図書館事情

国際図書館連盟(IFLA)、ベネズエラ・東部大学(Universidad de Oriente)中央図書館の破壊を非難する声明を発表:政府に対し図書館の保護を要請

2020年6月5日、国際図書館連盟(IFLA)、ベネズエラ・東部大学(Universidad de Oriente)の中央図書館が意図的に破壊されたというニュースを受け、図書館の破壊を非難する声明を発表しました。

声明では、(1)世界の文化遺産を保護するユネスコによる活動“Unite for Heritage”で明らかになった、このような破壊が物質的な損失だけでなく、永続的な社会的・文化的な被害をもたらす、ということを示すとともに、(2)如何なる状況下でも、学習と成長の機会を提供する学校・大学の機能を保護する必要性を強調する「学校保護宣言」(Safe Schools Declaration)の精神にも反するとしています。

そして、(1)(2)ともに、国際法のもと、また、国民に対する義務として、政府は、暴力の脅威に直面している図書館の安全を保障するための行動をとる義務があると明示されていることから、ベネズエラ政府等に対し、図書館へのさらなる保護を求めています。

米・ミネアポリス暴動により、ヘネピン郡内の図書館にも被害が発生

米・ミネソタ州ヘネピン郡ミネアポリスの警察署内で発生した警察官の行為による黒人男性フロイド(George Floyd)氏の死亡事故への抗議デモの一部暴動化により建物が破壊されたことを報じる同州StarTribune紙の2020年6月2日付の記事において、図書館も被害を受けたことが報じられています。

ミネアポリス中央図書館は、9枚のエッチングガラスが破壊され、同等のものと交換されるまで透明ガラスがはめられるとのことです。

また、暴動により大きな被害を受けた第3管区の警察の近くに所在する、ヘネピン郡図書館のイーストレーク(East Lake)分館も、大規模な被害を受けたとされています。

ヘネピン郡図書館は、イーストレーク分館について、職員は安全で、建物は補修され、窓・コンピューター・本は交換される予定であると同館のTwitterにおいて説明しています。また、清掃ボランティアは現在募集していないこと、安全のため被害を受けた建物や閉鎖されている建物に入らないこと、電話・電子メール・チャット等で図書館員と連絡が取れることについてもツイートされています。

米・ニューヨーク公共図書館(NYPL)のマークス館長、新型コロナウイルス感染症拡大下における図書館のデジタルサービス拡充の必要性をNew York Times紙上で主張

2020年5月28日付の米・New York Times紙のOpinion面に、ニューヨーク公共図書館(NYPL)のマークス(Anthony Marx)館長による寄稿“Libraries Must Change”が掲載されています。

同寄稿は、新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中でも、図書館が自らの使命に忠実であり続けるため、図書館はデジタルサービスの提供をより一層拡充すべきであると主張する内容です。マークス館長は、図書館はあらゆる人々にその背景や環境によらず、機会を提供し、社会の一員となるために必要な道具や知識への自由なアクセスを提供するという使命があり、この使命に忠実であり続けるために、全ての図書館は根本的な変化を受け入れなければならないと主張しています。また、未曽有の課題に直面した人々のために、図書館はサービスの場を仮想空間上に移行し、人々の物理的な距離が隔てられていても、公共へ奉仕し人々を結び付けられるような新しい方法を模索する必要があると説いています。

米国図書館協会(ALA)、米国図書館界の概況についての報告書(2020年版)及び「2019年に最も批判を受けた図書」を公表

2020年4月20日、米国図書館協会(ALA)は全米図書館週間にあわせ、米国図書館界の概況をまとめた報告書“State of America's Libraries Report”の2020年版を公開しました。

報告書では、ギャラップ社の調査で米国人は年間平均10.5回図書館に来館し映画館や動物園を上回る回答があったことなどを紹介しながら、2019年中に図書館への人気が大きく向上したことを指摘しています。また、公共図書館で書籍以外にマットレス・人形といった「モノ」の貸出が進んでいること、学術図書館全体として、対面のものと電子のものを合計して700万人以上の学生に利用指導が行われたことなど、館種別の動向等も報告されています。

また、「2019年に最も批判を受けた図書トップ10」(Top Ten Most Challenged Books in 2019)もあわせて公開されました。第1位はAlex Ginoの小説“George”でした。同書が批判を受けた理由として、LGBTQIA+に関するテーマを扱いトランスジェンダーのキャラクターが登場すること、宗教的視点や「伝統的な家族構成」に抵触することなどが挙げられたことが紹介されています。

米・サウスカロライナ州の公共図書館員がビデオゲーム「あつまれ どうぶつの森」を活用してゲーム内に図書館を構築(記事紹介)

米国図書館協会(ALA)によるアドヴォカシーのためのイニシアチブ“ilovelibraries”の2020年4月14日付の記事で、新型コロナウイルス拡大により外出が制限される中、米・サウスカロライナ州の図書館員によるビデオゲームを活用した試みが紹介されています。

同記事で紹介されているのは、同州チャールストン郡公共図書館のBaxter-Patrick James Island分館でヤングアダルトサービスを担当する、Tina Chenoweth氏によるビデオゲーム「あつまれ どうぶつの森(Animal Crossing: New Horizons)」を活用した試みです。「あつまれ どうぶつの森」は、建物・インフラの整備や家具・装飾品の作成などを行いながら、プレイヤーが無人島を開発するゲームです。オンラインコードにより、世界中のプレイヤーはお互いの島を訪れて、島の探索や素材の交換、プレイヤー同士の交流などを楽しむことができます。Chenoweth氏はこの「あつまれ どうぶつの森」上で、Baxter-Patrick James Island分館を再現しました。

在宅勤務を実施する米・ドレクセル大学図書館スタッフのフォトエッセイ(記事紹介)

2020年4月7日付で、米国ペンシルベニア州のドレクセル大学図書館が、同館スタッフの在宅勤務の様子を紹介したフォトエッセイ“Libraries Staff Convert their Homes into their own “Remote Libraries”を公開しています。

ドレクセル大学図書館のスタッフは、新型コロナウイルス拡大の影響により、世界の数百万人の人々と同様に、自宅の中という全く新しい環境で業務を進めることになりました。公開されたフォトエッセイでは、同館のスタッフが自宅を「遠隔図書館(remote libraries)」とし、キャンパス外からこれまで通りの図書館サービスを維持している様子の一例が、写真付きで紹介されています。

飼い猫を傍らに置きながら、ライブチャットセッション等により利用者の質問に答えるスタッフや、自宅の窓を開け放って仕事ができるが隣人の音楽やルームメイトの電話といった騒音に悩まされるスタッフ、飼い犬2匹を新しいアシスタントに迎えカードテーブルで仕事に勤しむスタッフの様子などが1枚の写真とともに紹介されています。

CA1968 - 映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』 / 江上敏哲, 谷口正樹, 門林岳史

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カレントアウェアネス
No.343 2020年3月20日

 

CA1968

 

映画評『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』

国際日本文化研究センター図書館:江上敏哲(えがみとしのり)
元・京都シネマ:谷口正樹(たにぐちまさき)
関西大学文学部:門林岳史(かどばやしたけし)

米・ニューズウィーク誌による「世界で最も革新的な図書館」9選:成蹊大学図書館が第8位に選出(記事紹介)

米・ニューズウィーク誌の2020年3月6日号に、世界各国の革新的な図書館を紹介した特集記事“The Most Innovative Libraries Around the World”が掲載されています。

第1位には米国ミズーリ州のカンザスシティ公共図書館(Kansas City Library)が選出され、巨大な本棚を模した図書館南側の駐車場に面する外壁の様子などが写真付きで紹介されています。また、東京都武蔵野市の成蹊大学図書館が第8位に選出され、プリツカー賞受賞者の坂茂氏の設計による同館アトリウムの中空に浮かぶ会話可能な学習室「プラネット」の様子が写真とともに紹介されています。

その他同記事では、ケニア政府のラクダを輸送手段に用いた移動図書館サービス「キャメル・ライブラリー・サービス」や、館内の図書運搬にロボットクレーンを利用するオーストラリアのシドニー市郊外にあるマコーリー大学図書館(Macquarie University Library)など、以下の9館が「世界で最も革新的な図書館」として写真付きで紹介されています。

ニュージーランド・セルウィン図書館、オーストラリアの森林火災で負傷した野生動物の保護に必要な袋・布を作成するために必要な材料・ミシン等を利用者に提供

2020年1月8日、ニュージーランドのセルウィン図書館(Selwyn Libraries)が、オーストラリアの森林火災で負傷した野生動物の保護に必要な袋・布・巣を作成するために必要な材料やパターン、ミシンを利用者に提供すると発表しており、ニュージーランドの国営ラジオ局であるラジオ・ニュージーランドが1月13日付で報じています。

自宅で作成したものも含め、開館時間内に同館に完成品を提供すると、とりまとめて、それらを必要としているオーストラリアの担当機関に送付するとしています。1月22日付の同館のFacebookによると、1月28日で完成品の受付は締め切られています。

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