学術出版

米国計算機学会(ACM)、米国内の4大学とオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約」を締結

2020年1月23日、米国計算機学会(ACM)は、カリフォルニア大学・カーネギーメロン大学・マサチューセッツ工科大学(MIT)・アイオワ州立大学の4大学とオープンアクセス(OA)出版モデルへの「転換契約(transformative agreement)」を締結したことを発表しました。

各大学との契約は2020年1月1日から3年間が契約期間となり、ACMにとって初めて締結した「転換契約」となります。契約期間中これら4大学の構成員は、ACMの発行する学術雑誌・会議録等を提供するプラットフォーム“ACM Digital Library”の全てのコンテンツへ無制限にアクセス可能になります。また、責任著者がこれら4大学の所属である論文がACM発行の学術雑誌・会議録等へ掲載される際には、追加費用を支払うことなくOAで公開することができます。

プレスリリースでは、この新しいOA出版モデルへの「転換契約」は4大学の協調により進められたものである、としています。

EBSCO社、オープンリサーチの成長・加速化等のため“Code Ocean”、及び“protocols.io”との提携を発表

2020年1月21日、EBSCO社は、研究者・技術者向けに学会・会議予稿集内で公開されたコードを発見・実行するためのプラットフォームCode Oceanとの提携を発表しました。

EBSCO社は提携関係に基づいて、研究の再現性の保証・オープン化等を実現するため、論文内のコードやデータの共有・再利用を促すCode Oceanのプラットフォームを世界中の研究コミュニティに拡大すること、Code Oceanの潜在的な影響範囲・影響力を拡大することを表明しています。

また、同じく2020年1月21日付で、EBSCO社は米・カリフォルニア州バークレーを拠点とし研究上のプロトコルやメソッドをオープンアクセス(OA)で共有するプラットフォームサービス“protocols.io”と提携したことも発表しています。

PLOS ONE、Registered Reportの受付開始を発表

2020年1月14日、オープンアクセス(OA)誌PLOS ONEは、新たな文献種別としてRegistered Reportの受付を開始することを発表しました。

Registered Reportは実験を行う前に、実験方法・分析等の研究デザインを事前に登録し、その段階で査読を受ける新たな論文の形態です。査読を通過すれば、その段階で研究デザイン等がまず公開されます。その後、投稿者は実際の調査・実験プロセスに進み、成果をまとめて論文として投稿し、2度目の査読を受けることになります。その際、当初計画に従って、かつPLOS ONEの基準を遵守しつつ研究が進められていれば、査読を通過することになるとされています。また、成果論文と研究デザイン論文は相互にリンクされるとのことです。

PLOS ONEでは2017年から、小児腫瘍財団と連携してRegistered Reportに関するトライアルを実施していましたが、新たに受付対象が一般に拡大されることになります。

米国化学会(ACS)、新たなオープンアクセス誌”JACS Au”創刊を発表 旗艦誌”JACS”を補完する位置づけ

2020年1月16日、米国化学会(ACS)は新たなオープンアクセス(OA)誌”JACS Au”を創刊することを発表しました。誌名の”Au”の部分は”Gold”と読む、とされています。

ACSはこれまでにも同学会最初の完全OA誌”ACS Central Science”やOAメガジャーナル”ACS Omega”を刊行していますが、JACS Auは同学会の主要雑誌(いわゆるフラグシップジャーナル、旗艦誌)である”Journal of the American Chemical Society (JACS)”を補完するものとして、最先端の、高インパクトな研究を掲載するOA誌とする、とされています。ACSの発表ではPlan Sにも言及されており、Plan Sが実現し、助成を受けた研究者が完全OA誌でしか論文を発表できなくなった場合の、JACS本誌に対する受け皿としてJACS Auを想定しているようです。ただし、JACS Auの編集チームは独立して設けるともされています。

JACS Auの投稿受付は2020年夏から開始するとされています。

PLOSをはじめとするOA出版者らが即時オープンアクセス義務化方針を支持する書簡を米・トランプ大統領に提出

PLOSが複数のOA出版者・関係団体と連名で、米・トランプ大統領に対し、米国政府で検討されていると噂される政府助成研究の即時OA義務化案を支持する書簡を提出したことを発表しました。

同書簡にはPLOSのほか、PeerJ、MIT Press、eLife、F1000 Research、Frontiersなど、米国に拠点を置く、もしくは米国に被雇用者のいるOA出版者・関係団体が参加しています。米国出版協会(AAP)が2019年12月18日に米政府に提出した即時OA化方針に反対する書簡に言及しつつ、すべての出版者がAAPと考えを共有しているわけではなく、PLOSらは即時OA義務化案を支持することを表明する内容になっています。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とスペイン国立研究協議会(CSIC)、3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年1月15日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)とスペイン国立研究協議会(CSIC)、3年間の“Read & Publish”契約を締結したことを発表しました。

この“Read & Publish”契約は大学出版社とスペインの研究機関が締結した初めての契約であると同時にCUPが南欧で締結した初めての契約となります。2020年からCSICに所属する約120機関の著者は、公的資金を受けた論文をCUPのハイブリッド誌及び完全オープンアクセス(OA)誌にOAで掲載可能になります。また、科学・技術・医学・人文科学・社会科学等にまたがる400タイトル以上のCUPの完全な学術雑誌コレクションにアクセス可能になります。

スウェーデン・Bibsamコンソーシアム、国際光工学会(SPIE)と3年間の“Read & Publish”契約を締結

2020年1月13日付の国際光工学会(SPIE)のお知らせにおいて、スウェーデンのBibsamコンソーシアムとSPIEが、2020年から2022年までの3年間を契約期間とする“Read & Publish”契約を締結したことが発表されています。

この契約はSPIEが署名した初めての“Read & Publish”契約となり2020年1月1日から契約が開始されます。契約によりBibsamコンソーシアムの構成員は、SPIE発行の会議録や雑誌論文50万点以上を収録した“SPIE Digital Library”の全てのコンテンツへのアクセスが可能になります。また、論文処理費用(APC)を支払うことなく、無制限にSPIE発行の学術雑誌で研究成果をオープンアクセス(OA)化することができます。

出版倫理委員会(COPE)、ハゲタカ出版に関する討議資料を公開

2020年1月7日、出版倫理委員会(COPE)が、ハゲタカ出版に関する討議資料(Discussion document)“PREDATORY PUBLISHING”を公開しました。

ハゲタカ出版に関する基礎的事実の説明、主要な問題の特定、関係する様々な利害関係者への影響の説明、提案された介入や解決策に関する分析、今後の問題解決のための現在のCOPEの見解の提示等が行われています。

COPEでは、出版者・雑誌編集者・査読者・研究者・研究機関・図書館・助成機関などからの当該問題に関する意見を募集するとしています。

@COPE(Twitter, 2020/1/7)
https://twitter.com/C0PE/status/1214684883282538499

Predatory publishing(COPE)
https://doi.org/10.24318/cope.2019.3.6

Taylor & Francisグループ、F1000 Researchを買収

2020年1月10日、Taylor & Francisグループは、オープンアクセス出版プラットフォームを提供するF1000 Researchを買収したことを発表しました。

Taylor & FrancisグループのChief ExecutiveであるAnnie Callanan氏は今回の買収に関し、オープンリサーチ及びより広範な出版サービスにおける同グループの能力を顕著に強化・拡張するものであり、また、現状に挑戦し革新を行う文化をもたらすものであると評価しています。

プレスリリースでは、以下のような点等にも言及しています。

・F1000 ResearchがTaylor & Francisグループのオープンリサーチサービス及びPlan S準拠のプラットフォームにおける重要な構成要素となること
・今回の買収が、Taylor & FrancisグループのインプリントであるRoutledgeやTaylor & Francisと提携している人文科学・サイエンスコミュニティを、F1000 Researchのサービスと結び付ける機会をもたらすものであること
・F1000Prime、F1000Workspaceは今回の買収には含まれないこと

独・プロジェクトDEAL、Springer Nature社との“Read and Publish”契約に最終合意

2020年1月9日、Springer Nature社と独・プロジェクトDEALを代表して交渉を担当している独・Max Planck Digital Library(MPDL)は、“Read and Publish”契約が正式に締結されたことを発表しました。

この契約は2019年8月22日に署名された覚書(Memorandum of Understanding)を引き継いだものです。プロジェクトDEALを構成する700以上のドイツの研究機関に所属する著者が、Springer Nature社のハイブリッド誌、及び完全オープンアクセス(OA)誌に受理された研究成果を即時OA化することが可能になります。年間1万3,000件以上の論文のOA出版が期待されています。

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