オープンアクセス

Elsevier社と米・フロリダ大学図書館、オープンアクセス出版と研究を支援する試験的な契約を締結

2020年7月1日、Elsevier社が、米・フロリダ大学のジョージA. スマザーズ図書館と、オープンアクセス(OA)出版と研究を支援する試験的な契約を締結したと発表しました。

発表によると、今回の契約は同社と同大学の現行のライセンス契約を修正したもので、2020年7月1日から発効しています。

同契約により、同大学の論文著者は、同社が刊行する大部分のOAジャーナルおよびハイブリッドジャーナルでOA論文の出版費用が割引されます。

Clarivate Analytics社、Journal Citation Reports(JCR)の2020年版をリリース

2020年6月29日、Clarivate Analytics社は、学術誌評価分析データベース“Journal Citation Reports”(JCR)2020年版のリリースを発表しました。

2020年版では最新版のジャーナル・インパクトファクター(JIF)2019を参照することができます。83か国の学術雑誌12,000誌以上の情報を収録し、収録誌のうち完全オープンアクセス(OA)誌は1,600誌以上です。また、351誌の新規タイトルのうち178誌がOA誌です。

2020年版のJCRでは、OAに関する新たなデータが追加され、各学術雑誌の論文をアクセスモデル別に表示するデータが提供されます。これにより、ゴールドOAの学術論文が学術雑誌全体のコンテンツ量と被引用数にどの程度貢献しているかについて、透明性のある出版社中立の情報を研究コミュニティに提供可能になっています。また、7,487タイトルのハイブリッド誌について、従来の購読モデルで発行された論文数とクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で出版されたゴールドOAの論文数とを容易に識別可能になっています。

その他、過剰な自誌引用や不自然な引用等に関するモニタリングを行った結果として、33タイトルの除外や、15タイトルへの懸念表明を実施したことを表明しています。

Knowledge Unlatched(KU)、OpenAPCのデータセットの収録範囲が単行書のオープンアクセス化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表

2020年6月30日、Knowledge Unlatched(KU)は、機関が実際に支払した論文処理費用(APC)のデータセットを提供するイニシアチブ“OpenAPC”とともに、OpenAPCの提供するデータセットの収録範囲が単行書オープンアクセス(OA)化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表しました。

OpenAPCは、OA出版物のAPCの透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”の一部を構成するイニシアチブで、ドイツのビーレフェルト大学図書館が運営しています。今回の初めてのOpenAPCへのBPCの登録では、KUの共同出資による選書プログラムの下で、KUが出版社に支払した全ての費用に関する約1,000冊相当のデータが含まれています。また、KUが資金を募っているその他のコレクションについても、詳細な支払関連データを共有することが予定されています。KUは、自身のOpenAPCへの貢献により、OA単行書のための新しいデータベースが立ち上げられた、としています。

BPCを含んだデータセットは、OpenAPCイニシアチブのウェブサイトで公開されています。2020年夏以降に現在のデータセットからの拡張が予定されています。

韓国国立中央図書館(NLK)、機関リポジトリ普及促進事業OAKの2020年の対象機関を発表:同事業によるリポジトリ設置機関が53機関に

2020年7月1日、韓国国立中央図書館(NLK)は、6月30日に、機関リポジトリ普及促進事業OAKの2020年の対象機関として、啓明大学校医学図書館・済州大学校中央図書館・朝鮮大学校中央図書館・韓国職業能力開発院・韓国韓医薬振興院の5機関と契約を締結したと発表しています。これにより同事業により設置された機関リポジトリは53となります。

2014年に開始された同事業では、77万件の学術情報がOAKの国家リポジトリを通じて検索できるようになっており、今回契約した機関では、バイオ、生物資源、自然生態系、観光、レジャー等に関する研究成果や、人工知能事業の推進と連携した研究情報、韓医薬の素材に関する研究情報や特許資料といった韓医薬産業に関する機関リポジトリが構築されます。

5機関では、OAKのメタデータ標準が適用された最新型リポジトリの構築、内部システム連携、1年間の無償メンテナンス、運営者教育などの支援を受けることになります。

米・マサチューセッツ工科大学出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19”を公開

2020年6月29日、米・マサチューセッツ工科大学(MIT)出版局と米・カリフォルニア大学バークレー校が、新型コロナウイルス感染症に関連する研究成果の迅速な査読を行うオーバーレイジャーナル“Rapid Reviews: COVID-19” (RR:C19)を公開したことを発表しました。

同ジャーナルでは、人工知能(AI)を用いて、プレプリントリポジトリから有望な研究成果を抽出し、専門家にピアレビューを依頼し、透明性が担保された過程を経て結果をオープンアクセス(OA)プラットフォームで出版するとしています。

発表によると、研究助成団体であるPatrick J. McGovern Foundationから助成を得て、オープンソースの出版プラットフォームであるPubPub上にホストされています。

最初のレビューは、2020年7月に公開される予定です。

SCOAP3、単行書のオープンアクセス化のためのパイロット事業を開始

2020年6月29日、SCOAP3が、既刊の単行書のオープンアクセス(OA)化のためのパイロット事業の開始を発表しています。

SCOAP3の運営協議会(Governing Council)によって設立されたワーキンググループによる分析を受けて開始されたもので、高エネルギー物理学(HEP)、および、測定機・検出器工学や加速器物理学といった関連分野の大学レベルの教科書といった既刊の単行書のOA化を目的としています。

SCOAP3のOpen Books Working Groupでは、78の関連タイトルを選び、これらの単行書のOA化を実施できる事業者選定の調達を欧州原子核研究機構(CERN)に委託しています。調達の結果は2020年夏には発表され、2021年初頭には最初の単行書がOA化される予定です。

SCOAP3 for Books pilot project started(SCOAP3,2020/6/29)
https://scoap3.org/scoap3-for-books-pilot-project-started/

OpenAIRE、オープンアクセス出版プラットフォーム“Open Research Europe”の構築に関してF1000 Researchと覚書を締結

2020年6月25日、OpenAIREは、オープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”(ORE)の構築に関して、F1000 Researchと覚書(Memorandum of Understanding:MoU)を締結したことを発表しました。

同プラットフォームは、Horizon2020の助成を受けた研究の成果をOAで出版するものであり、2020年秋から論文の投稿の受付を開始し、2021年に正式公開を予定しています。2020年3月に、F1000 Researchは、同プラットフォーム構築に関して欧州委員会(EC)と契約しました。

今回のOpenAIRE とF1000 Researchの覚書では、以下をはじめとした内容に協力して取り組んでいくとされています。

・OpenAIREのAPIを用いてECの助成情報をOREに統合する。

・OpenAIREのコンテンツ提供機関からのOREへの自動投稿を支援する。

・統計の表示を調整し、可能ならばOpenAIREの利用統計をOREに統合する。

・利害関係者との協力体制を築く。

その他、ワークショップ等でプラットフォームの持続可能性に関する議論に貢献すること等に触れられています。

2010〜2018年のドイツにおけるオープンアクセス状況の調査(文献紹介)

2020年6月15日、2010年から2018年までのドイツのオープンアクセス状況に関する論文”Open Access Uptake in Germany 2010-18: Adoption in a diverse research landscape”がZenodo上で公開されました。著者はゲッティンゲン州立・大学図書館のAnne Hobert氏ら5名です。

調査は、Web of Science、Unpaywall、ISSN-Gold-OA 3.0 list、OpenDOAR等のデータを利用して実施されました。調査では45%の文献がオープンアクセスであることが報告されています。特に、分野に特化したリポジトリでの公開が最も普及しているオープンアクセスの手法であることが述べられています。一方、オープンアクセスジャーナルや機関リポジトリを利用したオープンアクセスも近年その割合が上昇していることが報告されています。

また、大学、ヘルムホルツ協会、マックスプランク協会、ライプニッツ協会、政府系研究機関、フラウンホーファー研究機構ごとのオープンアクセス状況の調査も実施しています。それぞれの機関が異なる使命をもつことから、オープンアクセス状況にもばらつきがあることが報告されています。

オープンアクセス誌を発行する出版者(文献紹介)

オープンアクセスの査読誌PLOS ONEに、2020年6月5日付けで、オープンアクセス誌を発行する出版者について調査した論文” Open access publishers: The new players”が掲載されています。

論文では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌を刊行する出版者とAPCについて調査が実施されています。調査では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌において、一部商業出版社が大きな割合を占めることが報告されています。特にSpringer Natureはジャーナル件数では全体の35%、論文件数では全体の65%を占めています。APCについては、医学分野のオープンアクセス誌が最も高額であることが報告されています。一方、27%のオープンアクセス誌はAPCを要しません。

著者らは、学術コミュニケーションシステムを制御しかねない商業出版社による寡占の存在を指摘しています。さらに、研究者が何をどこに出版するか決定する力をほとんど持たない依存の状態を生み出していると結論付けています。

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