いまさらWeb2.0と訝しがる向きは多いかもしれない。オライリー(Tim O'Reilly)が“What is Web2.0”でWeb2.0の考え方を示したのは2005年であり、日本で梅田の『Web進化論』が話題となったのは2006年と、いずれも10年以上前のことである。Googleトレンドを見てもWeb2.0の登場のピークは2006年8月であり、最近言及する人は少ないのが見て取れる。First Monday誌では2016年にWeb2.0の10年と題する特集を組み、Web2.0全般に関する現時点での論考を集めている。本稿では図書館や学術情報流通といった観点から、昨今ではあまり言及されなくなったWeb2.0が、現在ではどのように様変わりをしたのかを概観する。
2013年9月から11月にかけて,米国図書館協会(ALA)とメリーランド大学情報政策アクセス・センター(iPAC)は共同で,全ての人がICT技術の恩恵を受けて,生活の質を維持・増進することができるデジタルインクルージョン(包摂)社会を支える公共図書館(以下,図書館)の役割を立証するために,全国調査“The Digital Inclusion Survey 2013”を行なった。本文献は,その実施担当者が,調査によって明らかになった知見・分析結果等を取りまとめたものである。そこでは,パソコンやWi-Fiの無償提供(E1580参照),デジタルリテラシーに関する講習の実施,失業者の就職活動・政府情報の入手・医療保険/失業給付の電子申請に対する支援(E1346参照)といった図書館の取組が紹介され,それらが米国内で広く行われていることから,図書館が地域社会のデジタルデバイドの解消,住民のデジタルリテラシーの促進にとって重要な役割を担っており,図書館はデジタル包摂社会を支えていると結論付けている。...
研究データのオープン化が進み,分野や地域を超えたデータの再利用によって新しい知見を生み出すことが期待されている。しかし,複数のデータセットの利用条件が異なる場合は,どのように再利用すればよいのだろうか。また,研究データには著作権が認められない場合が多いが,作成者の権利をどのように示せばよいのだろうか。こうした疑問に答えるガイドライン(Legal Interoperability of Research Data: Principles and Implementation Guidelines)を,研究データ同盟(RDA)と科学技術データ委員会(CODATA)が共同設置する法的相互運用性分科会(RDA-CODATA Legal Interoperability Interest Group)が公開した。...
2016年10月3日,国立国会図書館(NDL)は,東京本館で報告会「研究データ共有によるイノベーションの創出~第8回RDA総会等の国際議論を踏まえて~」を開催した。本報告会は,NDLが共同運営機関を務めるジャパンリンクセンター(JaLC)の研究データ利活用協議会第1回研究会という位置付けでもあった。報告会の趣旨は,9月15日から17日まで米国・デンバーで開催された研究データ同盟(Research Data Alliance:RDA)第8回総会等の参加者による報告を踏まえ,研究データに関する最新の国際情勢を共有することである。当日は研究者や図書館員等136名の参加があった。...