デジタル教科書

U.S. PIRG、出版社と大学の契約によって学生が割引された教科書費用を授業料として自動的に支払う“inclusive access”契約の調査レポートを公開

2020年2月28日、米国の消費者権利団体であるU.S. PIRGがTwitterアカウント上で、U.S. PIRGの教育基金(Education Fund)が作成した調査レポート“Automatic textbooks billing: an offer students can’t refuse?”を紹介しています。

米国では多くの大学が、セメスターの初めに支払う授業料により、学生が授業で使用される出版社プラットフォーム上の教材へアクセス可能となる“inclusive access”契約を出版社と締結しています。この契約では市場価格から割引された価格の教科書費用を授業料に含むことで、学生は授業料の支払によって、実質的な費用負担を少なく、かつ自動的に教科書を利用できる、とされています。

U.S. PIRGは全米の31大学、及び70万人以上の学部生に対する調査に基づいてレポートを作成し、次のような知見を示しながら、“inclusive access”契約について、割引が不十分または実行されていないこと、学生に契約への参加を強制する構造、契約に関する情報の欠落、等の問題点を指摘しています。

英国国立・大学図書館協会(SCONUL)、英国の競争・市場庁(CMA)へMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について正式な調査の実施を求めた書簡を提出

2020年1月28日、英国国立・大学図書館協会(SCONUL)は、英国の競争・市場庁(Competition and Markets Authority:CMA)に対して、米国に拠点を置く世界的教育出版社のMcGraw-Hill社・Cengage社の合併計画について、正式な調査を実施することを求めた書簡を提出しました。

SCONULは書簡の中で、両社の合併計画が先行して問題となっている米国・オーストラリアと同様に、英国の学術教科書市場は限られた出版社による寡占状態にあり、この合併が学術教科書の価格競争の深刻な縮小をもたらし得ると指摘しています。また、各出版社が印刷体教科書の販売からデジタル教科書の販売へ移行を進めていることと関連して、合併により学術教科書市場の独占・寡占が進行すると、図書館が極めて高額なライセンス料で教科書を購入する状況を促進し図書館の財政を深刻に圧迫する、学生の利用に関するデータが限られた出版社に集中する、等の観点からも問題点を指摘しています。

両社の合併計画について第2段階の正式な調査が実施されるかどうかは、2020年3月10日にCMAが発表する予定です。

高等教育出版社Cengage社、2020年8月から大学教科書・教材の購読制サービス“Cengage Unlimited”内でデジタル教科書等に絞った購読が可能なオプションサービスを開始

2020年1月14日、米国に本社を置く高等教育出版社Cengage社は、2020年8月から同社の大学教科書・教材の購読制サービス“Cengage Unlimited”内で、デジタル教科書等に絞った購読が可能なオプションサービス“Cengage Unlimited eTextbooks”を開始することを発表しました。

“Cengage Unlimited eTextbooks”は1セメスター当たり69.99ドルの定額料金で、1万4,000タイトル以上のデジタル教科書・学習ツール等へのアクセスや、印刷体の教科書を希望する場合は1冊当たり7.99ドル・送料無料で4冊まで注文することが可能になります。また、オンライン宿題のアクセスコードや学習用教材等を利用できる完全な“Cengage Unlimited”へアップグレードも可能です。

“Cengage Unlimited”はCengage社が教科書出版業界として初めて導入した購読制サービスで、2018年8月の開始以来急速に普及し200万以上の登録を得ています。

著作物の教育利用に関する関係者フォーラム、「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表

2020年1月20日、著作物の教育利用に関する関係者フォーラムは、「改正著作権法第35条運用指針策定に関する論点整理」を公表したことを発表しました。

2018年5月に公布された改正著作権法第35条では、教育機関が授業で著作物の公衆送信を許諾なしに実施する代わりに、教育機関の設置者が著作権者に補償金を支払う「授業目的公衆送信補償金制度」が盛り込まれ、公布から3年以内の2021年5月までに開始することになっています。著作物の教育利用に関する関係者フォーラムは、教育関係者・有識者・権利者で構成され、「授業目的公衆送信補償金制度」の実施に先立ち、教育現場に円滑な著作物の利用環境を整備・実現するための議論を行っています。2018年11月以降、文化庁・文部科学省の助言を受けながら、「補償金」「ガイドライン」「ライセンス」などをテーマとして計22回のフォーラムが開催されています。

公表された「論点整理」は教育現場での著作物の円滑な利用に必要な運用指針の基本となることが意図されており、「授業」「学校その他の教育機関」など、第35条の用語の定義に関してこれまでのフォーラムの意見交換の中で共通認識が得られた事項が公表されています。同フォーラムは、今後も共通事項が得られた事項については順次公表していく、としています。

米・カリフォルニア大学デービス校、2020年秋から全ての学部生を対象に定額制で教科書等の授業教材をオンライン提供するサービス“Equitable Access”を開始予定

米・カリフォルニア大学デービス校が発行する同校卒業生向け雑誌“UC Davis Magazine”の2019-20年秋冬号に、同校が2020年秋から開始予定の試験サービス“Equitable Access”が紹介されています。

“Equitable Access”は暫定的に199ドルと設定された四半期ごとの定額料金で、教科書等の授業教材にオンライン上でアクセス可能となるサービスです。教科書価格の変動による不公平への対処を目的としており、現在教科書・教材のための費用として、年間約1,136ドルを要する状況に大幅な変革を起こすものである、としています。

“Equitable Access”は全ての学部生が利用可能となる予定です。四半期ごとに料金を支払うモデルは、同校キャンパス内を運行する交通システム“Unitrans”等の全ての学生が支払を行っているモデルを真似て設計されています。

同校の購買部(UC Davis Stores)のウェブサイト上には“Equitable Access”の特設サイトが設けられており、サービスの詳細は2020年春後半に公開する、としています。

文部科学省、「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)を公開

2019年12月19日、文部科学省は、学習指導要領(平成29年告示)に対応した「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)を作成・公開したことを発表しました。

「教育の情報化に関する手引(令和元年12月)概要」によれば、新学習指導要領の下で教育の情報化が一層進展するよう、学校・教育委員会が実際に取組を行う際の参考資料として作成したものであり、現行の手引の内容を全面的に改訂・充実したほか、「プログラミング教育」「デジタル教科書」「遠隔教育」「先端技術」「健康面への配慮」といった新規事項の追加等を行ったとあります。

教育の情報化の推進(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/index.htm
※2019年12月19日付けの新着情報に「「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)について」とあります。

米・カリフォルニア大学デービス校が2020年秋から実施予定の定額制教科書・授業教材提供サービス“Equitable Access”の展望(記事紹介)

学術出版系ブログ“The Scholarly Kitchen”の2019年9月4日付の投稿において、米・カリフォルニア大学デービス校が2020年秋から実施する定額制の教科書・授業教材提供サービス“Equitable Access”に関して、購買部(Campus Stores)でExecutive Directorを務めるJason Lorgan氏へインタビューを実施した記事が掲載されています。

カリフォルニア大学デービス校は、キャンパス規模で出版社と契約を結び学生全体に均等にコストを配分することで、同校の学生が教科書やその他の授業教材を利用するためのコストを大幅に削減することを意図した新プログラム“Equitable Access”実施の準備を進めています。Lorgan氏はインタビュー記事の中で質問への回答の形で“Equitable Access”実施の背景や展望を説明しています。

文部科学省、デジタル教科書の無償貸与による学習上の困難の低減効果の検証への参加校を募集

文部科学省の初等中等教育局教科書課が、デジタル教科書の無償貸与による効果検証への参加校を募集すると発表しています。募集期間は2019年8月6日から8月27日までです。

2019年度使用教科書として採択している教科書と同じ発行者の学習者用デジタル教科書または教科書に準拠したデジタル教材(副教材)を試行的に導入して、学習上の困難の低減の効果について検証することが目的です。

視覚障害や発達障害等の障害、日本語指導が必要(日本語に通じない)、これらに準ずるもの(色覚特性や化学物質過敏症等)により紙の教科書を使用することが困難な児童生徒が対象で、市区町村の教育委員会または学校単位で応募可能です。

ICT機器については、教育委員会または学校で用意する必要があります。

デジタル教科書の無償貸与による効果検証への参加校募集について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/digital/1419752.htm

文部科学省、「iPadを活用したPDF版拡大図書について」を公表

2019年7月19日、文部科学省が、「iPadを活用したPDF版拡大図書について」を公表しました。

慶應義塾大学では、同省から受託し、高等学校用の教科用拡大図書の普及を目的に、特別支援学校(視覚障害等)高等部において、PDF形式の教科書デジタルデータを拡大機能を有するタブレット型情報端末等を用いて、教科用拡大図書と同様に使用し得るための諸条件等について調査研究を実施しており、その内容を紹介するものです。

新着情報(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/news/index.html
※令和元年07月19日欄に「iPadを活用したPDF版拡大図書について」とあります。

iPadを活用したPDF版拡大図書について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/1411600.htm

米・Open Textbook Network及びCollaborative Knowledge Foundation、オープン・テキストブック作成のためのプラットフォーム構築事業を実施

2019年7月1日、米・ミネソタ大学を中心とする、オープン・テキストブックの高等教育での活用を進めるコミュニティOpen Textbook Network(OTN)が、米国博物館・図書館サービス機構(IMLS)の助成を受けて、オープン・テキストブック作成のためのプラットフォーム構築事業を実施することが発表されています。

この事業は、学術コミュニケーションのオープンな基盤の構築を目指す米国の団体Collaborative Knowledge Foundation(Coko)と連携して実施するもので、Cokoのオープンソースのソフトウェア“Editoria”が用いられます。執筆を支援する機能のほか、教員、図書館員、編集者、査読者等が協同して作業を進めるための機能を持つものになるとしています。

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