、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施:米国図書館協会(ALA)は継続して反対キャンペーンを展開

2019年11月1日、米国の大手出版社Macmillan社は、図書館向け電子書籍提供モデル変更を実施しました。新刊書の購入を各図書館1冊までに制限し2冊目以降の購入に8週間のエンバーゴを設けるという内容です。

米国図書館協会(ALA)は同日付のお知らせで、方針撤回を求める強固な世論が存在するにもかかわらず、同社はモデル変更の実施を行った、としています。ALAは同社の決定を受けて、今後も2019年9月11日からオンライン上で展開している同社への抗議キャンペーン“eBooksForAll.org”で、同社の方針への反対署名を募りながら電子書籍の購入制限がコミュニティへ与える影響に関するエピソードを収集する予定です。また、議会への働きかけをさらに強めることも表明しています。

E2191 - IFLA“The 10-Minute Library Advocate”の紹介

図書館業界における広報活動の世界的な潮流において,昨今中心的な地位を占めている取組みがアドヴォカシーである(CA1646,CA1769参照)。図書館の果たす役割やその意義を理解し,図書館のために行動してもらえる賛同者を得ることは,長期的かつ安定的な図書館運営の根幹を成す重要な目標である。本稿では,国際図書館連盟(IFLA)が実施するアドヴォカシーの取組み“The 10-Minute Library Advocate”を紹介する。

米国図書館協会(ALA)、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行是正を求めたレポートを米国下院に提出

2019年10月23日、米国図書館協会(ALA)は、図書館のコアサービス提供機能を制限するデジタル市場の商慣行の是正を求めたレポートを米国下院に提出したことを発表しました。レポートは、Macmillan社が2019年11月1日から実施する図書館向け電子書籍の新しい提供モデルへのALAの抗議キャンペーン“#eBooksForAll”に続く形で公開されました。

ALAは、米国の下院司法委員会の下に設置された独占禁止法・商法および行政法に関する小委員会によるデジタル市場における競争の状況に関する情報提供の求めに応じたレポートとして、2019年10月15日付で“Competition in Digital Markets”を作成しました。ALAはレポートを通して、デジタル市場におけるAmazon社・Macmillan社等の企業の商慣行が、米国民の何をどのように選んで読書を行うかに関する権利を脅かし、合衆国憲法修正第1条で定められた基本的な自由を損なっていることを強調し、こうした反競争的な商慣行是正を議員らに訴えています。

英国図書館情報専門家協会(CILIP)とThe Big Issue Groupによる公共図書館の肯定的な影響関係に関する報告書が公開される

英国図書館情報専門家協会(CILIP)の2019年10月14日付のお知らせで、CILIPと街頭新聞の製作等を通してホームレスの社会復帰等に取り組むThe Big Issue Groupが共同製作した、公共図書館の肯定的な影響関係に関する報告書“Public Libraries: The Case for Support”の公開が発表されています。

報告書は英国図書館(BL)、カーネギー英国財団(Carnegie UK Trust)、英国公認会計士協会(CIPFA)等の様々な機関が実施した調査をエビデンスとして、公共図書館が地域コミュニティに与える変革的な影響関係として以下の6点を指摘しています。

・地域形成と包括的な経済成長
・教育、インフォーマルな学習と技術習得
・健康、幸福、社会福祉
・住民のデジタル技術の向上とオンライン化の促進
・起業とビジネス支援
・貧困の防止、社会的流動性の確保、社会的孤立の解消

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