インドのプネ市にあるBhandarkar東洋研究所に2004年1月4日、およそ150人の武装した若者が政治的スローガンを叫びながら乱入し、閲覧室の設備を破壊し、手稿や記録文書、石板など(数点から数点まで諸説ありとのこと)を破壊・盗難するという事件が発生しました。この事件がなぜ起きたのか、その歴史・文化・宗教的背景(植民地、カースト等)、同研究所のような研究図書館・文書館が持つ文化・政治的な象徴性などを分析し、このような事件がインド以外でも起こりうることを説き、それを避けるためにはどうすればよいのかを論じた論文が、LIBRI誌の“Best Student Paper Award 2008”に選ばれ、オンラインで公開されています。
スウェーデンのマルメ市は2008年、築100年の元バスターミナルを改築し、“Garaget”(「ガレージ」に相当)という通称の文化複合施設を構築しました。このうちの一部は2008年に、残りは2009年2月にオープンしていますが、後者にはマルメ市立図書館の分館も含まれています。同館が、市やマルメ大学、そしてGaraget内にあるカフェ、文化施設などとともに、移民・難民や、橋で隣接するデンマークからの通勤者など、多様な言語・文化的背景を有する人々の社会的包摂(social inclusion)を目指し行っている活動が、Scandinavian Public Library Quarterly誌2009年1号で紹介されています。
環太平洋デジタル図書館連合(PRDLA)が2009年2月、参加している米国、カナダ、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、オーストラリアの大学図書館がデジタル化したコレクション37万点以上を統合検索できるポータルサイト“PRL(Pacific Rim Library;発音は「pearl」と同じとのこと)”を新しく立ち上げました。これは、各機関からメタデータを収集して構築しているもので、もとは2006年に“DSpace”で開発し運用していたものの、30万点を超えたところからパフォーマンスが悪化してきたため、欧州原子核研究機構(CERN)が開発したオープンソースのデジタル図書館ソフトウェア“CDS Invenio”に移行してリリースしたとのことです。
米国図書館協会(ALA)は「野球の殿堂(National Baseball Hall of Fame)」と協同で、大リーグや野球に関するトリビアクイズに答えることを通じて、図書館利用者の情報リテラシーを高めようというプログラム“Step Up to the Plate @ your library”をスタートしました。参加者は、プログラムのウェブサイトに準備されているクイズに、図書館の紙資料や電子資料を使って答えます。優勝者には、「野球の殿堂」への旅が贈られます。なお、多くのエントリーがあった図書館にも報奨が設けられており、最もエントリーが多い図書館に100ドル分の書店ギフトカードが贈られるということです。