オープンサイエンス

オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)、学術情報流通の多様性の促進を関係コミュニティに呼びかけたペーパーを公開

2020年4月15日、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)は、学術情報流通の多様性(“bibliodiversity”)の促進を関係コミュニティに呼びかけたペーパー“Fostering Bibliodiversity in Scholarly Communications – A Call for Action!”の公開を発表しました。

COARは、学術情報流通を含む健全なエコシステムにおける「多様性」を重要な特性とし、サービス・プラットフォーム・資金調達のメカニズム・評価手段の多様性が確保されることで、学術情報システムは様々な研究コミュニティのニーズや認識の相違をサポートしたワークフロー等を提供できるようになるとこと、独占・寡占・価格上昇につながるベンダーロックインのリスクを必然的に軽減できることに言及しています。また、オープンアクセス・オープンサイエンスへの移行等により、学術情報流通システムの多様性を促進する機会が訪れている一方で、多様性は統一されたアプローチでは追求できないこと、システム内のいくつかのコミュニティによる散発的な試みに終わらないためには調整が必要であることなども併せて指摘しています。

E2252 - 第2回SPARC Japanセミナー2019<報告>

2019年12月20日,筑波大学東京キャンパス文京校舎において第2回SPARC Japanセミナー2019が開催された。テーマは「オープンサイエンスを支える研究者情報サービスとその展望」である。これまで論文やデータあるいはそれらの格納場所について語られることの多かったオープンサイエンスであったが,今回は論文の著者である研究者の情報とのつながりが主眼に置かれたものとなった。

文部科学省、「令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者」を発表:学術情報サービス基盤CiNiiの開発・京都大学のOA推進事業等が科学技術賞を受賞

2020年4月7日、文部科学省は、「令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の受賞者が決定したことを発表しました。

文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。

社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている画期的な研究開発若しくは発明を行った者を対象とする、科学技術賞の開発部門では、「学術情報サービス基盤CiNiiの開発」の業績による東京大学の大向一輝准教授(国立情報学研究所(NII)客員准教授)を含め、24件87人の受賞が発表されています。

科学技術の振興に寄与する活動を行った者を対象とする、科学技術賞の科学技術振興部門では、「オープンサイエンスの実現に向けたモデル基盤構築への貢献」の業績による京都大学の引原隆士教授ら同大学のオープンアクセス推進事業の関係者5人を含め、7件23人の受賞が発表されています。

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象とするオープン化された教科書シリーズの第1弾として“Krisenmanagement”を公開

ドイツ国立科学技術図書館(TIB)は、2020年4月9日付のブログ記事において、新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者を対象としたオープン教育資源(OER)の教科書シリーズ第1弾として、“Krisenmanagement(危機管理)”の公開を発表しました。

TIBでは、同館のオープンサイエンスラボが新型コロナウイルス感染症に対抗する医療従事者支援を目的として、迅速な図書製作(book sprints)・OER開発に取り組んでいます。この取り組みの一環として、8冊の公衆衛生サービスに関する教科書シリーズの製作が進められており、公開された“Krisenmanagement”は、このシリーズの最初のタイトルとなります。

“Krisenmanagement”はオープンアクセス(OA)となっており、GitHub上にも様々なフォーマットで公開されています。また、ドイツのeラーニングプロバイダー“oncampus”のウェブサイト上で、同書のコンテンツを基にしたMOOCが提供されています。このため、公衆衛生分野を新たに学ぶ医学生はすぐにこの教材を活用可能になっています。

Knowledge Unlatched(KU)、オープンアクセス・オープンサイエンス等の専門的ネットワーク拡大の場を提供するプラットフォーム“Open Research Community”を正式公開

2020年4月7日、Knowledge Unlatched(KU)は、オープンアクセス(OA)・オープンリサーチ・オープンサイエンス等の話題に関する専門的ネットワーク拡大の場を世界中に提供する双方向のプラットフォーム“Open Research Community(ORC)”について、試験段階を終えて正式公開したことを発表しました。

ORCは図書館・出版社・研究者が一堂に会して、将来を見据えた研究やOA出版に関する世界的な規模での情報交換の支援を意図して立ち上げられました。KUのイニシアチブとして運用されており無料で利用することができます。ポリシーペーパー・研究報告書形式の最新情報や、ブログ記事の投稿、ビデオパネル等によって、専門家ネットワーク交流の機会を提供しています。システム構築には、コミュニティソフトウェアプラットフォームZapnitoが用いられています。

ORCはOAやオープンリサーチに積極的に携わる世界中の専門家が構成する諮問委員会を設置しています。委員会のメンバーは、プラットフォーム内のディスカッショングループの立ち上げ、ブログ記事の執筆、プラットフォームの窓口として利用者との交流などを行います。

英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を開始

2020年4月2日、英・ケンブリッジ大学出版局(CUP)は、オープンリサーチのためのプラットフォーム“Cambridge Open Engage”の提供を正式に開始し、研究者が研究成果を直接投稿可能になったことを発表しました。

“Cambridge Open Engage”は、プレプリント・プレゼンテーション・ワーキングペーパー・会議用のポスター・灰色文献など、早期段階の研究成果を公開・共有するためのプラットフォームです。全てのコンテンツは自由に閲覧可能で、また著者は自由に研究成果物をアップロードできます。診療(clinical practice)に関する内容を除くあらゆる分野の研究成果が受付されており、著者は査読や出版に先立って、研究コミュニティへ自身の研究成果を共有可能となっています。

また、学会・研究センター・研究機関・研究助成機関等の組織に対しては、組織内での早期段階のオープンリサーチに関する研究成果の分析や研究の傾向・成長分野に関する知見など、“Cambridge Open Engage”を通したオープンリサーチに関するサービスが提供されます。

九州大学附属図書館、九大コレクションに収録された「貴重資料」「蔵書印画像」「炭鉱画像」についてJPCOARスキーマ形式によるメタデータをオープン化

2020年3月27日、九州大学附属図書館は、九大コレクション「貴重資料」「蔵書印画像」「炭鉱画像」のメタデータ提供を開始したことを発表しました。

同館は、オープンサイエンスの世界的な進展に伴う、大学保有の学術情報共有を求める世界的な流れを受けて、所蔵コンテンツのメタデータをオープン化した、としています。メタデータはJPCOARスキーマ形式で提供され、CC0ライセンスをメタデータの利用条件に定めています。Webサービス等への活用のため、オープン化されたメタデータはOAI-PMHによる取得にも対応しています。また、TSV形式によるメタデータの全件ファイルをダウンロードすることもできます。

九州大学附属図書館は「貴重資料」「蔵書印画像」「炭鉱画像」以外のメタデータについても調整を進めており、今後提供範囲を拡大する予定である、としています。

メタデータの提供を開始しました(九州大学附属図書館,2020/3/27)
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/news/32331

オランダの2021年から2027年までの戦略的な研究評価のためのプロトコル“Strategy Evaluation Protocol(SEP)”が公開される

2020年3月16日、オランダ大学協会(VSNU)は、オランダ王立芸術科学アカデミー (KNAW)・オランダ科学研究機構(NWO)と共同して作成した新しい研究評価のためのプロトコル“Strategy Evaluation Protocol(SEP)”を公開しました。

オランダでは研究機関が研究評価を行う目的と手順を示したプロトコルについて、6年ごとに見直しが行われています。2021年から発効する最新の研究評価に関するプロトコルは、既存のプロトコルを土台にして、オープンサイエンスの理念や研究者の認識・報酬に関する最近の動向を組み込んだものとなっています。

新たに改訂されたSEPは名称変更を行って、研究評価が評価対象組織の目的と戦略に焦点を当てたものであることを明確化しています。新しいSEPで研究機関は、研究の質・社会との関連性・事業の実現性の基準に基づいて評価が行われます。この基準の中では、オープンサイエンス・博士課程への方針と教育・研究環境・人事制度が特に重視されています。研究評価委員会は評価にあたって評点を付けるのではなく、将来に向けての重要な意見や勧告を提供する、としています。

科学技術振興機構(JST)、データリポジトリJ-STAGE Dataの試行運用を開始

2020年3月12日、科学技術振興機構(JST)は、2020年3月16日よりデータリポジトリJ-STAGE Dataの試行運用を開始することを発表しました。

J-STAGE DataはJSTの運営するデータリポジトリで、電子ジャーナルプラットフォームJ-STAGE搭載記事の関連データを公開するためのプラットフォームとして構築が進められていました。研究データ公開プラットフォームfigshareのシステムが使用されています。J-STAGE Dataに搭載された記事関連データにはDOIが自動付与され、全てオープンアクセスで公開されます。

2020年3月16日にリリースされたJ-STAGE Dataは当面の間試行運用を実施します。試行運用中、パイロットジャーナルのみデータ登載が可能ですが、データの閲覧は無制限となっています。

仏・オープンサイエンス委員会、SCOSSで資金調達を実施中の3種類のオープンサイエンス基盤サービスへ総額45万ユーロの支援を実施

2020年3月10日、仏・高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)のオープンサイエンス国家計画の一環として設置されているオープンサイエンス委員会(Le comité pour la science ouverte)は、SCOSSを通して資金調達を実施中の3種類のオープンサイエンス基盤サービスへ総額45万ユーロの支援を実施することを発表しました。

SCOSSはMESRIやSPARC Europe等も参加する、非営利のオープンアクセス(OA)・オープンサイエンスサービスの資金調達支援のための国際的な連合体です。オープンサイエンス委員会は、現在SCOSSの援助対象となっている、オープン書誌データ・引用データの普及を目指すインフラサービスOpenCitations、オープンソースの出版システムを開発・提供する複数大学のイニシアチブPublic Knowledge Project(PKP)、OAの査読済単行書のダイレクトリDOABへ支援することを表明しています。支援額の内訳は、OpenCitationsが25万ユーロ、PKPが7万5,000ユーロ、DOABが12万5,000ユーロです。

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