学術コミュニケーション

欧州委員会研究・イノベーション総局、学術出版と学術コミュニケーションの将来に関する報告書を公開

2019年1月30日、欧州委員会(European Commission) の研究・イノベーション総局(Directorate-General for Research and Innovation)が、報告書“Future of scholarly publishing and scholarly communication”を公開しました。

学術コミュニケーションの将来のためのビジョンを提案したもので、現在のシステムの長所・短所や主要なアクターについて検証し、研究者・研究機関・助成機関・政策立案者・出版者・市民の役割を検討し、各々に対しての提言を行っています。

同報告書では、研究者とそのニーズを将来の学術コミュニケーションの中心を位置付け、研究者によって作成された知識等を公共財と見なします。そして、研究評価を全てのアクターに影響を与える学術コミュニケーションの要であるとし、研究者・コミュニティー・全ての組織(特に助成機関)は現在の学術コミュニケーションや出版システムを改善する可能性を持っていることから、その要である研究評価システムに変化をもたらすことから始めるべきと指摘しています。そして、アクター同士の連携は、将来の学術コミュニケーションと出版システムの積極的な変化と革新を実現するための不可欠であるとしています。

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)・SPARC、学術コミュニケーションサービスの7つの優れた実務指針を公表

2019年1月29日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)とSPARCは、共同で開発した実務指針“Good Practice Principles for Scholarly Communication Services”を公表しました

学術コミュニケーションに関するサービスの透明性開放性や、学術支援を保証することが目的とされており、利用者がどのサービスを採用するかであったり、サービス提供者が業務を改善するにあたって利用できるとしています。

Good Practice Principles for Scholarly Communication Services(COAR,2019/1/29)
https://www.coar-repositories.org/news-media/good-practice-principles-for-scholarly-communication-services/

E2012 - 学術コミュニケーションにおけるブロックチェーンの可能性

2017年11月,Digital Science社は,学術コミュニケーションにおけるブロックチェーンの可能性に関するレポート“Blockchain for Research - Perspectives on a New Paradigm for Scholarly Communication”を公開した。ブロックチェーンは,仮想通貨ビットコインの中核技術として発案された。すべての取引記録が,サーバのような機能を有するビットコイン使用者のPCに分散して同期・保存されるので,その改ざんは極めて難しく,また中央集権的なシステムとは違いシステムダウンの心配がなく堅牢性が高い。すべての取引記録は暗号化されて保存されるため,公開されてはいるが匿名性はほぼ保持される。また契約を自動的に執行するスマートコントラクトをブロックチェーン上で利用すれば,あらかじめ定めたとおりに自動的に取引を執行することもできる。ブロックチェーンは最近,教育・医療などの分野でその適用が模索されており,また出版業,小売業・製造業などの業界にも大きな影響を与えている。このレポートでは,学術コミュニケーションや研究一般を変容させうるブロックチェーンの可能性に焦点を当て,学術コミュニケーションの課題,それへのブロックチェーン適用の可能性,適用に際しての注意点などを,ブロックチェーンの最近の活用事例を交えながらまとめている。これらのうち,本稿では,ブロックチェーン適用の可能性を中心に紹介する。

Digital Science社、ブロックチェーン技術によるピアレビュー支援を検証するパイロットプロジェクトを開始

2018年3月7日、Digital Science社は、オランダのスタートアップKatalysis、Springer Nature社、ORCIDと共同で、ブロックチェーン技術によるピアレビュー支援を検証するパイロットプロジェクトを開始することを発表しました。

プロジェクトの初期段階では、研究の再現性が低い、レビュアーが正しく評価されない、などといったピアレビューに関する課題を、分散型台帳やスマートコントラクトなどのブロックチェーン技術を活用して解決することを目的としています。プロジェクト後半の段階では、ピアレビューを中心とした学術コミュニケーションの課題解決を目的とするコンソーシアムの結成を目指します。

Digital Science社がプロジェクト管理、Katalysisがブロックチェーン技術のノウハウの提供、Springer Nature社が出版者とピアレビューのワークフローに関する情報の提供、ORCIDが個人の識別子や認証に関する知見やノウハウの提供を、それぞれ行います。

欧州研究図書館協会、2018-2022年の戦略計画を発表

2017年11月21日、欧州研究図書館協会(LIBER)が、2018-2022年の戦略計画“Research Libraries Powering Sustainable Knowledge in the Digital Age”を公表しました。

戦略的方向性として研究図書館を以下のように位置づけるとしています。

・革新的な学術コミュニケーションのプラットフォーム
・デジタルスキルやサービスのハブ
・研究インフラのパートナー

Today LIBER is putting its 2018-2022 Strategy ー Research Libraries Powering Sustainable Knowledge in the Digital Age ー into action. (LIBER,2017/11/22)
http://libereurope.eu/blog/2017/11/21/2018-2022-strategy/

米国図書館協会、米国図書館界の概況についての報告書 (2017年版)及び「2016年に最も批判を受けた図書」を公表

2017年4月10日、米国図書館協会(ALA)が、全米図書館週間にあわせ、米国図書館界の概況をまとめた報告書“State Of America's Libraries Report”の2017年版を公表しています。

報告書では、図書館が、(1)あらゆる種類の情報を質の評価に必要な知識や訓練を利用者に提供していること、(2)幼児のリテラシー・コンピュータスキル・労働力開発支援に大きな役割を果たしていること、(3)資料・プログラム・サービスにコミュニティの多様性を反映させることで住民にとって安全な場所を提供していること、を示しています。

その他、館種別では

・大学図書館
学術コミュニケーション、デジタルアーカイブス、データキュレーション、デジタルヒューマニティーズ、可視化、ボーンデジタルの分野で新しい役割を担いつつある。新興領域として、計量書誌学、オルトメトリクス、e-Learning、custom information solutions、研究データ管理がある。

欧州委員会、世界のオープンサイエンスをモニタリングするウェブサイト“Open Science Monitor”を公開

2017年3月20日、欧州委員会(EC)が、世界のオープンサイエンスをモニタリングするウェブサイト“Open Science Monitor”を公開しています。

新しいウェブサイトには、RAND Europe、Deloitte、Digital Science、Altmetric、figshareが開発したモニターが提供されており、研究者・政策決定者・助成団体・図書館・出版社といった利害関係者が、オープンサイエンス(オープンアクセス、研究データのオープン化、オープンな学術コミュニケーション、シチズンサイエンス)に関するデータやトレンド情報にアクセスできます。

Open Science Monitor(EC)
http://ec.europa.eu/research/openscience/index.cfm?pg=home&section=monitor

研究データ管理、学術コミュニケーション・オープンアクセス支援業務における図書館員のコンピテンシーの分析結果が公表される

e-Research、学術コミュニケーション支援における図書館員のコンピテンシーを理解するために、欧州研究図書館協会(LIBER)、北米研究図書館協会(ARL)、カナダ研究図書館協会(CARL)、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)が協同で取組んでいるタスクフォース“Task Force on Librarians’ Competencies in Support of E-Research and Scholarly Communication”が、研究データ管理と、学術コミュニケーション・オープンアクセスに関する支援業務に必要な図書館員の能力の分析結果を公表しました。

図書館の責任者が、自組織のスキルの現状理解、職務記述書の作成、自己評価の実施や、研修プログラムの開発の基礎として活用できるようになっています。

今後、デジタル人文学支援や、電子保存業務に必要な能力の分析結果が公表される予定とのことです。

Librarian Competencies in Support of Research Data Management, Scholarly Communication, Open Access(ARL,2016/6/15)

【イベント】KEIO大学図書館国際フォーラム「研究支援と図書館 ~研究サイクルを取り巻く「混沌」に図書館はどう向き合うか~」(2/26・東京)

2016年2月26日、慶應義塾大学三田キャンパスで、KEIO大学図書館国際フォーラム「研究支援と図書館 ~研究サイクルを取り巻く「混沌」に図書館はどう向き合うか~」が開催されます。

OCLC Researchのコンスタンス・マルパス(Constance Malpas)氏による基調講演のほか、ORCIDアジアの宮入暢子氏による講演と、ディスカッションが開催されます。

当日は日英による逐次通訳が行われ、定員は150名で、参加費は無料です。

第2回KEIO大学図書館国際フォーラム(慶應義塾大学メディアセンター)
http://www.lib.keio.ac.jp/jp/forum/
http://www.lib.keio.ac.jp/jp/forum/KEIOforum.pdf
※2つ目のリンクは開催通知の文書です。

慶應義塾大学メディアセンター
http://www.lib.keio.ac.jp/jp/index.php
※「お知らせ」欄に、2016/2/9付で、「KEIO大学図書館国際フォーラム「研究支援と図書館 ~研究サイクルを取り巻く「混沌」に図書館はどう向き合うか~」開催のご案内 (2/26)」とあります。

参考:

E1764 - 大学図書館における学術コミュニケーション機能の組織配置

 2015年11月18日,米国のIthaka S+Rが,大学図書館における学術コミュニケーション部署の組織配置に関して調査し,レポート“Office of Scholarly Communication: Scope, Organizational Placement, and Planning in Ten Research Libraries”を公開した。このレポートは,Ithaka S+Rがハーバード大学の依頼を受け,大規模な大学図書館における基礎情報を収集すべく,米英の11の図書館等を対象に,電話調査等を行った結果をまとめたものである。なお近年,学術コミュニケーションの変容という文脈でオープンアクセス(OA)が挙げられることが多いが,本調査の対象にはOA方針を採択していない大学の図書館も含まれる。また,スタンフォード大学は調査対象であったが,学術コミュニケーション機能を担当する部署がなくOAについても関心が薄いとして回答が得られていない。各大学の図書館長に対しては学術コミュニケーション機能の目的と組織構造について,学術コミュニケーション部署の長(あるいはそれに相当する者)へは当該部署の人員,予算,業務分担,業績について質問している。なお,調査対象の概要(学術コミュニケーション部署や機関リポジトリについて)と質問内容が附録として掲載されている。

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