学術出版

フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、2019年12月現在のWiley社、Sage社、Taylor & Francis社との学術雑誌契約の交渉進捗状況を公表

フィンランドの大学・研究機関・公共図書館からなるコンソーシアム“FinELib”は、2019年12月5日付で、2019年12月現在の主要学術出版社との学術雑誌契約の交渉進捗状況を報告した記事を投稿しました。

“FinELib”は、研究者・学生が購読雑誌掲載論文へアクセス可能になり、かつ自身の研究成果を費用負担不要で無制限にオープンアクセス(OA)化できるように、フィンランドの研究コミュニティを代表して主要学術出版社と契約交渉を行っています。投稿された記事ではWiley社、Sage社、Taylor & Francis社との契約交渉の進捗状況を以下のように報告しています。

・Wiley社との長期間に渡る交渉は進展を見せており、OA出版要項を含む2020年から2022年までの新契約締結の見込みが立っている。しかし契約の細部事項を巡って現在も交渉が続いている。

・Sage社との交渉も進展を見せており、OA出版要項を含んだ3年間の新契約について現在細部事項の議論を行っている。

・2019年初めに交渉が決裂したTaylor & Francis社とは、2019年秋に交渉が再開されている。しかし交渉の先行きは不透明である。

ウクライナ教育科学省、オープン化された引用データの索引データベースとして“The Open Ukrainian Citation Index(OUCI)”を立ち上げ

2019年11月28日に刊行されたNature誌のVolume 575 Issue 7784の短信(Correspondence)において、ウクライナ教育科学省(Ukraine’s ministry of education and science)がウクライナ国家科学技術図書館(The State Scientific and Technical Library of Ukraine)とともに、オープン化された引用データの索引データベースとして“The Open Ukrainian Citation Index(OUCI)”を、同月に立ち上げたことが紹介されています。

OUCIはCrossrefの被引用文献表示サービスCited-byに参加する全ての出版社の引用データで構成されるデータベースで、引用データのオープン化を推進するイニシアティブI4OCの取り組みを支援するものです。

Nature. Volume 575 Issue 7784, 28 November 2019
https://www.nature.com/nature/volumes/575/issues/7784

人文・社会科学分野のオープンアクセス(OA)の単行書の出版を促すイニシアチブ“Toward an Open Monograph Ecosystem(TOME)”のウェブサイトが公開

2019年12月3日、人文・社会科学分野のオープンアクセス(OA)の単行書の出版を促すイニシアチブ“Toward an Open Monograph Ecosystem(TOME)”のウェブサイトが公開されました。

TOMEは米国大学協会(AAU)・北米研究図書館協会(ARL)・Association of University Presses(AUPresses)により2017年から5年間の試験事業として開始されたプロジェクトで、今回のウェブサイトの公開は、人文・社会科学分野の研究成果へのアクセスを増やしたい学者・出版社・図書館員・大学職員によるコミュニティを構築することが目的で、TOMEの支援を受けての出版に興味を持つ著者や出版社への情報が提供されています。

これまでTOMEの助成により、28冊の単行書がOAとして出版されており、現在も30冊を超える単行書が作成作業中であると紹介されています。

学術雑誌契約のオープンアクセス(OA)要項モニタリングに必要な論文レベルのメタデータのチェックリスト化(文献紹介)

2019年11月26日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、論文“Monitoring agreements with open access elements: why article-level metadata are important”が掲載されました。英・JiscのMafalda Marques氏、オランダ・ライデン大学図書館のSaskia Woutersen-Windhouwer氏、フィンランド国立図書館のArja Tuuliniemi氏による共著論文です。

近年、コンソーシアムや学術機関が、論文処理費用(APC)の割引・オフセット契約・“Read and Publish”契約といったオープンアクセス(OA)要項を含む契約を出版社と締結する事例が増加しています。こうした契約を締結した場合、コンソーシアムや学術機関はOAで出版された論文数、契約のコスト、契約の価値をモニタリングする必要があるため、出版社は契約に基づきOAで出版された論文に関して、コンソーシアム・研究機関・資金助成機関に対する説明責任を負います。出版社がこうした説明を行うための方法の1つは定期的に論文レベルのメタデータをレポートとして報告することです。

【イベント】J-STAGE20周年記念シンポジウム「学術コミュニケーションの展望」(2/13・東京)

2020年2月13日、東京都千代田区のJST東京本部別館において、J-STAGEの運用開始20周年を記念したシンポジウムとして、J-STAGE20周年記念シンポジウム「学術コミュニケーションの展望」が開催されます。

シンポジウムは、海外の有識者を含めた様々な立場からの講演を通して、学術コミュニケーションのランドスケープを描きだし、デジタル時代・オープンサイエンス時代において期待される学術コミュニケーションの役割、ジャーナル出版に関する戦略を考えるという趣旨の下で開催されます。

米国ユタ大学J.ウィラード・マリオット図書館のRick Anderson氏による、学術コミュニケーションの変遷や現状の課題などについて様々な観点から俯瞰的に解説を内容とした基調講演、大学改革支援・学位授与機構の土屋俊特任教授による、デジタル時代の学術コミュニケーションで重要な役割を担うプラットフォームの歴史的側面、トレンド、期待される役割などについての講演などが行われます。また、Anderson氏と土屋特任教授による今後の学術コミュニケーションのあり方に関する対談も予定されています。

シンポジウムでは英日の同時通訳が用意されています。参加無料ですが事前申込が必要で、定員に達し次第申込は締め切られます。

米・SPARC、高等教育機関向けに学術データとその基盤への出版業界の統制増大に対抗するためのロードマップを公開

2019年11月19日、米・SPARCは、高等教育機関向けに学術データとその基盤への出版業界の統制増大に対抗するためのロードマップとなる報告書として、“A Roadmap for Action : Academic Community Control of Data Infrastructure”の公開を発表しました。

このロードマップは、2019年前半に公開済の学術出版業界の現況に関するSPARCの詳細分析を踏まえて作成されています。筆頭著者である市場アナリストのClaudio Aspesi氏は、ロードマップ作成の背景として、「学術出版業界は大きな変革期にあり、従来までのコンテンツ提供事業だけでなくデータ分析をも事業化しようとしている。この傾向は重要な意味を持つものであり、高等教育機関の財政、中核的使命、重要情報を管理するための機能に深い影響を及ぼす可能性がある。この変化する状況には、隠れてはいるが負の帰結につながりうる対処すべき重大な問題が含まれている。今行動を起こさなければならない」とコメントしています。

cOAlition S、“Transformative Journals”の枠組み案を公開:フィードバックを募集中

2019年11月26日、cOAlition Sは、“Transformative Journals”(転換雑誌)の枠組み案を公開しました。

“Transformative Journals”は2019年5月に改訂された「Plan Sの実現にかかる手引き(Guidance on the Implementation of Plan S)」で導入された概念で、(1)OAコンテンツのシェアを徐々に増やし、(2)(二重支払いを防ぐために)出版サービスへの支払いをサブスクリプション費用の相殺に用い、(3)全査読済み論文を合意した期間内に完全・即時OAに移行することへの明確なコミットメントを有する学術誌とされています。

今回公開された“Transformative Journals”の枠組み案では、その必須要件と、“Transformative Journals”の出版社に向けた推奨要件の具体案が示されており、2020年1月6日までのフィードバックを募集するとともに、2020年3月末までに最終版を公開する予定であることが述べられています。

cOAlition S、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書を公開

2019年11月21日、cOAlition Sは、主要学術分野における研究成果オープンアクセス(OA)化の手段とPlan Sへの準拠状況に関する「ギャップ分析」の実施報告書として、“Open access potential and uptake in the context of Plan S - a partial gap analysis”を公開したことを発表しました。

OA2020、学術雑誌のオープンアクセス(OA)への転換に関する達成状況を示した“OA2020 Progress Report”の最新版として2019年11月版を公開

2019年11月18日、学術雑誌のオープンアクセス(OA)化を目指すイニシアチブ“OA2020”は、Twitterアカウント上でその取り組みの達成状況を示した“OA2020 Progress Report”の最新版として2019年11月版が利用可能であることを発表しました。

2019年11月版の“OA2020 Progress Report”では、2018年12月の“14th Berlin Open Access Conference”に参加した37か国の代表によって発された最終声明以来の進捗状況が報告されています。2019年11月現在、OA2020には全世界の4,600以上の機関を代表して140以上の組織が署名しています。African Open Science Platform等と共同したサンパウロ声明の公表やcOAlition Sと共同でOA転換の加速化に取り組むことを示した声明に見られるように、OA2020の理念は他のOAに関するイニシアチブを含む世界中の利害関係者からコンセンサスを獲得しており、協調して取り組みを進めていることが紹介されています。

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、Elsevier社と3年間の“Read & Publish”契約を締結

2019年11月22日、Bibsamコンソーシアムを代表してライセンス契約の交渉を行っているスウェーデン王立図書館(NLS)は、Elsevier社とオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」として、“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

BibsamコンソーシアムのElsevier社とのライセンス契約は、継続交渉で双方の合意を満たすことができなかったため2018年に失効していましたが、その後の交渉の結果、Bibsamコンソーシアムの要求を満たしつつ、双方にとっての公正価値を反映した新しい契約が成立しました。

新たに成立した契約の主な内容は次のとおりです。

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