学術出版

Elsevier社とスイスの大学の連合団体swissuniversities、4年間の試験的なオープンアクセス(OA)出版への転換契約を採択

2020年5月26日、Elsevier社は、スイスの大学の連合団体swissuniversitiesが同社との試験的なオープンアクセス(OA)出版への転換契約を採択したことを発表しました。

この契約はElsevier社とスイス学術図書館コンソーシアム(Consortium of Swiss Academic Libraries:CSAL)との交渉の成果として採択されました。契約期間は2020年1月1日から2023年12月31日までの4年間です。

採択された契約により、swissuniversitiesの全加盟機関、及びCSALから契約に参加する追加機関に所属する研究者は、同社の電子ジャーナルパッケージ“Freedom Collection”や同社のプラットフォームScienceDirectへ引き続きアクセス可能になります。また、同社のゴールドOA誌・ハイブリッドOA誌の大部分で論文のOA出版が可能となり、2023年には対象誌が全てのOA誌に拡大する予定です。

プレスリリースでは、今回採択された契約が2024年までに100%のOA化を目指すswissuniversitiesの国家戦略における重要な節目となったこと、CSALが大手学術出版社と締結した初めての全国規模の契約であることなどが併せて発表されています。

オランダ大学協会(VSNU)等のオランダ国内の研究機関がElsevier社とオープンサイエンスに関する国家的なパートナーシップ契約を締結する

2020年5月19日付で、オランダ大学協会(VSNU)・オランダ大学病院連合(NFU)・オランダ科学研究機構(NWO)とElsevier社が、オランダの研究開発に関する目標達成を支援するために、オープンアクセス(OA)出版サービス、購読サービス、及びオープンサイエンスサービス共同開発を内容とする国家的なパートナーシップ契約を締結したことが発表されています。契約期間は2020年1月1日から2024年12月31日までです。

Elsevier社とオランダの研究機関は、2019年12月に合意した枠組み協定を今回のパートナーシップ契約へ発展させました。この間にオランダの研究機関は研究情報とデータの責任ある管理について、独立の専門家タスクフォースを設置し、公的研究の成果物のメタデータが全ての公的機関・民間の機関によって活用されより価値を高めるための条件やルールを決定しました。タスクフォースの助言に従って、研究データ保有に関する権利、研究データ・メタデータへの永続的なアクセス、ベンダー中立性、相互運用性、サービス利用に関する機関の裁量等を含む一連の共同原則が合意されています。

cOAlition S、オープンアクセス(OA)出版費用を設定する際に出版者が遵守すべき「Plan Sに基づく価格透明性のフレームワーク」を公開:2022年7月1日に発効

2020年5月18日、cOAlition Sは、Plan Sの重要原則である価格の透明性に対応するものとして、オープンアクセス(OA)出版費用を設定する際に出版者が遵守すべき「Plan Sに基づく価格透明性のフレームワーク:手引きと要件(Plan S Price Transparency Frameworks: guidance & requirements)」の公開を発表しました。

cOAlition Sは、Plan S原則を満たす価格透明性のフレームワークとして以下の2種類を承認しています。

・学術出版の慣習の転換し出版プロセスの管理主体を学術コミュニティに取り戻すことを目的として活動する研究者・図書館員の連合“Fair Open Access Alliance(FOAA)”が開発し、Frontiers社等が実施中のフレームワーク“Breakdown of Publication Services and Fees”

・Information Power社が開発しAnnual Reviews社・Springer Nature社等が試行実施中のフレームワーク“Plan S Price and Transparency Framework”

Wiley社とResearchGate、研究者のための高品質の学術コンテンツ発見環境の整備・アクセス促進等を実現するためのパートナーシップ関係を締結

2020年5月6日、Wiley社と研究者向けSNSのResearchGateは、研究者のニーズをよりよく支援する方法を共同で追求するため、パートナーシップ関係を締結したことを発表しました。

両者はこのパートナーシップ関係を通じて、研究者のための高品質の学術コンテンツ発見環境の整備・アクセス促進を進めながら、著作権・知的財産権等の原則を尊重したコンテンツ共有を引き続き支援することを表明しています。両者はパートナーシップ関係の締結に基づいて次のような取り組みを行う予定です。

・学術的なコミュニケーション・コラボレーションの推進という両者の共通目標をよりよく達成するため、Wiley社の雑誌記事論文発見に関する新モデルを試行する

・ResearchGateのプラットフォーム上におけるWiley社コンテンツの活用方法に関する知見を培い共有する

・ネットワーク上で自身の論文がいつ、どのように共有されるかについて、明確で関連性のある情報を提供することにより、著作権で保護されたコンテンツに関するユーザー向けの教育を実施する

・ResearchGateのプラットフォーム上におけるWiley社コンテンツへの著作権侵害にあたる公衆送信を速やかに特定し対処する

COVID-19の治療に効果が期待される薬に関する論文のオープンアクセス状況(文献紹介)

欧州研究図書館協会(LIBER)の季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻第1号(2020)に、COVID-19感染拡大下における論文のオープンアクセスについて調査を行った事例研究が掲載されています。

この論文では、大手出版社から公開されているCOVID-19の治療に効果がある可能性がある薬に関する論文のオープンアクセス状況について調査を実施しています。調査は2020年4月12日から17日にかけて実施されており、ScienceDirect等のプラットフォームで公開されている論文が対象となっています。これらのプラットフォームで、COVID-19の治療の効果が期待される薬を検索語句として入力し、検索結果として得られた論文のオープンアクセス状況を調査しています。結果として、プラットフォームや検索語句によってばらつきがあるものの、オープンアクセスではない論文が多く存在することを示しています。

新型コロナウイルス感染拡大の中、多くの大手出版社がCOVID-19等のキーワードを含んだ論文をオープンアクセスにしてきました。しかし、研究の遂行や方針の策定には、それ以外の論文へのアクセスも提供する必要があることを指摘しています。

E2255 - 分散型のオープンな出版フレームワーク“Pubfair”

1665年のオルデンバーグ(Henry Oldenburg)による英語圏で最古の学術雑誌Philosophical Transactionsの出版から355年,学術出版の形態は大きく変わることなく現在も続いている。1994年,ハーナッド(Steven Harnad)は「転覆提案(The Subversive Proposal)」を公表し,学術出版に係るコストの適正化を目的に,ギンスパーグ(Paul Ginsparg)によるプレプリントサーバー(後のarXiv.org)を参考にした,インターネットを活用した既存の学術出版システムに依存しない新たな学術出版のあり方を提案した。ハーナッドの提案は,その後のオープンアクセス(OA)運動に大きな影響を与え,学術論文などの研究成果物を保存・公開する数多くのリポジトリを生み出したが,学術雑誌を中心とした学術出版の変革までには至らなかった。Pubfairは,この旧態依然の学術出版を取り巻くシステムを,機関とそのリポジトリによるリポジトリネットワークとそこにあるコンテンツを利用して構築される,分散型のオープンな出版フレームワークに置き換えることを目指している。Pubfairに関するホワイトペーパーの初版は2019年9月に,第2版は同年11月に公開された。

フィンランドのコンソーシアム“FinELib”、Sage社とオープンアクセス(OA)出版等に関する3年間の契約を締結

2020年5月12日、フィンランドの大学・研究機関・公共図書館等によるコンソーシアム“FinELib”は、Sage社とオープンアクセス(OA)出版等に関する契約を締結したことを発表しました。

契約期間は2020年1月1日から2022年12月31日までの3年間です。この契約により、契約に参加する30機関に所属する研究者は、Sage社のハイブリッド誌937誌について、論文処理費用(APC)を支払うことなく研究成果をOA出版することが可能になります。また、同社のゴールドOA誌149誌のAPCについて20%の割引が適用されます。

FinElibは契約期間中、約1,000件の論文がOAで出版される見込みである、としています。

Elsevier社、カタール国立図書館(QNL)が組織するコンソーシアムと3年間の試験的なオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結

2020年5月6日、Elsevier社は、カタール国立図書館(QNL)が組織するコンソーシアムと試験的なオープンアクセス(OA)出版に関する契約を締結したことを発表しました。

締結された3年間の契約により、QNLのユーザー・カタール財団・カタール大学はElsevier社のプラットフォームScienceDirectに掲載された約2,300誌の学術雑誌へアクセス可能になります。また、契約の条件を満たす機関に所属するカタールの研究者は、2020年1月から2022年12月までの期間に対象となる同社の学術雑誌へ投稿した論文について、追加費用を支払うことなくOAで出版することができます。OA出版された論文はCC-BYまたはCC-BY-NC-NDのライセンスで利用することができます。

さらにQNLのユーザー・カタール財団・カタール大学が同社の抄録・引用文献データベースScopusを利用可能となる3年間の契約も締結されています。

スウェーデン・BibsamコンソーシアムとElsevier社の雑誌購読契約中止の影響と得られた教訓(文献紹介)

2020年4月22日付で、英国逐次刊行物グループ(UKSG)が刊行するInsights誌において、論文“Cancelling with the world’s largest scholarly publisher: lessons from the Swedish experience of having no access to Elsevier”が掲載されました。Bibsamコンソーシアムを代表してライセンス契約の交渉を行っているスウェーデン王立図書館(NLS)のLisa Olsson氏らによる共著論文です。

同論文は、2018年にBibsamコンソーシアムが決定したElsevier社との雑誌購読契約中止について、契約中止が研究者へどのような影響を及ぼしたか、今後の学術出版社との契約交渉においてどのような教訓を残したか等を報告したものです。

CHORUS、加盟出版者の「データ可用性に関するポリシー」のインデックスを公開

2020年4月27日、公的助成研究成果のパブリックアクセスに向けた官民連携イニシアチブCHORUSは、加盟出版者が公表している「データ可用性に関するポリシー(Data Availability Policy)」をインデックス化した“Publisher Data Availability Policies Index”の公開を発表しました。

ここ数年、多くの出版者が、出版者レベルまたはジャーナルレベルで「データ可用性に関するポリシー」作成・公開しています。このポリシーでは、著者は研究結果を再現するために必要なすべてのデータを出版時に無制限に公開すること、法律や倫理上の制限により公開が禁止されている場合にはどのようにしてそのデータにアクセスできるかを示すこと、などが定められています。通常、出版者に論文等の研究成果物を投稿する際には、出版者の「データ可用性に関するポリシー」の順守を示した「データ可用性に関する言及(Data Availability Statement)」提出が義務付けられ、論文等が受理された場合には研究成果物の一部として出版されます。

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