学術情報

Science Europe、研究評価プロセスに関する立場声明・勧告を公表

2020年7月9日、欧州の研究助成財団・研究実施機関が加盟するScience Europeは、研究評価プロセスに関する立場声明・勧告として、“Position Statement and Recommendations on Research Assessment Processes”を公開したことを発表しました。

同文書は、2019年中に実施された調査及び協議プロセスを経て作成されました。Science Europe加盟機関及びその他の研究機関が対象として想定されています。

研究評価プロセスの透明性、研究評価プロセスの堅牢性の評価とモニタリング、研究評価実践における差別・偏見・不公平な取り扱い、研究評価プロセスのコスト・効率性と評価申請者が費やす時間・労力、査読者層の拡大、研究の質に対する評価、研究評価プロセスの開発と新たな手法の実践、のテーマそれぞれについて、調査等の結果に基づくScience Europeの見解と機関向けの勧告などが示されています。

Knowledge Unlatched(KU)、OpenAPCのデータセットの収録範囲が単行書のオープンアクセス化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表

2020年6月30日、Knowledge Unlatched(KU)は、機関が実際に支払した論文処理費用(APC)のデータセットを提供するイニシアチブ“OpenAPC”とともに、OpenAPCの提供するデータセットの収録範囲が単行書オープンアクセス(OA)化のための費用“Book Processing Charges(BPC)”に拡張されたことを発表しました。

OpenAPCは、OA出版物のAPCの透明・効率的管理を目指すプロジェクト“INTACT”の一部を構成するイニシアチブで、ドイツのビーレフェルト大学図書館が運営しています。今回の初めてのOpenAPCへのBPCの登録では、KUの共同出資による選書プログラムの下で、KUが出版社に支払した全ての費用に関する約1,000冊相当のデータが含まれています。また、KUが資金を募っているその他のコレクションについても、詳細な支払関連データを共有することが予定されています。KUは、自身のOpenAPCへの貢献により、OA単行書のための新しいデータベースが立ち上げられた、としています。

BPCを含んだデータセットは、OpenAPCイニシアチブのウェブサイトで公開されています。2020年夏以降に現在のデータセットからの拡張が予定されています。

米・ロチェスター工科大学の研究チームが数学公式に関する無料のオンライン検索ツール“MathDeck”を開発し公開

米・ロチェスター工科大学理学部(College of Science)の2020年6月23日付のお知らせで、同大学の研究チームが高度な数学公式の作成・編集・参照等が可能になるオンライン検索ツール“MathDeck”を開発したことが発表されています。

MathDeckは、数学的な表記を双方向的で共有しやすくする目的で、同大学の教員・学生が構成する学際的な研究チームによって開発されました。MathDeckでは、手書き・タイピングされた数式画像のアップロード、LaTexによるテキスト入力など、複数の方法で数式を入力・編集することができます。アップロードされた数式画像の認識には、画像処理や機械学習の技術が用いられています。

米・SPARC、学術出版界に関する包括的な現況分析と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップについて2020年更新版を公開

2020年6月22日、米・SPARCは、2019年中に公開済の学術出版界に関する包括的な現況分析“Landscape Analysis”と現況を踏まえた高等教育機関向けの行動のためのロードマップ“Roadmap for Action”について、2020年更新版を作成し公開したことを発表しました。

SPARCが公開した2020年更新版は、2019年中の出来事や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済的な影響を検証し、学術出版市場の状況・関連主要企業の状況に関する最新情報を提供しています。更新版の現況分析では、注目すべき傾向として以下の3点が挙げられています。

・主要出版社における研究評価分野への進出傾向の深化
・Get Full Text Research(GetFTR)のような主要出版社の共同プラットフォームによる研究成果物の流通
・コンテンツへのライセンス契約がデータ分析サービスの契約に直結する新たな「ビッグディール」契約の出現

更新版の行動のためのロードマップでは、データ分析関連製品・サービスの購入の指針となる原則の確立を特に重視して、コミュニティが検討すべき行動の提案が行われています。

【イベント】日本学術会議公開シンポジウム「学術研究と科学技術基本法―その科学史技術史的検討」(7/26・オンライン)

2020年7月26日、日本学術会議史学委員会の科学・技術の歴史的理論的社会的検討分科会の主催により、日本学術会議公開シンポジウム「学術研究と科学技術基本法―その科学史技術史的検討」が開催されます。

同シンポジウムはビデオ会議サービスZoomを利用したオンライン方式で開催されます。科学技術基本法の法制化から25年が経過し、第6期科学技術基本計画の決定に先駆けて、同法に「科学技術の振興」に加えて「イノベーション創出」を明示する、また「人文科学のみに係るものを除く」とする規定を削除するなどの「改正」が、今次国会で審議される情勢を背景に、科学・技術政策と「学術研究」との相関、「学術研究」固有の意義、また「学術研究」がこれまでたどってきた道筋をふりかえりつつ、学術研究体制の今後のあり方について科学史技術史の側から多面的に検討する機会として企画されています。

参加費は無料ですが、2020年7月24日の17時までに電子メールで参加申し込みする必要があります。主なプログラムは以下のとおりです。

・開催にあたって
 佐野正博氏(日本学術会議第一部会員、明治大学経営学部教授)

・学術にとってのイノベーションとは何か―基本法「改正」の論点との関連で
 兵藤友博氏(日本学術会議連携会員、立命館大学名誉教授)

フィンランド・教育文化省、同国の研究関係情報を1か所で検索できるウェブサイト“Research.fi”を公開

2020年6月9日、フィンランド・教育文化省は、同国の研究に係る情報を1か所で検索できるウェブサイト“Research.fi”の公開を発表しました。

同国の研究体制、同国の組織や公私の研究助成金によるプロジェクトの出版物、人材に関する統計データ、研究のための資金源、出版物の書誌情報といったデータが含まれています。

大学・応用科学大学・研究機関・研究助成機関等が提供しているサービスの情報を集約する全国研究情報ハブをもとに構築されたもので、情報利用の容易化、研究者の事務負担の軽減、科学政策の意思決定支援を目的に作成されました。

将来的には、同国で研究を行っている研究者の情報や、その研究者によって作成された研究データや資料といった情報にも対象を拡大する予定です。

日本学術会議、提言「オープンサイエンスの深化と推進に向けて」を公表

2020年6月3日、日本学術会議が、提言「オープンサイエンスの深化と推進に向けて」(2020年5月28日付け)を公表しました。

この提言は、日本学術会議オープンサイエンスの進化と推進に関する検討委員会における、研究データ共有の促進と共有のためのプラットフォームの重要性を明らかにすることを目的とした審議の結果を取りまとめたものです。

提言の中では、研究データ共有の重要性が高まる中、データの公開と産業展開を踏まえた非公開といった協調と競争のバランス、データ利用の法制度等が現状における課題として挙げられています。また、研究データに着目したオープンサイエンスの環境整備に関する国内外の動向や、各学術分野の状況を整理した上で、以下が提言されています。

1.データ活用に関する法規制の集約・整理等、データが中心的役割を果たす時代のルール作りの必要性

2.膨大なデータの収集・キュレート・アノテート・メタデータ付与・保存等を推進するための、データプラットフォームの構築・普及の必要性

3.研究成果のもとになった第1次試料・資料の永久保存の必要性

ジャパンリンクセンター(JaLC)、JaLCコンテンツを自動でORCIDに業績登録できる機能をリリース

2020年5月27日、ジャパンリンクセンター(JaLC)は、JaLCコンテンツを自動でORCIDに業績登録できる機能をリリースしたことを発表しました。

JaLCコンテンツ検索画面から研究者がORCIDにログインし、ORCID設定画面から「ORCIDに業績を自動的に連携します」を“ON”にすることにより、自身のORCID iDを含むJaLCコンテンツが自動でORCIDに業績登録されるようになる、とあります。

お知らせ(JaLC)
https://japanlinkcenter.org/top/news/index.html
※2020年5月27日付けのお知らせとして、「JaLCコンテンツを、自動でORCIDに業績登録できる機能をリリースしました。詳細は、以下の「リリースノート」をご覧下さい。」とあります。

筑波大学、F1000 Researchと英語と日本語に対応したオープンリサーチ出版ゲートウェイの開発に向けた契約を締結

2020年5月28日、筑波大学は、オープンアクセス出版プラットフォームを提供するF1000 Researchと、英語か日本語で論文を出版できる世界初のオープンリサーチ出版ゲートウェイの開発に向けた契約を締結したことを発表しました。

同ゲートウェイはF1000 Researchのウェブサイト内において2020年11月の公開を予定しており、これにより筑波大学所属の研究者は、英語と日本語のうち研究分野に適した言語での簡単なオープンアクセス(OA)出版が可能になります。発表によると、対象はすべての分野における、研究論文、プロトコル、報告書、データノート等のあらゆる種類の研究成果です。また、日本語で発表された研究論文については、英語と日本語の両方で要旨とメタデータが収録され、書誌データベースに掲載されます。

筑波大学とF1000 Research社、オープンサイエンス先導に向けた契約を締結 ~日本語にも対応した世界初のオープンリサーチ出版~(筑波大学, 2020/5/28)
http://www.tsukuba.ac.jp/news/n202005281630.html

米・トランプ政権は「購読料の壁」を突き崩すか?:米国大統領府科学技術政策局(OSTP)による政府助成研究成果物のパブリックアクセス方針の検討を巡る議論(記事紹介)

米国科学振興協会(AAAS)のScience誌オンライン版に2020年5月21日付で、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)による連邦政府の助成を受けた研究成果物のパブリックアクセス方針の検討を巡って、その経緯や論点を解説した記事が掲載されています。

OSTPは2020年3月31日付で、連邦政府の助成を受けた研究の成果物である査読付き学術出版物・データ・コードのパブリックアクセスを拡大する方法について、情報提供依頼書(RFI)を公開し5月6日に回答期限を迎えました。また、2月19日付で、米国政府の助成を受けた研究者が1年間に生産する約22万本の論文を即時公開した場合の利益や課題、実現するための「効果的な手段」についての意見照会を実施しました。

記事では、OSTPの一連の動きが政府助成研究による成果物の即時オープンアクセス(OA)化を定めたとされる米国政府の新しい方針案に対して出版社や議員らが強い反発を示した後に行われていること、OSTPにいわゆる「購読料の壁(paywall)」に対する賛否両論のコメントが盛んに提出されていること、米国政府の科学アドバイザーであるKelvin Droegemeier氏がここ数か月の間に出版社や科学団体の関係者を招いて主催した非公式の会議の場でこの話題が再燃していること、などが解説されています。

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