研究図書館

独・プロジェクトDEAL、Springer Nature社と“Publish & Read”契約締結に向けた覚書に署名:2019年後半に最終合意予定

2019年8月22日、Springer Nature社と独・DEALプロジェクトを代表して交渉を担当している独・Max Planck Digital Library(MPDL)との間で、“Publish & Read”契約締結に向けた覚書(Memorandum of Understanding)の署名が行われました。2019年後半に契約の最終合意が行われる予定です。

この契約が実現すると、ドイツの研究者による論文が年間1万3,000件以上オープンアクセス(OA)で出版されるなど、世界最大規模の“Publish & Read”契約になることが予想されています。

署名された覚書の要点は以下のとおりです。

・契約期間は2020年から2022年だが、2023年へ延長する選択権も含まれる。

・ドイツ研究振興協会(DFG)によるアライアンス・ライセンスへ参加資格のある全てのドイツ国内の研究機関(大学・応用科学大学・研究機関等を含む)がこの契約へ参加可能である。大学病院ではない病院や製薬会社のような私企業等は参加できない。

・契約への参加機関は期間中に発行されるSpringer系のジャーナル約1,900誌へのアクセスが可能になる。

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国の大学における教育・学習支援のための著作権ライセンス利用状況の実態に関する調査報告書を公開

2019年8月12日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)は、英・Jisc Collectionsと英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)とともに作成に寄与した、英国の大学における教育・学習支援のための著作権ライセンス利用状況の実態に関する調査報告書“Understanding the value of the CLA Licence to UK higher education”の公開を発表しました。

この調査は、SCONUL・Jisc Collections・RLUKの支援と英国大学協会(UUK)・高等教育カレッジ連合(GuildHE)からの委託を受け、ロンドン大学シティ校のJane Secker氏らにより2018年後半に取り組まれたものです。高等教育機関向けに教育・学習目的の利用に対して著作物の複製を許可(印刷体、デジタル資料いずれからの複製も可)する、英国の著作権管理団体Copyright Licensing Agency(CLA)の「高等教育ライセンス(HE Licence)」の利用状況の実態が調査されています。

調査報告書では主に以下のようなことが示されています。

・英国と他国の教育関係の著作権制度の比較

米国大学・研究図書館協会(ACRL)の出版部門、大学図書館のマーケティング活動に関して調査したホワイトペーパーの第2弾を公開

2019年8月20日、学術書の書評誌Choiceを発行する米国大学・研究図書館協会(ACRL)の出版部門が、大学図書館のマーケティング活動に関して調査したホワイトペーパーの第2弾“Implementing Marketing Plans in the Academic Library: Rules, Roles & Definition”を公開しました。

図書館のマーケティングの実用的な定義を示すとともに、マーケティングが図書館運営の成功と強力な財政支援のために不可欠である理由を検討しており、図書館のサービス・資源・教育を長期的に促進する効果的で持続可能なマーケティングを構築するために、多様な図書館が採用することが可能な具体的で実効可能な手段が記述されています。

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反人種差別としてのデジタル化対象選定基準(文献紹介)

Code4Lib Journal誌のIssue 45(2019年8月9日掲載)に、“Digitization Selection Criteria as Anti-Racist Action”と題する記事が掲載されています。著者は米・ルイジアナ州立大学図書館のデジタルプログラム及びサービス部門の責任者(Head of Digital Programs and Services)であるS. L. Ziegler氏です。

同館では現在、特別コレクションのデジタル化優先順位決定に関する新しい方針を策定中であり、同館が目標とする多様性、包摂性を方針に組み込む作業を行っています。多様性の実現において反人種差別を促進することの重要性に触れつつ、反人種差別を方針にどう組み込もうとしているかを紹介しており、現時点での具体的な取組として以下の2点を挙げています。

・取り上げられることの少ないコミュニティ、特にアフリカ系アメリカ人に関するコレクションの優先順位を上げるとともに、デジタル化優先順位のチェックリストに包摂性に関する基準を含めること

ProQuest社とEBSCO社、電子書籍に関する既存のパートナーシップを拡大

2019年8月19日、ProQuest社とEBSCO社は電子書籍に関する両社の既存のパートナーシップを拡大することを発表しました。

このパートナーシップ拡大により、ProQuest社提供の電子書籍をEBSCO社の書誌検索・選書ツールGOBIを通して受入することが可能になります。同時に、EBSCO社提供の電子書籍もProQuest社の選書・発注システムOASISや将来的には現在開発中の包括的な選書受入サービスRialtoを通して受入が可能になります。

両社のパートナーシップは、EBSCO社がGOBIを提供していたYBP Library Solutionsを買収し、ProQuest社がOASIS等を提供していたCoutts社を買収した2015年に始まり、現在まで4年間延長されています。

ProQuest社、学術図書館向け選書受入サービスRialtoの開発のため5つの学術出版社と提携

2019年8月9日、ProQuest社は学術図書館向け選書受入サービスRialtoの開発のため、Emerald社・オックスフォード大学出版局(OUP)・SAGE社・Taylor & Francis社・シカゴ大学出版局の5つの学術出版社と提携したことを発表しました。

RialtoはProQuest社が2018年11月に開発を発表した学術図書館向けの包括的な選書受入サービスです。図書館サービスプラットフォーム(LSP)のAlmaを基盤として構築し、電子書籍・紙書籍・動画等のあらゆるタイプのコンテンツを様々な出版社・プラットフォームから受入可能にすることで購入ワークフローの合理化を実現するシステムである、としています。

提携した5つの出版社はRialtoの開発パートナーとして契約済の10の学術図書館のグループに加わり、図書館・出版社コミュニティ・ProQuest社の間で協議が行われることになります。

Rialtoは本格的な立ち上げに先立って、まず2019年12月に開発パートナーで利用可能となる予定です。

北米研究図書館協会(ARL)・米・ネットワーク情報連合(CNI)・米・EDUCAUSE、新しいデジタル技術が普及する中で研究図書館の影響力を促進するためのパートナーシップを締結

2019年8月16日、北米研究図書館協会(ARL)は、米・ネットワーク情報連合(CNI)・米国のNPO組織EDUCAUSEと新しいデジタル技術が普及する中で研究図書館の影響力を促進するためのパートナーシップを締結したことを発表しました。

3組織は研究・学習に関する事業の共同パートナーとして、デジタルコンテンツの制作・普及・再利用に関して重大な変化が起きている中、研究図書館が研究・学習を最大限に促進する方法を把握するために協力する、としています。特に、データサイエンス・人工知能・モビリティネットワーク技術・ユビキタスネットワーク技術・クラウドコンピューティング・アンビエントコンピューティング・拡張現実・仮想現実などの技術や新興分野がどのように研究と学習の方法の根本的な変革を起こしているかに焦点が当てられます。

このプロジェクトは18か月・3つの段階で組織され、研究図書館・情報技術分野・高等教育分野・研究事業分野・3組織から専門家等が参加します。プロジェクトを通して、利害関係者等向けに以下のような点に関する推奨事項や可能な活動の提示が行われる予定です。

米・カリフォルニア大学の教員が連名書簡により大学とElsevier社の新契約締結までCell Press社刊行誌の編集委員としての活動を停止する可能性に言及

米・カリフォルニア大学に所属し、Cell Press社刊行誌の編集委員(editorial board)を務める31人の教員が、カリフォルニア大学とElsevier社が新たに契約を締結するまで、編集委員としての活動を停止する可能性に言及した連名の書簡を2019年8月7日付で公開しました。

Cell Press社はElsevier社を親会社とする学術出版社で、“Cell”をはじめとする生物学分野の著名な学術雑誌を刊行しています。カリフォルニア大学バークレー校が発行するBerkeley Newsの記事によると、この書簡にはゲノム編集技術「CRISPR-cas9」の共同開発者であるジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授をはじめ、Cell Press社刊行誌の編集委員を務めるバークレー校の研究者の約3分の1が署名しており、教員らの編集委員活動の停止が実施されれば、Cell Press社刊行誌はこれまで無償で得てきた編集委員らの名声と質の高い査読を失うことになる、としています。

米・バージニア州の図書館コンソーシアムVIVA、Wiley社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約を締結

2019年8月7日、米・バージニア州の学術図書館コンソーシアムThe Virtual Library of Virginia (VIVA)とWiley社は、オープンアクセス(OA)出版に関する基金とジャーナル購読を組み合わせた包括的契約の締結を発表しました。

この契約は2020年に開始する2年間の試験的な契約で、Wiley社はプレスリリースで北米では初めての種類の契約である、としています。この契約によりVIVA参加機関に所属する全ての研究者は、 Wiley Open Access AccountのサービスをAPC支払のための中央基金として利用し、Wiley社のゴールドOA誌上で論文を公開可能になります。また、コンソーシアムの購読する同社のジャーナル全範囲へのアクセスも維持されます。

さらにVIVAは管理用のダッシュボードを利用することが可能になり、ダッシュボード上で著者からのAPC支払リクエストへの対応やレポート機能による出版状況の確認を行うことができます。

オープンソースのリポジトリソフトウェアHykuを用いた機関リポジトリサービス開発プロジェクトが米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)の研究助成を獲得

2019年7月26日、米・ペンシルバニア大学図書館コンソーシアム(PALCI)は、米・インディアナ州の研究図書館ネットワーク(PALNI)と連携して進めている機関リポジトリサービス開発プロジェクト“Scaling Up a Collaborative Consortial Institutional Repository”が米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)から研究助成を獲得したことを発表しました。同プロジェクトへはIMLSから17万2,172ドル(2019年度)の助成が行われます。

この研究プロジェクトは、基盤となるインフラストラクチャー・ホスティング・管理コストを機関間で共有するために必要な機能等を構築しつつ、各館が独自に利用・カスタマイズ・ブランディングできるようなコンソーシアム規模での機関リポジトリサービスの実現を目指すものです。プロジェクト参加館は一元的な共同リポジトリインフラストラクチャーの実現に必要な機能と構成オプションを開発するため、オープンソースのリポジトリソフトウェアHykuを調整する作業を行います。開発当初はオープン教育資源(OER)と電子学位論文(ETD)への支援に重点が置かれる予定です。

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