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「電子書籍」の概念はあいまいである。したがって本研究調査にあたってはその産業的実態の把握に努めることとし、インタビュー調査、アンケート調査に重点を置いた。文献を中心とした研究とは異なり、実態にもとづいた日本における電子書籍の流通・利用・保存の現状を多面的に分析・検討しようとしたのである。
今回の調査を通じて明らかにできた事項は、以下の3点である。
■印刷資料だけの保存では不十分
現在では紙の資料だけでは、時代の実相を知ることはできなくなっていることは明らかである。今日の図書館は印刷資料だけではなく、膨大な電子資料の収集を視野に入れる必要がある。
■CD-ROM等パッケージ系電子出版物の保存
紙媒体の出版物の付属物としてのフロッピーディスクやCD-ROMなどや、電子媒体を主とするパッケージ系電子出版物の増加に伴い、2000年10月に国立国会図書館法の一部改正法によって従来の紙媒体などの出版物のほかに国内で発行されたパッケージ系電子出版物についても、納本制度により網羅的に収集することとなった。
■電子書籍の保存の現状
電子書籍の個人利用の悉皆的なデータはない。『電子書籍ビジネス調査報告書 2008』では、「ケータイを用いてインターネットを行っている11歳以上の個人」を対象に「ケータイ電子書籍」について調査を行っている。(2008年6月13日~7月2日調査、利用率調査11,632サンプル、利用者実態調査1,172サンプル)
電子書籍の流通については、携帯電話、PC、モバイル情報端末という主要な媒体がある。
携帯電話のコンテンツ配信に関しては携帯電話キャリアが公認する「公式サイト」があり、キャリアが定める基準にしたがってコンテンツの流通と課金が行われる仕組みとなっているこの公式サイトからの提供が、携帯電話向け電子書籍の主流である。携帯電話キャリアとしては、エヌ・ティ・ティ・ドコモ(DoCoMo)、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル(SoftBank)、ウィルコム(WILLCOM)、 イー・モバイル(EMOBILE)の5社が、総務省の認可を受けた事業者である。萩野によると、2008年12月現在の電子書籍の公式サイト数は、600サイト以上になっている。
国内で提供されている電子書籍のコンテンツは出版社系だけではない。例えばインタビュー調査を行った「魔法のiらんど」が運営する「魔法の図書館」のように無料でコンテンツを提供しているサイトが存在する。
「魔法のiらんど」は、携帯電話やPCから無料でホームページが作成できるサービスであり、このサービスによってブログ、掲示板、プロフィール、そしてケータイ小説が生まれるきっかけとなったBOOK(小説執筆機能)が提供される。
今回実施した、日本書籍出版協会および出版流通対策協議会加盟出版社へのアンケート調査「日本における電子書籍の流通・利用・保存に関する実態・意識調査」によって、電子書籍の刊行について次のような実態が明らかになった。
現在、何らかの電子書籍を刊行している出版社が27.1%、かつて刊行していたが現在は手がけていない出版社が1.2%、刊行していない出版社が71.8%と、刊行していない出版社の方が圧倒的に多い。そして電子書籍の刊行状況と出版社が扱っている書籍の分野には相関関係があまりなく、刊行規模が影響していると考えられる。
つまり年間新刊図書刊行規模が大きな出版社ほど電子書籍を刊行している。
2008(平成20)年は、1948(昭和23)年の国立国会図書館(以下、NDL)創立から60周年に当たる年であった。そして、国立国会図書館法(昭和23年法律第5号)に基づくわが国の納本制度発足から60年が経過した。
これまでNDLは、国内で刊行される出版物について、国政審議等の利用や国民共有の文化的財産の保存を目的として、この納本制度の安定的、実効的な運用を図ることにより、網羅的な収集に努めてきた。納本制度60周年を記念し、1948年の納本受付を実際に開始した日である5月25日を「納本制度の日」と定めて各種の広報活動を行うなど、納本制度の普及に積極的に取り組んでいる。
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