博物館

E2326 - 福島における震災アーカイブズの構築と資料収集の方針

2020年9月20日に開館した東日本大震災・原子力災害伝承館は福島県が設置した震災伝承施設である。当館は(1)原子力災害と復興の記録や教訓の未来への継承・世界との共有,(2)福島にしかない原子力災害の経験や教訓を生かす防災・減災への寄与,および(3)福島に心を寄せる人々や団体と連携し,地域コミュニティや文化・伝統の再生,復興を担う人材の育成等による復興の加速化への寄与,の3点を基本理念としている。この基本理念に基づき,展開されている4つの事業を紹介する。

【イベント】文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」(12/11・オンライン)

2020年12月11日、東京国立博物館、九州国立博物館、及び独立行政法人国立文化財機構の文化財防災センターの主催により、文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」がオンラインで開催されます。

近年の頻発する災害による文化財の被害の増加、ミュージアム自体の被災という事例を受けて、最近の災害の事例をもとに、文化財関係者が今できることを考える機会として開催されます。

セミナーはウェブ会議サービスZoomのウェビナーとYouTubeライブ配信により実施されます。参加には電子メールで事前の申し込みが必要です。Zoom ウェビナーによる参加には先着順に100人の定員が設けられています。YouTubeライブ配信には定員はありません。また、YouTubeライブ配信の様子は、セミナー終了後から12月20日までアーカイブが限定公開されます。当日の主なプログラムは次のとおりです。

●「川崎市市民ミュージアム 台風被害に係る災害対応検証及び今後のあり方について」
  平井孝氏(川崎市市民文化局市民文化振興室)

●「長野市立博物館における令和元年東日本台風による被災資料の保全活動」
  原田和彦氏(長野市立博物館)

米・Ithaka S+R、大学キャンパス内の図書館と博物館との連携促進に関する調査報告書を公開

2020年11月11日、米・Ithaka S+Rは、大学キャンパス内の図書館と博物館との連携促進に関する調査報告書“Structuring Collaborations:The Opportunities and Challenges of Building Relationships Between Academic Museums and Libraries”を公開しました。

Ithaka S+Rの同日付けブログ記事では、調査の経緯と報告書の内容を紹介しています。記事によれば、Ithaka S+R では30の大学で博物館長・図書館長等にインタビューを行い、その成果を報告書でまとめているほか、効果的な連携が見られた3大学(米国のアイオワ大学・アトランタ大学センター・プリンストン大学)のケーススタディーを掲載しています。また、調査により、図書館・博物館のスタッフ間だけでなくリーダー間でも強いつながりを築くことが、有機的な連携の発展に最も効果的であると判明したと述べています。

滋賀県立琵琶湖博物館、「田んぼの生きもの全種データベース」を公開

2020年11月19日、滋賀県立琵琶湖博物館は、「田んぼの生きもの全種データベース」の公開を発表しました。

桐谷圭治氏編(2010)『改訂版 田んぼの生きもの全種リスト』を引き継いでデータベース化し、専門家らの協力を得て増補更新したものです。現時点では、日本の水田とその周辺環境で見られる生物6,305種のデータ、727種1021点の写真を掲載しています。

「田んぼの生きもの全種データベース」を公開しました!(滋賀県立琵琶湖博物館, 2020/11/19)
https://www.biwahaku.jp/2020/11/post_55.html
https://www.biwahaku.jp/uploads/39116ebbdbf344e2e2d2adc25fce252f9f7b3391.pdf
※二つ目のURLはプレスリリースです。[PDF:1ページ]

REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第6回目のテスト結果を公表:建築材料を対象とした調査

2020年11月19日、博物館・図書館・公文書館の職員や利用者への新型コロナウイルスへの影響を軽減するための資料の取扱方法について、科学的根拠に基づいた情報を作成・普及させることを目的とするREALM Projectが、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第6回目のテスト結果を公表しました。

6回目は、博物館・図書館・公文書館において一般的に使用されている、建築用ガラス(窓・展示ケース)、大理石(床やカウンター)、ラミネート(カウンターの表面)、真鍮(建具・手すり)、粉体塗装されたスチール(ロッカー・書架・ブックトラック等)を対象にテストが行われました。

実験結果として、2日後には真鍮・大理石から検出されなくなり、6日後にはガラス・ラミネート・粉体塗装されたスチールから検出されなくなったと報告されています。

【イベント】シンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」(11/22・オンライン)

2020年11月22日、YouTube Live配信によりシンポジウム「自然史標本レスキューの現在地点とこれから」が開催されます。

同シンポジウムは、岩手県立博物館を中核館とする、文化庁の地域と共働した博物館創造活動支援事業「津波により被災した文化財の保存修復技術の構築と専門機関の連携に関するプロジェクト」の実行委員会の主催により開催されます。東日本大震災以降、文化遺産保全ネットワークなど、自然史標本を含む災害により被害を受けた文化財を救うための取り組みが進む一方、自然史標本のレスキューには、技術的にも、制度的にも、まだ難しい課題が残されています。講演・パネルディスカッションを通して、自然史標本のレスキューと将来の体制構築に向けた議論が行われます。

また、同シンポジウムは、大阪市立自然史博物館と西日本自然史系博物館ネットワークが共催します。大阪市立自然史博物館は2020年10月16日から11月29日まで、テーマ展示「陸前高田市立博物館コレクションが遺す地域の自然と文化」を開催しており、シンポジウムを同展示の関連イベントに位置づけています。

米国の博物館・図書館サービス機構(IMLS)、2020年の年次会計報告書を公開:新型コロナウイルス感染症対策を目的とした合計約4,500万ドルの国内機関支援等の事業を報告

2020年11月16日、米国の博物館・図書館サービス機構(IMLS)は2020年の年次会計報告書を公開したことを発表しました。

同報告書は、米国行政管理予算局(Office of Management and Budget)の要請に応じて作成された、2019年10月1日から2020年9月30日までの2020会計年度におけるIMLSの財政状況を報告したものです。2020会計年度におけるIMLSの主要な事業として以下の4点が報告されています。

・新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、経済対策法「コロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES Act)」に基づき、59の州図書館行政機関に対して合計約3,000万ドルの支援を実施した。また、博物館・図書館・先住民団体等に対して、医療上の緊急事態対応のため、同法の助成金から合計約1,500万ドルの支援を実施した。

・博物館や図書館の感染症対策支援のため、柔軟な運用の可能な助成金制度を採用した。

・OCLC、バテル記念研究所との共同事業REALM Project実施のため200万ドルを調達した。また、同事業に対して、米国議会図書館(LC)、アンドリュー W.メロン財団、ニューヨーク・カーネギー財団からの支援を獲得した。

オランダでCultural AI Labが創設:文化遺産機関・研究機関が連携し文化研究における人工知能(AI)の可能性等を探る

2020年11月16日、オランダでCultural AI Labの創設が発表されています。

文化遺産機関がデータを研究機関が技術を提供することで、文化遺産分野に適用可能な人工知能(AI)に関するツールを開発し、AI技術が文化的文脈を理解できるようにすることを目的としたもので、国立数学コンピュータ科学研究所(CWI)・オランダ王立芸術科学アカデミー(KNAW)人文学部門・オランダ国立図書館(KB)・オランダ視聴覚研究所(Sound and Vision)・アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)・オランダ応用科学研究機構(TNO)・アムステルダム大学・アムステルダム自由大学が参加しています。

参加する研究機関の博士課程の学生やポスドクが、文化遺産機関で4年間研究に従事するとしているほか、以下の5つの研究プロジェクトが今後数か月の間に開始されるとしています。

・AI: CULT Culturally Aware (AIを用いた博物館コレクションのオブジェクト記述の自動分析・充実)

・SABIO - the SociAl Bias Observatory(植民地時代の用語の検出を目的とした博物館コレクションのコレクション記述の自動分析)

北海道大学アイヌ・先住民研究センターと国立アイヌ民族博物館(北海道)が共同研究推進を目的とした学術連携協定を締結

北海道大学が2020年11月13日付のプレスリリースで、同大学のアイヌ・先住民研究センターと国立アイヌ民族博物館(北海道白老町)が共同研究推進を目的とした学術連携協定を締結したことを発表しています。

国内唯一のアイヌ研究と先住民研究に特化した研究を行う同センターと、国立で初めてのアイヌ民族の歴史と文化を主題にした博物館である同館は、アイヌ・先住民研究の推進及び大学院教育を通じた人材育成とアイヌ民族の歴史と文化の国内外への発信及び調査・研究・収集・展示の領域において連携し、北海道という地域的利点を生かした学術研究と教育活動を推進することに取り組む目的で学術連携協定を締結しました。両者の連携協定には、「アイヌ・先住民に関する共同研究の推進」「博物館活動の推進」「研究者の相互交流」「国際シンポジウム・ワークショップの共同開催」「研究施設・機器の相互活用」「その他、北海道大学アイヌ・先住民研究センターと国立アイヌ民族博物館で合意された事項」の6項目が含まれています。

なお、連携協定の有効期間は協定締結日から1年間ですが、有効期間満了の日の30日前までに両者間で異義の申出がない場合には、更に1年間更新されます。

日本博物館協会、令和元年度「日本の博物館総合調査」の報告書を公開

2020年11月12日、公益財団法人日本博物館協会は、令和元年度「日本の博物館総合調査」の報告書の刊行を発表しました。印刷版は有料頒布ですがPDF版は無料で公開されています。

報告書の「はじめに」によれば、「博物館の運営実態をデータとして表し、日本の博物館の実情を把握するとともに課題を整理し、過去の調査結果と比較することにより、経年変化を明らかにすることを主眼」とした調査です。今回は10回目の実施であり、前回の実施は平成25年度(2013年度)でした。

調査の対象は、日本博物館協会のデータ・ベースに登載されている館園4,178館であり、2019年10月から11月にかけて郵送及びオンラインの2方式で実施されました。有効回答館数は2,314 館となっています。

報告書の主な章立ては以下のとおりです。

・はじめに
・「博物館総合調査」委員会 委員名簿
・調査の概要
・第1章 今回の調査で見えてきた日本の博物館
・第2章 博物館の変化 - 平成9、16、20、25 年、令和元年調査の時系列比較-
・第3章 調査結果
・第4章 館種別分析
・まとめ
・参考:調査票

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