学術出版

文献レビューに基づいた「ハゲタカジャーナル」に対する認識の調査:Jeffrey Beall氏の影響力と弊害の指摘(文献紹介)

2020年11月10日付で、Elsevier社が刊行する査読誌“The Journal of Academic Librarianship”に、ポーランドのアダム・ミツキェヴィチ大学の2人の研究者による共著論文“How is open access accused of being predatory? The impact of Beall's lists of predatory journals on academic publishing”のオンライン速報版(In Press, Journal Pre-proof)がオープンアクセス(OA)で公開されています。

同論文は、「ハゲタカジャーナル」が文献上で、どのように特徴づけられているかを調査する目的で執筆されました。調査は、Web of Science、Scopus、Dimensions、Microsoft Academicの4種類の文献データベースに収録されたハゲタカ出版を扱う英語文献280件のレビュー及び質的分析として行われています。

英・JiscとWiley社、英国の主要大学及び英国科学振興協会(BAAS)のアーカイブ資料の新たなデジタルコレクション構築を目的としたパートナーシップ関係を拡大

2020年11月19日、英国のJiscとWiley社は、新たなデジタルコレクション“British Association for the Advancement of Science”の構築のため、英国の主要大学及び英国科学協会(BSA)とのパートナーシップ関係を拡大したことを発表しました。

“British Association for the Advancement of Science”は、歴史的に価値の高い一次資料を提供するWiley社のデジタルプラットフォーム“Wiley Digital Archives”へのホスティングの下で構築が進むデジタルアーカイブコレクションです。1830年代から1970年代までの約150年間の英国科学史の記録として、英国の主要大学及びBSAの前身の英国科学振興協会(BAAS)のアーカイブ資料で構成されます。ヘリウムガスを発見した天文学者ロッキャー(Joseph Norman Lockyer)のメモやノーベル化学賞受賞者ラムゼー(William Ramsay)の講演ノートなどを収録し、完成時には約100万ページ相当の規模となることが見込まれ、収録内容の9割以上が初めてデジタル化される資料となります。

シュプリンガー・ネイチャー、2021年1月よりNature誌のオープンアクセス(OA)オプション提供と提案型OAの試験的運用を開始

2020年11月24日、シュプリンガー・ネイチャーは、Nature誌と32のNature関連誌でオープンアクセス(OA)オプションを提供することを発表しました。2021年1月より、論文掲載料(APC)を支払うことによりこれらのジャーナルで、ゴールドOAで出版することが可能になります。APCは9,500ユーロ(約117万円)に設定されています。

研究者へのアンケート調査に基づくプレプリントの信頼性の評価(文献紹介)

2020年10月28日付で、Royal Society Open Science誌において、論文”Credibility of preprints: an interdisciplinary survey of researchers”が公開されました。著者は、米国の非営利団体Center for Open Science(COS)のCourtney K. Soderberg氏ら3名です。

論文はプレプリントやプレプリントサービスの信頼性を評価するための様々な手がかり(cue)の重要性を明らかにすることを目的としており、3,759名の異なる分野の研究者に対してアンケート調査を実施しています。研究データの公開や研究の再現性等の、オープンサイエンスと著者の主張の検証に関連する手がかりは、プレプリントの信頼性を判断するために非常に重要であると評価されたことが報告されています。対して、査読と著者に関する情報はそれほど重要ではないと評価されたとしています。

スウェーデン・BibsamコンソーシアムとElsevier社の雑誌購読契約中止の影響に対する研究者向けアンケートの自由回答の内容分析(文献紹介)

2020年11月11日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、論文“Cancelling with the world’s largest scholarly publisher: lessons from the Swedish experience of having no access to Elsevier”がオープンアクセス(OA)により掲載されています。

同論文は、スウェーデンのBibsamコンソーシアムが、2018年のElsevier社との雑誌購読契約中止を受けて実施した契約中止の影響に関する研究者向けアンケートの回答内容の分析結果を報告するものです。同社との契約交渉・研究者向けアンケートの実施や分析を担当した、ストックホルム大学図書館・スウェーデン王立図書館(NLS)・リンショーピン大学図書館・カロリンスカ研究所図書館の各図書館員が共著で執筆しました。

オープンアクセス出版社PeerJ、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxの共同開発パートナーを募集

2020年11月10日、オープンアクセス(OA)出版社PeerJは、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxを共同開発するパートナーを募集していることを発表しました。

PeerJは、学会やその支援コミュニティが学術研究システムの発展に不可欠であるという認識の下、学会系出版者のための新しい学術出版システムPeerJxの開発を進めています。ビデオカンファレンス実施等の事業を展開する非営利団体TEDと、TEDに与えられたライセンスの下で世界各地のコミュニティが実施するイベントTEDxの関係性から着想を得た、地域の研究コミュニティや学会組織に焦点を当てた取り組みであり、PeerJxのパートナーは独自の編集権限やコミュニティ構築の機会を保持しながら、PeerJのジャーナルポートフォリオ、プラットフォーム、インフラストラクチャーを活用して、コンテンツの発信等を行うことができる、と説明しています。

PeerJは、学会等から雑誌の新規設立・維持に関するコストや管理上の負担を取り除きながら、OAの選択肢を含む出版方法を提供するためのソリューションとして、PeerJxの設計思想を説明しています。また、PeerJxはまだ開発初期段階にあるため、パートナーとともに中核コンセプトを開発し、学会等のニーズを確実に満たしたサービスを構築する、としています。

【イベント】第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」(12/18・オンライン)

2020年12月18日、第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」がオンライン開催されます。

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としてますます加速する、多様なプラットフォームによるプレプリント公開の最新動向や目的を共有することによって、プレプリントの方向性を展望する機会として開催されます。特にオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)による『Bibliodiversity(書誌多様性)の形成に向けた行動の呼びかけ』で学術情報流通における多様性の障壁として挙げられた4項目を論点として、学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのかなどについて議論が行われます。

参加費は無料ですが事前申込が必要です。主な内容は以下のとおりです。

・開会挨拶/概要説明
 矢吹命大氏(横浜国立大学大学戦略情報分析室)

・機関リポジトリによるプレプリント公開
 河合将志氏(国立情報学研究所 / オープンサイエンス基盤研究センター)

・研究成果公開のグローバルスタンダードに向けた筑波大学の取り組み
 森本行人氏(筑波大学URA研究戦略推進室)

英国の大学関係者有志による学術機関向け電子書籍の高額な価格設定への調査を政府に求めたキャンペーンCampaign to Investigate the Academic Ebook Market(記事紹介)

英BBCが2020年11月13日付で、英国内の大学図書館員・教員・研究者等2,500人以上の有志が、学術機関向け電子書籍の高額な価格設定への調査を政府に求めたキャンペーンとして、“Campaign to Investigate the Academic Ebook Market(CIAEM)”を実施していることを報じています。

同キャンペーンは政府に対する公開書簡の中で、新型コロナウイルス感染症の拡大により、大学の研究・教育の場面で電子書籍への需要がかつてないほど高まっている一方、大学図書館は著作権法上の制約により個人向けのタイトルを購入できず、数倍から数十倍以上の価格の機関向けタイトルを様々な制約付きで購入しなければならない実態について、具体的な事例とともに訴えています。そして、このような状況を生み出しているのが学術機関向けの電子書籍市場が少数の企業の寡占状態にあることを指摘し、機関向け電子書籍に関する学術出版業界の商慣行の調査と緊急の対策を英国政府に対して求めています。

大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)とエルゼビア社、オープンアクセスの目標を支援するための購読契約提案に合意

2020年11月18日、大学図書館コンソーシアム連合(JUSTICE)は、エルゼビア社との間でオープンアクセス(OA)の目標を支援するための購読契約提案に合意したと発表しました。

同日付けでエルゼビア社も本件に関するプレスリリースを公表しており、JUSTICE運営委員会委員長の細川聖二氏による、JUSTICEのOA2020ロードマップに沿った提案がエルゼビア社からなされたことを歓迎するコメントも掲載されています。

エルゼビア社のプレスリリースによれば、日本のOA目標を支援するための施策を盛り込んだ2021年1月1日から3年間の契約提案に合意したとあり、エルゼビア社にとってこの種の合意はアジア・太平洋地域で初としています。

この提案に基づき、JUSTICEに加盟する大学は購読契約の提案(the subscription proposal)とゴールドOAを推進する提案(the proposal to promote Gold OA)のいずれかを選択することが可能となります。後者の提案は、エルゼビア社が提供する学術文献のオンラインプラットフォームScienceDirectへのアクセスを継続しつつ、OA出版を望む著者の経済的負担を軽減することを意図したものとあります。

cOAlition S、Plan S原則に準拠した出版方法の研究者向け確認ツール“Journal Checker Tool”のベータ版を公開

2020年11月18日、cOAlition Sは、ウェブベースのツール“Journal Checker Tool”のベータ版を公開しました。

“Journal Checker Tool”は、Plan Sの原則に準拠した研究助成機関のオープンアクセス(OA)方針に従って特定の学術雑誌で研究成果を公表する方法を、研究者が明確に確認できるように設計されたツールです。研究者がPlan Sに準拠したOA化の方法を提供する学術雑誌・プラットフォームを容易にすばやく特定できることを意図しています。

研究者はツール上で、公表先として希望する雑誌名・研究助成機関名・所属機関名を選択すると、選択内容のデータの組み合わせから、希望の雑誌がどのようにPlan Sに準拠した公表方法を提供しているかを確認することができます。Plan Sに準拠した公表方法が複数ある場合には、研究者が選んだ特定の公表方法で次に何をすべきかのアドバイスが表示されます。方法が存在しない場合には、Plan Sに準拠した公表が可能になるための組み合わせが見つかるように、選択内容の編集に関する提案が表示されます。

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