ライセンス契約

英国内の複数の図書館・高等教育関係組織が連名により新型コロナウイルス拡大危機の中での教育研究活動維持のため出版社等へ求める行動を示した共同声明を発表

2020年3月20日、英・Jiscは、新型コロナウイルス拡大危機の中で、機関が教育研究活動を維持できるように、デジタルコンテンツやソフトウェアを提供する全てのプロバイダーへ求める行動を示した、英国内の複数の図書館・高等教育関係組織との連名による共同声明を、英国出版協会(The Publishers Association)と学会・専門協会出版協会(ALPSP)へ提出したことを発表しました。

共同声明は、Association of Colleges(AoC)、英国図書館(BL)、Jisc、Southern Universities Purchasing Consortium(SUPC)、英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国大学協会(UUK)の連名で発されました。この声明は、出版社・アグリゲータ・ベンダー等に対して、新型コロナウイルス拡大危機の中、教育機関を支援するための行動を求めたもので、国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)が発表済の声明とも密接に連携していることに言及しながら、出版社等が実施可能な行動のリストとして次の内容を挙げています。

国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大と図書館サービス・図書館資料への影響に関する声明を発表

国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)は2020年3月13日付で、ICOLCに参加する世界中の図書館コンソーシアムとこれらのコンソーシアムを構成する各図書館を代表して、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大と図書館サービス・図書館資料への影響に関する声明を発表しました。

ICOLCは声明を発表した目的として、出版社等に対して世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大が世界の情報コミュニティにどのような影響を与えているかの理解を促すこと、図書館と情報サービス提供者の双方にとって有益と思われるICOLCのアプローチを提案すること、の2点を挙げています。

ICOLCは声明の中で出版社等へ次の4点を至急検討するように要請しています。

米・Ithaka S+R、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを実施

2020年3月4日、米・Ithaka S+Rは、2020年5月から複数の大学図書館等と提携してビッグディール契約中止による利用者や図書館への影響関係を調査するプロジェクトを開始予定であることを発表しました。

電子ジャーナルのビッグディール契約による支出の図書館資料費に占める割合が増大し、購読料も上昇していることから、近年契約を中止する機関が増加しています。2020年もこうした傾向は継続すると予想されますが、ビッグディール契約の中止は、情報資源を巡る環境が急速に変化する中で、図書館利用者の学術資料へのアクセス環境をどのようにして維持できるか、という問題を提起しています。

Ithaka S+Rはこのような問題を背景に、2020年5月からビッグディール契約中止が図書館利用者・コンテンツへのアクセス戦略・アクセス提供者としての図書館の役割認識に与える影響関係について、複数の大学図書館等と提携して調査を実施することを表明しています。プロジェクト参加館は、契約中止により自機関内の影響を受ける研究者グループや分野を特定し、複数人から影響関係に関するインタビューを実施します。Ithaka S+Rは参加館全体の調査結果のとりまとめ・分析などを行います。

独・OA2020-DEによるオープンアクセス(OA)出版への「転換契約」に関する新しいモデルの提案(記事紹介)

独・OA2020-DEは、2020年2月18日付で“A smooth transition from subscriptions to APCs”と題した記事を公開しました。

同記事は、独・ビーレフェルト大学図書館に所属しOA2020-DEのOA連絡窓口を務めるNina Schönfelder氏による、OA出版への「転換契約(transformative agreement)」の新しいモデル提案に関する2020年1月27日付のディスカッションペーパーについて、著者自身がその概要を紹介するものです。記事では“Publish & Read”、“Read & Publish”のような既存の「転換契約」モデルは、学術雑誌のビジネスモデルを購読制から論文処理費用(APC)の支払制へ移行するにあたって必要な図書館の予算獲得転換や出版社の収益モデル転換に関するニーズに十分応えられていないことから、学術雑誌分野においてより現実的な「転換契約」モデルが必要とされていることを指摘しています。既存のモデルの問題点として、膨大な調整、大規模で即時的な資金の再配分、恒久的で大規模な資金の追加が必要とされること、出版社が個々の図書館やコンソーシアムに柔軟なオプトイン・オプトアウトを認めていないこと、などが挙げられています。

英・JiscとWiley社、4年間の“Read and Publish”契約を締結

2020年3月2日、英・JiscとWiley社は、4年間の“Read and Publish”契約を締結したことを発表しました。

契約は2020年3月から発効しJiscに加盟する全ての機関、及び所属する研究者が対象となります。同契約により英国の大学に所属する研究者は、全てのWiley社の学術誌へ追加費用を支払うことなくオープンアクセス(OA)で研究成果を公表することが可能になります。また、全てのWiley社の学術誌へアクセス可能になります。

プレスリリースでは、同契約により英国の研究者がWiley社の学術誌でOAの論文を公表する割合は、1年目に27%から85%へ上昇し2022年には100%に達し得る、としています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とオーストリア学術図書館コンソーシアム(KEMÖ)、3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年3月2日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とオーストリア学術図書館コンソーシアム(Kooperation E-Medien Österreich:KEMÖ)は、2020年1月から2022年12月までの3年間を契約期間とする“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

契約期間中、オーストリアの9大学・1研究所に所属する研究者は、公的資金で助成を受けた自身の論文について、論文処理費用(APC)を支払うことなくCUPの刊行するハイブリッドジャーナル、及び完全オープンアクセス(OA)ジャーナルでOAにより出版することができます。また、CUPの刊行するジャーナルへのアクセスが可能になります。契約の対象となるジャーナルの範囲は機関によって異なっています。

Open Access Vereinbarung mit Cambridge University Press(KEMÖ,2020/3/2)
https://www.konsortien.at/meldungen-Details.asp?meldungenid=931

米・ノースカロライナ州の図書館コンソーシアム“NC LIVE”、電子リソースの共同購入等を行なう“Carolina Cooperative Library Services”を創設:ノースカロライナ・サウスカロライナ両州の全図書館およびK-12の学校が参加可能

2020年2月12日、米・ノースカロライナ州の図書館コンソーシアム“NC LIVE” が“Carolina Cooperative Library Services(CCLS)”の創設を発表しました。

共同で電子リソースのライセンス契約やソフトウェアの調達等を行なう取組で、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州の全図書館およびK-12の学校が参加可能です。

各館は、契約単位で参加可能で、また、優先順位が変われば契約をオプトアウトできるモデルとなっており、参加には費用はかかりません。また、参加館は提供されている契約のレビュー、価格の比較、購入が可能なオンラインプラットフォームにアクセスできます。

CCLSでは今年の春に最初の契約を行ない、2020年7月1日から購読を開始するとしています。

NC LIVE introduces new Carolina Cooperative Library Services(CCLS, 2020/2/12)
http://carolinacooperative.org/2020/02/12/pressrelease.html

米国化学会(ACS)の出版部門とオーストリア学術図書館コンソーシアム(KEMÖ)、3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年2月21日、米国化学会(ACS)は、ACSの出版部門とオーストリア学術図書館コンソーシアム(Kooperation E-Medien Österreich : KEMÖ)が試験的なオープンアクセス(OA)出版への「転換契約(transformative agreement)」として、“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

契約期間は2020年1月1日から2022年12月31日までの3年間です。契約期間中、オーストリア国内の11研究機関に所属する著者は、自身が責任著者である査読済論文を無料でACSの60タイトル以上の雑誌でOAにより公開することができます。またこれらの機関に所属する研究者は、ACSの刊行する学術誌、及びACSが発行する最新の化学ニュースに関する情報誌“Chemical & Engineering News”に掲載された全ての記事へアクセス可能になります。

ビッグディール契約中止の経緯と対応、中止の影響:フロリダ州立大学の場合(記事紹介)

米SPARCのウェブサイトに、2019年3月にElsevier社とのビッグディール契約を中止したフロリダ州立大学(FSU)の図書館長と契約チームに対し、契約中止に至った経緯や中止決定にあたっての対応、中止の影響等を尋ねた記事”Elsevier Exit: Q&A with Florida State University about their Big Deal Cancellation(s)”が掲載されています。

契約中止にあたってどのように教員を巻き込みつつ意思決定を行っていったかといった経緯に加え、円滑に契約中止への理解を得るために必要なことや、中止によってどの程度の予算の節約ができたのか、中止の影響は、といった内容がまとめられています。同記事によれば、購読契約中止によって100万ドル程度の予算の節約につながり、従来は購入できなかった人文社会系のコンテンツ拡充等につながっているとされています。また、契約中止への対応として記事送信サービスReprint Deskを導入したものの、意外に従来通りの文献複写サービスがよく利用されていると述べられています。

ハンガリーのコンソーシアムEISZ、Taylor & Francis社との”read & publish”契約を打ち切る 契約を終了した場合のコンテンツへのアクセス権の扱いで対立

2020年2月14日、ハンガリーのコンソーシアムEISZ(Electronic Information Service National Programme)は、Taylor & Francis社との間で結んでいた”read & publish”契約を更新しないことを発表しました。

EISZとTaylor & Francis社は2018年に”read & publish”契約を締結しており、その中には電子ジャーナルへのアクセス権、論文のOA出版権に加え、契約期間中のコンテンツに対しては、契約を打ち切った場合でもアクセスできる権利(archival rights)も含まれていました。

しかし2020年のTaylor & Francis社の提案には、デフォルトではこのarchival rightsが含まれておらず、希望する場合には追加料金を求める内容になっていたとのことです。EISZは条件の見直しを求めましたが、再提出された提案でも改善が認められなかったため、コンソーシアム参加機関等との協議の結果、契約打ち切りを決定したとされています。

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