情報専門職

米国の学術図書館員に必要とされる知識・技能・能力(文献紹介)

2020年3月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.2に、米国シモンズ大学図書館情報学大学院のLaura Saunders准教授による論文“Core Knowledge and Specialized Skills in Academic Libraries”が掲載されています。

今日の学術図書館では、図書館情報学と高等教育分野における大幅な変化・情勢に後れを取らずに対応することが課題となっています。同論文では、こうした課題を背景に著者が実施した、米国内の情報専門職や図書館情報学の教員に対する全国調査に基づいて、学術図書館員に現在必要とされる知識・技能・能力に関する回答状況の報告や、学術図書館員とそれ以外の情報専門職との回答内容の比較などが行われています。

国際図書館連盟(IFLA)・国際公文書館会議(ICA)、プライバシー法の制定とアーカイブに関する共同声明を発表

2020年3月4日、国際図書館連盟(IFLA)と国際公文書館会議(ICA)が、プライバシー法の制定とアーカイブに関する共同声明“IFLA-ICA Statement on Privacy Legislation and Archiving”を発表しました。

世界中で、プライバシー保護に関する法律が制定されつつあることを受けて発表されたもので、法律の制定は個人情報が悪用されないためにも歓迎すべき事とする一方、「忘れられる権利」を新たなレベルに引き上げるもので、欧州連合(EU)においては図書館・文書館は消去の対象から外されているものの、他の地域でも法律が制定されつつあることから、注意をすることが必要であるとしています。

また、著作物の保存は必ずしも誰もが自由に利用できるということではないが、プライバシー権と情報へのアクセスのバランスを取るには、知識と倫理綱領に基づく専門家が判断することが最良の方法であり、共同声明では、この点を強調し、法律により収集を妨げたり、アーカイブされた文書の破棄を義務付けてはいけない等としています。

韓国・ソウル特別市、公共図書館の司書の労働者としての権利と処遇改善のための対策を実施すると発表:条例の制定・賃金標準案の策定・感情労働に関するガイドラインの作成等

2020年1月29日、韓国・ソウル特別市は、「図書館発展5か年(2018年から2022年)総合計画」に基づいて国内で初めて実施した「公共図書館運営・雇用実態調査」の結果を受け、公共図書館の司書の労働者としての権利と処遇改善のための対策を実施すると発表しました。

実態調査では、ソウル地域の公共図書館の施設・運営委託率は78%で、全国の広域自治体の中で最も高かったこと、委託された図書館の労働者の30.9%は非正規雇用であり、そのうちパートタイム労働者の割合は21.9%であったこと、勤務年数は4.3年で民間の勤務平均より短く、月平均賃金は3年以上の勤務でないと200万ウォンを超えないことが分かったとしています。さらに、ソウル地域の公共図書館全体の労働者の3人に1人が、失業対策のための公共勤労事業・兵役の代わりに公的機関で勤務する社会服務要員・ボランティアといった補助的人員で構成されており、正職員・非正規雇用職員・補助的人員といった多層的な雇用形態により、市民が望む専門的な情報サービスを提供することが困難で、サービス満足度が低下していることが分かったとしています。また、70.8%が女性であり、69.7%が利用者からの暴言を経験し、45%が施設・運営委託機関の要求で契約外の業務に動員されたと回答するなど、不安定な労働環境にあるとしています。

米国国立衛生研究所(NIH)、データサイエンス・オープンサイエンスに従事する図書館員に必要なスキルセット特定を目的とした2019年4月開催ワークショップの報告書を公開

米国国立衛生研究所(NIH)が2020年1月17日付で、非営利団体Center for Open Science(COS)の提供するオープンソースプレプリントサービスOSF Preprints上に、報告書“Developing the Librarian Workforce for Data Science and Open Science”が公開されました。

同報告書は、2019年4月15日・16日に、NIHの一部門である米国国立医学図書館(NLM)で開催されたデータサイエンス・オープンサイエンスに従事する図書館員に必要なスキルセットの特定を目的としたワークショップについて、その議論や主要テーマを要約したものです。ワークショップにはデータサイエンス・オープンサイエンスに関するサービスを提供する実務者や学術研究の場におけるデータサイエンス・オープンサイエンスの推進に携わる図書館情報学分野の教員等が参加しました。

ワークショップでは、主に次の5つのテーマに関する議論が行われています。

IFLA Journal、2019年12月号が発行

2019年12月30日、国際図書館連盟(IFLA)が刊行する“IFLA Journal”の45巻4号(2019年12月)が公開されました。

ガーナの研究者のハゲタカ出版への認識や影響に関する調査、IFLA倫理綱領とData Science Associationのデータサイエンス専門職行動綱領の比較等、ケニアの読み書きができる環境の調査、南アジアの高等教育機関におけるナレッジマネジメントの実践、タンザニアの図書館における財源を多様化するための状況の有無についての調査、気候変動に関する情報を開発途上国に伝達する障壁を改善する方法、スウェーデンの学校図書館に影響を与えた法律・政治・実践の複雑さやダイナミクス、等に関する論考が掲載されています。

Out Now: December 2019 issue of IFLA Journal(IFLA, 2019/12/30)
https://www.ifla.org/node/92742

国立公文書館、「アーキビスト養成・認証制度 調査報告書」をウェブサイトに掲載

国立公文書館が、「アーキビスト養成・認証制度 調査報告書」(2019年11月付け)を同館ウェブサイトに掲載しました。

同館が、職務基準書の策定を踏まえ、アーキビスト認証制度の創設を検討するため、2019年に実施した調査の報告書です。

報告書は、「I. 日本におけるアーキビスト養成・認証制度」「II. 諸外国におけるアーキビスト養成・認証制度」の2部構成で、「I. 日本におけるアーキビスト養成・認証制度」は、先行研究等から調査対象を抽出し、調査票を送付して実施したもので、個別データも巻末に資料として示されています。また「II. 諸外国におけるアーキビスト養成・認証制度」は、アーキビスト認証制度の検討に資すると考えられる米国・英国・フランス・オーストラリア・韓国の5か国を対象に、調査項目を検討した上で、各国の事情に詳しい外部有識者に執筆を依頼したものです。参考として同職員が中国について行った調査も掲載されています。

国立公文書館 お知らせ
http://www.archives.go.jp/
※「「アーキビスト養成・認証制度 調査報告書」を掲載しましたnew」とあります。

【イベント】講演会「フランスにおけるアーキビスト養成(過去、現在、未来):学問的、社会的および政治的課題」(12/7・東京)

2019年12月7日、学習院大学目白キャンパス(東京都豊島区)において、学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻が主催する講演会「フランスにおけるアーキビスト養成(過去、現在、未来):学問的、社会的および政治的課題」が開催されます。

講師はフランス国立文書学校のオリヴィエ・ポンセ教授であり、フランスにおけるアーキビスト養成、国の機関等へのアーキビスト派遣制度等について、多方面からより深い理解を構築することを目指すとあります。

講演はフランス語で行われますが、講演内容の日本語全訳も配布されます。また、九州大学大学院人文科学研究院の岡崎敦教授が翻訳・通訳の担当となっています。なお、参加に当たり事前の申込みは不要です。

オリヴィエ・ポンセ教授 アーカイブズ学講演会(学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻)[PDF:1ページ]
https://www.gakushuin.ac.jp/univ/g-hum/arch/2019,%201207%20Volantino.pdf

米国図書館協会(ALA)、学校図書館員を養成する修士課程の基準“ALA/AASL Standards for Initial Preparation of School Librarians”の教育者準備認定評議会(CAEP)による承認を発表

2019年11月11日、米国図書館協会(ALA)は、米国学校図書館員協会(AASL)によって策定された“ALA/AASL Standards for Initial Preparation of School Librarians”が、今年8月に、教育者準備認定評議会(CAEP)の専門職団体標準委員会(Specialized Professional Associations Standards committee)から承認されたと発表しています。

“ALA/AASL Standards for Initial Preparation of School Librarians”は、学校図書館員を養成する修士課程の基準で、同基準に基づいた修士課程を提供する機関のみが学校図書館員の養成機関として認められます。

新しい学校図書館基準である『学習者、学校図書館員、学校図書館のための全国学校図書館基準』(National School Library Standards for Learners, School Librarians and School Libraries)に則って策定されています。

承認されたことにより、2年間の移行期間が開始され、2010年版か2019年版かを選択できます。

E2193 - 子どものための図書館サービス専門職養成の国際動向<報告>

2019年8月4日,モエレ沼公園(札幌市東区)「ガラスのピラミッド」で国際シンポジウム「子どものための図書館サービス専門職養成の国際動向」(主催:子どものための図書館サービス専門職養成研究会 代表:立教大学・中村百合子)を開催した。海外では,学校図書館や児童サービスの専門職養成プログラムのオンライン提供が始まっている。本シンポジウムでは,日本の司書教諭や学校司書に相当するSchool Librarian, Teacher Librarian, Children’s Librarianの養成教育の現状についてカナダ・米国・スペインの大学教員からの発表が行われた。本稿では,当日の内容を,教育内容,学習管理システム(LMS)の利用状況,質疑応答で出された論点に焦点を絞って報告する。シンポジウムは,立教大学・ハモンド(Ellen Hammond)氏の進行で進められた。

オーストラリア図書館協会(ALIA)、美術館・図書館・文書館・博物館等における労働人口の多様性に関する調査報告を公開

2019年8月7日、オーストラリア図書館協会(ALIA)は、オーストラリアの美術館・図書館・文書館・博物館等(GLAMR;Galleries, Libraries, Archives, Museums, Records)における労働人口の多様性に関する調査報告書として、“Australian Library and Information Association Galleries Libraries Archives Museums and Records Workforce Diversity Trend Report 2019”を公開したことを発表しました。

この調査報告書はオーストラリア統計局による2006年、2011年、2016年の国勢調査のデータに基づいて作成されており、労働人口の多様性に関して是正に向けて取り組むべき課題として、以下の5点を指摘しています。

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