Microsoft社は2006年12月6日,著作権が切れた書籍を全文検索・ダウンロードできるサービス“Live Search Books”のベータ版を公開した。
図書館や出版社と協同し,書籍をデジタル化し全文を無償で検索・ダウンロードできるようにする試みは,これまでGoogle社の“Google Book Search”(旧称:Google Print)が先導してきた(E285 [1],E543 [2]参照)。これに対抗する形で,Microsoft社も,Yahoo!社やInternetArchiveが結成したOCA(OpenContents Alliance: E392 [3]参照)に参加することを表明し,英国図書館(BL)の蔵書をデジタル化すると発表していた(E403 [4]参照)。
今回公開された“Live Search Books”には,BL,カリフォルニア大学,トロント大学が所蔵する著作権切れの蔵書,合計数万点が含まれているという。これらはPDF形式で作成され,無償でダウンロードすることができる。
Microsoft社はこの3機関に加え,コーネル大学,米国獣医学博物館,ニューヨーク公共図書館(NYPL)ともパートナーシップを結んでいるほか,出版社や著作権者から許諾を得て提供する“Live Search Books Publisher”も予定しており,今後もデータ量は拡大していく見込みである。
Ref:
http://books.live.com/ [5]
http://help.live.com/help.aspx?project=booksearchhelp&market=en-US [6]
http://blogs.msdn.com/livesearch/archive/2006/12/05/live-search-books-beta-release.aspx [7]
E285 [1]
E392 [3]
E403 [4]
E543 [2]
英国財務省(HM Treasury)は2006年12月6日,経済現況や政府の政策を報告する予算前報告書(Pre-Budget Report)の一部として,Financial Times紙の前編集長ガワーズ(Andrew Gowers)に委嘱していた,英国の知的財産権に関するレビュー“Gowers Review of Intellectual Property”を公表した。
今回,このようなレビューが作成された背景には,近年高まり続けている知的財産権の重要性と,経済環境の変革に伴い生じている知的財産権に対する要請の両者を,正確に把握したいという英国政府の意向が存在している。そこで本レビューでは,1)権利と利用のバランスがとれた知的財産権制度の構築,2)知的財産権の利用を容易にする方法の模索,3)現在問題となっている知的財産権侵害とデジタル環境の関係,および「フェア・ユース」条項の妥当性の3点について,現在の潮流に即した検討を行った。
その結果,英国の知的財産権保護制度について,概して満足のゆく機能を果たしているが,なお多くの領域で検討を重ねる必要があると指摘しており,54項目におよぶ提言がまとめられている。代表的な提言として,録音物の著作権を50年のままとすること(提言3)や調査目的のための複製に対する著作権の例外規定の明確化(提言9),図書館が資料保存のために行なう媒体変換の拡大(提言10aおよび10b),“Orphan Works”への対応(提言13および14a),知的財産権を有効に活用するための情報提供(提言26),デジタル上の著作権侵害に対する罰則の強化(提言36),取引水準審査局(Trading Standards)への取締権限の付与(提言42)などが挙げられている。
本レビューに対して,図書館界からは好意的なコメントが発表されている。たとえば英国図書館(BL)は,本レビュー公表翌日の12月7日に,調査を目的とする複製の許容や“Orphan Works”に対する前向きな姿勢などについて,おおむね評価するというコメントを発表している。このほか,図書館・情報専門家協会(CILIP),博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA),情報システム合同委員会(JISC)も同様に,好意的な声明を公表している。
逆に録音物の著作権保護期間が50年のまま据え置かれたことから,音楽業界からは失望の声明が発表されている。音楽業界はまた,政治家へのロビー活動を行い,本レビューを無視するよう働きかけると発表している。
今後,英国の知的財産権法である「1988年英国著作権,意匠,特許法(Copyright, Designs and Patents Act, 1988)」改正に結びついてゆくのかなど,その動向には注目が必要となろう。
Ref:
http://www.hm-treasury.gov.uk/media/583/91/pbr06_gowers_report_755.pdf [11]
http://www.hm-treasury.gov.uk/independent_reviews/gowers_review_intellectual_property/gowersreview_index.cfm [12]
http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20061207.html [13]
http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/newsandpressreleases/news061208.htm [14]
http://www.mla.gov.uk/webdav/harmonise?Page/@id=82&Section%5b [15]@stateId_eq_left_hand_root%5d/@id=4289&Document/@id=26808
http://www.jisc.ac.uk/news/stories/2006/12/news_gowers.aspx [16]
http://www.thelawyer.com/cgi-bin/item.cgi?id=123399&d=122&h=24&f=46 [17]
http://www.cric.or.jp/gaikoku/england/england.html [18]
図書館業務は,図書館情報学によって示された科学的根拠(エビデンス)の活用により,向上させることができるか?図書館実務と図書館情報学の乖離は古くから指摘されているところであるが,この疑問に正面から取り組み,明確な回答を導き出そうと実践を積み重ねる活動がある。EBL(Evidence Based Librarianship)あるいは,EBLIP(Evidence Based Library and Information Practice)等の名称で呼ばれるこの活動が,徐々に広がりを見せている。
EBLは,医学界のEBM(Evidence Based Medicine)の動きに関与し実績を重ねた医学系の図書館から発展してきたものであり,その経験を,医学分野に限らず,図書館自身の実務全般の意思決定に適用させるものである。その方法論は明瞭である。図書館業務に関する回答可能な「質問」を設定し,それを解決するエビデンスを発見し,評価し,活用し,意思決定に適用させる。エビデンスとして統合されるものは,利用者からの報告,実務者の観察,あるいは研究結果から抽出された事実である。このエビデンスの評価に基づいて,図書館の様々な業務,すなわち蔵書構築,レファレンスサービス,利用者教育,マーケティング等を行っていく。
既に3度の国際フォーラムが英国(2001年,シェフィールド),カナダ(2003年,エドモントン),オーストラリア(2005年,ブリスベン)で開催されている。これらを通じて課題意識も明確になっている。すなわち,エビデンスの品質の確保,エビデンスの情報源が分散し一元的に得られない現状の改善,研究を解釈する図書館員のスキルの向上,そして時間的制約の克服など,様々な取り組み課題が意識されている。
これらの課題を解決に導く具体的な行動も始まっている。2006年には,アルバータ大学(カナダ)が,EBLにフォーカスしたオープンアクセス誌を立ち上げ,すでに4号までを刊行している。同誌でEBLの理論や実践方法が紹介されているほか,様々なエビデンスの蓄積が図られている。例えばこれまでのエビデンス・サマリーには,「オープンアクセス誌はそうでない学術雑誌よりも影響力がある」,「小学生,中学生,高校生はデジタルレファレンスを使用する動機が異なる」などのエビデンスが蓄積されている。
2006年10月には,ニューカッスル大学(オーストラリア)が中心となり,“エビデンスを活用する図書館”のための情報共有サイト『Libraries Using Evidence - eblip.net.au』が正式にスタートした。このサイトの中心となるコンテンツは"EBLIP Toolkit"であるが,ここには質問の設定の仕方,エビデンスの探し方などの情報を整理されつつある。このツールキットの開発自体もEBLの方法論で進められており,ツールキットにどのようなリソースあるいはツールが含まれるべきか,という回答可能な「質問」に回答すべく,進められている。
いずれもまだ発展途上の取り組みであり,今後の図書館実務のあり方にどのような変化が現れるのか,またEBLの実践がどのように評価されるのか注目される。なお,日本でも,科学研究費補助金を受けて,慶應義塾大学の上田修一教授を中心とするグループにより『エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立』と題する研究が進められており,成果が期待されるところである。
Ref:
http://ejournals.library.ualberta.ca/index.php/EBLIP/ [21]
http://www.eblip.net.au/ [22]
http://www.newcastle.edu.au/service/library/gosford/ebl/projects/index.html#toolkit [23]
http://www.eblib.net/ [24]
http://www.asebl.ualberta.ca/ [25]
http://conferences.alia.org.au/ebl2005/ [26]
http://www.kaken-evidence.jp/ [27]
インターネット上には,違法情報や公序良俗に反するとされる情報が氾濫していると指摘される。このような情報への対処として,サーバや掲示板の管理者による適切かつ敏速な対応が,社会的に期待されている。だが違法情報の定義や対処の方法,手続き,さらに対処後の法的責任など,解決すべき問題は少なくない。
総務省は2006年8月,インターネット上の違法・有害情報に対し,行政の支援を前提とした,プロバイダや電子掲示板の管理者,利用者等による自主的な対応を促進する提言を行なった(E452 [30],E538 [31]参照)。これを受けて社団法人電気通信事業者協会,社団法人テレコムサービス協会,社団法人日本インターネットプロバイダー協会,および社団法人日本ケーブルテレビ連盟の4団体は,総務省の支援を受け,インターネット上の違法・有害情報に対する自主的対応策をまとめ,2006年11月に「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」として公表した。
現状では,他人が流通させた違法な情報を,掲示板やサーバ管理者が送信防止措置を講じても,必要な限度であれば法的責任は問われない。だが情報が違法でない場合,および違法であっても必要な限度を超えた場合の送信防止措置には,管理者が法的責任を問われる可能性が残されており,その有無は裁判所の判断にゆだねられることになる。そこで本ガイドラインでは,具体的事例に即して違法情報に対する考え方を整理して,手続きを整備し,敏速・的確に送信防止措置が行なえるよう,解説が加えられている。
なお,このガイドラインでは,発信者・受信者側の対応には具体的に言及されていないが,図書館も,利用者へのインターネットサービスの提供等の形でインターネット上の情報の流通に関わっており,このような動きは注視しておくに値しよう。
Ref:
E452 [30]
E538 [31]
http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127guideline.pdf [32]
http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127model.pdf [33]
http://www.telesa.or.jp/consortium/Illegal_info/20061127.htm [34]
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061127_4.html [35]
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html [36]
「今の大学生は,大学や職場で成功するために必要なICTリテラシースキルを有していない。」米国の非営利テスト開発機構であるEducational Testing Service(ETS)が,このような調査結果を公表した。研究主幹のカッツ氏(Irvin R. Katz)は次のように述べている。「大学生は情報機器を使いこなしているが,コンテンツの扱い方については必ずしも理解しているわけではない,と多くの学者は考えている。今回の我々の予備調査の結果は,およそこの疑念が事実に基づいていることを示している。」
ETSは,米国に拠点を置く世界最大のテスト開発機構であり,TOEIC,TOEFL,GREをはじめ約200ものテストプログラムを提供している。同社は,2001年から高等教育機関や図書館とともにICTリテラシー,すなわち「情報社会において活動するために,情報課題を的確に解決する目的でデジタル技術,コミュニケーションツール,ネットワークを適正に活用する能力」を評価するためのテストの開発に取り組んでいる。一応の完成に至っている現在のテストは,情報ニーズを特定する「明確化(Define)」,情報を探索・収集する「アクセス(Access)」など,7つの技能領域の習熟度を図るものとなっており,これは,米国大学・研究図書館協会(ACRL)が2000年に出した「高等教育のための情報リテラシー能力基準」など,現在有効とされている基準と合致したものとなっている。
今回の調査は,このICTリテラシー評価テストを受けた6,300人余の大学生の結果を分析したものである。注目される結果としては,ウェブサイトの客観性を正しく判定できたのは52%,ウェブサイトの信頼性(authoritativeness)を正しく判定できたのは65%,ウェブサイトを検索する際に複数の検索語を入力したのは40%,データベースを検索する際に無関係な結果を最小化するための方策を利用したのは50%,などがある。いずれもICTリテラシーの課題を浮き彫りにするものとなっている。
ただし,この調査は予備調査の領域を出ないものである。データの収集は63の大学等の協力によりおこなわれているが,協力機関のサンプリングの方法がまちまちである等の問題がある。しかしながら,ICTリテラシースキルを正しく測定することは困難な課題であり,引き続きデータの収集とより適正な測定方法の研究が期待される。また,この調査に関係した米国の高等教育機関等の今後の対応が注目される。
Ref:
http://www.ets.org/portal/site/ets/menuitem.c988ba0e5dd572bada20bc47c3921509/?vgnextoid=340051e5122ee010VgnVCM10000022f95190RCRD [39]
http://www.ets.org/ [40]
http://www.ala.org/ala/acrl/acrlstandards/informationliteracycompetency.htm [41]
http://www.eschoolnews.com/news/showStoryts.cfm?ArticleID=6725 [42]
ベトナムの公共図書館は,国立図書館(NLV)の下に省・中央直轄市立図書館64館(図書館数は2005年時点,以下同様)があり,さらにその下に577の県レベルの図書館と7,000近くの町村レベルの図書館があるという階層構造をなしている。全公共図書館を合計すると,蔵書数が約1,750万点,年間の蔵書増加数が約86万点,登録利用者数が約50万人,来館者が約1,430万人,貸出数が約3,890万冊といった状況にある。
この公共図書館システムに加え,政府機関が資金を提供している図書館として,大学図書館250館,学校図書館17,459館,研究機関が運営する専門図書館60館,政府機関が運営する図書館・情報センターが218館,軍隊図書館・読書室が1,000以上ある。さらに政府機関の資金が提供されていない図書館として,大衆組織(共産党や祖国戦線など)や民間が運営する図書館・読書室・書庫が数千館,存在している。これらは,国際情報センター,ボート図書館,ブック・カフェや郵便局内の文化センターなど,さまざまな形態で運営されている。
2001年4月,国会で「図書館に関する法令」が採択された。同法は全館種を対象としており,図書館の目的,禁止事項,責務,権利や,図書館設置母体の責務などが定められている。同法でNLVは,国の中央図書館として,(1)利用者のニーズを満たす国内外の情報資源の開拓,(2)1917年に開始された納本制度による出版物の収集,保存および全国書誌の編纂・刊行,(3)利用者への図書館サービスの提供,(4)国内外の図書館との協力・交換,(5)図書館情報学の研究,(6)図書館員に対する専門的スキルの涵養・研修の提供といった責務を担う,とされている。
NLVが特に力を入れているのは,目録の標準化と図書館員に対する教育である。NLVが月次および年次で刊行している全国書誌は,印刷媒体と電子媒体の両方で,全国の図書館に提供されている。このうち電子媒体は,ユネスコが開発した図書館ソフト“CDS/ISIS”で取り込めるフォーマットと,MARC21フォーマットの両方で提供されている。また2005年には,OCLCと米国のNGOの支援により,デューイ十進分類法(DDC)簡易版14版のベトナム語への翻訳が完了している。
ベトナムでは,図書館情報学の学士を修了した者が,図書館専門職として認められている。全国の6大学が図書館情報学専攻を設けており,全国で約1万人が専門職とされているが,近年,図書館員としてのさらなる専門性が求められるようになっており,2005年には数十名の図書館員が,ニュージーランドや米国に修士号・博士号を取得するために派遣されている。NLVや大学図書館は,専門職向けワークショップを開催して,国内の図書館員に対する教育に取り組んでいるという。全国レベルの総合目録は存在しない,電子図書館もまだ発展途上といった状況を改善に資するべく,図書館員のスキルアップの取り組みが続けられている。
なお,著作権・知的財産権に関しては,2004年10月にベルヌ条約に加盟,2005年7月に出版法を施行,2006年7月に知的財産権法を施行と,法律の整備が進められている。
(注)『カレントアウェアネス』第290号(12月20日発行予定)には,ベトナムの図書館制度に関する紹介記事(執筆・Nguyen Hoa Binh氏)を掲載する。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/vietnam06.pdf [43]
http://www.nlv.gov.vn/ [44]
http://vietnamgateway.org/vanhoaxa/english/home.htm [45]
http://www.leaf-vn.org/english.html [46]
http://www.leaf-vn.org/libraryordinance.pdf [47]
http://www.oclc.org/news/releases/200635.htm [48]
http://www.wipo.int/edocs/notdocs/en/berne/treaty_berne_241.html [49]
京都大学を会場に開催された第9回アジア電子図書館国際会議(9th International Conference on Asian Digital Libraries:ICADL2006)が,11月27日から30日の4日間,世界各国から約190名の参加者を集め,盛会の内に幕を閉じた。
テーマごとに分かれた各セッションでは,66件の論文が発表された(ポスターセッションを含む)。内容は,電子図書館・デジタルアーカイブを軸として,情報抽出,情報検索,メタデータ,アーキテクチャー,情報の体系化など,図書館情報学系とデータ工学系を含む多様なもので,電子図書館の国際会議らしく分野と国を越えて研究者が交流を深める場となっていた。
論文発表以外の企画も国際会議にふさわしい充実したものとなった。27日の長尾真情報通信研究機構理事長による基調講演に始まり,28日には国立情報学研究所(NII)の安達淳教授と,Nanyang Technological University(シンガポール)のSchubert Foo教授による二つの招待講演,29日には基調・招待講演として,GoogleのDaniel Clancy氏と,One Laptop per ChildのMary Lou Jepsen氏による二つの講演があり,それぞれ多くの参加者を集めた。さらに,最終日の30日には,日本の電子図書館・デジタルアーカイブに関する動向と,日本を含む各国の国立図書館における動向に関する特別セッションが組まれ,国立国会図書館からも電子図書館サービスの概要に関する発表を行った。
ホスト国である日本からは,多数の研究者が参加するとともに,NIIとJSTが会場にブースを展開した。またNIIの相原健郎助教授らによる「アウラリー:文化財の『成長するメタデータ』に対する柔軟なコンテンツ管理システムとCEAXプロジェクトにおける教育的利活用」が最優秀論文に選ばれるなど存在感を示した。一方,海外からの参加者と比較して,日本からは図書館員の参加が少なかったことが惜しまれる。
余談だが,2日目にザ・ガーデンオリエンタル京都を会場に行われたバンケットでは,3人の舞妓が登場して踊りを披露(撮影会もあり)。国際会議の雰囲気を盛り上げていた。
第10回となる次回は2007年12月10日から13日の日程で,ベトナムのハノイで開催される。
(電子図書館課:大場利康)
Ref:
http://www.icadl.org/ [52]
http://www.icadl2006.org/ [53]
http://www.springerlink.com/content/h86272541032/ [54]
欧米では,マスコットキャラクターとして館内でネコを飼っている公共図書館が数多くある。このような図書館ネコ(Library Cats)の中でも有名な存在だった,米国アイオワ州スペンサー(Spencer)公共図書館の「デューイ・リードモア・ブックス(Dewey Readmore Books)」が2006年11月29日に永眠したと,同図書館ウェブサイトのトップページで発表された。
デューイは1988年1月18日の夜に,スペンサー公共図書館の返却用ブックポストに捨てられていたところ,翌朝図書館の職員に発見され,保護された。その後図書館評議会と市参事会の承認を経て,同図書館の正式な「スタッフ」の一員に迎えられることとなった。デューイという名前は公募によって,「デューイ十進分類法」から名付けられた。餌の費用は利用者や愛猫家からの募金によってまかなわれていたが,遠くはニューヨークから送金されたこともあったという。なおデューイは勤務にあたり,爪抜きや去勢の手術,ワクチンの接種を受けている。
デューイはスペンサー公共図書館の正式なスタッフとして,8つの職務を担当した。その中には「人々のストレスを癒す」,「毎朝9時に入り口の前に立ち,利用者を出迎える」といった人々を和ませる仕事ばかりではなく,「図書館主催の催しに参加する」,「全米および世界規模で,スペンサー公共図書館の広報活動に携わる」といった,図書館の広報・アドヴォカシー活動をも担うことになった。たとえば地域の新聞,雑誌からの取材や,図書館で活躍するネコの姿を描いたドキュメンタリー映画“Puss in Books:Adventures of the Library Cat”,日本のテレビ番組への出演など,デューイはさまざまなメディアに登場し,スペンサー公共図書館の広報官として活躍してきた。また同図書館友の会が作成した,4種類のポストカードのモデルともなり,1枚1.5ドル(約170円)で販売されるなど,図書館財政をも潤してきた。
スペンサー公共図書館のマスコットキャラクターとして愛されてきたが,近年は衰えが進み,さらに11月18日には腹部に腫瘍が発見された。そのため安楽死させることになり,ブックポストからデューイを発見した同図書館スタッフのマイロン(Vicki Myron)氏の腕の中でその生涯を終えた。
Ref:
http://www.spencerlibrary.com/index.htm [56]
http://www.spencerlibrary.com/deweybio.htm [57]
http://www.spencerlibrary.com/postcard.htm [58]
http://www.ironfrog.com/docs.html [59]
http://www.ironfrog.com/catsmap.html [60]
http://www.radioiowa.com/gestalt/go.cfm?objectid=23F0CB69-888E-464C-8123827DA0873CAD&dbtranslator=local.cfm [61]
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/12/02/AR2006120200924.html [62]
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20061205ddm041030147000c.html [63]
2006年11月,米国で検索エンジンChaCha(ベータ版)がリリースされた。チャットにより「本物の」人間のサポートを得ることができる,いわば人間がシステムの一部となった検索エンジンだ。Googleの欠陥を補いそれを乗り越ようとする検索エンジンはあまたあるが,ChaChaは,人間の知能,あるいは専門知識やコミュニケーション能力を検索エンジンの仕組みに直接的に組み込むことで解決を図ろうとしている。大学図書館を中心に定着してきているチャットレファレンスサービスとも競合するものであり,この点においても動向が注目される。
検索インターフェースは,Google同様シンプルである。検索語を入れて“ChaCha Search”をクリックすれば「通常」の検索を行ってくれる。一方“Search With Guide”をクリックすると,即座にその検索語の示すトピックについて専門知識を持ったガイドが探しだされる。数秒後には,接続されたガイドから「何をお手伝いしましょうか?」といったインスタントメッセージが届く。後は普通の言葉で要望を伝えれば,ガイドが条件にあったサイトを代行検索してくれる。プレスリリースによれば,レスポンスに要する時間は,平均5分,難解なもので11分,簡単なものなら20秒程度だという。もちろん利用は無料である。
最初に接続されたガイドが,本当にユーザの知りたいことについての知識を持っているかどうかは,もちろん確証はない。ガイドは,自分では無理と判断すれば適度なところで切り上げ,すぐに次のガイドを探すように促してくる。質問によってはたらい回しにされることもあるが,これが小気味良いサービスを生み出しているとも言える。ガイドのレスポンスもとても良い。チャットセッションの終了後には,ユーザはガイドを3段階で評価することになっている。
ガイドはあくまで「本物の」人間である。18歳以上,英語が流暢,米国で働く資格がある等の条件をクリアし,テストに合格すれば簡単に登録可能である。学生,主婦,その他何らかのトピックについて詳しい知識を持つ人が,既に数万人登録している。ChaChaの裏側を紹介しているサイト“ChaCha Underground”ではガイドがジャンル別に一覧できるようになっており,それぞれの得意なトピックや最近検索し提供したサイトが表示されている。
ガイドはボランティアではなく,給料が支払われている。レベルに応じて時給5ドルから10ドルの対価が支払われる。大学サイドのジャーナルでは,学生の雇用を生み出す新しい場として,好意的な記事が掲載されている。このような仕組みにより,ガイドの質,そしてサービスの質は,ある程度確保されているようだ。
なお,大量のガイドを賄うための収益は,広告収入により得るという。ガイドからの検索を待つ間のもてあまされた時間が,ちょうどよいCMの時間になるとのことで,広告主の反応もよいようだ。ビデオ,CPC(Cost Per Click),リッチメディアバナーなど多用なフォーマットで広告を出すことができる。
チャットを利用する成人人口が5,300万人ともいわれる米国。Googleに慣れ親しんだウェブユーザの心をどの程度捉えられるのか,そして図書館のチャットレファレンスサービスにどのような影響を与えていくのか,興味深いところである。
Ref:
http://www.chacha.com/ [66]
http://liswiki.org/wiki/List_of_libraries_providing_virtual_reference_services [67]
http://underground.chacha.com/ [68]
http://www.chacha.com/info/press [69]
http://www.cw.ua.edu/vnews/display.v/ART/2006/09/07/44ffc6bff306e [70]
http://www.idsnews.com/news/story.php?id=38027&adid=campus [71]
http://www.chacha.com/info/advertisers [72]
http://www.pewinternet.org/PPF/r/133/report_display.asp [73]
2006年11月30日,Microsoft社はWindowsシリーズの新しいOSとして,“Windows Vista”を企業向けに販売開始した。一般個人向けにも,2007年1月30日に販売される予定である。このWindows Vistaの販売開始に合わせ,Windows Vistaの日本語版で発生する「日本語文字フォント問題」について,Microsoft社やコンピュータ関連雑誌の出版社などが,ウェブサイトで注意を喚起している。
Windows Vista日本語版では,JIS X 0213:2004(JIS2004)に対応した文字フォントを標準としている。JIS X 0213の規格名は「7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合」であり,それまでのJIS X 0208:1997(その直前の改正版であるJIS X 0208:1990の名称を取ってJIS90と呼ばれる。規格名は「7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合」)で規定されている6,879字に加え,JIS第3・第4水準漢字や非漢字など4,344字を含むものとして,2000年に制定された。その後,2000年12月の文部科学省国語審議会答申で提示された『表外漢字字体表』に示された「印刷標準字体」に対応するべく,2004年,「辻」「葛」など168字の字形の見直し及び「痩」「嘘」などの異体字10字の追加を内容とする改正が行われた。Microsoft社は「日本文化に根ざした情報化社会の実現を引き続き支援するために」このJIS2004を採用したとしている。
JIS2004とJIS90との間には,大まかに言えば2つの互換性の問題がある。1つは168字の字形の変更に伴うものである。「辻」(JISコード0x4454)の場合,JIS90では「1点しんにょう」であったが,JIS2004では「2点しんにょう」に変更された。この結果,「0x4454」の文字が,JIS2004環境と,JIS90環境とでは,異なったものとして表示・印刷されることになる。
もう1つは新たに追加された4,354字に伴うものであり,これらの文字はJIS90環境では表示できないことになる。従来のWindows OSにおいても,JIS90以外の文字としてIBM拡張文字・NEC特殊文字のいわゆる「機種依存文字」や,JIS補助漢字(JIS X 0212:1990「情報交換用漢字符号−補助漢字」の文字)が標準フォントに採用されており,これらの文字をサポートしない他のOSや文字符号化方式(JIS2004の文字すべてを含んでいるUnicode/UCS用のUTF-8などを除く,従来のShift-JIS,EUC-JP,ISO-2022-JPなど)での対応が問題となっていたが,この対象がさらに拡大したことになる。JIS90の範囲では「森鴎外」としか表記できないが,JIS2004環境(JIS補助漢字でも同様だが)では,「おう」の字は偏が「はこがまえに品」になった異体字でも表記できる。このようなJIS90以外の文字がJIS90環境のシステムに渡されたときの対応が,問題となるのである。
Windows VistaがJIS2004を採用したことにより,利用者があまり意識することなく,JIS2004で追加された文字を入力する機会が増えてくると考えられる。図書館においても,JIS2004環境でない場合には,OPACやウェブサイトなどで何らかの留意が必要となろう。
Ref:
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/jp_font/default.mspx [75]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/99/vista/index.html [76]
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/column/ogata/ [77]
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001218.htm [78]
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004964/ [79]
http://ja.wikipedia.org/wiki/JIS_X_0213 [80]
政府はこのほど,著作権法改正案(以下,改正案)をまとめ,2006年11月2日,第165回国会に提出した。2006年12月1日の衆議院文部科学委員会で可決され,今後本会議での審議が進められる。
特に図書館に関わりが深い改正点として,視覚障害者向け録音図書に関する規定の見直しが盛り込まれている。2006年現在の著作権法(以下,現行法)では,視覚障害者向けの録音図書は貸出目的にのみ作成が認められている(第37条3項)が,改正案ではこれに加え,公衆自動送信(いわゆるインターネットによる送信)を行うために録音図書を作成し(改正案第37条3項),出所を明示した上で(改正案第48条1項2号),インターネットで配信することが可能となる(改正案第37条3項)。このほか著作権による保護の例外として,現行法の裁判手続による複製(第42条)に加え,特許審査手続や薬事行政における文献の複製を認める規定が,新たに盛り込まれた(改正案第42条2項1号及び2号)。以上の改正点はいずれも,2005年の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で検討され,2006年1月に公表された「文化審議会著作権分科会報告書」においては,著作権の制限が「適当」,もしくは「必要とする意見が多い」とされている(CA1604 [82]参照)。
一方,著作者に対する権利制限の拡大とあわせて,権利侵害に対する罰則も強化されている。著作権,出版権または著作権隣接の侵害に対する罰則について,現行法では最高刑が5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金と規定されている(第119条2号)が,改正案では最高10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金に改められる(改正案第119条1項)。
改正案ではこのほかにも,地上波テレビのデジタル化に備えた,IPマルチキャスト技術による地上波放送の同時再送信関連規定の整備(改正案第2条1項7号の2など)や,サーバー等の保守・修理のための一時的バックアップに関する規定(改正案第47条の3),海賊版の輸出に対する取締りの強化(改正案第113条1項2号)も盛り込まれている。なお,著作権の存続期間延長といった衆目を集める変更点は盛り込まれていない。
Ref:
CA1604 [82]
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/165.htm [83]
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/165/06111704/002.pdf [84]
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16503165012.htm [85]
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06012705.htm [86]
米国では,毎年多くの公共図書館が開館あるいはリニューアルしている。American Libraries誌の新館特集には,“libraries = cultural icons”というコピーが踊り,文化の象徴として,蔵書のみならず建物自体によっても地域の文化を守るものであるとの意識がうかがえる。
12月にオープンしたモンタナ州のボーズマン(Bozeman)公共図書館では,環境が1つのテーマになっている。約5,000平方メートルの図書館には,多くの環境負荷軽減の工夫が行われている。屋根には全面に渡ってソーラーパネルが使われており,水を使わないトイレなども導入されている。また,駐車場の建物入り口に近いエリアをハイブリッドカー優先スペースとして,利用者をも巻き込んだ環境負荷軽減の取り組みを行おうとしている。
これらの取り組みは,米国グリーンビル協議会(USGBC)が行っている評価制度LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)のシルバー保証の取得を目指すものである。LEEDは,ビル全体として環境に対するマイナス要因を極小化したグリーンビルディングの普及を図るための評価制度であり,代替エネルギーの導入,建築材料の有効利用,室内環境の品質改善など,様々な要素を総合的に評価する制度である。ボーズマン公共図書館では,このLEEDのシルバー保証を受けることが,50万ドル(約5,770万円)の寄付の必要条件となっており,デザインの方向性を決める要素の1つになっている。
一方,LEEDの保証を断念した図書館もある。3月にオープンしたユタ州グランド郡(Grand County)公共図書館でも同様に,環境に優しい図書館建築を行った。Low-Eガラス,再生繊維を使用したカーペットなどの工夫のほか,地熱を利用した空調システムを導入し,環境負荷の軽減を実践した。しかし,LEEDの品質保証の取得については,査定プロセスが複雑で,高い費用を要することから、断念したという。
LEED自体は,民間主導の発展途上の制度であり,現状では公共施設がこの制度を重視するかどうかは州によってばらつきがある状況である。しかしながら,採用する公共施設も増加しており,こうした公共図書館の環境問題への取り組み事例は,地域の文化を映し出すものとして参考になろう。
Ref:
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/november2006a/bozeman.htm [88]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6370904.html [89]
http://www.ala.org/ala/alonline/tableofcontents/2006contents/apr2006.htm [90]
http://www.bozemanlibrary.org/index.html [91]
http://www.grand.lib.ut.us/ [92]
http://www.usgbc.org/DisplayPage.aspx?CategoryID=19 [93]
全米教育統計センター(NCES)が,図書館に関する2004年度の統計報告書『研究図書館2004』(Academic Libraries:2004),『米国の公共図書館:2004年度版』(Public Libraries in the United States:Fiscal Year 2004)をあいついで公表した。いずれも全数調査であり,公共図書館約9,200館,大学図書館約3,700館を有する米国の図書館の概要を見ることができる。
『研究図書館2004』は,大学等の高等教育機関に付設される図書館3,653館を対象に調査を行っているものである。図書館サービス,蔵書,職員,支出,電子的サービス,情報リテラシーを把握することができる。
サービス面では,蔵書数:9億826万冊,貸出冊数:1億5,510万点,レファレンス件数(1週間あたり):140万件となっている。特に蔵書については,2004年度中に2,460万冊が増加しており,218館もの図書館が100万冊以上の蔵書規模を誇ることが示されている。また,電子メールもしくはウェブでレファレンスを受け付けている図書館は69%にのぼり,情報リテラシーを組織の戦略計画に織り込んでいる図書館も34%あるとのことである。職員については,フルタイム換算値(FTE)は9万4,000人で,このうち図書館員は2万6,000人,その他の専門職員が6,300人である。
一方,『米国の公共図書館:2004年度版』は,全米50州及びコロンビア特別区の9,210館に対して調査が行われ,9,000館(97,7%)が回答している。各州ごとの図書館数,開館時間,図書館サービス,蔵書,職員,予算,支出,設備投資費,面積を把握することができる。
サービス面では,蔵書数:8億冊,年間の貸出冊数:20億点,レファレンス件数:3億440万件だという。また職員については,フルタイム換算値(FTE)が13万6,000人で,このうち4万5,000人が図書館員である。ALA認定校の図書館学修士を取得している有資格者数は3万人となっているが,一方で半数以上の図書館においては,有資格者がいないという結果が出ている。
特に大学図書館の充実ぶりが,改めて確認されるものとなっている。数値の詳細については,資料を参照されたい。
Ref:
http://nces.ed.gov/pubsearch/pubsinfo.asp?pubid=2006349 [96]
http://nces.ed.gov/pubsearch/pubsinfo.asp?pubid=2007301 [97]
シンガポールでは,国立図書館委員会(NLB)が国立図書館と公共図書館を包括的に管理・運営している。2005年7月に新装開館した国立図書館(E356 [99]参照)の建物の中に中央貸出図書館が設けられているほか,公共図書館として地域図書館3館,コミュニティ図書館20館,コミュニティ子ども図書館15館があり,連携してサービスが行われている。公共図書館の利用者は増え続けており,2006年1月時点での全登録利用者は193万人と,全人口448万人の43%にまで達している。特に7月の新装開館の影響もあって,2005年4月から2006年1月までの間に新規に登録した利用者が約22万人,来館した利用者数も全館合計で約2,880万人(人口1人あたり6.4回相当)に上った。なお,2005年時点で国立・公共図書館が所蔵する図書資料の冊数は760万冊,雑誌は10万7,000タイトルである。
国立・公共図書館のサービスで特に注目されるのは,読書の推進と電子資料の提供である。読書推進活動としては,米国などで行われている“One City, One Book”(感想を語り合えるよう市民が同じ図書を読むことを奨励する読書推進運動)にならい,“Read! Singapore”キャンペーンが行われている。ただし多文化国家・シンガポールの特性にあわせ,1冊だけではなく,公用語である英語,マレー語,中国語,タミル語の4か国語の図書がそれぞれ3冊ずつ,合計12冊推薦されている。読後は,図書館,学校,会社,書店,カフェなどに集って,読書クラブや家族・友人などとともに,感想を交わし合うことが推奨されている。
電子資料の提供も大規模に行われている。登録済みの利用者は,NLBのウェブサイトから,13万点を超える電子本や,合計79のデータベースに収録されている22万タイトルを超える電子ジャーナル(一部は有料)などを利用できる。この中には,6万点以上の中国語の電子本,またオーディオブックや大活字の電子本も含まれており,ユニバーサル・サービスの広がりも感じられる。
この報告ではシンガポールの国立・公共図書館の活動の充実ぶりが目を引くが,先行事例を国情に合わせて上手にアレンジして導入するなど,そのきめ細やかさも注目に値する。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/sing06.pdf [100]
http://www.nlb.gov.sg/ [101]
http://www.nlb.gov.sg/annualreport/fy05/ [102]
http://readsingapore.nlb.gov.sg/ [103]
E356 [99]
CA1499 [104]
米国においては,図書館員が執筆する書評はあらゆる分野にわたり,分量も豊富である。例えば『Library Journal』誌には毎月数十ページにわたる新刊書評が掲載され,また米国図書館協会(ALA)の刊行する『Booklist』や『Choice』も豊富な書評を提供している。これらの書評は,図書館員の間でも広く読まれ,蔵書構築業務に使われる影響力の大きいツールとなっている。先日も,この3誌の編集姿勢に関する批判文がウェブで公開された。これは3誌が,インテリジェントデザインに関する書籍について,非好意的な立場の資料を比較的多く取り上げ,結果として非好意的な資料が好意的なものに対して所蔵率が高くなっている,との趣旨のものである。書評は,個々の記事の内容だけでなく全体としての総量のバランスについても客観性が求められるという,示唆に富む指摘である。
このような中,ALAのレファレンス・利用者サービス部会(RUSA)の蔵書構築評価分科会(CODES)が,書評(レビュー)の書き手・読み手のための手引きを公開した。「基本レビューのための要素」と題されたこの手引きは,30ページの本文と3つの付録から構成されており,RUSAのガイドラインとしては比較的詳解なものとなっている。
この手引きの第一義的な目的は,書評家を目指す図書館員に良い書評を書くための要素を示すことである。多くの書評に見られる共通要素を整理した上で,資料の媒体・分野ごとに書評執筆のポイントが示されている。ここでは,各種の書籍(小説,ノンフィクション,学術文献,児童書など)のほか,電子資料,視聴覚資料についても章立てされている。例えばウェブサイトについては,編集者のチェックが入っていないという特徴があるため,信頼性や安定性に対する注意がより一層必要であるといった指摘が盛り込まれている。
全体として,図書館員の書評執筆という業務に求められる専門性の高まりを感じさせるものであるとともに,図書館員の書評に対する書き手・読み手としての関わり方を,改めて考えさせられる内容である。
ref.
http://www.ala.org/ala/rusa/rusaprotools/referenceguide/ElementsforReviews.pdf [105]
http://www.ala.org/ala/rusa/rusaprotools/referenceguide/Default2277.htm [106]
http://www.ala.org/ala/rusa/rusaourassoc/rusasections/codes/codes.htm [107]
http://www.libraryjournal.com/community/891/Reviews/42795.html [108]
http://www.ala.org/ala/booklist/booklist.htm [109]
http://www.ala.org/ala/acrl/acrlpubs/choice/home.htm [110]
http://webpages.charter.net/tomeboy/bias.html [111]
http://lisnews.org/article.pl?sid=06/11/03/153256 [112]
蔵書評価に関する調査研究 (図書館調査研究リポートNo.7) [113]
英国の図書館・情報専門家協会(CILIP)の研修事業が拡大を続けている。
CILIPは2002年4月の発足以来,母体となった英国図書館協会(Library Association: LA)の活動を引き継ぎ,英国の図書館員のリカレント教育において中核的な役割を担っているが(CA1491 [115] 参照),このたび公開した研修要覧『Training Directory』(PDF)では,2007年に開講が予定されている合計120コース(9分野)にわたる講座の概要が示された。このほか,5名以上の参加希望があれば,出張研修会も行っている。
全体としては,目録・分類,著作権・ライセンシング,ICTスキル・インターネットスキルなどはもちろんのこと,財務管理・パフォーマンス管理,管理者啓発,マーケティングなどのカテゴリーが設定されている。このカテゴリーのそれぞれに,基盤的なスキルから現代的な課題まで,現場の図書館員が必要とされる様々なコースが,ラインナップされている。特に,今年新たに加わった37コースは,例えば,図書館員が法律調査に関するスキルをどのように教えるか,子どもの情報リテラシー教育において図書館がどのような役割を果すべきか,公共図書館の利用者を増加させるための効果的なアウトリーチ活動の方法はどのようなものか,など,いずれも英国の図書館員のニーズに応えるものと思われ,興味深い。
講師は,コースリーダー“Course Leader”とよばれ,専門性だけでなく,対話を主導する力のあるとされる人物が選ばれている。また,各コースは1〜2日で完結するようになっており,1日コースのものには,ビュッフェ形式の昼食会もある。CILIPの研修は,対話・ディスカッションを通じた学習と人的ネットワークの構築に焦点をあてており,現在直面する課題の解決力の育成に力点を置いていることがうかがえる。
CILIPは,『コーポレートプラン2006-2009』で戦略的目標の第一として,図書館員の研修に言及するなど,力を注いでいる。今後も,その動向は大いに参考にすべきであろう。
Ref:
http://www.cilip.org.uk/training/training [116]
http://www.cilip.org.uk/training/training/Trainingdirectory.htm [117]
http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/annualreport/corporateplan2006.htm [118]
CA1491 [115]
大学教育の現場では,画像や動画,プレゼンテーション資料といったデジタルコンテンツの活用が進んでいる一方で,デジタル化のスピードや質に対する不満も高まりつつある。米国ウェスレイアン大学と米国立技術・教養教育研究所(National Institute for Technology and Liberal Education)は,大学の教養教育課程におけるデジタル資料の利用度について,教養教育大学を中心とする全米33大学の教職員を対象としたアンケート調査とインタビュー調査を実施し,2006年10月,その報告書“Using Digital Images in Teaching and Learning: Perspectives from Liberal Arts Institutions”を公表した。
報告書によると,授業へのデジタルコンテンツの導入の利点として,学生にとって簡単かつ手軽にアクセスできること,他の分野の資源にもアクセスしやすいこと,利用時に抵抗感なくアクセスできることなどが挙がっており,回答者の約3分の1が教育に革命をもたらすとして評価している。また今まで図表を利用していなかった授業に図表を導入するなど,教育方法の変革に貢献しているといった指摘もなされている。授業にデジタルコンテンツを取り入れることについても,約60%が肯定的にとらえている。
教員が利用しているデジタルコンテンツの種類は,画像が最も多く約83%に達し,テキスト(約67%)やその他のウェブ上の資源(約68%)が続いた。ただし画像資料については,90%以上の教員が,個人的に収集したものを中心に利用している,と回答しており,大学が収集したデジタルコンテンツデータベースの利用経験は約48%,特に図書館が提供するデジタルコンテンツに至っては,約38%しか利用経験がなかった。教員はまたデジタルコンテンツに対する大学のサポート不足や,資料整備の非効率性にも不満を持っていることが明らかになった。
さらにアンケートでは学生のデジタルコンテンツに対するリテラシー能力の向上にも焦点が当てられており,イメージ情報と批判的に向き合うために必要となる技術について学生は理解していないと,多くの教員が指摘している。学生がデジタルコンテンツで学習するために必要なスキルとして,(1)デジタルコンテンツの観察や読解,分析のための「イメージリテラシー」能力,(2)複数のフォーマットからデジタルイメージを発見,アクセス,注釈,共有するための「デジタルリテラシー」能力,(3)考えをビジュアル的に表現する能力である「イメージ構成力」といったスキルを身に着けなければならないと,報告書は指摘している。
本報告書ではこれらのアンケート結果を基に,デジタルコンテンツの組織化や共有,データベースの広報戦略,組織内における情報資源の共有化,著作権ポリシーの策定と共有化,教育方法に関する教員とIT部門との情報交換の推進など,数々の提言を行なっている。また今後もシンポジウムやWikiによる研究と情報交換が進められるという。デジタルコンテンツの整備や学生のデジタルリテラシー能力の養成といった活動に,図書館職員がどのように関与してゆくかを含め,今後の研究の進展が期待される。
Ref:
http://www.academiccommons.org/files/image-report.pdf [120]
日本図書館協会(JLA)は2006年10月,『豊かな文字・活字文化の享受と環境整備: 図書館からの政策提言』を発表した。
JLAは,2005年7月に公布・施行された「文字・活字文化振興法」に関し,法案審議の段階から,公立図書館の不足,資料費の不足,専門職員の不足といった図書館の現実を踏まえた十分な議論を求めていた。そして同法が施行された後の2005年10月,JLA政策企画委員会名で「文字・活字文化振興法を実効あるものにするための政策事項(素案)」が提案され,会員から意見募集を行われた。今回発表された政策提言はこのような流れを受けたもので,文字・活字文化振興法を積極的に活かす政策提言を「図書館振興に責任を負う団体の立場」から提起する,とされている。
本文書は,(1)公立図書館の整備,(2)学校図書館の整備,(3)大学図書館の充実,(4)出版文化の振興,(5)活字文化からの疎外をなくす,(6)図書館の連携協力の6章,全32項目からなる。各項目では,具体的な問題状況を踏まえつつ,図書館の数を増やす,運営経費・資料費を増やす,司書・司書教諭・学校司書など専門職員の配置を増やす,出版文化・活動を振興する,障害者や在住外国人が出版物を利用できる機会を保障する,館種を超えた図書館の連携協力を促進する,といった提案が具体的になされている。
JLAは,これらの提言について,多くの関係者に見てもらい,議論・検討を重ねて補強していく必要性があるとしながら,このような議論によって,より豊かな文字・活字文化の施策に資することを強く期待する,としている。
Ref:
http://www.jla.or.jp/kenkai/mojikatuji200610.pdf [122]
http://www.jla.or.jp/kenkai/mojikatuji.html [123]
http://www.jla.or.jp/mojikatsuji2.pdf [124]
第14回アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)のホスト国,フィリピンからは,フィリピン国立図書館(NLP)が中心となって運営している電子図書館サービス“eLib”の経緯・現状の報告がなされた。
NLPの近年の最大の成果といえるeLibは,政府の電子政府政策の一環として助成を受けたプロジェクトであり,2005年4月からサービスを開始している。このプロジェクトにはNLP,高等教育委員会,農業省,科学技術省,フィリピン大学の5つの政府機関が参画しており,NLPはデータセンターの機能を担っている。
eLibは,フィリピンの電子情報のポータルサイトとして,5機関の書誌データ・索引データ,フィリピンに関連する2,500万点を超えるデジタル画像をウェブ経由で提供している。また11のオンラインデータベースと契約し,全文が見られる電子ジャーナル2万9,000タイトルも国内外に提供している。ただし,デジタル画像および全文のデータは,データ提供機関が自機関のデータを参照する場合などの例外を除いて,基本的に有償となっている。またeLibに対する政府からの支援も終了したことから,今後の継続性も課題となっている。
フィリピン全国には,2005年時点で公共図書館が1,094,研究図書館が300以上ある。もっとも,公共図書館の中には,設置母体から運営費用を得られていないところもあるという。資金不足の中,どのように図書館サービスを拡充していくかが,フィリピン図書館界の大きな課題となっている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/phil06.pdf [125]
Prudenciana Cruz. "Philippine Country Report". 14th CDNLAO Meeting. Mandaluyong, 2006-03.
http://www.elib.gov.ph/ [126]
http://www.ndl.go.jp/en/publication/cdnlao/054/544.html [127]
9月19日から26日まで,国立国会図書館から代表団3名が訪韓し,韓国国立中央図書館(NLK)との間で第10回日韓業務交流が行われた。うち,今回のメインテーマ「電子情報化時代のレファレンスサービス:協力型デジタルレファレンスネットワークの構築を中心として」に即して発表されたNLKのサービスを紹介する。
NLKでは,2004年から主題専門司書制の体制をとり,2005年から同館サイトで掲示板式サービス「司書に聞いてみましょう」を提供している。これは,登録利用者が主題別のアドレスに登録した質問に対して,司書の回答をメールで配信する,というサービスであるが,専任の担当者を配置していない試行的実施であったため,各主題資料室の司書への負担が大きかった。またNLK内部の協力体制だけでなく,外部との人材・資源の共有による協力体制の必要性も浮き彫りになった。
そこで,2005年12月,研究チームを立ち上げ,先行事例の調査を実施し,2006年4月から,公共図書館を対象とする協力型デジタルレファレンスネットワークの計画を開始した。4月と7月にワークショップ,8月から全国514の公共図書館に対しアンケート調査を行い,これらの結果をもとに,具体的な協力モデル構築のための研究をすすめている。2006年度内に,システム構築基本計画を完成させる予定であるという。
なお,今回の業務交流の詳細は,『国立国会図書館月報』2007年1月号で報告される。
(図書館協力課:吉間仁子)
Ref:
http://www.nl.go.kr/international/kj_01_01.php [128]
http://www.nl.go.kr/international/kr_5.pdf [129]
http://nl.go.kr/digitalref/ref_user/ref_ask/subject_list.php?prev=ask.php [130]
Maureen Pennock. Curating E-Mails: A life-cycle approach to the management and preservation of e-mail messages. Version 1.0. Digital Curation Manual, 2006. (online), available from < http://www.dcc.ac.uk/resource/curation-manual/chapters/curating-e-mails/ [132] > , (accessed 2006-11-20).
電子環境下における業務コミュニケーションのツールとして,電子メールはもはや不可欠のものとなっている。このような電子メールは,組織のコンプライアンスの一環として,また組織の業務インフラの一部をなす記録文書として,適切に管理・保存されるべきものである。また図書館や文書館においては,組織内の記録文書を管理・保存することはもとより,現代版の「書簡」と位置付けられる個人/組織の電子メールを,文化的・歴史的な資料という文脈から管理・保存していくこともあるだろう。
ところが,このような電子メールの管理・保存の重要性については,まだ十分に認識されているとは言えない。英国のデジタルキュレーションセンター(DCC: E178 [133], E548 [134]参照)が2006年7月に,デジタルキュレーションマニュアルの一章として刊行した本書は,この問題を考える格好の材料となる。
本書では,単に電子メールの管理・保存だけでなく,その前後に位置する「作成」「再利用」のプロセスも考慮した取り組みが不可欠であるとして,電子メールのライフサイクルを視野に入れた「キュレーション」の必要性が論じられている。まず,キュレーションの概念と必要性を説明した上で,データ保護法や情報自由法といった関連する法律を紹介し,電子メールの記録文書としての位置付けを確認している。次いで,電子メールの発信者,受信者,キュレーター,再利用者の各役割ごとに,求められるタスクを解説している。例えば,発信者は電子メールのメタデータを適切に作れるよう,発信者の正確な署名を付し,直接の受信者の氏名・所属を明確にし,意味のある件名をつけて電子メールを発信することが求められている。また受信者は,すべてのメールを“inbox”(標準の受信箱)に入れておくのではなく,保存期間も意識して適切に振り分けることが求められている。
このほか本書には,電子メールの保存時の推奨フォーマットや標準,長期保存・アーカイビングを行う際に考慮すべき点,電子メールのポリシーを立案・実行するための手順,すでにポリシーを履行している機関の事例紹介なども掲載されている。DCCの他のマニュアル同様,幅広く活用できよう。
Ref:
http://www.ukoln.ac.uk/ukoln/staff/m.pennock/publications/docs/RMS-b_mngmt-pres-emails.pdf [135]
近年,ディスレクシア,注意欠陥・多動性障害(AD/HD),視覚障害ほか身体の障害,精神の障害や母語が地域で少数派の言語であるなどの理由によって本を読むことが困難な子どもたちに対し,各国の図書館界が注目するようになってきている。中でも,オランダは先進的な取り組みを行っている。
オランダでは2002年,ハーレム(Haarlem)市立図書館が,ディスレクシアをはじめとする本を読むことが困難な子どもたちのための「本を気軽に読める読書空間」を開設した。この読書空間には本,CD,DVDのほか,コンピュータゲームやその他の教育用資料,雑誌,冊子など,各障害に対して効果があるとされるさまざまな種類の資料が取り揃えられているほか,くつろいで話を聞いたり,コンピュータを利用できるような設備が備わっている。また有料ではあるが,子どもにどのような本を薦めるべきか,どのように読み聞かせればよいかな
ど,親や教師に対しての専門的なアドバイスを行うプログラムも行われている。このようなサービスが2002年以後,オランダ国内の多くの図書館で展開されており,設置母体である自治体の注目も集めている。
2006年3月,ハーレム市立図書館は子ども,青少年,親,教師,図書館員など,このサービスに関心を持っている各関係者に対する資料を掲載し,サービスを紹介するウェブサイトを立ち上げた。さらに2006年9月には,オランダ公共図書館協会(Vereniging Openbare Bibliotheken)とオランダ図書館現代化機構(Procesbureau Bibliotheekvernieuwing)の支援によって,このウェブサイトは本を読むことが困難な子どもたちへのサービスに関する国内の情報センターとして拡充された。コンテンツはすべてオランダ語であるが,読書や学習のヒントや優良事例の紹介,特にディスレクシアについての説明資料やリンク集,図書館サービスの重要性を示すパンフレットや資料,よく利用される資料のリスト,FAQなど,このサイトを訪れればあらゆる情報が入手できるようになっている。
Ref:
http://makkelijklezenplein.nl/ [137]
http://www.sitegenerator.bibliotheek.nl/haarlem/faq/overig45.asp [138]
http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=6613 [139]
http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=8545 [140]
http://dutchlibraries.web-log.nl/dutchlibraries/2006/10/easy_reading_pl.html [141]
英国情報システム合同委員会(JISC)は2006年3月,国内の高等/継続教育機関に代わってオンラインデジタルコンテンツの提供業者と交渉したり,調達業務を代行したりする子会社として,JISC Collections社を設立した。このほど同社が,高等教育機関が書誌・引用データベースを契約する際の検討材料となる,コンテンツの収録範囲,価格,ライセンス,アクセス制限,検索機能といった基礎的な情報を収集・比較する調査を行い,その結果をウェブサイトで公開した。
この調査ではまず,パネリストを務める8名の図書館職員,および,メーリングリストの呼びかけに応じた70名以上の図書館職員に対し,有益なデータベースとプラットフォーム(データベース群を提供しているサービス)についてアンケートを行った。また同様に,これら複数のデータベース/プラットフォームを比較する際に必要な情報についても調査した。これらを元に,代表的な学術文献データベースのWeb of ScienceとScopus(E302 [144]参照)を含む15のデータベースと8つのプラットフォームの提供事業者に対し,情報の提供を要請し,取りまとめた。
また同時に,各社から提供された情報を比較できるツールも作成され,ウェブサイトで公開された。このツールでは,各データベース間の収録コンテンツの異同,収録範囲の相違のほか,各プラットフォームのサービス内容の相違も比較することができる。
これまでの契約においては,公開されている情報が少なく,また,定まった評価手法もなかったため,透明性の高い手続きで選定することは困難であった。今後の情報の更新という課題はあるものの,契約に携わる図書館職員にとって,この調査・ツールは役に立つものと思われる。
Ref:
http://www.andrews-consultancy.com/jisc_database_assessment/docs/Bibliographic_and_Citation_Databases.pdf [145] http://www.andrews-consultancy.com/jisc_database_assessment/ [146] http://www.jisc-collections.ac.uk/ [147] http://www.jisc.ac.uk/whatwedo/services/services_jisccollections.aspx [148]
E302 [144]
米国研究図書館協会(ARL)は2006年9月,ワシントン大学,ヴァージニア大学と協同で,図書館評価に関する会議“Library Assessment Conference:Building Effective, Sustainable, Practical Assessment”を開催した。
同会議では,図書館サービスの改善に役立つ評価実践に焦点が当てられ,招待講演者による基調講演・パネルディスカッションのほか,さまざまな評価対象・評価手法・評価事例に関する分科会形式のセッションやポスターセッション,データ分析や評価手法を初心者向けに紹介するワークショップなどが行われた。全般的に,評価手法としては質的評価,評価対象としては図書館運営,経営戦略,図書館の組織・文化に関するものが多く取り上げられており,これらが米国の図書館評価において注目を集めているようである。具体的には,LibQUAL+TM(CA1526 [150]参照)をはじめとするサービス品質評価ツールや手法,評価手法の選択・開発方法,評価を活用した図書館運営,バランスト・スコアカード(Balanced Scorecard)を用いた経営戦略の立案と実行の評価,学習環境としての図書館空間の評価,利用者の情報リテラシーの評価,電子図書館に関する評価,図書館の組織風土に関する評価,図書館の影響・効果の分析などを扱った発表が行われた。
これらの発表の概要を含むプログラムおよび発表資料の多くはARLのウェブサイトで公開されている。実際の図書館評価の事例も含まれており,図書館評価の研究用資料としてはもちろんのこと,図書館評価計画を立案する際の参考用資料としても活用できよう。
Ref:
http://www.arl.org/stats/laconf/FullProgramFINAL.pdf [151]
http://www.arl.org/stats/laconf/schedule.html [152]
CA1526 [150]
米国コーネル大学は2006年9月19日,米国出版社協会(AAP)と協同で,デジタル授業教材(Electronic Course Materials)の使用に関する新しい著作権ガイドラインを発表した。
米国では,授業の概要,配布物,テストやレポートの課題といった授業教材をデジタル化し,ネットワーク上で学内または広く一般に公開する大学がある。このようなデジタル教材の作成・公開については,遠隔研修に係る著作権の権利制限を定めた2002年制定の“TEACH ACT”(CA1604参照)に記載がなかったため,各大学図書館ではどのように行えば合法なのかわからないといった状況にあった。このため,米国研究・大学図書館協会(ACRL)など6つの図書館協会が2005年12月,米国著作権法に規定されているフェア・ユース(Fair Use)にあたる場合には問題はないので萎縮するべきではないとする共同声明“Fair Use and Electronic Reserves”を出していた。
今回コーネル大学が示した著作権ガイドラインでは,まず,デジタル化された著作物であっても紙媒体と同様の著作権法の原則が適用され,著作権者に無断で利用することは許されない,という原則が示されている。その上で,著作物の利用がフェア・ユースに該当するか,付属のチェックリストによる確認を求めている。そして,該当しなければ著作権者の許諾が必要であるとしている。また著作物をデジタル教材として初めて使用する際にも,同様に著作権者の許諾が必要であるとしている。このほか,ID/パスワードによるアクセス制限,授業期間終了後のファイル消去,著作権処理済の電子ファイルが別にある場合にはそれを用いることなどにも言及している。
AAPは,各大学にもこれにならったガイドラインの策定を要望している。しかし,米国図書館協会(ALA)の著作権担当者は,Library Journal誌のインタビューに対し私見であると断った上で,コーネル大学のガイドラインはバランスがとれていて悪くはないが,フェア・ユースに当たるかどうかの判断は著作権者の許諾以前の問題であるとして,萎縮に対する懸念を示した。そして,各大学に対し,コーネル大学のガイドラインよりも“Fair Use and Electronic Reserves”を重視してほしい,としている。
Ref:
http://www.copyright.cornell.edu/policy/Copyright_Guidelines.pdf [154]
http://www.copyright.cornell.edu/policy/Fair_Use_Checklist.pdf [155]
http://www.news.cornell.edu/pressoffice1/Sept06/AAPCopyright.shtml [156]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6374602.html [157]
ニュージーランド国立図書館は,人々と生活のあらゆる側面で重要となる情報とを繋げるというビジョンのもと,電子図書館化を軸に厚みのある取り組みを実践している。特に,デジタル情報社会への対応のため,政府省庁と連携するとともに,国内外の関係機関との協同関係を強化している。
まず特徴的なのが,EPICとよばれる電子資料の共同購入である(CA1524 [158]参照)。このサービスにより国内外の 約1万6千のフルテキストの雑誌記事の他,電子ニュース,写真,画像など,多様な電子出版物へのアクセスを可能にしている。また, FindNZarticlesでは,公共図書館と協同で国内の雑誌・新聞の索引を作る実験事業も行い,本格運用に向けて準備を進めている。
またデジタル文化遺産の収集・長期保存・提供プロジェクトである「国家デジタル遺産アーカイブ」(National Digital Heritage Archive:NDHA)は,電子資料の収集・保存・提供を行うシステムを装備しているが,2008年を目処にウェブ情報のロボット収集の仕組みを開発中である。またMatapihiという,5万件以上の写真,絵画,彫刻等の画像を検索できるデジタルアーカイブも提供されている。
このような事業を通じたサービス基盤の上で,国立図書館とオークランドその他の公共図書館とが協同で進めているAnyQuestions.co.nzでは,児童・生徒に対して宿題支援などのチャットレファレンスを提供している。またオーストラリアの国立・州立図書館等と協同して,Ask Nowとよばれるチャットレファレンスも提供している(E519 [159]参照)。
このほか,電子法定納本(E-legal deposit)や,関連する著作権法・知的財産権法など,法整備も進められている。また,図書館政策に関する政府諮問機関である図書館情報諮問委員会(LIAC)が,2003年に新たに設立されるなど,体制の整備も進んでいる。
このように活発な動きを進めるニュージーランド国立図書館であるが,さらに次期戦略的長期計画である「次世代国立図書館(the Next Generation National Library)」を取りまとめ中である。ここでは,これまで進めてきた電子化戦略が確認されるとともに,革新と研究開発を促進する職場環境の創出が盛り込まれる予定である。
今後もニュージーランドの動きには注目していく必要があろう。
(注)『カレントアウェアネス』第290号(12月20日発行予定)には、ニュージーランドの納本制度に関する紹介記事(執筆・熊倉優子氏)を掲載する。
Ref:
http://www.natlib.govt.nz/index.html [160]
http://epic.org.nz/nl/epic.html [161]
http://findnzarticles.natlib.govt.nz/ [162]
http://www.lianza.org.nz/news/newsroom/news1137643403.html [163]
http://www.matapihi.org.nz/ [164]
http://www.anyquestions.co.nz/en/anyQuestions.html [165]
http://www.asknow.gov.au/ [166]
http://www.alia.org.au/publishing/aarl/35.2/full.text/wilson.keys.html [167]
http://www.liac.org.nz/ [168]
http://www.natlib.govt.nz/files/initiatives/Next-Generation-National-Library.doc [169]
E519 [159]
CA1524 [158]
Antelman, Kristin et al. Toward a 21st Century Library Catalog. Information Technology and Libraries. 25(3), 2006, 128-139.(オンライン), 入手先 http://www.lib.ncsu.edu/staff/kaantelm/antelman_lynema_pace.pdf [171], (参照2006-11-6)
米国議会図書館(LC)が公表した目録の現状と将来に関するレポート“The Changing Nature of the Catalog and its Integration with Other Discovery Tools”に代表されるように,目録に対する危機感が図書館界に広がりつつある(注)。サーチエンジンで実装されているような機能をOPACに導入する動きも一部ではじまりつつある。そのような中,米国ノースカロライナ州立大学(NCSU)図書館も,次世代の図書館目録として,TF/IDF法による適合度のランキング表示,ファセット方式によるブラウジングなど,新たな機能を備えたOPACを提供を開始した。この論文は,同大学が新OPACを導入するに至った経緯やシステム構成,新OPACの機能評価や残された課題についてまとめたものである。
本論文によると,現在広く提供されているOPACは,AND・ORといった演算子による論理検索システムから約20年にわたり進歩していない,とされる。そして確率的あるいはベクトルベースの部分一致検索技術を応用したOPACを「次世代のカタログ」であるとする。同館の新しいOPACのシステムでも,1.検索結果の適合度ランキング機能,2.新たなブラウジング機能,3.主題からの検索機能の充実,の3機能を原則として導入するとされ,そのために解決すべき課題を各方針ごとに検討された。また導入時には,新OPACと既存システムとの連携や,ユーザーインターフェイスに関し,機能的・技術的要件の検討が行われた。特にインターフェイスについては,新OPACで実現するフリーキーワード検索に加え,旧OPACの典拠形の前方一致検索機能も利用できることが,要件に盛り込まれた。
旧OPACをあえて利用できるようにした経緯にも,本論文は言及している。語彙の関係を無視するフリーキーワード検索では,統制語を利用する件名標目検索と比較して検索結果に微妙なロスが発生してしまい,検索結果の網羅性が担保されないためであるという。つまり件名標目を利用したり,検索方針を構築して検索語を絞り込むことで,フリーキーワード検索よりも正確で網羅性の高い検索結果が得られるという。その結果は利用者の研究にはかならずしも肯定的であるとは限らないものの,むしろ肯定的,否定的両方の資料を網羅的に把握できることが重要であるとの認識を示すものといえよう。
導入後に実施された評価によると,新OPACの利用者数は増加傾向を示しているほか,新OPACの新機能(スペルチェック,貸出記録に基づく検索結果の並び替え,適合度順による検索結果の表示)もある程度利用されているという。また検索に要した時間,検索の成功度や難しさ,1ページ目の満足度について,学生を被験者とする新・旧OPACの比較調査も実施されており,新OPACが旧OPACより高評価を得たという。
最後に今後の課題として,FRBRへの対応,主題アクセスの改善,書誌データ以外のメタデータへの対応,自然言語検索,フィードバックを加味した関連度表示への対応などが挙げられている。
(注)『カレントアウェアネス』第290号(12月20日発行予定)には,このLCの報告書を含む,研究図書館における目録の危機と将来像を扱った報告書3点を紹介する一般記事(執筆:渡邊隆弘氏)を掲載する。
Ref:
http://www.lib.ncsu.edu/catalog/ [172]
http://catalogablog.blogspot.com/2006/10/toward-21st-century-library-catalog.html [173]
1990年代初頭以後,文書館・図書館・博物館などは,所蔵資料をデジタル形式で長期保存するための媒体として,主にCD・DVDを用いてきた。ところが2000年前後,ハードディスクやそのバックアップ用磁気テープなどの保存媒体が高速化・低価格化し始めたのとほぼ同時期に,CD・DVDの信頼性に対する懸念が出始めた。
このような中で,ユネスコの「世界の記憶」(CA918参照)プロジェクトの技術小委員会も,この懸念を最小化するための媒体および記録/再生装置の選択方法や記録・検証の手順を明確にするため,2006年6月,CD・DVDの信頼性に関する文書を公表した。この文書では,媒体の規格や記録方式(追記の可/否,片面/両面,一層式/二層式など),記録/再生時における媒体と装置との互換性など,CD・DVDの種類と特性を紹介した上で,媒体の選択,データの記録,検証などを行う際の留意事項や,許容できるエラーレベルについても触れている。CD・DVDを長期保存媒体として使用する際のリスクとその低減方法が端的にわかるガイドラインとして,活用できるものとなっている。
なお,この文書では最後に,低価格化したハードディスクとそのバックアップ用磁気テープなどに触れ,これらがCD・DVDの代替媒体として有力な長期保存用媒体になりつつある,としている。
Ref:
http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22734&URL_DO=DO_PRINTPAGE&URL_SECTION=201.html [175]
CA918 [176]
図書館情報学専攻の学生による図書館情報学のオープンアクセス誌「Library Student Journal」(LSJ)が,2006年9月,オンライン上に創刊された。LSJは,米国のバッファロー大学の学生が編集する査読誌であり,将来図書館情報学の専門家となる人のための国際的な学術雑誌となることを目途としている。
投稿原稿には,記事,エッセイ,レビュー,論評,レターの5区分があり,原則として学生が執筆する。論評については,実務者や教育者も執筆できるが,新しい技術や将来の流行に関する記事に力点が置かれ,学生主体で編纂されている。
査読は最低3人が担当することになっており,そのうち2人は編集委員,1人はそれ以外が担当することになっている。編集委員は米国の図書館情報学専攻の学生を中心に現在25人ほどおり,外部査読者も含め引き続きボランティアを公募している。
このオープンアクセス誌は,スポンサー付オープンアクセス(OA)モデルの実験的試みでもある。ボランティアスタッフと,バッファロー大学のサーバと,少額の寄付により編集・刊行し,著作者にも読者にもコスト負担を求めないモデルを追及している。バッファロー大学大学院生のギニー(Eli Guinnee)編集長は,創刊号の論評の中で,図書館情報学は技術の進歩を活用できる立場にあること,既存の雑誌の出版モデルがオープンアクセスの普及により崩壊寸前にあることの2つの前提を指摘した上で,以下のように述べている。
「読者,著者,編集者のみなさんが,我々の取り組みから,図書館が出版社になれるということ,そして,図書館員がその多様な技能と情報資源を自由に駆使し,高品質な学術情報の出版に直接,積極的に携わるということを学び,手本としてくれることを願っている。」
このスポンサー付OAモデルの実践が継続されていくか,注目される。
Ref:
http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/index.php [177]
http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/articles/guinnee_2006_9_open.html [178]
2003年に活動を開始した図書館職員向けオンライン学習コミュニティWebJunctionが,図書館職員向けeラーニングに対する意識とニーズに関する調査を行い,その成果を公開した。興味があるが組織の方針が定まる見込みがない,価値をまだ評価できていないなど,これまでWebJunctionに寄せられてきた意見が,数値的に裏付けられるものとなった。
この調査は,Webjunction登録者や図書館継続教育ネットワークラウンドテーブル(CLENERT)等のメーリングリストを通じて広報された。合計651人が回答しており,そのうち公共図書館職員が65%を占めている。
調査結果によると,まず,所属組織が今後3年以内にeラーニングでの職員研修を実施する見込みとしている比率が70%,同じく1年以内の見込みが49%となっており,高い率で実施を検討していることがわかる。その利点としては,利便性,費用対効果,目的にあった研修が受けられることなどが挙げられ,また障壁としては,資金や時間の不足と,専門性が挙げられている。
また,回答者を開発者と購入者に分けて,それぞれの特徴を明らかにしている。開発者には,館種,予算規模,開発理由,参考としている情報源,現在のプログラムに対する満足度を,購入者に対しては,館種,予算規模,購入理由,現在利用しているプログラムの提供元,そしてそれに対する満足度をたずねている。それぞれ,「ある程度満足」が約5割なのに対し,「とても満足」は2割にとどまった。さらに,購入者には,興味のあるトピックについても調査している。レファレンスサービス,利用者サービス,情報リテラシーが上位を占めており,現状提供されているコンピュータスキルを中心とするプログラムとのずれが浮き彫りになっている。
以上の調査報告を総括して,WebJunctionは,eラーニングはトレンドだが発展途上であるとしている。今後,図書館職員のニーズにより合致したプログラムの提供が期待される。
Ref:
http://webjunction.org/do/Home [180]
http://data.webjunction.org/wj/documents/14077.pdf [181]
アクセス契約した電子ジャーナルのコンテンツを,図書館内はもとより,大学キャンパス内外にいる研究者・学生に提供する。このような例に見られるように,これまで大学図書館が扱ってきた学術情報の流通システムは,情報技術の急速な発展に伴い大きく変化してきている。
この状況を踏まえて,学術情報の(1)マネジメント,(2)サービス,(3)発信の3つの観点から大学図書館機能を再検討し,基準やガイドライン,マニュアルなどの形で大学図書館の将来像について提案する試み“REFORM”(Reengineering of the functionalities of research libraries in thedigital milieu; 電子情報環境下における大学図書館機能の再検討)が,土屋俊(千葉大学文学部)教授を代表とする研究グループで進められている。このほど,2005年度の研究報告が“REFORM”のウェブサイトで公開された。
この“REFORM”プロジェクトは,2004年度から2006年度までの3か年計画で行われており,初年度の2004年度は準備作業として,大学図書館に関連する学術情報流通政策・施策の整理,大学図書館におけるILLのデータ分析計画の策定,機関リポジトリの動向レビューなどが実施された。これを受けて2005年度には,大学図書館政策と大学図書館の予算・サービス・資源についての分析,NACSIS-ILLおよび医学図書館数館のILLデータの分析,オープンアクセス全般に関する動向調査などが行われた。
これらの成果を踏まえ,3か年計画の最終年度である2006年度,どのような提案がなされるかが大いに注目される。
Ref:
http://cogsci.l.chiba-u.ac.jp/REFORM/ [182]
ネパールでは近年になってようやく,図書館を利用するという習慣が一般市民や学生に普及してきた。ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の「学習へのアクセス賞」(E245 [183],E366 [184],E374 [185]参照)を2006年に受賞したNGO・READ(Rural Education and Development Nepal)など,地方における教育・図書館サービスを支援しているNGOの手によって,地方でも公共図書館が開設されはじめた。また,学校や大学も自前の図書館を持つようになってきている。
図書館界も,ネパール図書館協会と,図書館情報学の修士課程を有しているトリブヴァン大学の図書館情報学同窓会(TULSSAA)の2つの職能・職権団体が,図書館と専門職を向上させるための活動を続けている。両者による図書館職員向けの短期研修のほか,TULSSAAが刊行する図書館に関する情報誌などがそれにあたる。またトリブヴァン大学の支援のもと,ネパール図書館協会が首都カトマンズに南アジア図書館協会地域連盟(REFSALA)を設立するなど,国際協力の試みも行われている。
とは言え,図書館の整備はまだ十分ではない。国立図書館をはじめ多くの図書館は,図書館用に設計されたものではない建物に配置されており,日光やほこりに対する措置が取られていないといったインフラ面の問題を抱えている。またほとんどの図書館の蔵書は5万冊に達しておらず,国立図書館でも蔵書数は8万4千冊である。法定納本制度がないことから,全国書誌の刊行も困難であり,国内で最大の蔵書を有しているトリブヴァン大学中央図書館の目録や,2005年に国立図書館が8年ぶりに作成した総合目録が,その役割を代替している。
このような状況を改善すべく,国立図書館は2006年1月,同館設立50周年の記念式典の際にワークショップを開催し,政府に対して図書館政策に関する案を提出した。ネパールに関しては政情不安が報じられているところであるが,この案が実を結ぶか,動向が注目される。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/nepal06.pdf [186]
http://www.readnepal.org/ [187]
http://www.gatesfoundation.org/GlobalDevelopment/GlobalLibraries/AccessLearningAward/2006Award/default.htm [188]
E245 [183]
E366 [184]
E374 [185]
http://www.tucl.org.np/ [189]
http://www.nnl.gov.np/news.php [190]
国立国会図書館(NDL)は,平成17年12月に開催した公開セミナー「スマトラ沖地震・津波による文書遺産の被災と復興支援」(E420 [191]参照)の記録集『スマトラ沖地震・津波による文書遺産の被災と復興支援‐平成17年度国立国会図書館公開セミナー記録集‐』(図書館研究シリーズNo.39)を社団法人日本図書館協会から刊行するとともに,10月10日,ウェブサイト「Current Awareness Portal」に全文を掲載した。
2004年12月にインドネシア・スマトラ島沖で発生した地震とそれに伴う津波は,インド洋沿岸地域に甚大な被害をもたらした(E282 [192]参照)。被災から1年後に開催した同セミナーでは,国際図書館連盟(IFLA)が推進する資料保存コア活動(IFLA/PAC),および被災地であるインドネシア・スリランカにおける復興状況・活動(CA1570 [193]参照)について,それぞれ報告・紹介が行われた。本書ではこれらの講演・報告のほか,被災地や被災状況を写した報告スライドや参加者との質疑応答も収録されている。
スマトラ沖地震・津波以降も,自然災害が世界各地を襲っており,図書館もその災禍に巻き込まれている(E369 [194],E516 [195]参照)。この記録集は,災害に対する理解を深めるとともに,被災した資料への対処や防災計画等,図書館資料を含む文書遺産を守るために必要な知識・情報を共有して行く上で参考となる報告書となっている。
Ref:
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/series/category.php?categoryid=24 [196]
E282 [192]
E369 [194]
E420 [191]
E516 [195]
CA1570 [193]
英国のデジタルキュレーションセンター(DCC: E178 [133]参照)が2006年9月,2004年の設立以後の活動についての自己評価報告書を公表した。
DCCは,デジタルキュレーションに関する概要説明やマニュアル,関連技術や標準の動向を紹介する資料,用語集,事例やツールの紹介,専門家へのインタビューなどの情報をウェブサイトで提供しているほか,電子メールや電話で質問を受け付けるヘルプデスク,関連する技術や課題などに関するワークショップやイベントの開催,国際協力など,さまざまな活動を行っている。本報告書は,これらの活動の影響・効果,利用率,サービスと情報資源の質の3つをテーマとして,DCCのスタッフや関係するコミュニティのメンバー,ワークショップの参加者などへのアンケートやインタビュー,専門家の意見などを分析したものである。
分析の結果,総じて,デジタルキュレーションに関係する問題の重要性は高く認識されている,DCCの活動は大変有益で質が高いという自己評価に至った。特に利用者から評価された活動はウェブサイトでの情報提供で,中でも国際的な専門家が相互に査読して作成しているデジタルキュレーションマニュアルが,大いに好評を博している。その一方で,DCCが望ましいと考えるほどにはデジタルキュレーションの重要性の認識が広まっていない,DCCが提供するツール類はマニュアルも含めてまだ開発途上である,といった課題も浮き彫りになった。今後は,高く評価されている活動を続けていくとともに,各利用者カテゴリー(データ作成者/キュレーター/再利用者,専門家/経験者/非経験者)別にニーズを把握し,選択的にサービスを強化していく必要がある,としている。
Ref:
http://www.dcc.ac.uk/docs/DCC_Evaluation_Report_Final.pdf [199]
http://www.dcc.ac.uk/ [200]
http://www.dcc.ac.uk/resource/curation-manual/ [201]
E178 [133]
オランダ王立図書館(KB)は,法律の定めにより4年ごとに戦略計画を作成している。このたび,2006年からの戦略計画「KB戦略計画:2006-2009」が報告書の形態で発表された。
本計画は戦略的テーマと,図書館サービスとそのインフラについての記述からなる。戦略的テーマは,(1)図書館の位置づけの再評価,(2)科学技術情報のインフラ整備,(3)KBの国際的な位置づけの強化の3分野に区分されており,(1)についてはさらに,オランダの歴史・文化・社会の紹介,利用者や市場に対する系統的なアプローチ,デジタルサービスの開発・更新,の3点が,今期の目標として示されている。同様に(2)では,国レベルでの科学技術情報のインフラ整備,人文科学分野の研究情報の大規模なデジタル化,デジタル化と保存に関する国レベルのプログラム作りの3点が,(3)では,e-Depot(CA1597 [203]参照)の国際化,デジタル化された学術情報への永続的なアクセスの保障,デジタル資料の保存に関する調査研究,欧州図書館(TEL; CA1556 [204]参照)や国際図書館連盟(IFLA)など国際的な取り組み・機関との連携強化の4点が,それぞれ目標として挙げられている。
図書館サービスとそのインフラに関する記述としては,予算,人的資源,労働市場など外部とのコミュニケーション,施設・設備に関する現状と課題について分析が加えられており,効果的・効率的な業務遂行が目指されている。
なお,戦略計画でも示されているデジタル資料の保存に関連して,KBはウェブアーカイブに関する調査を開始することを,9月4日プレスリリースで発表した。対象はオランダ語のウェブサイトで,選別して保存を行うとのことである。また,ライデン大学と協同して,ウェブアーカイブの法的問題に関する研究も行うとしている。
Ref:
http://www.kb.nl/bst/beleid/bp/2006/2006-en.html [205]
http://www.kb.nl/bst/beleid/bp/2002/2002-en.html [206]
http://www.kb.nl/nieuws/2006/webarchivering.html [207]
CA1597 [203]
CA1556 [204]
「Orphan Works」とは,米国図書館協会(ALA)の定義によると「著作権者を見出すことが困難,もしくは不可能となっているものの,著作権がいまだ存続している著作物」とされている。米国では「ソニー・ボノ著作権存続期間延長法」(Sonny Bono Copyright Term Extension Act)により著作権の存続期間が延長されたため,著作権者の所在が不明となった著作物が急増したと言われており,米国議会図書館(LC)著作権局も2006年1月26日付けで報告書“Report on Orphan Works”を公表している。
このような状況下で,著作権者が不明となっている著作物の利用に関する法案“Orphan Works Act of 2006”(H.R.5439)が2006年6月22日に米議会下院に提出された。ALAは“2006 Copyright Agenda”において,デジタルミレニアム著作権法改正とともに,著作権に関する最重要法案の一つと位置付け,9月7日には議員に対するアドヴォカシー活動を各会員に呼びかけるなどしたものの,著作者団体による法案成立への阻止活動が激しいこともあり,支持する上院議員が全く見当たらないばかりか,下院法務委員会を通過するかどうかも危ぶまれていた。
だがここにきて法案への支持者確保のために,「Orphan Works」法案を提出したスミス(Lamar Smith)議員が,「Orphan Works」に音楽のオンライン配信や知的財産の侵害に対する処罰範囲の拡大を加えた「著作権近代化法案」(Copyright Modernization Act of 2006,H.R.6052)を9月13日に下院に提出した。しかしこの法案も著作者団体からの反対もあり,9月27日に成立の見込みが薄いとして取り下げられてしまった。
スミス議員は2006年中の法案成立を断念したものの,2007年開会予定の第110議会に,修正案を再提出する方針を示している。ALAも同様に,「Orphan Works」法の制定を目指しているが,一部の図書館員からは「著作権近代化法案」に対する違和感も表明されている。法案への反対活動を行う著作者団体の動きもあり,「Orphan Works」に関する法律案の行方は,ますます混迷の度を深めつつある。
Ref:
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=109_cong_bills&docid=f:h5439ih.txt.pdf [208]
http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=109_cong_bills&docid=f:h6052ih.txt.pdf [209]
http://www.stockasylum.com/text-pages/articles/a6fa092006-new-ow.htm [210]
http://www.law.com/jsp/article.jsp?id=1159347926565 [211]
http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/orphanworks/orphanworks.htm [212]
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2006ndx/091sep07.htm [213]
http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/copyagenda.pdf [214]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/september2006a/orphanworks.htm [215]
http://www.asmp.org/news/spec2006/orphan_update.php [216]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6346417.html [217]
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/48/12/838/_pdf/-char/ja/ [218]
http://www.copyright.gov/ [219]
2006年8月31日,ニュージーランド国立図書館が,2005年9月に全国の公共図書館を対象に行った調査の結果を発表した。調査対象は75の公共図書館で,72%にあたる54館から回答を得た。
同館は2001年にも同様の調査を行っているが,今回の調査でも総じて,前回の調査で見られた傾向が続いているという。 (1)電子的なサービスをはじめ提供するサービスの幅が広がっている,(2)多くの図書館が建物の建て替え・拡張を行っている,(3)子ども・成人の双方に対し学習の機会を提供するサービスが増えている,(4)これまで図書館の利用者ではなかった層(ティーンエイジャー,先住民マオリ人,乳幼児や就学前児童など)に対して利用を働きかけるとともに,利用に障壁のある層(地方の住民,障害者,新しい移民,リテラシーやICTの基本スキルが不足している人,英語が母語でない人など)を意識したサービスも行っている,といった知見が得られた。また今回の調査では,デジタル化,コミュニティにおける図書館の位置付け,財源,スタッフの4分野が,新たに設問項目に加えられた。それぞれの設問からは,相当数の図書館が地域の歴史や写真資料といったデジタルコンテンツを作成していること,多くの図書館が利用者アンケートや公聴会などでコミュニティからの助言を得ていること,25%の図書館が財政難であると認識していること,スタッフの平均年齢は他の職業の平均と比べかなり高く,85%が女性と性別も極端に偏っていることなどがわかった。
なお本調査の報告書では,今回の調査は主に図書館の運営に焦点を当てたものであるが,地方政府が成果に注目するようになっていることを反映して,今後は図書館がコミュニティに与える影響に焦点を当てた調査を行う見通しであるとしている。この調査に先立つ2006年5月2日には,「ニュージーランドの公共図書館:戦略的枠組み2006-2016」(E402で紹介した「2005-2015」を最終化したもの)も発表されており,今回の調査結果や今後の影響調査を踏まえ,どのような図書館活動が展開されていくかが注目される。
Ref:
http://www.natlib.govt.nz/files/REVISED_REPORT_Public_Libraries_Survey.pdf [221]
http://www.natlib.govt.nz/bin/news/pr?item=1156988924 [222]
http://www.lianza.org.nz/library/files/store_011/StrategicFramework2006.pdf [223]
http://www.natlib.govt.nz/bin/media/pr?item=1146517363 [224]
E402 [225]
モルディブ国立図書館は1945年,モルディブ州立図書館(当時)として設立された。英国保護国から独立後,1982年に現在の名称に変更された。2000年からは国立図書館の機能に加え,公共図書館としてのサービスも開始した。国立図書館としては,モルディブに関する出版物の収集・保存業務を担当しており,2005年からは法定納本制度が開始された。公共図書館としては,市民に対する情報や娯楽の提供,調査の支援,図書の提供を担っている。
2005年のトピックスとして,法定納本制度の発足,子どもマルチメディア図書館の創立が挙げられている。法定納本制度はモルディブ国内の出版物,海外でモルディブ人が発行した出版物,モルディブの団体や企業の出版物を対象とし,2部の納本を求めている。子どもマルチメディア図書館は子どもに対する読書と娯楽の提供を目的とする図書館で,2005年12月1日に開館した。また2004年の出来事ではあるが,スマトラ沖地震・津波により被害が発生したため,国立図書館も,協力関係にある国内の図書館やモルディブ図書館協会からの支援を受けた。
国立図書館の組織は管理部門と図書館部門に二分される。管理部門は予算と運営・管理を担当する。図書館部門は,テクニカルサービス,IT,研修,利用者支援,出版,調査,モルディブ関連コレクションの担当が置かれており,国内の図書館に対する調査,研究開発,支援活動も実施している。また市民向けサービスとしては図書の貸出(2冊,2週間),レファレンスサービス,新聞や雑誌の記事を紹介するカレントアウェアネスサービスを実施している。ほか,図書館向けサービスとして,全国書誌の作成と提供が行われている。
モルディブには国立図書館や子どもマルチメディア図書館のほか,大学図書館,法律図書館,医学図書館,子どもマルチメディア図書館,学校図書館が存在する。大学図書館は中央図書館,工学系図書館,商学系図書館,医学系図書館,海洋研究図書館からなる。法律図書館は法曹関係者向け,医学図書館は病院の医療関係者向け,学校図書館は子どもの発育に応じたサービスを提供する図書館として,それぞれ設置されている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/maldives06.pdf [226]
http://www.nlm.gov.mv/main/ [227]
国立国会図書館(NDL)は2006年9月,書誌作成業務のために作成・維持している統制語彙集『国立国会図書館件名標目表』(NDL Subject Headings:NDLSH)のテキストデータの実験的提供を開始した。
NDLでは,2004年度からNDLSHのシソーラス化を行い,データの充実を図るとともに,NDLウェブサイトでPDF形式の電子ファイルを公開してきた。このたび,さらにNDLSHデータの活用の可能性を拡げるとともに,電子的なツールとしてより有効な提供方式を探ることを目的として,テキスト形式のファイルによる実験的提供を行うこととなった。
提供するファイルは,NDLウェブサイトに掲載しているNDLSH(2005年度版)の全件データをTSV(Tab Separated Value)形式のテキストファイルとしたものである。2006年4月以降の追録は含まれない。なおデータの利用については,非営利の研究目的に限定しているほか,研究成果の発表・公表にあたっての注意事項もある。
提供を希望される方は,下記のページで詳細を確認のうえ,NDL書誌部書誌調整課あてに申請いただきたい。
(書誌調整課データ標準係)
国立国会図書館件名標目表
2005年度版テキストデータの提供について [229]
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/NDLSH.html [230]
http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/pdf/renrakukaigi16.pdf [231]
株式会社シィー・ディー・アイ. 諸外国の公共図書館に関する調査報告書. 2005, 290p. (オンライン), 入手先 < http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06082211.htm [233] >, (参照:2006-10-02).
文部科学省は2006年9月,2005年度に実施した委託調査「図書館の情報拠点化に関する調査研究」の成果物である『諸外国の公共図書館に関する調査報告』をウェブサイトで公開した。本報告は,主要国首脳会議(G8)各国に中国,韓国を加えた10か国を対象に,公共図書館の法的・制度的な位置付け,実際の図書館の運営・サービスの実態など合計50項目を調査し,取りまとめたものである。
第1部「諸外国の公共図書館に関する調査 調査結果の概要」では,各調査項目ごとに各国の調査結果を比較した概要と,調査結果の一覧を見ることができる。調査項目「図書館に対する一般国民の意識」において,人口当たりの図書館数が少ない中国・韓国・日本・カナダ・米国で公共図書館に対する国民の期待が高かったのに対し,図書館数が多いイタリアやドイツで国民の関心が低いという報告がされているなど,興味深い結果も数多く紹介されている。ただし,国や調査項目によっては,日本の状況と比較可能なデータが十分に得られなかったものもある。
第2部「各国調査報告」は,各国の公共図書館の実態について,表や地図も交えながら詳細に紹介している。イタリアやロシアなど日本語での先行研究が少ない国の実態を知ることができる上,米国や英国など先行研究が多い国についてもその実態を簡潔に知ることができる。
本報告は日本の図書館政策や図書館情報学研究において,大変有益な資料であると言えよう。
EUが進めている欧州デジタル図書館計画(E390 [235],E461 [236]参照)では,2008年までに200万点,さらに2010年までには600万点以上の本,フィルム,写真,手稿などを閲覧できるようにという目標が立てられているが,現時点では対象資料のデジタル化は十分に進んではいないようであり,EUは目標達成のためにデジタル化のスピードを上げる必要があると認識している。こうした現状を受けて,8月24日,欧州委員会からプロジェクトの参加国向けに,デジタル化の取り組みをよりいっそう推進することを求める勧告が出された。
今回の勧告は,電子図書館プロジェクトの重要性を説く前文に始まり,大きく分けて資料のデジタル化(大規模なデジタル化設備の準備,デジタル化の状況と今後の見通しを発表,民間部門との協力関係の構築),オンライン上のアクセシビリティ(多言語対応,orphan works(注)の扱いなど著作権処理),デジタル資料の保存(長期保存に向けた戦略の立案)といった点から12の項目について言及されている。
ところで,この計画に関しては,2005年のi2010イニシアチブの発表以来頻繁に情報が出されたというわけではなかったが,最近EUのウェブサイトにあるデジタル図書館計画の紹介ページが拡充され,まとまった情報が入手しやすくなりつつある。ここでも勧告の概要が紹介されているほか,計画の必要性,3月に公表されたパブリックコメントの内容,今後の見通しなどにも言及されている。
(注)著作権は存続しているものの,著作権者やその連絡先といった情報が不明であり,使用許可などを求めたくとも誰にどのような方法で依頼すればよいかが分からない状態にある作品。
Ref:
http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/doc/recommendation/recommendation/en.pdf [237]
http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/index_en.htm [238]
http://www.public-cio.com/newsStory.php?id=2006.08.25-100716 [239]
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_08_20_fosblogarchive.html#115650918021900381 [240]
E390 [235]
E461 [236]
米国ヒューストン大学図書館は,2006年から2010年までの戦略計画“UH Libraries Strategic Directions, 2006-2010”を策定し,2006年7月に公表した。この戦略計画では,ウェブ経由のバーチャル・サービス拡大,図書館の学習・教育センター化,機関リポジトリなど学術コミュニケーションへの貢献度の強化,図書館そのものの再ブランド化の4つの柱を打ち出しており,ネットワーク技術の進化と学術情報流通の変化に図書館を対応させてゆく姿勢を示すものといえよう。
ここで注目すべきは,今回の計画策定にあたり図書館職員を積極的に参加させ,なおかつブログやチャット,RSSといったネット上の新技術を身につけ,業務で活用できる能力を養成する機会として利用した,ヒューストン大学図書館戦略計画策定委員会(SDSC)の巧みな戦略である。米国図書館協会(ALA)が提供するブログのひとつである“TechSource”の記事によると,まずSDSCは,職員を担当ごとに7部門に分類し,業務手順の体系化と戦略の議論を目的とするワーキンググループを結成した。議論を進めるにあたっては,スケジュール管理や掲示板,文章共有ツールといった機能を持つプロジェクト管理ツールBasecampを導入し,ワーキンググループの運営に活用した。特に,メンバーのコメント欄とコメント共有機能が,このような計画策定の作業には必要不可欠であったとされている。
次にSDSCは,自身からの情報発信をEメールやペーパーではなく,イントラネット上に構築したブログからの発信に限定した。SDSCの発信する情報を手に入れるために,図書館職員はそれまで全く関心を示さなかったブログに関心を持ち始めた。もちろん当初の動機付けはSDSCの情報を入手するためであり,SDSCもブログに関する説明会を実施していたが,職員もブログに触れるうちに,ブログという媒体そのものや,その機能に関心を示し始めたという。やがて図書館職員の手によるブログが次々と開設され,7ヵ月後には外部向けのブログが16サイト,イントラネット限定ブログが9サイト開設されるに至り,これらのブログでは,各ワーキンググループに関する情報が掲載された。現在も各主題ごとに,担当図書館員がその主題に関するニュース,有用な情報源,図書館サービスのお知らせなどを提供するSubject Blogを公開していて,2006年9月現在,12のブログが運営されている。
SDSCはこのように情報公開を進めるとともに,プロジェクト管理ツールやブログ経由で,図書館職員からのフィードバックの収集を試みた。だがブログの興隆とは対照的に,フィードバックは主に,インフォーマルな形式の会話や,ワーキンググループの席上,もしくは公開された討論会で行なわれ,ネット経由ではあまりなされなかったという。ネット経由のフィードバックが低調であったことについて,新たな技術を習得して議論を進めるためには,6か月という期間は短すぎたことや,長期間にわたりフィードバックの機会を割いていたために,ワーキンググループがネット経由のフィードバックの必要性を感じなかったことが要因ではないかと,記事は伝えている。
Ref:
http://www.techsource.ala.org/index.html [241]
http://www.techsource.ala.org/blog/2006/08/a-compelling-committee-or-the- [242]
http://info.lib.uh.edu/strategic_directions.pdf [243]
http://info.lib.uh.edu/research/sub_blogs.html [244]
2006年8月から9月にかけて,“Google Book Search”(E285 [1]参照)に新たな2つの機能が追加されたほか,“Google Book Search”プロジェクトで協同関係を組むミシガン大学図書館でも,プロジェクトの結果得られた本文データを利用して,新たな蔵書提供サービスが開始された。
まず“Google Book Search”では,検索結果から所蔵する図書館を参照できる機能が8月24日に追加され,続いて同30日には,著作権が消滅しパブリックドメインとなった図書の全文を,pdfフォーマットで公開するサービスが追加された。前者では検索結果表示画面の“Find libraries”をクリックすると,OCLCのWorldcatの画面が表示され,所蔵図書館の検索が可能となる。Google 公式ブログによると,世界15か国以上の総合目録を網羅し,30か国以上の図書館の蔵書検索ができるという。ただし現時点では日本語には未対応である。また後者では,検索結果から“Full View”画面の“Download”ボタンをクリックすると,pdfデータ化された本文画像がダウンロードできる。ダウンロード可能な図書は,著作権存続期間が終了した,いわゆるパブリックドメインと呼ばれるものに限られ,pdfファイルの冒頭には使用ガイドラインが添付されているほか,各ページにGoogleが作成したことを示す透かしが挿入されている。なお現時点では,対象となる図書すべてのpdfファイルが登録されているわけではないようだ。
一方,ミシガン大学のプロジェクトは“MBooks”と呼ばれ,既存の図書館蔵書検索システムを拡張し,同大学が“Google Book Search”プロジェクトに協力して得た図書のデータを用いて,検索と提供システムの充実を図ろうとするものである。具体的にはOCRで認識した本文情報を蔵書検索の対象とするほか,著作権存続期間が満了した図書の本文テキストデータを提供する。提供するテキストデータでは,検索語がハイライト表示される。Webで提供される本文画像データは1ページごととなり,全文一括での入手は“Google Book Search”を利用するように呼びかけている。また“Google Book Search”では提供されていない連邦政府の刊行物についても,著作権による保護対象ではない(uncopyrightable works)ことを理由に,提供するという。対して著作権存続中の図書は本文を表示せず,かわりにページごとの検索キーワードの頻出度を表示する。これはILLサービスに対する利便性を考慮したとのことである。対象となる言語はアルファベット,キリル文字,ギリシャ文字で表記された図書で,ほかの言語の提供時期は未定とのことである。
Ref:
http://googleblog.blogspot.com/2006/08/finding-wealth-in-your-library-and.html [247]
http://googleblog.blogspot.com/2006/08/download-classics.html [248]
http://www.lib.umich.edu/aael/news.php?newsID=150 [249]
http://mdp.lib.umich.edu/m/mdp/mdp-faq.htm [250]
http://www.lib.umich.edu/mdp/index.html [251]
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060905-2.shtml [252]
http://chronicle.com/free/2006/08/2006083101t.htm [253]
E285 [1]
マレーシアには,2004年の時点で公共図書館947館,大学図書館415館,専門図書館計461館が設置されている。公共図書館の設置形態は様々で,州,町,農村といった自治組織単位の図書館のほか移動図書館もある。特徴的な移動図書館としては,2005年に12台配置された情報コミュニケーション技術(ICT)機能付きの“e-pustaka”がある。
2005年5月から文化・芸術・文化遺産省の管轄となったマレーシア国立図書館(National Library of Malaysia:NLM)は,全国読書キャンペーン(注)の事務局も務めている。また,2005年には品質マネジメントシステムの国際標準であるISO9001:2000も取得している。1998年からは,マレー語の手稿,貴重書,政府刊行物,新聞といった重要な図書館コレクションをデジタル化する計画を進めている。
また,マレーシアは国民へのICTにも積極的に取り組んでいるのが特徴で,例えば,国内の通信ネットワークサービスの充実化を図るユニバーサルサービス提供(USP)プログラムに基づいて,333の農村図書館(rural library)に通信インフラの整備を施すなど,国内のデジタルデバイドの解消に努めている。このほかNLMも,各地域の知識資源に容易にアクセスできるための手段として,電子図書館PERDANAを構築,“Mylib”の名称で運営している。
(注)National Reading Campaign:NLMを含む全国の図書館が毎年開催している読書促進キャンペーンで,1か月にわたる全国読書月間の行事が中心。2005年は農村地域における読書に対する認識の向上がメインテーマに据えられた。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/malaysia06.pdf [257]
http://www.pnm.my/ [258]
http://i-baca.pnm.my/kempen/kempen_en.asp [259]
http://www.cmc.gov.my/Admin/WhatIsNew/59238834USPConsultPaper- [260]
http://www.mylib.com.my/ [261]
韓国ソウルでIFLAの年次大会が開催されるのに先立ち,8月16日から17日にかけて,「アジアにおける資料保存」をテーマとしたIFLAソウル大会のプレコンファレンスが国立国会図書館において開催された(主催:IFLA 資料保存分科会,IFLA アジア・オセアニア分科会,IFLA/PAC コア活動,国立国会図書館)。2日間で7本の講演が行われ,11か国から延べ397名が参加した。うち,3割弱が中国をはじめとする海外から,7割強が国内からの参加であった。
1日目は,アジアにおける資料保存の諸問題をテーマとして,主に教育及び保存協力活動の観点からの報告が行われた。地域における意識の向上と人材育成が問題解決の鍵とされ,そのための具体的な提言がなされた。長年アジアを舞台に活躍してきた専門家による,実際の活動や経験に基づく提言には,アジアの中では恵まれた状況にある日本国内の活動においても参考になる事項が多数含まれていた。
2日目は,転換点を迎えているマイクロ化と電子化がテーマであった。報告を通じて,電子化や電子情報の保存がますます重要な課題となってきているとの印象を受けた。従来,資料保存における媒体変換では,電子化は利用のためで,最終的にはマイクロで保存するというのが一般的な手法であった。しかし,技術発展やインターネットを中心とする社会状況の変化を踏まえた結果,必ずしもマイクロフィルムを最終的な保存形態としない取り組みが生まれてきているとの紹介があり,参加者の関心を集めていた。
なお講演ペーパーの全文(英語)は,IFLA/PACアジア地域センターHPより入手できる。
(資料保存課:村本聡子)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/en/iflapac/preconference/program.html [262]
2006年8月20日から24日まで,韓国ソウルで世界図書館情報会議2006/第72回IFLA大会が,「図書館―知識情報社会のダイナミックエンジン」をテーマに開催された。20日の開会式にはクォン・ヤンスク韓国大統領夫人(大会名誉会長)も出席,祝辞を述べるとともに,キム・デジュン前大統領が基調講演を行った。各種分科会等のセッションが活発に行われ,国立国会図書館からも代表団18名を派遣,発表等を行った。また日本図書館協会,国立情報学研究所,科学技術振興機構と並んで展示ブースを出展,資料保存と電子図書館をテーマに当館の活動について広報を行った。
前回まで大会中に2回開かれていたIFLA最高機関である評議会は,今大会から最終日の1回のみとなった。物価上昇にともなう会員費の引き上げ率についての提案は,事前の郵送投票の結果可決され,本部のあるオランダの小売物価上昇率を上回らない限度で運営理事会が増額できることが認められた。評議会議題にあがっていたキューバ図書館員にかかる決議は提案者が取り下げたため当日の議題とはならなかった。なお,今大会から中国語がIFLA公用語がとなり,さらに2007年にはアラビア語も加わる予定である。また,評議会に先立って行われた閉会式において,2009年の第75回大会はミラノ(イタリア)で開催されることが発表された。2007年はダーバン(南アフリカ),2008年はケベック(カナダ)である。
また大会期間中に,「第33回国立図書館長会議(CDNL)」が韓国国立中央図書館(ソウル)で開催され,黒澤隆雄館長の代理として生原至剛副館長が出席した。今大会の詳細は『国立国会図書館月報』11月号,12月号で報告される予定である。
(支部図書館・協力課:ローラーミカ)
Ref:
http://www.ifla.org/IV/ifla72/index.htm [264]
http://www.ifla.org/IV/ifla72/council2006.htm [265]
Jacobs, Neil ed. Open Access: Key Strategic, Technical and Economic Aspects. Oxford, Chandos Publishing, 2006, 243p.
オープンアクセス(OA)への抗しがたい流れの中で,一度立ち止まって考えてみるのも良いかもしれない。本書はOAの入門書という位置づけになっており,5章から構成されている。「1.OA 歴史,定義,論拠」では学術コミュニケーションの概説, OAの定義やメリットについて基本的項目の説明がなされている。「2.OAと研究者」では研究者がOAに対してどのような意見や態度を取っているのか,調査結果などをもとに現状やその理由が解説されている。「3.OAと他の関係者」では,出版社,学協会,研究助成機関,大学のOAに対する見解が述べられている。「4.世界の状況」では,OA先進国であるアメリカ,イギリス,インド,オーストラリア,オランダの事例が報告されており,特にインドの状況などは興味深い内容である。「5.未来」では,リンチやハーナッドといった先駆者が,将来の学術情報流通の展望を述べている。
執筆陣は全てOAについて積極的に発言をしている錚々たる面々であり,基本的にOAを推進する立場から書かれている。多少私見が強く感じられるなど,全体としてのまとまりには欠けているものの,重要な項目は押さえられており,こうした多様性もOAの現状を表しているように思われる。
なお,本書の大半はWWWから無料で読むことができるので,興味を持たれた方はまずはWWW版を参照してはいかがだろうか。
(慶應義塾大学大学院:三根慎二)
Ref:
http://www.eprints.org/community/blog/index.php?/archives/93-Open- [266]
7月に行われたイスラエル軍による爆撃により,レバノンでは南部を中心に大きな被害を受けている。図書館も例外ではなく,レバノン国内に70館ある図書館のうち33館が全壊したか,閉鎖に追い込まれている。こうしたなか,レバノン人,フランス人の図書館員有志が,文化施設,特に図書館の現状について情報を収集し,図書館ネットワークを守る活動への支援を働きかけることを目的としたブログ“Bibliban”を開設した。
8月末現在,投稿されている記事はまだ少ないが,爆撃を受けて閉鎖に追い込まれた図書館の地図をはじめ,電力・空調のカットによりレバノン国立図書館の資料が危機に瀕している旨の紹介,IFLA大会参加者へのアピール(国の文化や多様性を破壊するような行為に対して反対の立場を取るよう求める,など),今般の紛争により危機にさらされている文化遺産に関するブルーシールド国際委員会(ICBS)の記者発表,被災した図書館への支援を呼びかけるコメント,出版業界の被害状況(現時点で7,500万ドル以上の被害が出ているという),といった記事が並んでおり,紛争の被害を受けたレバノン図書館界の現状が把握できるようになっている。
Ref:
http://bibliban.over-blog.com/ [268]
http://libraryjuicepress.com/blog/?p=118 [269]
http://www.livreshebdo.fr/actualites/DetailsActuRub.aspx?id=257 [270]
米国のニューヨーク公共図書館(NYPL)の人文・社会科学図書館はこのたび,閲覧室に配置されている約25,000点の参考図書を,利用者がより探しやすいように米国議会図書館(LC)分類法にのっとって配置しなおすことを発表した。今回の再配置は,1998年11月の同閲覧室改装以降では最も大きな変更であるという。
NYPLでは,同館が設立された1896年から1913年まで館長を務めたジョン・ショー・ビリングス(John Shaw Billings)によって考案された分類法にのっとって蔵書を分類している。しかし,この分類法はNYPLでしか用いられておらず,図書館員でなければどの棚にどの本があるかさっぱり分からないという欠点が指摘されていた。
8月半ばまでに,LC分類法で“A”を先頭とする分類記号への切り替えが完了し,全体の切り替えは2007年7月に完了する見込みである。また,今回の再分類を機に,すべての図書にバーコードを貼付し,蔵書管理にも役立てるとしている。
ちなみに人文・社会科学図書館では,閉架の蔵書は,書架のスペースを最大限活用できることから,大きさによって分類する1956年考案の方式にのっとって配置している。また,NYPLの中でも,科学・産業・ビジネス図書館など一部の分館では,既にLC分類法に基づく整理を行っているそうである。
Ref:
http://www.nytimes.com/2006/08/17/arts/design/17read.html?ei=5070
&en=fc927ed7ccfcd2de&ex=1157515200&adxnnl=1&adxnnlx=1157364818
-jF7o/Z+qs8pJuGxZ+YLlfA [271]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/aug
ust2006a/nyplbillings.htm [272]
現在,国立情報学研究所(NII)が中心となって,大学が保有する教育研究用計算機,電子コンテンツ,ネットワークなどを,大学間で連携して安全・安心に有効活用するために,全国大学電子認証基盤(UPKI:University Public Key Infrastructure)の構築が進められている。このほど,主要国立大学や大学共同利用機関,NIIがメンバーとなり,その仕様や利用方法に関する情報を公開するための組織「UPKIイニシアティブ」が設立され,8月17日にウェブサイトが公開された。
UPKIが構築されると,大学間の相互認証が容易になり,他大学が有する研究資源や教育コンテンツの有効活用が図られるほか,電子署名や暗号化機能,無線LANや公衆Web端末からのネットワークローミング,各大学が保有するスーパーコンピュータを統合したグリッド・コンピューティングの構築が実現するという。現在,NIIが重点プロジェクトと位置づけている最先端学術情報基盤(CSI)の基盤のひとつとして,SINET3(次世代学術情報ネットワーク)や学術コンテンツサービスとともに開発が進められている。
ウェブサイトには,これまでのUPKIに関するシンポジウムや講演会の記録が掲載されているほか,会員登録を行なえばメールマガジンの配布を受けたり,テーマごとに開設されているフォーラムで意見の交換や情報の共有を行うことができる。
Ref:
https://upki-portal.nii.ac.jp/ [274]
https://upki-portal.nii.ac.jp/item/idata/odata/copy_of_upkisymposium2006/4-59275b6695939023643a306e305f3081306e516856fd5171540c96fb5b508a8d8a3c57fa76e4-upki-69cb7bc94e8b696d.pdf/ [275]
https://upki-portal.nii.ac.jp/item/idata/odatao/csisymposium20060609/csi30b730f366fd6839539f5148751f.pdf/ [276]
米国議会図書館(LC)では毎年,数多くのインターンシップ事業を実施している。その中でもユニークなのが,夏休みに行われる大学生向けインターンシップ“Junior Fellows Summer Internships”である。
このプログラムは,LCが1991年から行ってきた“Junior Fellows Program”を発展させたものである。2005年からは,LCの多様な業務を一通り実習した後,LC内に設置されている米国著作権局の非図書資料を「発掘」するというカリキュラムで行われている。
1870年,米国著作権局がLCに設置されて以来,LCは合計で3千万点を超える作品を,著作権登録のために受け入れている。ところが,米国の創造性の証とも言うべきこれらの資料のすべてが整理されているわけではなく,多くの「宝」が埋もれてしまっている。そこで,図書館職員,キュレーターと協同して,埋もれている宝をインターン生に発掘・整理してもらうというのである。
インターン生が掘り出したものはバラエティーに富んでいる。2005年には,マリリン・モンローがゴルフをしているホームムービー(1954年),アン・サリヴァンによる「ヘレン・ケラーの教育」と題する講演テキスト(1913年),チャーリー・チャップリンの映画「黄金狂時代」の台本(1925年)などが発見されていたが,2006年にも,プロ野球チームの写真(1906年ごろ),ホワイトハウス拡張計画の青写真(1900年),映画「猿の惑星」の楽譜(1968年)などが新たに発見された。インターン生の中には,これまで英語学を専攻してきたが,このインターンシップで興味を抱き,図書館情報学の大学院に進み司書を目指したいとインタビューに答えた学生もおり,好評を博しているようである。
Ref:
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-044.html [278]
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-148.html [279]
http://www.loc.gov/loc/lcib/0510/trove.html [280]
http://www.axcessnews.com/modules/wfsection/article.php?articleid=10906 [281]
インターネット上の違法・有害サイトへの対策として,総務省の研究会ではプロバイダや電子掲示板の管理者の自主的な対応とその効果的な支援のあり方について2005年8月から検討し,2006年1月に中間取りまとめを公開した(E452 [30]参照)。その後も中間報告では検討課題とされていたプロバイダによるフィルタリングサービスの提供の在り方,プロバイダ責任制限法における発信者情報の開示,インターネットの匿名性,海外のサーバ等を利用した情報発信等の論点について検討が重ねられた。2006年7月には最終報告書案の公表とパブリックコメントの募集が行なわれ,2006年8月25日に最終報告書が総務省から公開された。
今回の最終報告書ではまず,フィルタリングサービスの認知度・普及率が低水準にとどまることが報告され,普及啓発活動の推進と利用者ニーズにもとづくサービスの改善が提言された。またプロバイダ責任制限法における発信者情報の開示について,課題の整理が行なわれ,ガイドラインの策定も提言された。一方でインターネットの匿名性については,匿名性を完全に除去するのは困難であるとされ,電子掲示板の管理者等による自主的取組やフィルタリングサービス,発信者情報開示サービスによる匿名性の排除に一定の限界が存在することを認めている。同様に海外サーバーからの情報発信についても,日本のプロバイダ等が有効に対処できなかったり,法律が異なるため設置国の捜査機関との国際連携が困難であるなどの問題点を指摘している。
報告書はこれらの検討結果をふまえ,インターネット上の違法・有害情報に対しては,行政の支援を前提として,プロバイダや電子掲示板の管理者,利用者等による自主的な対応を促進するよう提言している。
Ref:
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060825_6_1.pdf [283]
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html [36]
E452 [30]
インドネシアには2,155館の公共図書館,1,585館の大学図書館,12,168館の学校図書館,1,199館の専門図書館がある。特に公共図書館には,州立,県・市立,村立,モスク,教会,仏教,寺院など,多数の種類が存在する。かつて州立図書館は,国立図書館の分館であったが,法改正により2001年から州に移管されている。大学図書館は州立大学と私立大学に設置されているが,州立大学図書館は90館にすぎず,私立大学の図書館が多数(1,495館)を占めている。学校図書館の内訳は小学校(7,613館),中学校(2,901館),高校(2,104館)であるが,すべての学校に設置されているわけではない。また設置されていても,かならずしも政府基準を満たしているとは限らないことに注意が必要である。
図書館団体や図書館支援団体として,IPI(Ikatan Pustakawan Indonesia : インドネシア図書館協会)など14団体が存在する。IPIは1973年に創設され,現在の会員数は約6,000名である。うちプロフェッショナルレベルの会員は約2,000名である。このほかにも,図書館に関係するNGO団体が多数存在し,郊外やスラム,大都市から離れた地域で,読書普及活動を行っている。図書館情報学教育は,全国17大学で実施されており,学部,大学院レベルの学位が習得できる。
専門的な図書館サービスを享受できる人々は必ずしも多くない。とりわ大都市から離れた,交通の便が悪い地方ではその傾向が顕著で,州立図書館と地方自治体などが共同して,移動図書館を提供している。移動図書館も自動車やトラックだけではなく,提供地域の特性に合わせて,バイク,自転車,ボートと,多種多様な形態がある。政府も国民,とりわけ遠隔地に居住し交通手段が限られている人々に対する図書館サービス改善プランを2003年から開始しており,州政府や県に対し配分された移動図書館は,70台に及ぶという。
国立図書館の利用者はここ5年間で急速に増加しており,2001年の14,718名から,2005年には20,519名になった。利用者の内訳でとりわけ多いのは大学生で,2005年では利用者の約8割を占めている。一般市民は約12%で,残りは高校生であるという。利用者増加の要因について国立図書館は,国民の購買力の減少,すなわち本の価格が高騰し,不急不要の本を購入しなくなったためと分析している。
ところで,2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震と,これにともなうインド洋の大津波により,アチェ州西岸では図書館も軒並み被害を受けた(CA1570 [193],E282 [192],E420 [191]参照)。被害はアチェ州立図書館をはじめ,公共,大学,学校といった各種図書館にわたり,移動図書館も例外ではなかった。程度も軽微なレベルから,全滅に近いものまでさまざまであった。だがインドネシア全土だけでなく,オーストラリア,ドイツ,マレーシア,シンガポールをはじめとする世界各国からの援助で,資料の再購入や施設の復興が図られつつある。国立図書館も,州立図書館や市立図書館に対する資料や移動図書館の援助を行ない,アチェ地方の図書館復興を2005年に最も力を注いだ事業のひとつとしている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/indonesia06.pdf [286]
E282 [192]
E420 [191]
CA1570 [193]
2006年の国際図書館連盟(IFLA)大会の開催国・韓国は近年,図書館の振興に非常に力を入れている。その中でも特に重点が置かれているのが公共図書館で,ノ・ムヒョン大統領が直々に拡充を指示したほどである(E468 [287]参照)。
2005年12月の時点で,韓国には公共図書館が514館,大学図書館が438館,学校図書館が10,297館,専門図書館が570館ある。この公共図書館のうち,公立のものは497館であるが,政府は2011年までに750館に増やすべく,予算措置を講じている。また,地域住民が通いやすいよう,「小さな図書館」(地域密着型の小規模読書施設)の建設も支援している。このような公共図書館政策の立案は,主に国立中央図書館(NLK)によって担われている(CA1578 [288]参照)。
またNLKは,単に政策の立案だけではなく,図書館の支援も積極的に行っている。514の公共図書館の「ハブ」として,図書館業務用標準ソフトウェア“KOLAS II”の開発・提供,総合目録システム“KOLIS-NET”(CA1060 [289]参照)の運営,公共図書館統計の作成,図書館員向け研修の実施などを提供している。KOLAS IIを採用している館が385館,KOLIS-NETに参加している館が245館,2005年のNLKの研修に参加した図書館員が1,674名という数値からも,NLKが名実ともに「中央」図書館として大きな役割を果たしていることがうかがい知れよう。
さらにNLKは,単館での活動でも目ざましい。特にデジタル部門に力を入れており,500万点を超える蔵書のうち古書9万6千冊を含む47万2千冊が全文デジタル化されているほか,4万3千点を超えるウェブ上の情報資源のアーカイビング(E457 [290]参照),1日当たり176件のデジタルレファレンスと,インターネット大国・韓国の国情に見合った事業が展開されている。このほか,NLKの2005年の大きなトピックとして,子ども青少年図書館(E506 [291]参照)の建設,将来のビジョン「国立中央図書館2010」の発表(CA1578 [288]参照),国立デジタル図書館の起工(E457 [290]参照),IFLA大会の準備の4点が挙げられている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/korea06.pdf [292]
E468 [287]
CA1578 [288]
CA1060 [289]
E457 [290]
E506 [291]
E446 [293]
2006年3月,ドイツで行われたオープンアクセス(OA)に関する国際会議“Berlin 4 Open Access”において,インドのOAの現状に関する報告がなされている。
経済成長が著しいインドであるが,学術情報の流通の面ではまだまだ発展途上である。およそ300ずつある大学および政府系研究機関の図書館のほとんどは,ごくわずかな雑誌しか契約できていない。最近では,INDESTコンソーシアム(CA1516 [294]参照)による契約などによって,先進的な研究機関では9千誌近くの雑誌にオンラインでアクセスできるようになっているものの,まだ欧米の大学図書館には及ばない。また,インドの研究者が発表する論文の多くは,見られる機会が少ない雑誌に掲載されており,国際競争の観点からも不利である。高等教育・研究にとって情報は鍵となるインプットであり,インドから国外の情報に,また国外からインドの情報に,より容易にアクセスできるようにすることが求められている。
このような課題を解決するものとして,インドはOAの取り組みに力を入れている。OAの電子ジャーナルは100誌ほどあり,この中には著者支払い型のものはひとつもない。最も成功している雑誌はJournal of Postgraduate Medicine誌で,毎月10万回以上ダウンロードされており,インド国外からの投稿も多く,引用数も急増したという。この雑誌を刊行している民間企業MedKnow Publication社は他にも,薬学分野の30タイトル以上をOA誌として刊行している。
書籍のデジタル化についても,米国のカーネギーメロン大学によるミリオンブックプロジェクト(CA1593 [295]参照)や,国内のマイソール大学による博士論文のデジタル化プロジェクトなどが進捗している。後者には,まだ8大学・機関しか参加していないものの,10万を超えるメタデータが構築されており,この中にはカンナダ語やヒンディー語のものも含まれているという。
これらに対し,OAの機関リポジトリの取り組みは遅れている。現在,およそ20の機関がリポジトリを立ち上げており,図書館情報学や生物医学などでは,分野別アーカイブも構築されている。しかしながら,おしなべて研究者の関心は低く,学位論文がほとんどを占めている機関リポジトリもある。このような,研究者によるセルフ・アーカイビングが進まない現状に対し,OA推進者は政府機関による助成を受けた研究のOAを義務付けるよう,働きかけを行っているところである。
Ref:
http://dlist.sir.arizona.edu/1255/ [296]
http://berlin4.aei.mpg.de/ [297]
http://www.medknow.com/ [298]
CA1516 [294]
CA1593 [295]
英国北アイルランドの文化・芸術・レジャー省(DCAL)は,2001年から公共図書館サービスの将来像を描く枠組みを作成している。DCALは2002年の段階で,当時の図書館の現状と将来像をレビューした報告書を作成したものの,この報告書に寄せられた意見なども取り込む必要があるとして,2005年,新たな策提案書を作成し,意見募集を行っていた。そして2006年7月,意見募集に応じた1千を超える個人・機関からの意見を踏まえ,公共図書館サービスのための政策ガイドライン“Delivering Tomorrow's Libraries”が発表された。
この中でDCALは,図書館は(1)生涯学習,(2)社会的不平等の解消,(3)情報に通じた責任ある市民の育成,(4)コミュニティの構築と良好な近隣関係の促進,(5)創造性の奨励,の5点で,コミュニティに貢献できる能力を有しているとしている。そして,「コミュニティの活力ある中心となり,人々の可能性を発揮させる支援を行う,柔軟で変化に即応できる図書館サービス」をビジョンとして掲げている。このビジョンのもと,単一の図書館設置母体による統合的なサービスが,2008年4月に確立される予定である。
またDCALは,図書館職員,アクセシビリティ,蔵書,特に重点的にサービスすべき利用者(ヤングアダルト,授業や宿題の支援が必要な子ども,リテラシーの基本スキルが不足している人,英語が母語でない人),関連機関との協同,地域レベルでの活動,マーケティング・広報の各項目について行動指針を定めている。さらに,これらの活動を評価するための基準として,以下のような目標が掲げられている。
このような取り組みは,英国の国家レベルの公共図書館政策(CA1475 [301],E264 [302],CA1568 [303]参照)の流れに沿いつつも,北アイルランド固有の状況に即して具体化されている。図書館への人々の期待も高いことから,これからの進展が大いに期待される。
Ref:
http://www.dcalni.gov.uk/newsStory/default.asp?id=1291 [304]
http://www.dcalni.gov.uk/Contman/includes/upload/file.asp?ContentID=1291&file=c_24 [305]
http://www.dcalni.gov.uk/newsStory/default.asp?id=1262 [306]
CA1475 [301]
E264 [302]
CA1568 [303]
アラモ砦に立てこもった将軍が書いた物資の受領証は,一体だれのもの・・・? 先日,米国テキサス州立図書館・公文書館委員会(Texas State Library and Archives Commission)は,1830〜50年代のテキサスに関する歴史的文書48通の返還を求めて,これらの文章を現在保持していると思われる個人と財団を訴えた。
被告は,これらの文書を保持していることを否定しなかったものの,どのように入手したかについては説明しなかった。また被告側弁護士は,テキサス州が米国の一部になる1845年以前にこれらの文書は作成されており,州政府が合法的に奪い取れるものではないと主張している。
一方,図書館・公文書館委員会の担当者によると,一年以上前にオークションに出品されていることをきっかけに,今回の紛失に気づいたという。担当者は,これらの文書がもともと,テキサス州州務省から移管された州の記録文書であり,したがってテキサス州民の手に帰するものであると主張している。たしかに今回問題となっている文章は,テキサス独立運動期である1830年代の記録が11通,テキサス共和国,もしくはテキサス州が支払った補償に関連する記録が37通となっており,すべてテキサス州の歴史に関する記録文章である。
担当者はまた,これらの文書が紛失した経緯について詳細は不明としたものの,1970年代初頭の,まだ管理がさほど厳しくない時期に,盗まれたものではないかと考えている,と語っている。担当者のコメントによると,70年代にはおよそ1,000通の歴史文書が紛失しており,一部は2004年にオークションに出品され,売却されてしまったという。
Ref:
http://www.dallasnews.com/sharedcontent/APStories/stories/D8IT5A7O3.html [307]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/july2006a/texassues.htm [308]
http://www.kwtx.com/home/headlines/3360511.html [309]
英国の大学で年間費やされる図書・雑誌購入費は増加を示しているのか,また諸外国と比較すると多いのか,それとも少ないのか,英国の出版社協会(Publishers Association: PA)は,英国の大学図書館における資料購入費の推移を調査した報告書“University Library Spending Report”を毎年刊行しており,このたび,2006年版が公表された。
英国の大学図書館では近年,総購入費が以前よりも大幅に増加しており,2002〜2003年と比較すると,2003〜2004年では前年比で約7.4%の増加率を示している,と報告書は指摘する。図書費と雑誌費の割合は,35:65となっており, 1994〜1995年の45:55と比較して,雑誌費の割合が相対的に高まっている。図書費は対前年比で約5.4%の増加,雑誌は同じく約6%の増加を示しており,雑誌費の増加率は図書費のそれを上回っている。また雑誌の契約タイトル数は,ビッグディール化の進展により,過去6年間で約95.4%の増加となっているが,この1年では4.2%と,伸びは鈍化している。このうち冊子体のみの契約は約40%で,2001〜2002年の約47%から減少している。一方,電子ジャーナルを除いた電子リソースは約25億ポンド(約5,500億円)にすぎないが,対前年度増加比は約18.1%という高い割合を示していて,電子リソースの存在感が以前に比べて高まっていることが購入費用からも窺うことができる。
諸外国との比較では,2003〜2004年で前年よりも総購入費が増加したのは,米国研究図書館協会(ARL)加盟館,オーストラリア,ニュージーランド,増加率が上昇したのは,オーストラリアとARL加盟館であった。一方で,カナダとニュージーランドでは増加率が減少したことが報告されている。またこれまで,英国の総購入費はARL加盟国や日本よりも少ないことがわかっていたが,今回の調査で新たにオーストラリアやニュージーランドよりも少ないことがわかった。
報告書はこのような実態を踏まえて,レベルが高く,豊富な財源をもつ大学図書館が教育・研究の品質を保証していること,大学図書館の財源問題への取り組みはそこに関心を持つ一人ひとりの運動にゆだねられていること,また図書館職員,研究者,出版社の三者が新たな電子リソースの構築に引き続き関与することが重要だとしている。一方で,財政問題とも密接な関連を持ち,今後の学術コミュニティを支えるであろう分配モデルとしての「電子化」の影響について,いまだきちんと分析され,実行に移されていないことも指摘している。
近年,図書館にも自らの仕事の意義を社会に対して十分に説明,説得する(アドヴォカシー:Advocacy)活動の必要性が高まっている。こうした中,米国研究・大学図書館協会(ACRL)と米国学校図書館協会(AASL)が,現場で働く図書館員のために,図書館の意義を効果的に訴えるためのテクニックをまとめたアドヴォカシー・ツールキットを公開した。
ACRLのツールキットは,“The Power of Personal Persuasion”(個人の説得力)と題したレポートの形式を取っている。レポートは「ツールキットとは何か」「アドヴォカシーの意義」「発信すべきメッセージをつくる」「説得のためのテクニック」といった項目で構成され,効果的な説得文句の例も収められている。このレポートを読むことで,図書館の意義を訴えたり,利用を促したり,予算を獲得したりするための交渉術について学ぶことができるようになっている。また,AASLのツールキットは,学校図書館の職員(school library media specialists)が学校や地域で教育者として活動していることや,学校図書館のメディアサービス予算を削減しかねない“65% solution”(注)に反対する論点が掲載されており,図書館職員が学校に不可欠であることをアピールできるようになっている。
同様のツールキットは,国際図書館連盟(IFLA)の学校図書館・リソースセンター部会からも発表されている。こちらは学校図書館の任務と目標を定義する“IFLA/UNESCO School Library Manifesto”と,学校図書館や学校図書館員がManifestoに定義されている内容を実現するためのガイドライン“IFLA/UNESCO School Library Guidelines”からなる。また,世界のIFLA加盟機関や学校図書館協会の連絡先(これらの機関とアドヴォカシーに関する情報・ノウハウの共有を推奨しているため)や,自館の状況に合った説得の方法を考える際のヒントなども紹介されている。
(注)市民団体“First Class Education”による,「学校に投入される予算の65%以上を教室での教育に充てなければならない」という主張。米国の各州でこの主張を法制化する動きが広がっているが,「教室での教育」には学校図書館と学校図書館職員は含まれておらず,図書館予算の削減につながりかねないと懸念されている。
Ref:
http://www.ala.org/ala/acrl/acrlissues/marketingyourlib/advocacy_toolkit.pdf [312] http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/august2006/AASLinstructionaltoolkit.htm [313] http://www.resourceshelf.com/2006/07/27/academic-libraries-acrls-the-power-of-personal-persuasion-toolkit-now-available-as-a-free-pdf/ [314] http://www.resourceshelf.com/2006/08/17/school-library-association-publish-advocacy-toolkit/ [315] http://www.ifla.org/VII/s11/pubs/s11_AdvocacyKit.html [316]
Chaudhary, Abdus Sattar. Role of Libraries in Promoting E-Learning: A Review of Singapore Initiatives. Pakistan Journal of Library and Information Science. (7), 2006, 57-67. (online), available from < http://eprints.rclis.org/archive/00006809/ [318] >, (accessed 2006-08-19).
シンガポールでは政府が中心になってe-ラーニングの推進に努めているが,その前提として,シンガポールの情報コミュニケーション開発庁(Infocomm Development Agency:IDA)が2000年に発表した「情報コミュニケーション・マスタープラン」が挙げられる。ここでは情報コミュニケーション能力の向上に向けて3つの大きな戦略を掲げており,その内のひとつに「シンガポールをアジア・太平洋地域におけるe-ラーニング(CA1588 [319]参照)の拠点とする」ことが記されている。また,労働省も,経済発展に乗り遅れないためには生涯学習が重要との認識から,より柔軟に学習時間を確保できるe-ラーニングの導入に積極的な姿勢を示している。
こうした動きは図書館界においても例外ではなく,1995年に図書館振興の先導的役割を担うべく設立されたシンガポール国立図書館委員会(NLB)も,1998年頃からe-ラーニングの実験や研究を進め,1999年には主に省庁の職員を対象としたオンライン研修システムとしてのi.Learnプロジェクトも立ち上げている。この論文では,シンガポール政府,特にNLBのe-ラーニング導入に向けた実験・研究の動きを紹介し,NLBが図書館・情報分野におけるe-ラーニングの発展に重要な役割を果たしていることを示した上で,e-ラーニングに対する社会の認識を更に深める取り組みが必要であろうとまとめている。
Ref:
http://www.ida.gov.sg/idaweb/aboutida/infopage.jsp?infopagecategory=factsheet:aboutida&versionid=1&infopageid=I860 [320] CA1588 [319]
第14回アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)における中国からの報告は,すべて中国国家図書館(NLC)に関するものであった。
NLCは,2005年末の段階で2,500万点を超える蔵書を有しており,このうちの10分の1に相当する250万点を超える資料が,合計40の閲覧室で開架されている。2005年に受け入れた資料は約22万4千タイトル,63万6千点を超えた。また2005年のNLCの開館日数は363日で,来館利用者数は450万人を突破した。この値は2003年,2004年と比べると微増しているが,新規の利用者カード発行数は19万5千枚と,2004年の約22万4千枚から少し減少している。資料の閲覧・貸し出し冊数,レファレンスおよびコンサルテーションの件数,ドキュメント・サプライの件数,NLCウェブサイトの合計閲覧時間も,軒並み減少している。
一方で,NLCのサービスメニューは着実に拡大している(E406 [321]参照)。特にデジタル情報を提供するサービスの拡大は著しく,NLCのウェブサイトによると,NLCが作成したデジタル資源の総量は120テラバイトに達しているという。2008年の開館を目指している「NLC二期工事および国家デジタル図書館プロジェクト」(E425 [322]参照)も順調に進捗している。
このほか,貴重書を複製・再刊行する「中華善本再生プロジェクト」,農村地域に図書を寄贈する「『図書を地方に』プロジェクト」が,主要プロジェクトとして紹介されている。いずれも,2002年に開始されている。前者では2005年末までに490冊の貴重書が複製刊行されており,うち157冊が2005年に作成された。また後者では,文化部・財政部の支援のもと,2003年から2005年の3年間で,合計6千万人民元(約8億6,500万円)分にあたる500万冊以上の資料を寄贈したという。
なお,中国の図書館界を鳥瞰したIFLA Journal誌の記事によると,2004年の時点で中国には2,719の公共図書館,80以上の子ども専用図書館,1,500を超える大学・研究図書館,8千〜9千の専門図書館,60万の学校図書館,6万の企業図書館があるという。各図書館とも市民への情報リテラシー教育に力を入れており,特に公共図書館では2004年だけで合計15万3千のプログラムが行われ,2,500万人が参加したとのことである。また図書館員向けの専門職研修も重視されており,規定によればすべての図書館員は1年につき40時間以上,研修またはワークショップに参加しなければならない。これは図書館員の業績評価の一部となり,地位の確保や昇進にも影響するという。情報リテラシー教育と業績評価を重視するこれらの図書館政策は,機会の均等を指向しつつ競争を奨励する中国社会の一面を表しているともいえよう。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/china06.pdf [323] http://www.nlc.gov.cn/service/guanyuguotu/gangyao.htm [324] http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/jc_23_ch_01.pdf [325] http://www.ifla.org/V/iflaj/IFLA-Journal-2-2006.pdf [326]
E406 [321]
E425 [322]
2006年7月,視覚障害者へのサービスを周知するためのイベント“Make a Noise in Libraries”(MaNiL)が英国で開催された。MaNiLの目的は,視覚障害者に地元の公共図書館を訪れてもらい,どのようなサービスを受けられるのかを知ってもらうとともに,もっと視覚障害者のニーズに応えられるような図書館サービスを行うよう,公共図書館に促すことにある。
第5回を迎えた2006年のMaNiLは,2週間の日程(北アイルランドは1週間)で行われた。MaNiLの開催にあたり中心となった国立盲人図書館(National Library for the Blind: NLB)は,各図書館共通のイベントとして,「本による想い出」というテーマのもと,子ども時代や学生時代を思い起こさせるような本を読む読書会を開催するよう要請した。この読書会のほか,各図書館は独自のイベントとして,人気作家の講演会,パーカッション奏者による無料音楽会,歴史研究家による地元の録音資料や口頭伝承の紹介,視覚障害者向けの電子資料や自動朗読ソフトの紹介といったイベントを行った。定期的に行っている読書会をもっと宣伝して大規模に行うという図書館もあれば,展示中心の図書館や,“Coffee Morning”“Afternoon Tea”と無料の飲食サービスを前面に出す図書館もあった。
NLBはまた,MaNiLのポスターとしおりを作成・配布するとともに,読書会向けブックリストや,読書会を開催するに当たって留意すべきポイントや有益なリンク集などを示したガイドを提供し各図書館を支援した。また,チャリティ団体“The Living Paintings Trust”が触って読む絵本を組織会員以外の図書館にも無料で貸し出したりするなど,関連団体の協力もあった。
Ref:
http://www.nlb-online.org/mod.php?mod=userpage&menu=66&page_id=485 [327]
http://www.livingpaintings.org/ [328]
米国図書館協会(ALA)の2006年年次大会は,6月22日から28日まで米国ニューオーリンズで開催された。約17,000人の図書館員が集まったこの年次大会にはGoogleも展示スペースを設けて参加したが,このほど,図書館員向けサイト“Librarian Center”で,ALA年次大会に参加できなかった人にその模様を伝える動画“A taste of ALA”やGoogleの展示スペースの様子を写した写真が公開された。動画はGoogle Video,写真はPicasa Web Albumsを用いており,Googleが最近開始したサービスのPRとも見受けられる。動画では,Googleの展示ブースの様子(“Google”の文字の一部をくり抜いたパネルから参加者が顔を出している写真が200枚以上)や,参加した全米の図書館員にGoogleについてどう考えているかインタビューした様子を見ることができる。
このほか,利用者の求める情報を探し出す際にGoogleをどのように活用しているかといった事例を図書館員から募集するために4月から行われているキャンペーン“Tips of the Trade”において寄せられた事例の一部も上記の動画やウェブサイトで公開されている。注目の分野に関する情報を常に追いかけるべく,Google News Alertを活用している人のほか,Google Video,Google Reader,Google Desktopなどのサービスについても事例が挙げられている。
Ref:
http://www.google.com/librariancenter/newsletter/0607.html [329]
http://www.google.com/librariancenter/librarian_tot.html [330]
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=646 [331]
刑事訴訟への裁判員制度の導入やいわゆる知財高裁の創設など,司法制度改革と呼ばれる制度変更が現在すすめられている。事前規制・調整型から事後チェック・救済型と呼ばれる社会への移行がその背景にあるが,今後,法律的なトラブルに巻き込まれる可能性が高まり,国民の法律・裁判に関する情報要求が増えることが予想される。このような状況下で,東京都立中央図書館は7月12日,法律情報の調査・収集を援助するサービス「法律情報サービス」を開始すると発表した。
都立中央図書館には,法律関係資料が豊富に所蔵されているが,このサービスでは,それらを活用して,利用者の調査活動や情報収集の支援をおこなう。具体的には都立中央図書館に「法律情報コーナー」を設け,交通事故や近隣トラブルといったテーマごとの資料展示を実施し,情報案内リストを提供する。また所蔵する図書・年鑑・雑誌,判例集等を活用して,法律関係のレファレンスサービスを実施するほか,法律情報サービスのコンテンツをウェブサイトに掲載したり,裁判員制度に関する公演会,法律情報の探し方に関する講習会を開催する。このほかにも財団法人法律扶助協会,日本司法支援センターといった法律関係の相談機関や関連情報に関する情報の提供が予定されている。なおこのサービスは資料や情報の提供が対象で,法律相談や特定の弁護士・法律事務所の紹介はおこなわない。
Ref:
http://www.library.metro.tokyo.jp/1h/index.html [332]
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/07/20g7c300.htm [333]
国際図書館連盟(IFLA)の教育研修分科会(ET)は,図書館情報学(LIS)教育の評価制度に関するレポート“Report on quality assurance models in LIS programs”をまとめ,公表した。
この調査の目的は,世界中のLIS教育機関で現在用いられている評価基準を集め,LIS教育と研修の質的向上を支援すること,とされている。そこで基本的作業としてまず,地域ごとに十分な数のLIS教育機関を選定し,現在の品質評価に関するプロセスや,何を重要視しているかといったデータを収集した。集まった品質評価基準,品質評価システム,LIS教育のガイドラインや基準を分析して,アンケートを作成し,160のLIS教育機関に回答を依頼した。回収率は31%であった。
その結果,回答のあったLIS教育機関の約89%で,品質評価システムを有していることが判明した。またLIS教育では,少なくとも次の2つのアプローチによる品質保証が戦略的に重要であると考えられていることも判明した。すなわち,職能団体による評価基準,および政府機関が制定した評価基準である。さらに評価の方法は,58%の教育機関で同じ手順をとっており,(1)自己評価とともに第三者評価の実施,(2)LIS教育固有の,もしくは一般的なガイドラインを用いた訪問調査(ほとんどは同分野の研究者が評価する)の実施,(3)調査結果の作成,(4)フォローアップの実施,といったプロセスで行われる。一方,品質評価対象となる領域について調査したところ,授業のデザインや中身(76%),スタッフ,図書館,コンピュータ設備,奨学金といった利用可能な資源(64%),学生による評価(58%),卒業生の進路(52%)といった項目が上位を占めた。LIS教育機関が定めるガイドラインや基準からは,品質評価に関するモデルが明らかになり,(1)教育プログラム志向,(2)教育プロセス志向,(3)教育成果志向,の3モデルが存在するということが明らかになった。
なお今回の調査では,LIS教育機関の評価を改善するための評価プロセスについては,対象外とされているものの,別途調査の予定があるとのことである。
Ref:
http://www.ifla.org/VII/s23/pub/s23_Report-QA-2005.pdf [334]
欧州連合(EU)は,インターネットのより安全な利用を促進するアクションプラン“Safer Internet Plus”を2005年〜2008年の4か年計画として進めている。このアクションプランの一環として,ヨーロッパの若者のインターネット利用の傾向に関する調査が2005年1月から2006年6月にかけて行われ,その結果が発表された。
この調査は,ヨーロッパ9か国(ベルギー,デンマーク,エストニア,フランス,ギリシャ,イタリア,ポーランド,ポルトガル,英国)とカナダ・ケベック州の12〜18歳の9,000人を対象に行われた。回答者の94%は既にインターネットの利用経験があり,中には3歳,4歳からインターネットを利用しているという回答もあった。特に広く利用されているのは検索エンジン,電子メール,SMS(ショート・メッセージ・サービス)であり,チャット,音楽や動画などのダウンロードがこれに続く。いずれの国でも学校よりも自宅でインターネットを利用することが多いようで,学校で週に複数回インターネットを利用している人は回答者の約26%,特にイタリア,ベルギー,フランスではそれぞれ7%,9%,10%と少なかった。このほか,不用意に個人情報を明かさないなど,インターネットから身を守るための知識も一定程度有していることも明らかになっている。
本報告書をとりまとめたのは,フランスの情報メディア・教育連絡センター(CLEMI)である。そのこともあってか,調査対象となった9か国のうちフランスについては,別に誌面を設けて調査結果の詳細なレビューがされているが,こちらも上に述べたのと同様の傾向が見られる。CLEMIは2000年にもフランスの12〜17歳の若者を対象として同様の調査を行ったが,そのときと比べて若者のインターネット利用状況は大きく変化したという。
Ref:
http://www.clemi.org/international/mediappro/Mediappro_b.pdf [335]
http://urfistinfo.blogs.com/urfist_info/2006/07/lecole_et_linte.html [336]
http://europa.eu.int/information_society/activities/sip/programme/index_en.htm [337]
米国議会図書館(LC)が実施している全米デジタル情報基盤整備・保存プログラム(NDIIPP; CA1502 [340], E214 [341], E256 [342]参照)の活動がめざましい。
2006年4月,LCは英国図書館(BL)とともに,電子ジャーナルの保存のためのフォーマットとして,米国医学図書館が開発した文書型定義(NLM DTD; E096 [343]参照)を採用すると発表した。NLM DTDはすでに多くの出版者やPortico(CA1597 [203]参照)で採用されており,両館の採用により標準化がさらに進むものと想定される。
続く6月には,スタンフォード大学と3年間協力する契約を結び,同大学が中心となって進めている図書館・出版社協同の学術情報保存イニシアチブ“CLOCKSS”(Controlled-LOCKSS; LOCKSSについてはCA1597 [203]参照)に対し,70万ドル(約8千万円)の助成を行うと発表した。CLOCKSSは,同イニシアチブに参加する図書館が,参加する出版社のコンテンツをすべて,購読していないコンテンツも含めて保存するというものである。保存されたコンテンツはダーク・アーカイブとして,出版社側の事情によるサービスの停止・中断といった場合に限り提供される。複数の図書館がそれぞれダーク・アーカイブを構築することで,学術情報は長期に,安全に保存されることになる。
さらに7月には,各国のテレビのニュース番組を収集し現地語で再配信している非営利の教育機関“SCOLA”への助成を発表するとともに,動画,音声,写真,絵画,挿絵,ゲーム,文学作品といったデジタルコンテンツの保存に関心のある民間の機関・団体を募集している。学術情報のみならず,さまざまなデジタル情報の保存に対し,LCの取り組みが拡大してきている。
このほか,LCが2000年から行っているウェブサイト収集・保存プロジェクトを紹介するウェブサイト“Web Capture”も立ち上がっている。このプロジェクトでは現在,スーダンのダルフール危機,イラク戦争,2006年の中間選挙などのウェブサイトを収集しているという。
Ref:
http://www.digitalpreservation.gov/ [344]
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-097.html [345]
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-129.html [346]
http://www.lockss.org/clockss/ [347]
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-147.html [348]
http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-146.html [349]
http://www.loc.gov/webcapture/ [350]
CA1502 [340]
CA1597 [203]
E096 [343]
E214 [341]
E256 [342]
カンボジアには,政府機関の図書館が28館,大学図書館が13館,学校図書館が1千以上あり,地方には,インターネットにアクセスできるコミュニティ情報センターが22か所ある。また,50以上の中小の専門図書館・私立図書館や,NGOや国連の組織が運営する図書館もある。1日平均の利用者数は,もっとも多いプノンペン王立大学図書館で600人,カンボジア国立図書館(NLC)で35〜50人で,小さな図書館では10〜15人程度である。
図書館関連団体としては,1995年に発足したカンボジア図書館員・ドキュメンタリスト協会(CLDA),2003年に発足したカンボジア書籍セクター振興連盟(FDBC)がある。CLDAには100人以上が加盟しているが,専門教育を受けた図書館員は全国で4人しかおらず,CLDAなどの組織が行っている基礎研修のほか,専門教育を受けた図書館員や国際ボランティアによるOJTによって,図書館員の養成を図っている。
NLCの2005年の活動としては,まず,ISBNの付与開始が挙げられる。FDBCと協力して“Books in Print”の刊行も準備しており,出版・書籍販売・図書館・研究者に配布する予定であるという。ISSNの付与および法定納本を開始するための準備も行っており,2006年中の制度化が目標とされている。
またNLCは,2005年7月から貸出用コレクションの構築を始めている。一般に資料を貸し出すサービスは,これがカンボジアで初めてだという。このほか,NLCが所蔵する“Cambodiana”(カンボジアで刊行された資料,カンボジアに関する資料およびカンボジア人によって作成された資料の総称)の目録の刊行,2万冊を超える19〜20世紀フランス語資料コレクションの目録の刊行といった事業が,近々予定されている。
カンボジア全国規模での図書館協力や電子図書館サービスはまだ発展途上である。公式の図書館間貸出プログラムは存在せず,全国の図書館を結ぶ通信ネットワークも存在しない。しかし,NLCやFDBCによる読書推進活動や,ユネスコやユニセフ,NGOなどの支援による情報リテラシー普及プログラムなどによって,人々への図書館・情報サービスは徐々に拡大している。予算不足や建物の老朽化など,依然として課題は多いものの,カンボジア図書館界は着実に歩みを進めている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/documents/cambodia.pdf [351]
CA623 [352]
CA1069 [353]
Library Journal誌とThomson Gale社が選定する米国の“Library of the Year”を2000年に受賞したジョージア州グィネット郡(Gwinnett County)公共図書館で,2006年6月12日,図書館委員会の議決によりピンダー(Jo Ann Pinder)館長が解雇された。ピンダー館長は2002年度の米国公共図書館協会(PLA)会長を勤めており,図書館界でもよく知られた人物であった。
ピンダー館長は1991年から同館の館長として,利用者の要求に応じ人気のある資料を備え,書店と競争していくという「人気のある,貸し出し型図書館」を目ざす図書館経営戦略を展開してきた。これに対し,生涯学習を重視し,不朽の古典や子どもの教育に資する資料を備えるべきとする保守派の市民団体“Gwinnett County Public Library Watch”は,「ピンダー館長の方針はグィネット郡の家庭の伝統的な価値観とそぐわない」として,館長を解雇せよというキャンペーンを行ってきた。1回に貸し出す冊数が多く盗難を助長した,ベストセラーの複本を大量に購入してはすぐに除架して安値で売っている,管理職者の人数が多い,ALAの大会への参加費用が高額である,といった財務面からの批判や,館長個人の資質への批判もなされた。
グィネット郡は保守的な勢力の強い土地柄であり,5名で構成されるグィネット郡図書館委員会でもピンダー館長を支持する委員は1名だけであったことから,この委員の呼びかけに応じて詰めかけた200名以上の支持者の擁護もむなしく,ピンダー館長は解雇された。
またこの解雇の議決に続いて,同館が計上していた,スペイン語の小説の購入予算3千ドル(約34万円)を取り消す議決も行われた。これに関しても,保守派の市民団体から「娯楽小説を購入するべきではない」という意見が出ていた。委員会は「グィネット郡には多くの言語集団がおり,そのすべてに対し平等なサービスを行うことは不可能である」として一度は取り消しを決定したが,この議決を知った多くの人々から意見が寄せられたため,再検討を行った末,「CDブックに比べて割安な印刷媒体に限定すること」という条件付きで予算を復活させた。もっとも,寄せられた意見の半数は,スペイン語の小説は購入すべきではないというものであったという。
Ref:
http://www.gwinnettdailypost.com/index.php?s=&url_article_id=16100&change_well_id=2 [355]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6342794.html [356]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6343273.html [357]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6346389.html [358]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6349773.html [359]
http://www.gcplwatch.org/intro.html [360]
公文書というと,大人でさえ「難しい」「よくわからない」と思いがちである。そんな公文書,特に歴史資料として重要な「歴史公文書」について子どもにもわかりやすく解説するウェブサイトを,国立公文書館が7月3日に開設した。名称は「ぶん蔵」,公文書の研究者「ぶん蔵博士」や公文書に興味を持つ女子高生など独自のキャラクターを用いたマンガ仕立てのサイト構成である。
「ぶん蔵」では,歴史公文書や公文書館について中学生・高校生にもわかりやすく解説するとともに,オリンピックと鉄道に関する公文書,メディアで利用された公文書,過去の展示会で展示された公文書を紹介している。また,歴史公文書には付きものの「くずし字」を解読するクイズやリンク集も用意されている。なお,「ぶん蔵」の提供には国立公文書館のほか,外務省外交史料館,宮内庁書陵部,防衛庁防衛研究所図書館,国立国会図書館憲政資料室も,歴史公文書の画像を提供するなど協力機関として関わっている。
同様のウェブサイトは海外の公文書館でも作られており,たとえば韓国の国家記録院(日本の国立公文書館に相当)が提供するウェブサイトが挙げられる。ここでは,「記録とは?」「行政博物(注)とは?」「勲章の歴史」といったコンテンツによって,子どもたちに記録文書の重要性などをわかりやすく説明している。
(注)大統領や国務総理等の高位職者が使用した物,勲章,国璽,官印,記念図画,記念切手,オリンピックのメダル・ポスターなど。
Ref:
http://bunzo.jp/ [361]
http://www.archives.go.jp/news/060703.html [362]
http://www.archives.go.kr/hunjang/ [363]
Googleは6月28日,Google Book Searchに対する差止仮処分申請が取り下げられることが決定したと,公式ブログ“Google Blog”で明らかにした。
英ガーディアン紙によると,仮処分を申請していたのはドイツの出版社WBG(Wissenschaftliche Buchgesellschaft)社で,ドイツ出版業界団体のGerman Publishers Associationが支援をおこなっていた。
仮処分の審理において争点とされたのは,Googleが「米国の」著作権法の下で,「米国の」図書館の蔵書を,「米国で」スキャンしていて,「米国の」著作権法ではフェア・ユースとされている“Snipett”を用いて,「ドイツで」検索結果を表示することの是非である。ここでいう“Snipett”とは,Google Book Searchの検索結果表示画面において,検索キーワードが出現する箇所とその前後数文を書誌事項と一緒に表示する方法である(ただし,全文をスキャンすることが“fair use”に当たるかは訴訟になっている。E392 [3]参照)。Googleが出版社のある国の著作権法よりも,スキャンする国の著作権法に従っていることが問題であるとの訴えであった。
審理をおこなったハンブルグ地方裁判所は,図書の“Snipett”表示はドイツの著作権法に反しないとの見解を示した,とGoogleの公式ブログは伝えている。また米国でスキャンをすることがドイツの著作権法に反しているとのWBGの主張についても,退けたと伝えている。
なおGoogle Book Searchに対しては,米国の作家団体“Authors Guild”,米国出版社協会(Association of American Publishers)のほか,英国のフランス出版社組合(France’s National Publishers’ Union)からも訴訟がおこされている。
Ref:
http://googleblog.blogspot.com/2006/06/germany-and-google-books-library.html [369]
http://booksearch.blogspot.com/archives/2006_07_01_booksearch_archive.html#115214292132825547 [370]
http://news.com.com/2061-10812_3-6089897.html?part=rss&tag=6089897&subj=new [371]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/06/29/12506.html [372]
E392 [373]
6月25日から26日にかけて,ワシントンD.C.は一日で180mmを超える記録的な豪雨に見舞われた。この影響で連邦政府省庁が入居するビルの一部は,建物の一時的閉鎖や冠水などの被害を受けた。
米国公文書館(NARA)には,建物に8フィート(約2.4メートル)の洪水が押し寄せ,1階が水没した。所蔵資料に直接の被害は発生しなかったものの,建物管理システムが動かなくなったほか,電気系統も停止したため,湿度を管理する空調システムがストップした。「独立宣言」や「合衆国憲法」の原本といった,特に重要な歴史的文書は非常時の湿気対策も施されているが,特別な対策の行われていない資料は,空調の停止による湿損の被害が懸念されていて,館外から電源を確保し,産業用の除湿機を新たに導入して資料の保護に当たった。このほかにも,フィルムを上映するWilliam G. McGowanシアターの一部が水没し,上映フィルムが冠水したといった被害も報告されている。
NARAは被害発生後,約3週間にわたり閉館していたが,展示部門が7月15日に再オープンし,リサーチセンターも7月19日から再オープンする。なお閉館中は所蔵資料のファクシミリ版を館外に展示して,見学に訪れた人々にアーキビストがミュージアムトークを開催していたとのことである。
米国議会図書館(LC)は高台にあることから,今回の豪雨でも特に被害は報告されていない。だが日常的に,資料保存部門のスタッフは24時間,だれかが非常事態に対応できる体制をとっているという。
LCの保存部門の責任者であるリーデン氏(Dianne van der Reyden)によると,図書館や資料館では,炎や煙による資料へのダメージも危険をもたらすが,水によるダメージはさらに危険で,最悪の問題をコレクションに引き起こすという。LCでは保存担当スタッフだけでなく,修復スタッフ(Curatorial Staff)と呼ばれる人々もすべて,緊急時や災害時に被災資料を救出するためのトレーニング“salvage training”を受講しており,もし災害が発生して資料が被災すれば,資料の救援に呼び出されることになっている。またLCでは水漏れやカビを発見した場合,担当者を通じて保存部門に報告しなければならないという。とくにカビは資料の水損後24時間以内に発生し始めることから,報告を受け次第トレーニングを受けたスタッフが1時間以内に救援活動を開始するという。ほかにも全国レベルの資料保存・災害対策プログラムの開発も計画していて,非常時への対処をまとめた参考文献リストやリンク集は,すでに公開されている。
2005年に米国南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」以降,LCだけではなく,連邦政府機関全般がとる行動に変化が現れ,資料保存活動への取り組みに積極的な傾向が見られるという。課題に立ち向かい重要な文書の保存を図るよい機会であると,リーデン氏は語っている。
Ref:
http://www.ala.org/al_onlineTemplate.cfm?Section=july2006a&Template=/Content
Management/ContentDisplay.cfm&ContentID=131559 [375]
http://www.foxnews.com/story/0,2933,201411,00.html [376]
http://www.archives.gov/calendar/status/index.html [377]
http://www.archives.gov/calendar/status/facts.html [378]
http://www.hillnews.com/thehill/export/TheHill/News/Frontpage/070506/loc.html [379]
http://www.loc.gov/preserv/prepare.html [380]
http://www.loc.gov/preserv/pubsemer.html [381]
http://college.lisnews.org/academic/06/07/02/1450254.shtml [382]
http://lisnews.org/article.pl?sid=06/07/06/0023257 [383]
世間から非効率,高コストの横綱格としてゆるぎない評価を頂戴している公共サービスであるが,簡素で効率的な政府の実現が至上命題となっている今日,民間事業者によって適切なサービスを提供できるのであれば,そのような事業は積極的に民間事業者に開放し,公共サービスの質の向上と経費の削減を図ることが強く求められている。こうしたなか,「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」,いわゆる「公共サービス改革法」(平成18年法律第51号)が2006年7月7日に施行された。
本法律は,受益者である国民の立場に立って公共サービスの見直しを行い,民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより,良質かつ低廉な公共サービスを実現するという基本理念を謳う(第3条)とともに,「公共サービス改革基本方針」の策定(第7条),官民競争入札(いわゆる「市場化テスト」;E458 [385]参照)・民間競争入札の実施に当たっての規定(第3章),民間事業者が落札した場合の措置(第4章)などを定めている。「公共サービス改革基本方針」には,公共サービス改革の意義及び目標,政府が実施すべき施策に関する基本的な方針,官民競争入札や民間競争入札の対象として選定する公共サービスの内容及びこれに伴い政府が講ずべき措置などを示すことが定められているが,この度その基本方針の案が内閣府のウェブサイトにて公表され,同案に対する意見の受付が始められた。また,同案を審査する際に必要な行政情報の公開要請も受け付けるとしている。
基本方針では,官民競争入札の対象と想定されている事業として国民年金保険料収納事業,ハローワーク関連業務,統計調査関連業務,独立行政法人で行う一部の事業があげられている。ここでは図書館の業務に関する記述は見られないが,PFI,外部委託,指定管理者制度の導入が進められている(CA1589 [386]参照)。図書館業務についても本法律が運用されるのか,今後の動向が大いに注目される。
Ref:
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=095060400&OBJCD=100095&GROUP= [387]
http://www5.cao.go.jp/koukyo/index.html [388]
CA1589 [389]
E458 [390]
国立国会図書館は7月10日,「蔵書評価に関する調査研究」の結果をまとめた『図書館調査研究リポート』No.7を刊行し,関係機関に配布した。
資料の収集は通常,まず収集方針を定め,それに基づいて選書・購入等を実施し,構築された蔵書について評価をする,さらにその評価によって収集方針が修正される,というサイクルで行われる。国立国会図書館においても,納本制度の適用外である外国刊行資料に対する体系的な蔵書評価の必要性が認識されているところであり,適切な評価の手法を探るため,平成17年度に本調査を実施した。
第1章では,蔵書評価の手法に関する近年の研究動向をレビューし,どのような手法があるのかを整理した。第2章は,海外の図書館における蔵書評価の現況をアンケート調査の結果に基づいて分析・考察している。これらの結果を踏まえて,国立国会図書館が所蔵する図書館情報学関係の外国図書を対象に,書誌類・引用文献リストを利用したチェックリスト法に基づく蔵書評価を試みた結果を第3章にまとめた。また,蔵書評価の際に留意すべきISBNコードの処理過程,目録データの文字コードに関する解説を,付録として収めた。
Ref:
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/report/category.php?categoryid=7 [391]
----------------------------------------------------------------------
2006年3月にフィリピン・マニラで行われた第14回アジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)において,13か国の国立図書館長から自館と自国の最新動向に関する報告がなされている。この報告資料をもとに,毎号1〜数か国の図書館事情を紹介していく。
----------------------------------------------------------------------
(1)オーストラリア
オーストラリアには1,520の公共図書館,677の大学図書館,3,030の専門・私立図書館,652の政府・議会図書館がある。図書館に来館する利用者の数は,公共図書館が高い値を保っているのに対し,大学図書館では減少傾向にある。2004年の調査によると62%の家庭でインターネットアクセスが可能となっており,オンラインでの図書館利用が急速に増加している。オーストラリア国立図書館(NLA)においてもウェブサイトだけを利用する新規利用者の数が多く,閲覧室に来館した利用者でも,OPACの使い方やレファレンスのために図書館員の助けを必要とする人が減ってきているという。
全国規模で活動している図書館ネットワークとしては,オーストラリア州立図書館評議会(CASL),オーストラリア大学図書館員委員会(CAUL),オーストラリア図書館・情報専門家協会(ALIA)がある。CASLにはNLAと州立・準州立の図書館が加盟しており,図書館・情報サービスの広報,政策立案,公共図書館の支援などを行っている。最近の活動としては,電子資料のコンソーシアム契約や,ニュージーランドやシンガポールとの協同によるオンラインレファレンスサービス“AskNow”の提供などを行っている。CAULは大学図書館を代表する組織として,学位論文のデジタル化,電子ジャーナルの協同契約,大学図書館向けパフォーマンス指標の策定,情報リテラシーの測定といった事業を展開している。ALIAには5千人以上の専門職が加入しており,専門職の育成や図書館情報誌の刊行,各種大会の開催などを行っている。
NLAの最近の活動としては,“Libraries Australia”(CA1575 [392]参照), “MusicAustralia”(CA1575 [392]参照),“PictureAustralia”(E443 [393]参照),“PANDORA”(CA1537 [394]参照),CASL加盟館の有する貴重な歴史・文化資料で作成した展示“Treasures From Australia's Great Libraries”(これは各加盟館でも巡回展示される),ナショナル・ライセンスの導入(CA1438 [395]参照),デジタル資料コレクションに係る一連のプロジェクト“Digital Service Project”(DSP)などが挙げられている。特に“Libraries Australia”では書誌情報が無料提供され,誰でもドキュメント・デリバリーの申し込みができるようになり,利便性が拡大した。
そのほか関連するトピックとして,米国と自由貿易協定(FTA)を締結したことにより,著作権の保護期間が50年から70年に延長されたことなどが挙げられている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/lap/meetings.html [396]
http://www.nla.gov.au/lap/documents/aust06.pdf [397]
CA1438 [395]
CA1537 [394]
CA1575 [392]
E443 [393]
2004年4月にタスクフォースを設置し,開館に向けて準備を行ってきた韓国国立子ども青少年図書館が2006年6月28日に開館した。同館は国立中央図書館の一組織であり,旧・学位論文館を再生・利用したものである。
同館は地上4階,地下2階からなり,乳幼児から小学校低学年を対象とした子ども資料室,海外の資料と小学校高学年対象資料を集めた外国・児童資料室,ヤングアダルト向けの青少年資料室のほか,研究者向けの研究資料室や,ブラウジングコーナー,マルチメディア室,読書討論室などが設置されている。開館時の資料点数は,国内の単行図書約17万点,海外の単行図書約6千点,逐次刊行資料約9千点,カセット・CD・DVDなど非図書資料約4万8千点となっており,いずれも館内でのみ利用可能である。なおこの中には,研究者向けの資料や児童文学関係の学位論文も含まれている。
このほか,同館は国内に514ある公立の子ども図書館・図書室,109の私立の子ども図書館,9,649の学校図書館の求心体として,子ども図書館に関する政策を主導する事業も担っている。子ども・青少年へのサービスを連携・協力して提供する体制の構築や,多様な読書振興活動の展開,子ども図書館サービスを担当する人材の専門性強化プログラムの開発など,幅広い活動が予定されている。
外部の専門家からは,外部の意見が十分取り入れられていない,外観・内装に子どもにそぐわない部分がある,資料の分類には一般向けの韓国十進分類法が用いられており子どもにはわかりにくい,建物のサインもわかりにくい,といった問題点を指摘する声もあるが,クォン・ヤンスク大統領夫人が「これからよりいっそう,内容が充実した豊かな図書館に育ててほしい」とメッセージを寄せたように,今後の活動が大きく期待されている。
Ref:
http://www.nlcy.go.kr/ [399]
http://www.chosun.com/national/news/200606/200606210560.html [400]
http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/133526.html [401]
http://www.gonews.co.kr/common/result.asp?sCode=20060628212119173 [402]
CA1504 [403]
カリフォルニア大学バークレー校が開発してきた,ファセット方式によるメタデータを利用した検索インターフェース“Flamenco Search”(FLexible information Access using MEtadata in Novel COmbinationsの略)が,2006年4月23日,BSDライセンスに基づくオープンソースとして公開された。
Flamenco Searchの特徴は,ファセットによるカテゴリーと,そのカテゴリーに属するサブカテゴリーをすべて表示することで,利用者に対し,全体の構造がわかるようにするとともに,どのように選択すればよいかのガイドを提示していることにある。Flamenco Searchを利用した事例として紹介されているノーベル賞受賞者の検索の場合,性別,国籍,所属,賞の種別,受賞年の5つのファセットがあり,各ファセットに属するカテゴリー(性別の場合,男性あるいは女性。賞の種別の場合,化学賞,平和賞,文学賞など。)ごとにデータ件数が表示されている。どのファセットからでも検索することができ,複数のファセットによる絞込み検索も可能である。カテゴリーの下にサブカテゴリーが存在する場合は,当該のカテゴリーにポインタを当てるだけで,下属するサブカテゴリーのリストを見ることもできる。開発代表者のハースト(Marti Hearst)助教授らの調査によると,このようなFlamencoSearchを利用したインターフェースは,他の検索インターフェースに比べ,コレクション全体について理解するのに役立つ,自由度が高い,使いやすいといった評価が多かったという。
Flamenco Searchは,すでにフィンランド美術館や子どもの本の国際電子図書館(ICDL; CA1594 [406]参照)などで採用されている。今回のオープンソース化により,さらなる利用の拡大が期待される。
Ref:
http://flamenco.berkeley.edu/ [407]
http://orange.sims.berkeley.edu/cgi-bin/flamenco.cgi/nobel/Flamenco [408]
http://bailando.sims.berkeley.edu/papers/flamenco-chi03.pdf [409]
http://www.museosuomi.fi/ [410]
http://www.childrenslibrary.org/icdl/SimpleSearchCategory [411]
CA1594 [406]
報道の自由を守るための国際組織である国境なき報道団(Reporters Without Borders)は6月15日, Yahoo!,Google,MSN(ベータ版)の3社が中国で提供しているサーチエンジンの検閲状況に関する調査結果を発表した。
これによると,最も厳格な検閲をしているサーチエンジンはYahoo!で,反政府活動を表すキーワードで検索したところ,検索結果の97パーセントが検閲済みサイトで占められた。この結果はGoogle(83パーセント)やMSN(78パーセント)より高く,中国国産の検索エンジン「百度」と同程度の厳しさであるという。ちなみに同様のキーワードでgoogle.comを検索したところ,検閲済みサイトの割合は28パーセント程度であった,とのことである。
さらにYahoo!では,天安門事件を意味する「6-4」や「チベット独立」など,特定のキーワードで検索をおこなうと,検索結果が返信されないばかりか,それまでの検索とは関連の全くない,別のキーワードによる新たな検索も約1時間程度,拒絶される。このような対応は,「百度」では実施されているものの,Yahoo!以外の外国製検索エンジンではおこなわれていないとのことである。
国境なき報道団は,「これらの企業は道徳的な主義をまげることなく,中国市場に進出していると確信しているが,中国当局に対して毅然かつはっきりとした立場で関係を持つ必要がある」とコメントしている。
Ref:
http://www.rsf.org/article.php3?id_article=18015 [413]
http://lisnews.org/article.pl?sid=06/06/15/2353247 [414]
ケンブリッジ大学はほとんどの評価がオックスフォード大学を上回るが,図書館とコンピュータ費で大差が出て,総合評価はオックスフォード大学が1位となる。先日公表された英タイムズ紙の2007年版英国大学ランキング“The Times Good University Guide 2007”では,英国を代表する二大私学について,このような評価が下された。
“The Times Good University Guide”では,学生の満足度,研究評価,入試レベル,スタッフ一人あたりの学生数,学生一人あたりの図書・コンピュータ費,施設費,トップレベルの研究の割合,卒業後の就職割合,卒業率などを算定し,その総合評価で英国の大学をランキングしている。学生一たりの図書・コンピュータ費は,2001〜2004年の高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency:HESA)のデータを平均して算定しており,これによるとオックスフォード大学は学生一人当たり1,656ポンド(約35万円)であるのに対し,ケンブリッジは1,129ポンド(約24万円)であるという。その他の項目では44項目中35項目で,オックスフォードよりもケンブリッジのスコアが上位となった。だが総合評価は逆転し,トップとなるオックスフォードの得点を1,000とすると,ケンブリッジは973であると評価されている。
個々の評価と総合評価の逆転については“Q and A”でも取り上げられており,主筆のJohn O’Leary氏は,図書館とコンピュータ環境への投資の差が,このような大きな違いを生んだと述べ,図書館の評価が両者に対する評価の違いを決定付けたものの一つであることを明らかにしている。
Ref:
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,716-2209120.html [417]
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,716-2208313.html [418]
http://www.timesonline.co.uk/displayPopup/0,,102571,00.htm [419]
http://orweblog.oclc.org/archives/001048.html [420]
米国インディアナ州のPorter County Public Libraryでは,過去5年間に年間4,000ドル相当の蔵書が貸し出されたまま行方不明になっているという問題を受けて,去る5月に貸出しシステムを新しくしたが,その中に,地域内の施設にいるホームレスの人々への貸出しを制限するという規定が含まれていた。具体的には,ホームレスの人々に配布される利用カードは3か月間に限り有効で一度に借りることができるのは3冊まで,さらに17歳以下のホームレスの人には利用カード自体を発行しないという制限が加えられることになっていた。
借りたまま返却しない人にホームレスの人が多いという傾向からこのような制限を加えたものとされるが,施設の運営者からは,図書館の資料をもっとも必要としている人々に対してこのような制裁を加えるのは適当でないとの批判も出されている。こうした批判を受けて,施設側と図書館側は貸出制限以外の解決法(施設に返却ボックスを設置し,借りた本を返しやすいようにするなど)を探るべく6月21日に改めて協議を行ったところ,貸出制限,利用カードの配布制限ともに撤回されることになった。
Ref:
http://www.thetimesonline.com/articles/2006/06/20/news/porter_county/
0457f2e3afa8b4f88625719200825575.txt [421]
http://www.fortwayne.com/mld/journalgazette/entertainment/music/band
_profiles/14877964.htm [422]
米国の調査団体Public Agendaが「図書館のための米国人協会」(ALC)及びビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の支援を受けて行った調査の結果が,報告書“Long Overdue: A Fresh Look at Public Attitudes About Libraries in the 21st Century” として発表された。
これによると,調査回答者の約8割は公共図書館を地域にとって不可欠かつ重要な施設と位置づけている。最近相次いでいる図書館の運営予算不足に関しては,サービスの縮小で乗り切るべきと答えた人は16%にとどまり,多くの人は運営予算に当てるための増税を支持するという意外な傾向が表れているほか,図書館はその重要性をもっと政治の場に向けてアピールすべきという意見も見られた。その一方で,開館時間,目録・データベースのオンライン提供,子どもの読書や宿題の支援など公共図書館に強く求められているサービスについてはまだまだ十分に提供されているとはいえず,今後改善の余地があるとも指摘している。また,報告書では,今後図書館に必要とされるサービスとして,10代の若者向けのサービスの拡大,成人に対するリテラシー教育,政府資料へのアクセスの強化,オンラインサービスを提供する環境の整備の4項目を挙げている。
なお,この調査では,調査回答者のうち毎回選挙に行っていると回答した人を“Community Soldiers”(図書館に大きな影響を与える利用者層を指す)と位置づけており,根拠はややあいまいではあるものの,これらの人々が全体平均よりも強く図書館を支持していることから,こういった人々なくしては図書館は戦えないと結論付けている。
Ref:
http://www.publicagenda.org/research/pdfs/long_overdue.pdf [423]
http://www.publicagenda.org/press/press_release_detail.cfm?list=72 [424]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6343131.html [425]
総務省情報通信政策研究所. メディア・ソフトの制作及び流通の実態に関する調査研究. 2006, 204p. (オンライン), 入手先< http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060623_5_02.pdf [426] >, (参照 2006-07-03).
総務省情報通信政策研究所は,映画,テレビ番組,音楽,新聞,雑誌,書籍といった各メディアの市場規模・市場動向に関する調査・分析を毎年行っている。2006年6月23日,2004年の各種統計に基づいた調査「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」の報告書がウェブサイトで公表された。
本調査の特徴は,複数のメディアで提供されるソフト(コンテンツ)の市場動向も把握できるように,テレビ番組や新聞記事といった「メディア・ソフト」と,テレビ放送や新聞販売といった「流通メディア」とを区分している点にある。その上で,各メディア・ソフトの制作市場,最初に提供したメディア(「一次流通」)の市場,一次流通の後に再度提供したメディア (「マルチユースによる流通」)の市場,の各々の特徴を,業界や市場の構造も含めて詳細に分析している。
本報告書においては,新聞記事・コミック・雑誌記事・書籍などを「テキスト系ソフト」というカテゴリーに分類している。いずれのテキスト系ソフトにおいても,印刷物の形で販売される一次流通の2004年の市場規模は,2000年と比べ減少していたという。特に,コミックと雑誌記事は11%減,新聞記事も7.6%減と,書籍の1.5%減に比べて減少幅が大きかった。これに対し,マルチユースの市場規模は,新聞記事が61%,コミックが6.9%,書籍が9.7%と増加していた。特に大きく増加したのは,新聞記事・雑誌記事のDB販売や,各ソフトのインターネット配信の市場規模であった。雑誌記事の場合は,マルチユース市場規模が全体で2.4%減少していたが,この原因は雑誌記事を単行本化して販売する市場の減少に伴うものと考えられる。ページに換算した各コンテンツの制作量・一次市場流通量・マルチユース市場流通量も調査されていたが,この結果でもコミック・雑誌記事・書籍は一次市場流通量が減少していた。新聞記事だけが,一次市場流通量が増加していた が,これは1紙あたりのページ数が増えたことによるものであり,発行部数は減少しているという。
なお,データベース記事もテキスト系ソフトに含まれている。途中で推計方法の見直しが行われたため,数値での表現はできないが,市場規模,流通量とも増加傾向にあるという。報告書は全体の傾向として,マルチユース市場,ネットワーク流通が拡大していると結論付けているが,テキスト系ソフトに限っては,印刷物の流通が減少しているという傾向も指摘できよう。
韓国では,図書館および読書振興法(E376 [428]参照)第24条第1項の規定により,国家または地方自治体が設立・運営する公共図書館長は,司書職員(注)を充てることになっている。ところが国立図書館長には,司書職員が充てられていない。
国会図書館の場合,国会図書館法第4条の規定により,館長は国会議長によって任命される「政務職」と定められている。現在のペ・ヨンス館長も法学修士であり,政党職員の出身である。国立中央図書館の場合は,「文化観光部とその所属機関の職制」(大統領令第19439号)第37条の規定により,館長は1級の職級の国家公務員または同等の別定職国家公務員(特定の業務のために外部から任用される公務員)とだけ定められている。司書職員であることは要件になっておらず,実際にも,行政職員が就くことが通例となっている。2006年5月23日に着任したクォン・ギョンサン新館長も,文化観光部の広報官や観光局長,複合レジャー観光都市推進団長などを歴任した行政職員である。
このような,国立図書館長,特に国立中央図書館長が司書職員でない現状については,2006年5月25日付けソウル新聞が取り上げている。国立中央図書館を管轄する文化観光部によると,司書職員の中には館長の要件である1級の者がいないこと,また別定職公務員として外部に開放する職の数には上限(文化観光部全体で高位職の20%)があり,すでに上限に達してしまっているため外部の専門家も充てられないことから,館長に行政職員を充てているという。文化観光部は「現場中心の行政」を掲げているが,そのためにはまず,図書館の専門家を配置する現場中心の人事が必要ではないか,とソウル新聞はこの現状を批判している。
(注)
司書職員になるには,文献情報学・図書館学の研究・履修歴に基づく司書資格証明が必要であり,一般の行政職とは異なる位置づけがなされている。
なお司書資格には1級正司書,2級正司書,准司書の3区分がある。最も一般的なのは2級正司書であり,文献情報学・図書館学の学士や修士が相当する。
Ref:
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60039 [429]
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60554 [430]
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=55957 [431]
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=73707 [432]
http://www.nanet.go.kr/libinfo/k01_profile.html?nav=010102 [433]
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060525006009 [434]
E376 [428]
紛争が続くスーダンでは,1989年からユニセフなどの国連機関やNGOが協同で,「スーダンライフライン活動」(Operation Lifeline Sudan)が行われているが,その過程では電子的なものを含む多種多様の文書が作成された。これらの文書には公式的な資料ばかりでなく,NGOメンバーによる未刊行のレポート,回覧板,書簡やリアルタイムで収録されたラジオのレポート番組など,紛争や人道支援の状況下における日々のエピソードが詳細に記録された資料をも含み,歴史的資料としても貴重な価値をもつ。だが現在のところ,スーダン国内ばかりでなくケニアにも分散して保管されているほか,一部は劣化の進行がみうけられるなど,状況はかならずしも芳しくない。
ユニセフ(UNICEF)とリフトバレー研究所(Rift Valley Institute)は,そのような状況を打開すべく,協同でデジタルアーカイブの構築作業を進めていたが,このたび“Sudan Open Archive”として正式に公開した。
まず第一弾として「スーダンライフライン活動」に関する基本的なテクニカル・レポートや未刊行の灰色文献など,500文書が公開される。さらに6月には環境問題やスーダンの地域和平プロセスに関する資料が公開され,追ってスーダン語の文法書,辞書,教養書,学術文献や回顧録,アラビア語資料,地図,さらに写真やビデオなども公開が予定されている。
このアーカイブは無償で公開され,オンラインだけではなくDVD媒体による提供も予定されている。図書館数が不足しているスーダンでは,国民に対する情報源としてもこのデジタルアーカイブが機能するのではないかと期待されている。
Ref:
http://www.sudanarchive.net/ [436]
http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/IRIN/9b43a1f73b4b7e9eb3312f7a6cf7fce9.htm [437]
http://www.balancingact-africa.com/news/back/balancing-act_290.html#head [438]
米国国立公文書館(NARA)が管理・提供する記録文書に対しては,1995年以来,「国家の安全上機密指定されているものも,正当な承認を得ないまま機密指定を外され公開されている」とする連邦政府機関によって,公開されている記録文書の妥当性の調査と,問題のあるものを非公開とする措置が行われてきた。これに対し歴史家や研究者からは,「このような措置のために,公開されていた数多くの歴史的な記録文書が見られなくなった」という批判が上がっていた。
このような批判を受けて,米国国立公文書館(NARA)のワインシュタイン館長(Allen Weinstein)は2006年2月22日,「不適切な公開措置はセキュリティに関する潜在的な脅威となり,不適切な非公開措置は情報の自由な流通を阻害する」として,公開されている記録文書を見直して非公開とした各機関の措置に対する監査を行うと発表した。その結果が4月26日,ウェブサイトで公表された。
監査結果によると,これまでで少なくとも25,315点の記録文書が,見直しの結果公開から非公開にされたという。そのうち約40%が,自機関の文書が適切な承認を得ずに公開されていたという理由,残りの約60%が,公開について他機関に照会すべき文書であったという理由によるものであった。このような非公開措置は,エネルギー省(DOE)や中央情報局(CIA)などの連邦政府機関がNARAとの場当たり的な合意に基づいて行っていたほか,NARA自身も自主的な対応として行っていた。さらに,非公開措置が取られた記録文書のサンプリング調査を行ったところ,その64%は非公開措置が妥当なものであったが,24%は明らかに不適切,12%は疑問が残るものであった。
NARAはこのような結果を受けて,非公開措置に関する基準がないことが最大の問題であるとした。そして「件数に加え,どのような記録文書が非公開とされたのか明示する」という暫定的な手引きを作成して各機関の合意を取り付けた。さらに今後は,機密指定のシステム全体の見直しを行っていくとしている。
Ref:
http://www.archives.gov/declassification/ [440]
http://www.archives.gov/isoo/reports/2006-audit-report.html [441]
米国では2006年5月2日,連邦政府の資金援助による研究成果についてオープンアクセス化を求める法律案“Federal Research Public Access Act(FRPAA:S.2695)”が上院に提出され,現在審議が進められている。この法案は,1億ドル(約115億円)以上の外部委託研究費をもつ連邦政府機関から助成を受けた研究について,査読雑誌に掲載されたすべての研究論文を6か月以内にオンラインでオープンアクセス化しなければならない,というものである。この法案に対しては,米国大学・研究図書館協会(ACRL)や多くの図書館関係者などからは好意的な評価が寄せているが,出版業界や一部の学会からは反対の声があがっており,審議の行方が注目されている。
そのような中,米国の市場調査会社 Harris Interactive は,研究資金の援助と成果の公開に関する世論調査の結果を「医療問題やその他のトピックについて連邦の資金援助を受けた研究成果のオンラインアクセスに関する報告書」(Online Access to Federally-Funded Reserch Findings on Health Issues and Other Topics)にまとめ,2006年5月31日に公開した。
この調査によると,連邦資金の援助を受けた研究成果について,医師に対して無償提供されるべきと,83パーセントの人々が考え,医師ばかりでなく,だれに対しても無償公開されるべきと,82パーセントの人々が答えたという。また,このような情報を簡単に入手できるようになれば,病気治療の可能性を発見するスピードが高まると考える人々は,62パーセントに上った。一方,何らかの資金援助をうけているにもかかわらず,科学雑誌にその成果を公表し,その結果,購読料を支払った者のみが利用できることには,53パーセントの人々が反対の考えを示した。
Ref:
http://cornyn.senate.gov/doc_archive/05-02-2006_COE06461_xml.pdf [443]
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060508-2.shtml [444]
http://www.openaccessjapan.com/archives/2006/05/post_54.html [445]
http://www.ala.org/Template.cfm?Section=News&template=/ContentManagement/ContentDisplay.cfm&ContentID=125401 [446]
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_05_07_fosblogarchive.html#114727228384472074 [447]
http://www.harrisinteractive.com/harris_poll/index.asp?PID=671 [448]
図書館資料のデジタル化によって,より簡単に資料へアクセスすることができるようになった。また,原資料に代えてデジタル版を提供できることから,資料の保存性も向上した。
しかし,知的財産法におけるデジタル化の位置づけはまだ明確でないところも多い。こうした問題意識のもと,デジタル資料の保存・アクセスにかかわる知的財産権の管理に関して図書館が抱えている課題を整理したレポートが,先ごろ英国の公共政策研究所(Institute for Public Policy Research:IPPR)から発行された。
すでに出版された資料のデジタル化は,著作者の側からみれば著作物へのアクセスの可能性が高まり歓迎すべき状況である。その一方で,図書館や出版社は,ライセンスやデジタル著作権管理(DRM)といった新しい技術・手法を用いて著作物の利用制限を課すという形で,ごく一部の出版社が著作物を独占してしまうのではないかといった懸念を抱いている。このレポートでは,著作権その他の知的財産権の概要,デジタル情報へのアクセスに係る著作権法の図書館への影響,デジタル情報の保存に関する政策といった項目について解説しているほか,最も重要な課題として,デジタル形式で保存された資料へのアクセスと利用の方法を挙げている。その上で,この課題の解決に向けて,図書館と著作権者の協力が必須であると結論づけている。
Ref:
http://www.ippr.org.uk/ecomm/files/preservation_access_ip.pdf [449]
http://www.managinginformation.com/news/content_show_full.php?id=4963 [450]
公共図書館が今後どのように発展していくべきかといった国レベルの戦略を話し合うセミナー“Developing Public Libraries: national strategies in Europe”が,2006年4月にロンドンのフランス協会(l'Institut Francais de Londres)で開催された。
ホスト国の英国では,2003年に文化省から発表された『将来への枠組み (Framework of Culture)』(E056 [453]参照)や博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)の活動に伴い,それまで自治体が独自に行ってきた公共図書館の計画・運営に対する中央政府の影響力が高まりつつあるという変化が見られる。こうした中央政府レベルの公共図書館政策についてはMLAから,特にロンドン市内の公共図書館政策の方針についてはロンドン図書館開発庁(London Libraries Development Agency:LLDA)から,それぞれ発表が行われた。
あわせて,ドイツ,スペイン,フィンランド,フランス各国における国家レベル,または地方政府レベルでの公共図書館政策についても発表された。これによると,フィンランドのLibrary Strategy 2010,ドイツのBibliothek2007など,多くの国が中長期の計画を立てている。また,今後取り組むべき課題,あるいは現在取り組んでいる施策としては,図書館サービスの評価(フランス),デジタル資料の保存(スペイン),生涯学習や情報通信技術(ICT)に関するリテラシー教育への関与(ドイツ),職員の育成と図書館ネットワークの形成(フィンランド)などが挙げられている。
Ref:
http://www.goethe.de/ins/gb/lon/wis/sbi/en1435033.htm [454]
http://www.goethe.de/mmo/priv/1073952-STANDARD.pdf [455]
http://blogbbf.enssib.fr/?2006/06/01/59-le-developpement-des-bibliotheques-publiques-strategies-nationales-en-europe [456]
E056 [453]
Yahoo!やGoogleといった世界を席巻する米国産検索エンジンに対抗して,ヨーロッパ独自の検索エンジンを作る“Quaero”(ラテン語で「探す」の意)プロジェクトが,フランス・ドイツ両国政府の主導により2005年4月から進められている。このプロジェクトには,フランスのトムソン社,フランステレコム,ドイツテレコムといった企業もかかわっている。また,2006年4月に行われたシラク大統領の演説の中では,Quaeroプロジェクトはフランスの産業技術革新庁が今後2年間に実施する6つの開発プロジェクトのひとつとして挙げられている。
Quaeroプロジェクトでは,Googleに対抗するだけではなく,画像・動画・音楽を含めた各種コンテンツを統合的に検索できるようにするほか,携帯電話やテレビからでも求める情報にアクセスできるなど,Googleには見られない機能も加えた検索エンジンを作り上げる計画が立てられている。しかし,「既に大きなシェアを占めているGoogleに十分対抗しうるものができるかどうかは未知数である」ことや,「開発は中央集中型で行われており,開発の過程がオープンにされていない」「ウェブの最新動向に対応できていない」 「いつ完成するか分からない」などといった理由から,このプロジェクトは失敗に終わるといった指摘もされている。なお,“Quaero”という名前はプロジェクト自体の名称で,検索エンジンの名称は別のものになるといわれている。
Ref:
http://www.gtfa-2006.com/ [458]
http://fr.wikipedia.org/wiki/Quaero [459]
http://www.lalibre.be/article.phtml?id=3&subid=85&art_id=266363 [460]
http://www.elysee.fr/elysee/elysee.fr/francais/interventions/discours_et_declarations/2006/avril/discours_du_president
_de_la_republique_a_l_occasion_de_la_presentation_des_actions_de_l_agence_de_l_innovation_industrielle.47545.html [461]
http://www.loiclemeur.com/english/2006/05/quaero_10_reaso.html [462]
http://www.businessweek.com/globalbiz/content/mar2006/gb20060330_385311.htm [463]
http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/infostand/2006/01/23/7051.html [464]
2006年5月23日,米国オハイオ州のTV局が,公共図書館における暴力・ポルノ・性行為の実態を調査した番組を放映した。TV局が州内の2つの公共図書館を調査したところ,過去6か月間に,利用者が銃口を突きつける,児童ポルノをダウンロード・印刷する,トイレや子どもから見える場所で性行為,自慰行為を行うなど,50以上の問題行動があったという。またこの調査結果を裏付ける証拠として,問題行動の一部を隠しカメラで撮影したものも公開されている。番組では,公共図書館の資料の盗難対策に巨額の税金が投入されている一方で,このような問題行動への対応が十分でないことを厳しく批判した。
このTV番組のブログには,この報道を知った図書館員を含む多くの人から賛否のコメントが寄せられている。「図書館はもっと対応を強化すべき」「図書館でも親が子どもから目を離さないようにするべきだということを喚起してくれて良かった」といった肯定的な意見から,「問題利用者はごく少数でありそれを取り立てて扱うのは不適切」「プライバシーの問題から,利用者がPCで何を見ているか検閲することはできない」「現実問題として利用者や子どもを監視することは不可能」「図書館員は警察官やベビーシッターではなく,不適切な行為に子どもをさらさないのは親の義務である」「他の公共施設でも同様のことが起こっている」「図書館が社会の役に立っている面を無視するな」「隠し撮りは倫理的に問題である」といった否定的な意見まで,多岐にわたっている。「問題利用者への対応には,図書館も苦慮している」といった図書館員からの意見も散見される。このようなコメントから,米国の図書館の社会的役割や,利用者の自由に関する認識を垣間見ることができよう。
Ref:
http://www.wkyc.com/monday/monday_article.aspx?storyid=52623 [465]
http://www.wkyc.com/weblog/carlmonday/2006/05/perverts-paradise.html [466]
http://lisnews.org/articles/06/05/24/182240.shtml [467]
これまで民間を中心に利用されていたブログ, RSS, ソーシャルネットワークサービス(SNS), Wikiといったソーシャルソフトウェアを, 地域のコミュニティ形成の道具として行政部門でも積極的に活用しようとする動きが進められている。
総務省は,平成17年度に行った「ICTを活用した地域社会への住民参画のあり方に関する研究会」および東京都千代田区・新潟県長岡市で行った地域SNSの実証実験の成果をもとに, 先日「住民参画システム利用の手引き」を公開した。
この手引きは,現在の地域を取り巻く環境について,従来の行政手法では対応できない領域(子育てや介護,地域の安全の確保など)が生じていると分析し, 地域社会の課題解決のためには,地域住民の参画と地域コミュニティの再生が不可欠であるとして, 情報通信技術(ICT)の活用による地方行政を含めた地域社会への住民参画の可能性について論じている。たとえば住民参画の手段としてはネット上の掲示板や会議室を活用して議論に参加したり, 自治会や町内会とは異なるテーマ別のコミュニティを形成することができる, といった利点があるとしている。また住民の相互理解や信頼関係の構築, 情報の共有を前提としたコミュニティを形成する有効なツールとしても, SNSは期待されている。
図書館界においても, ソーシャルソフトウェアを導入してウェブサイトを構築し, 新たなスタイルの情報提供を進めている機関やライブラリアンが増加している。カナダではこのようなソーシャルソフトウェアの重要性に注目して, 図書館情報学課程の独立した科目として講義の対象とする大学が現れている。
西オンタリオ大学講師をつとめるAmanda Ethches-Johnson氏のブログによれば,同大学の情報メディア学科で,ブログ,Wiki,RSS,オンラインブックマーク,ソーシャルネットワーク,その他の技術(インスタントメッセンジャー,ポッドキャスト等)について,それぞれ1〜2週間程度ずつ,半期の講義が開講される予定である。この講義では, ソーシャルソフトウェアを実際の利用者サービスの場面に即して利用して, 図書館サービスにおけるソーシャルソフトウェアの意義について議論をおこない, 実際の情報組織化に利用可能なソフトに関する理解を深めることを目的としているとのことである。
この記事に対して「すばらしい」「興味深い」といった声が同ブログのコメント欄に多く寄せられている。ソーシャルソフトウェアが図書館サービスに及ぼす影響の大きさがあらためて印象付けられた感がある。
Ref:
http://www.soumu.go.jp/denshijiti/ict/index.html [468]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060413/235223/ [469]
http://www.blogwithoutalibrary.net/?p=197 [470]
http://www.fims.uwo.ca/ [471]
CA1565 [472]
2006年5月,米国研究図書館協会(ARL)の第148回会員集会が,カナダ研究図書館協会と協同で開催された。この会議資料が,ARLのウェブサイトで公開されている。
今回の集会のテーマは「デジタル・サイエンスとその助成における国際的重要性」であり,3日間に渡って多くの発表が行われた。基調報告では,ARLのショットレンダー(Schottlaender Brian)議長に続き,英国図書館(BL)のブリンドリー(Brindley Lynne)館長,米国議会図書館(LC)のマーカム(Marcum Deanna)図書館サービス担当副館長が発表を行った。
ブリンドリー館長は,BLが行っている国際的な助成プロジェクトや新聞のデジタル化プロジェクト,また欧州デジタル図書館(E390 [235]参照)やGoogleの図書館蔵書デジタル化の試み(CA1564 [474]参照)などの例を紹介しながら,「国境や組織を超えて協同し, デジタル化された資料をできる限り多く作ることが, デジタル世界で研究図書館の役割を拡大するのに必要不可欠である」として,国際的な協同,模範事例の共有などの必要性を訴えた。また, マーカム副館長は,英米の学術協同事業の展開や,米国におけるオープンアクセスの状況を説明した上で,「デジタル資源の増加に伴い検索サービスの重要性も増している」として,書誌コントロールの分野でのLCの役割と,今後の方向性,課題について説明している。
このほかにも,オープンアクセスと著作権の問題,研究図書館の使命・アイデンティティなどをテーマとした発表が数多く行われており,デジタル環境下において,北米の研究図書館が向かうべき方向性や課題についての認識を端的に知ることができる。
Ref:
http://www.arl.org/arl/proceedings/148/ [475]
E390 [235]
CA1564 [474]
貸した本が期限を過ぎてもなかなか返してもらえない,というのは図書館にとって大きな悩みの種であろうが,北米の公共図書館では,借りた本を返却期限までに返さない場合に延滞料を科しているところがある。
中には,利用者からの延滞資料・延滞料の取り立てを専門の企業に依頼するところも出てきている。Unique社は米国・カナダの750の公共図書館に対し延滞料の回収代行サービスを提供しているが,最近1年間で6,400万ドル(約76億円)相当の資料代,延滞料を回収したとのことである。専門の企業を利用していない図書館でも, 例えばシカゴ公共図書館は1,100万ドル(約12億4千万円), サンディエゴ公共図書館でも92万ドル(約1億円)の延滞料(いずれも2005年)を回収しており, 延滞料は大きな収入源にもなっているという。
一方,ボストンのドーバー図書館では,「延滞料を科すことは,利用者にとって金銭面・精神面で大きな負担であり,図書館から利用者が遠ざかってしまう原因にもなりかねない」といった考えから,数年前から延滞料を科さないようにした。本を延滞した場合はその本を返すまで次の借り出しはできないというペナルティで対応しており,利用者には良心的と評価されているが, 延滞が減っているわけではないようである。ただし,ドーバー図書館でも, 本をなくした場合,破損させてしまった場合には相応の罰金を科しているようである。
Ref:
http://www.csmonitor.com/2006/0525/p13s01-lign.html [476]
http://msnbc.msn.com/id/12149632/ [477]
インターネットを介したコンピュータのウィルス感染や情報流出事故が多発していることもあり, 情報セキュリティに対する関心が高まっている。政府レベルでは内閣官房や警察庁, 経済産業省など関係する各省庁で取り組みがなされているが, 総務省も2003年から, コンピュータやインターネットを安心して利用するための知識や, 情報セキュリティへの対策を国民が習得するために「国民のための情報セキュリティサイト」を設置している。このたびインターネットをめぐる緊急度, 重要度が高まっていることを受けて, 2006年6月2日, 同サイトにスパイウェア, フィッシング詐欺, ワンクリック詐欺等に関するページが追加された。
同サイトは, 情報セキュリティについての知識, 利用方法に応じた対策と実践の2つのテーマからコンテンツが構成されている。「知識」では情報セキュリティの重要性や具体的な内容, 基礎知識, 用語辞典, 事故・被害事例を紹介している。一方「対策と実践」では, エンドユーザー, ホームページ開設者, 企業・組織といったユーザー層を想定して, それぞれが行うべき具体的な実践内容を紹介している。一部の説明にFlashによるアニメーションを用いているほか, 読みがなをつけたり, 難しいことばをやさしく言い換えたりしている小学生向けページを設置するなど, わかりやすさを重視した設計になっている。
また, 情報セキュリティ対策の重要性を訴える電子メールを, 6月9日に一斉送信する方針も明らかにしている。この電子メールは, 社団法人日本インターネットプロバイダー協会の協力を得て, 加盟各社から加入者に向けて発信される予定である。
Ref:
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/security/index.htm [478]
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060602_2.html [479]
Brennan Center for Justice at New York University School of Law. Internet Filters: A Public Policy Report. 2nd ed. 2006, 80p. (オンライン), 入手先 < http://www.fepproject.org/policyreports/filters2.pdf [480] >, (参照 2006-06-05).
2006年5月,ニューヨーク大学ロースクールのブレナンセンターが,「表現の自由政策プロジェクト」の一環として,インターネット・フィルタリングの状況に関する報告書を発表した。この報告書の初版は2001年に刊行されたものであり,今回刊行された第2版は,2001年以後の状況について,フォローアップしている。
報告書の導入部分では,「子どもをインターネットから保護する法律(Children's Internet Protection Act: CIPA)」(CA1473 [481],CA1572 [482]参照)に関して,その経緯と,図書館の対応状況について解説している。米国図書館協会(ALA)や米国市民自由連合(American Civil Liberties Union:ACLU)の調査によれば,2003年に最高裁がCIPAを合憲とした(E098 [483]参照)ことを機に,大多数の図書館がフィルタリングソフトを導入したという。ロードアイランド州では,最高裁判決以前には4分の1以下の図書館しかフィルタリングソフトを導入していなかったが,2004年7月には,すべての図書館が州レベルのコンソーシアムが推奨するソフトを導入したという。ただし,最高裁判決で認められた,成人利用者の求めに応じてフィルタリングを無効化する措置については,十分に理解されておらず,対応していない図書館も少なくないという。
本編では,19のソフトについて,概要を紹介するとともに,関連する既存の調査研究をレビューし,どのような問題点があるかを指摘している。ほとんどのソフトが,内容に問題がないと思われるものについてまで過剰にフィルタリングしており,中にはソフトを開発しているベンダーの思想が反映されていると思われるものもあったという。報告書は最後に,CIPAに基づいた適切なフィルタリングのためには,「過剰にフィルタリングするソフトは使わない」「設定変更が容易なソフトを使い過剰な設定を解除する」「利用者からの要求に応じて適切に無効化する」「利用者が見るトップページにフィルタリングに関する説明を掲載する」「インターネットに関する教育や性教育,メディアリテラシーといったインターネットの安全性に関する教育プログラムを開発する」といった対応を取るべきである,と提言を行っている。
Ref:
http://www.fepproject.org/policyreports/filters2factsheet.pdf [484]
http://www.fepproject.org/press/Filters2.pdf [485]
CA1473 [481]
CA1572 [482]
E098 [483]
米国の大手書誌ユーティリティであるRLGとOCLCの評議委員会はこの度,2006年7月1日付けで組織の統合を行うことを発表した。OCLCとRLGの双方が提供している類似のサービスをOCLCからの提供に一本化するもので,統合後の組織名は“OCLC(Online Computer Library Center)”が引き継がれる。RLGの会員機関は,統合案の是非について6月7日までに投票することになっており,3分の2以上の賛成が得られれば統合となる。
1974年に設立されたRLGは,150以上の図書館,文書館,博物館等で構成される非営利団体で,約400の言語,幅広い分野をカバーした総合目録を提供している。また,OCLCは1969年に設立された非営利団体で,109か国54,000の図書館に対してコンピュータを用いた目録・資料保存サービスを展開している。今回の統合では,RLGの総合目録をOCLCが提供するWorldCatに統合することになっており,総合目録の統合後の名称はWorldCatとなる予定である。OCLCは,WorldCatをYahoo!,Googleなどの検索エンジンを通して利用できるよう取り組んでいるところであり(E354 [486]参照),今回の統合にはWorldCatの収録範囲を拡大する狙いがあるとの見方もある。
OCLCのCEOであるジョーダン(Jay Jordan)氏によると,今回の統合によって情報の収集・保存・提供をより効果的に行うことができ,業務の冗長性がなくなるとともに,両者のサービスの相互運用性を高める効果が期待できるとのことである。
Ref:
http://www.rlg.org/en/page.php?Page_ID=20942 [487]
http://www.oclc.org/news/releases/200618.htm [488]
http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060508-1.shtml [489]
E354 [486]
韓国では,住宅建設基準などに関する規定(大統領令19263号)により,300世帯以上の共同住宅を建設する場合には,図書館および読書振興法施行令(大統領令18312号)で規定する「文庫」,すなわち,33平方メートル以上の建物,6席以上の閲覧席,1千冊以上の資料を有する読書施設を事業者が設置しなければならないと定められている。また同様に,300人以上の従業員を擁する事業所や,6階建て以上の建物についても,各自治体は文庫の設置を積極的に勧奨しなければならないことになっている。
首都ソウルの周辺地域を管轄する自治体・京畿道が2005年10月に共同住宅を対象に行った調査によれば,この規定にもかかわらず,資料不足で利用者がほとんどいない文庫や,会議室や倉庫代わりに使われている文庫などが大部分であったという。この状況を憂慮した京畿道は,現在の規定を変えてより規模の大きい子ども図書館を設立するよう義務付けてほしいと行政機関に要望している。
一方で,新しく分譲されるマンションにおいては,文庫はもとより電子図書館まで備えることが流行しているという。E404 [493]で紹介したとおり,韓国では電子本業者の成長が著しいが,各社が複数の建設業者とタイアップして,入居者に無料でPCや携帯電話,携帯端末(PDA)などに電子本を貸し出すサービスを展開している。多いところでは合計10万冊の電子本が利用でき,定期的に入れ替えもなされるという。読んだ電子本の感想を入居者同士で交わす機能を提供しているシステムもあり,コミュニティ形成への貢献も期待されている。
Ref:
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=73521 [494]
http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60554 [430]
http://www.kiib.co.kr/news/session_view.asp?tbl_str=news_01&news_num=51755 [495]
http://www.etnews.co.kr/news/detail.html?id=200512080024 [496]
http://www.kmib.co.kr/html/kmview/2006/0504/092017805211151100.html [497]
http://inews.mk.co.kr/CMS/economy/all/real/mk/7356724_2818.php [498]
E404 [493]
2006年5月4日付けアラブニュース紙によると,サウジアラビアのアブドラ国王が図書館評議委員会に出席し,現代の技術と,文化や知識についての膨大な情報を駆使して,図書館や情報センターを改善するように指示した。
サウジアラビアには現在,約80の公共図書館が存在しているが,このほとんどは大学に付設されており,一般市民,特に女性にとって,図書館を娯楽・教育の場として利用する機会は制限されていた。この状況を問題視した文化情報相が2005年9月,公共図書館の増設,蔵書の強化,文化施設への転換,一般市民,特に女性への開放といった図書館拡充計画を打ち出したところである。
国王はこのような状況を踏まえて,「イスラム原理主義を排除し,真のイスラム教育を推進しなくてはならない」として,イスラム教とサウジアラビアにともに貢献するよう要請した。具体的には,多様な文化の科学,知識,文学,芸術についての調査研究および相互翻訳の重要性を説き,またアブドル・アジズ王公共図書館が行っているサウジアラビア百科事典を製作するプロジェクトに対しても,アラビア語と英語の両言語で作成しインターネットでも提供するように要望した。また,最新の技術を用いて,アラブ文化,とりわけアラビック・カリグラフィーを保存するように,とも指示した。
Ref:
http://www.arabnews.com/?article=81673 [499]
http://www.arabnews.com/?article=70814 [500]
国際標準化機構(ISO)は,5月8日付のプレスリリースで,Open Document Format(ODF)をISO/IECの標準(ISO/IEC 26300)として認めたことを発表した。ODFは,オープンソースのソフトウェアOpenOffice.orgで用いられるXMLベースのファイルフォーマットであり,XML関連の標準化団体であるOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)においても2005年に標準として認められている。政府機関が発行するデジタル文書のフォーマットの標準化を求めて活動しているODF Allianceは5月3日付けプレスリリースで,ODFがISO標準に認められたことは「政府文書の保存・管理方法の効果的なあり方を見出す重要な出来事」であると述べている。
現在,オフィス文書の多くはごく少数の文書作成ソフトを用いて作成されているが,この場合,最初から最後まで同じソフトウェアを用いて作業を行う必要があり,かつ保存された文書は作成の際に用いたソフトウェアでなければ修正することも見ることもできないことがある。これに対して,ODFフォーマットにより保存された文書は,ファイルが作成されたアプリケーションに依存せず,ODFに対応している他のアプリケーションでも編集が可能である。
一方,マイクロソフト社の“Office 12”の標準ファイル形式Microsoft Office Open XMLも,XMLベースのファイル形式として標準化を目指している。こちらは2005年に発表されたもので,マイクロソフト社のほかアップル社や英国図書館(BL)などが共同提出者として名を連ねている。国際的な標準化組織であるEcma Internationalはこのほど,これをベースとした“Office Open XML File Formats 1.3”のドラフト版を発表しており,こちらの標準かも注目される。なお,Open XMLを搭載したOffice 12ではOpen Document文書を直接処理できるようにはされない見込みである。
Ref:
http://www.iso.org/iso/en/commcentre/pressreleases/2006/Ref1004.html [501]
http://www.odfalliance.org/ [502]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060504/236970/ [503]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/USNEWS/20060522/238521/ [504]
http://www.ecma-international.org/news/TC45_current_work/TC45-2006-50.htm [505]
今年で5回目となる「フリーコミックブックデー」が,2006年5月6日に全米各地の協賛コミック専門書店をはじめとして,日本を含む世界各地で開催された。中心行事はコミックブックの無償配布で,「フリーコミックブックデー」に協賛する全米のコミックブック専門出版社が,配布用に編集したものを準備する。
この日にあわせて,一部の公共図書館ではコミック専門書店と協同して,図書館利用を促進する行事を行っている。たとえばサンディエゴ市の書店では,通常であれば4点の無料コミックを配布するところを,公共図書館の利用者カードの提示によって,さらにもう2点のコミック配布が受けられるようにした。またハワイ州では,書店から提供されたコミックブックを図書館が利用者に配布した。これらのほかにも,類似の事業を実施した図書館がいくつかあるとのことである。図書館と専門書店が協調することで,コミックブックの顧客層拡大を見込んでいる。
ここでいうコミックブックとは,いわゆるアメリカン・コミック(アメコミ)のことを指し,米国に起源を持つ独自のアートとして認識されている。1980年代以降は,専門の出版社数社から毎号30ページ前後の分量で刊行され,通常の書店では販売されておらずアメコミ専門の書店において販売されている。
Ref:
http://www.freecomicbookday.com/Default.asp [507]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6333717.html [508]
全国公共図書館協議会. 2005年度(平成17年度)公立図書館におけるレファレンスサービスに関する報告書. 2006. 59p. (オンライン), < http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/r05_allchap.pdf [509] >, (参照2006-5-23)
全国公共図書館協議会は2003年度から,「公立図書館におけるレファレンスサービス」に関する調査・研究を実施した。初年度である2003年度には,全国の都道府県立図書館,市区立図書館,町村立図書館の各中心館を対象に,「公立図書館におけるレファレンスサービスに関する実態調査」を実施し,続く2004年度には調査データの分析および事例報告がおこなわれた。これらをふまえ公共図書館におけるレファレンスサービスのモデル提示を目標とする調査・研究を実施し,2006年3月にその成果報告書を公表した。
今回公表された『2005年度(平成17年度)公立図書館におけるレファレンスサービスに関する報告書』では,調査・研究報告として小田光宏氏執筆の「レファレンスサービスの改善と向上に向けてのガイドライン(案)」および吉田昭子氏執筆の「レファレンスサービスに関する規程類について」が,事例報告として「特色のあるレファレンスサービスの事例」が,それぞれ掲載されている。
「レファレンスサービスの改善と向上に向けてのガイドライン(案)」では,2003年度から実施されてきた調査・研究および今回実施した訪問調査に基づき,市町村の図書館(政令指定都市・中核市・特例市をのぞく)におけるレファレンスサービスの理想像を具体的に示し,現状改善の方策が提言されている。用語,サービス内容,サービス範囲,施設と設備,レファレンス担当者,レファレンスコレクション,PR活動,記録,経営,評価の10項目についての指針に加え,さらに「ガイドライン(案)」の充実にむけての今後の課題が提示されている。
「レファレンスサービスに関する規定類について」では,2003年度の「実態調査」の分析として,調査時に収集した各図書館の規程,内規,マニュアル類を,タイトルに用いられている用語,インターネット等の利用規程やレファレンスサービス規程との関係の観点から考察を加えている。さらに1961年に編纂された日本図書館協会公共図書館部会参考事務分科会「参考事務規程」と,1999年に改訂された「東京都立図書館情報サービス規程」を対照表を用いて比較している。
また「特色のあるレファレンスサービスの事例」では,全国24館における公共図書館のレファレンスサービスの事例を,ビジネス支援,学校支援,行政支援,その他の4分野に分類して紹介している。
Ref:
http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/rallchap.pdf [510]
http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/r2allchap.pdf [511]
Nicholas, David et al. The Big Deal - ten years on. Learned Publishing. 18(4), 2005, 251-257.
ビッグディールによる電子ジャーナルの提供(CA1586, E463)には,賛否両論あるが,その評価は少なくとも具体的な事実に基づいて行われるべきだろう。ユニバーシティカレッジロンドンのニコラス(David Nicholas)らは深層ログ分析という独自手法を用いて,電子ジャーナル利用に関する研究を精力的に行っている。本論文はOhioLINKを対象にした調査報告である。
調査は2004年6月から12月までのOhioLINKの利用ログをもとに行われている。2004年10月当時,5,872タイトルが利用可能であったが,そのうち全文が閲覧されたタイトルは88%にも達しており,目次や抄録も含めて一度も閲覧されなかったものは4タイトルに過ぎなかった。Emerald Insight(http://www.emeraldinsight.com [512])を対象にした別の調査では,英国の伝統校,新興校のいずれにおいても, ビッグディール契約館は同サイトを繰り返し利用する利用者の割合が,非契約館よりも高かったという。著者らは深層ログ分析により見いだされた,本来はインタビュー,質問紙調査,エスノグラフィーによって問われるべき種類の問題点を,これらの調査方法を通して今後明らかにするそうである。
なお,先日公表された「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」でも,「電子資料の利用状況の把握のための評価指標の開発」の必要性が言及されており,日本においても電子ジャーナルの利用状況とその効果を測定する調査研究が求められる。著者らが言うように,これらの調査から得られる知見は図書館だけでなく出版界にとっても有益だからである。
(慶應義塾大学大学院:三根慎二)
Ref:
CA1586 [513]
E463 [514]
Nicholas, David et al. The information seeking behaviour of the users of digital scholarly journals. Information Processing & Management. vol.42,no.5, 2006, p.1345-1365
http://web.utk.edu/~tenopir/maxdata/ [515]
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/06041015.htm [516]
米国・ピッツバーグ市のカーネギー図書館が,110年の歴史において初めて地域への貢献度を計量化した。カーネギー図書館とカーネギーメロン大学の経済開発センターは,カーネギー図書館の地域への影響を「投資に対する効果=経済的価値」「地域社会や住民に対する寄与」といった側面から分析した結果を報告書にまとめ,この度発表した。
この調査は2005年,1,300人を超える個人や2つのフォーカスグループ(ビジネス利用者,関連機関の人)を対象とした調査,費用対効果分析などにより行われた。経済面での影響では,年間9,100万ドル(約101.4億円)以上の経済効果(1ドルの投資に対して3〜6ドルの利益)をもたらしていることや4,100万ドル(約45.7億円)相当の図書・DVD・データベースなどを無料で提供していることが,地域住民に対するリテラシー教育との関係・地域社会への寄与については,子どもの読書を推進する施策を行っていること,図書館計画へ多くの地域住民の参画を得ていること,図書館における集会活動などに利用されていることなどが,それぞれ示されている。
また,地域住民の間で,リテラシー教育・学習への寄与をはじめ,暮らしの質(QOL)の向上,子どもや若者を対象とした活動などにおいて図書館の活動が利益をもたらしているとの認識が高いとも報告されている。
Ref:
http://www.carnegielibrary.org/about/economicimpact/ [517]
英国では1992年以来,乳児がいる家庭に本を贈り,親と子がいっしょに本にふれる機会を促進する国家プログラムとして,ブックスタート(Bookstart)事業が行われている(CA1498 [518]参照)。2008年までという時限付きの措置ではあるものの,2005年10月からブックスタートはさらに拡大され,英国の乳幼児は就学前に合計3回,本を贈られるようになっている。
2005年10月,英国教育技能省(DfES)のシュア・スタート課は,26の出版社・書店の資金援助のもと,これまで乳児の8か月検診の際に贈っていた“The Bookstart Pack”に加え,新たに,18か月を迎えた幼児に“Bookstart +”,3歳になった幼児に“My Bookstart Treasure Chest(宝箱)”を贈ると発表した。子ども向けの本や本を入れるバッグなどブックスタートのパック一式は,巡回看護士に持ってきてもらうか,保育園などの初等教育施設,図書館などで受け取ることができる。
なお,新たに追加された2つのパッケージには,ブックスタートに協賛している書店で子ども向けの本やオーディオブックを購入する場合に利用できる1ポンド(約210円)の割引券がついている。ブックスタートはまた,図書館が行っている乳幼児のいる家族向けサービスの利用や,図書館への利用者登録も促進しており,官民が協力して,乳幼児とその家族に対するサービスを提供する体制になっている。
(注):シュア・スタート(Sure Start)とは,すべての子どもが人生の「確実なスタート」を切れるよう,教育,保健,福祉,生活環境などについて政府が総合的な支援を行うプログラムである。
Ref:
http://www.bookstart.co.uk/bookstart/schemes/lammy.php4 [519]
http://www.bookstart.co.uk/bookstart/professionals/packs.php4 [520]
http://www.booktokens.co.uk/consumers/bookstart.asp [521]
http://www.mla.gov.uk/resources/assets//E/extending_bookstart_9400.pdf [522]
CA1498 [518]
CA1583 [524]で紹介しているとおり,米国の図書館界ではベビーブーマー世代の定年退職に伴う人員不足が懸念されている。しかし,ベビーブーマー世代の定年退職は,図書館職員の人口構成に影響を及ぼすに留まらない。健康で,活動的な高齢者が大幅に増加するということになり,図書館もこれらの利用者に対して,今までの高齢者サービスとは異なるサービスを展開する必要があるということである。このような認識のもと,全国規模で図書館を支援する活動を行うNPO「図書館のための米国人協会」(Americans for LibrariesCouncil:ALC)と博物館・図書館サービス機構(IMLS)が,2005年9月に「変化のためのデザイン:図書館と生産的なエイジング(加齢)」と題するフォーラムを開催した。このたび,その報告書が公開された。
フォーラムでは,図書館は活動的・生産的な高齢者に対し,生涯学習の機会と,コミュニティ活動への参加の機会を提供していくべきであること,また高齢者は図書館やコミュニティにとっての「財産」であり,協働していくべきであることが提起された。これらの認識のもと,(1)高齢者に対する社会的認識を変えていくために図書館が果たすべきリーダーシップ,(2)模範事例,(3)高齢者へのサービスに関する研修・教育カリキュラムの必要性,(4)実践事例を共有するためのネットワーク形成,(5)生涯学習や社会参加に関する,ボランティアセンターや健康教育機関,職業訓練機関などとのパートナーシップが主なテーマとして議論された。
ALCとIMLSは,今後もこのような議論や教育の場を設けたり,高齢者とともに行う図書館活動を支援したりしていくとしている。
Ref:
http://www.imls.gov/pdf/DesignsforChange.pdf [525]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6325542.html [526]
CA1583 [524]
英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)は,英国図書館(BL),国際図書館連盟(IFLA)の視覚障害者図書館セクションと共同で,視覚障害者に対する図書館および情報提供サービスの国際比較に関する研究を行うため,2006年4月12日に調査を担当する受託者の募集をウェブサイトで公告した。
この公告によると今回の調査では,視覚障害者に対する図書館および情報提供サービスがもつ文化的・社会的な背景,(2)各国における視覚障害者向け図書館サービスの提供元,(3)ボランティア,公営・私営といった組織形態,運営管理,財政,出版社を含む他のサービス提供者との連携,(4)提供されるサービスの範囲,活動,資料へのアクセスの方法,費用などを調査する。対象国は英国,米国,カナダなど14ヶ国で,アジアでは日本,韓国,ベトナムが調査対象とされている。また最終的に作成される報告書では,10から12のケーススタディを取り上げ,その中でも特に3〜4つ程度の事例を挙げて,長所や弱点およびその事例において鍵となる要素を詳細に検討するという。なお,調査報告書の提出期限は2006年10月31日とされている。
Ref:
http://www.mla.gov.uk/resources/assets//I/International_library_services_tender_9450.pdf [527]
米国政府印刷局(United States Government Printing Office:GPO)が刊行する政府刊行物は、国内外の連邦政府刊行物寄託図書館制度(Federal Depository Library Program:FDLP)やウェブサイト( http://www.gpoaccess.gov/ [529] )で閲覧することができるが、書店ではほとんど流通していないため、これまで商業ルートを通じての購入は困難であった。
そのような状況を改善すべく、GPOは2006年4月12日付けで、「政府刊行物の刊行と販売に関する官民協同案件」(Public-Private Partnership Opportunity in Publication Sales/Publishing Services)プランを策定し、6月1日まで提案募集(RFP)を行っている。
今回のRFPは、下記の4つの事業について、GPOに代わって政府刊行物を民間に円滑に供給する事業者を見つけることを目的としている。すなわち、
の4事業である。
事業者には、これらの4事業に関する新しいモデルの提案および計画の作成、事業の推進が求められている。最終的な目標としてRFPは、次の5点を掲げている。
Ref:
http://www.gpo.gov/news/2006/06news10.pdf [530]
http://origin.www.gpo.gov/partnership/ [531]
http://www.fbo.gov/spg/GPO/PSPSD/WashingtonDC/GPOID2005/SynopsisP.html [532]
E298 [533]
E202 [534]
CA1569 [535]
CA1548 [536]
科学技術データ委員会(Committee on Data for Science and Technology:CODATA)は2005年9月,南アフリカ共和国のプレトリアで発展途上国における科学情報の保存に関するワークショップを開催したが,このほど,その最終報告書「南アフリカにおける科学情報への永続的なアクセスのための戦略:持続的発展のための健康情報,環境情報に焦点を当てて」(Strategies for Permanent Access to Scientific Information in Southern Africa: Focus on Health and Environmental Information for Sustainable Development)が公表された。
このワークショップは,(1)南部アフリカ開発共同体(SADC region)の持続的発展に関する科学情報資源,特に生物医学,地球・環境科学分野などの情報資源の共有,保存の現状を概観する,(2)デジタル形式の科学情報資源への永続的なアクセスを保障するために,必要な要素(法制度,組織,技術など)を議論,(3)(2)で議論した,資料へのアクセスの改善・保存について今後の対応を考える,(4)分野・機関・国を超えた参加者のネットワーク作り,といった目的のもとに実施されたものである。報告書では,ワークショップの結果をふまえて,生物医学,生物多様性,地球・環境科学,科学・技術・医学(STM)雑誌といった分野ごとにデータ・情報の共有や管理についてとるべき対応を提案している。
Ref:
http://stardata.nrf.ac.za/html/workshopCodataPublications.html [538]
http://www.codata.org/ [539]
文化庁. 中国における著作権侵害対策ハンドブック. 2005. 173p. (オンライン), < http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/pdf/china_singai_handbook.pdf [540] >, (参照2006-04-12).
アジア地域では,映画,音楽,アニメ,ゲームソフトなど日本の著作物の海賊版が大量に流通しており,深刻な問題となっている。また権利侵害に対応するには,権利者が自らの権利を守るために訴訟など権利の執行を行う必要がある。
このため文化庁は,権利者自らが権利執行する際に必要な各国の法制度の調査を行い,情報提供を行ってきた。2005年度には,弁護士や業界団体の代表を中心とする「中国における著作権侵害の現状と対策に関する研究会」を設け,実用的で即戦力になる手引書としてハンドブックを作成した。これは2004年度の台湾版に続く,2つ目のハンドブックである。
中国は,世界貿易機関(WTO)加盟後のここ数年,知的財産権に関する法や制度の整備に力を入れるとともに,海賊版を含む著作権侵害についても重点的な取り締まりを行っている。しかし,2005年4月に発表された白書『中国の知的財産権保護の新たな進展』で中国政府自らが認めているとおり,十全な権利の保護までの道のりはまだ長いと見なされている。
このハンドブックでは,権利者が権利執行のため中国国内で取り得る手段,たとえば刑事訴訟,民事訴訟,行政機関による著作権保護制度(行政保護),調停などについて,その具体的な手続きを解説している。また,中国の著作権制度,インターネットに関連する著作権,行政・司法機関など関係機関の体制の解説も行っている。
Ref:
http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/taisaku.html [541]
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/xwdt/t192745.htm [542]
http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=759 [543]
米国図書館協会(ALA)は2006年4月3日,年次刊行物としては初めて,米国の図書館の現状を概括する報告書を発表した。2005年末にAmerican Libraries誌が選んだ「10大ニュース」(E439 [544]参照)と多くが重なっているが,米国の図書館界が直面している問題を端的に知ることができる。
報告書では,米国の図書館がいかに社会に貢献しているかが繰り返し強調されている。2005年8月のハリケーン「カトリーナ」(E369 [194],E396 [545]参照)や後続の「リタ」が襲来した際に,図書館は避難場所,救援物資の集積場,そして安否情報・生活情報の提供施設として十二分に機能した。またALAは,全国から30万ドル(約3,500万円)を越える募金や,サービス提供のためのブックモービルを集めたほか,2006年の年次大会を予定どおりニューオーリンズで開催することをいち早く発表し,雇用と税収を生み出すことによるコミュニティ復興支援を行うとした。また,子どもに見せたくない資料を遠ざける運動(E342 [546]参照)に対する抗議や,愛国者法における図書館条項の修正(E462 [547]参照)など,読書の自由や利用者のプライバシーを守るための活動も精力的に行った。
その一方で,予算の削減による図書館の閉鎖危機(E370 [548]参照),図書館員および司書養成課程教員の高齢化(CA1583 [524]参照),雑誌などの集合的著作物を遡及してデジタル化する際に著作権許諾を必要とするか否かに関する法廷論争,学校図書館・司書を教室・教員として位置づけるか否かに関する論争など,課題の多い状況も紹介している。
報告書は最後に,Googleの時代においても米国の図書館・図書館員は時代遅れの存在ではなく,コミュニティセンター,また情報提供者や情報アドバイザーとして,欠くことのできない役割を果たし続けていく,と締めくくっている。
Ref:
http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/march2006/stateoflibraries.htm [549]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6322516.html [550]
E342 [546]
E369 [194]
E370 [548]
E396 [545]
E439 [544]
E462 [547]
CA1583 [524]
学術論文の検索,閲覧が簡単にできるGoogle Scholar(E273 [551]参照)をはじめ,Googleは次々に新サービスを打ち出しているが,米国マイクロソフト社も,これらGoogleによるサービスに対抗しうる新たな検索サービスを開始すると発表した。RSS(CA1565 [472]参照)やAjax(Asynchronous Javascript and XML)といったWeb2.0的技術を採用したインターネットサービスで,3月から試験公開されている“Windows Live Search”の新メニュー“Windows Live Academic Search”である。
Windows Live Academic Searchは,2006年4月11日から米国,英国,ドイツ,イタリア,スペイン,オーストラリアおよび日本の7か国でベータ版の利用が可能になった。学術雑誌等に掲載された論文をキーワードから検索するもので,一般に公開されている論文には全文へのリンクも張られている。検索結果の一覧には著者名や論文の要旨といった詳細情報が示され,同じ著者が執筆したほかの論文も見ることができる,概要が容易に把握できる(Google Scholarの検索結果一覧は,検索語が出現する箇所の周辺2〜3行のみを表示)などの機能も有している。このほか,文献を引用する際に活用できるよう,BibTex,Endnote形式による書誌事項フォーマットも用意されている。
なお,マイクロソフト社はこのほか,Googleの“Froogle”(注)と似たサービスである“Windows Live Product Search”や,画像検索サービスなどの提供も予定している。
(注)オンラインショッピングサイトで取り扱われている商品の情報やサイト別の価格比較など,オンラインショッピングの際に参考となりうる情報を紹介するサービス。
Ref:
http://www.microsoft.com/presspass/press/2006/apr06/04-11WLAcademicSearchPR.mspx [552]
http://www.itworld.com/App/255/060407mssearch/pfindex.html [553]
http://weblogs.elearning.ubc.ca/googlescholar/archives/025077.html [554]
http://www.liveside.net/comments.php?catid=2&shownews=144 [555]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/08/11155.html [556]
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2006/04/13/100.html [557]
CA1565 [472]
E279 [551]
英ガーディアン紙によると英国図書館(BL)はこのほど,2001年以降の紛失・盗難資料の概要を,2005年1月に施行された情報公開法(Freedom of Information Act ; E289 [559]参照)に基づく情報公開請求に応じて公表した。
盗難資料は金額にして10万ポンド(約2,080万円)に及ぶ。この中には,サッカーチーム,マンチェスター・シティーに関する1905年以降の試合のプログラム,レッド・ツェッペリンのCDやローリング・ストーンズのレコード,貴重な古地図や,古い本の挿絵が含まれる。特にプロの窃盗犯は,貴重書の挿絵や古地図を標的に選んでおり,鋭利な刃物を館内に持ち込み,切り取って盗み出すので,甚大な被害が発生しているという。
排架間違いなどの紛失資料は2,216点で,全蔵書の0.0015パーセントに相当する。この中にはシェークスピアの戯曲も4点含まれている。またこの統計とは別に,多数の未返却資料が存在するが,罰金の支払いを示唆した督促状を送付すると,大半は返却されるということである。
BLの広報担当者によると,入館には事前申請が必要で,調査概要と居住地を証明する書類を提出させているという。しかも入館後はカメラによる監視下に置かれ,指定されたプラスティック・バッグに携行物を入れなければならない。さらに貴重書は監視のもとでしか閲覧が許されず,一部は原本ではなくファクシミリ版でのみ閲覧を認めるなど,盗難や紛失への対応策はとられているという。だがすべての本にセキュリティ・タグをつけるなどの対策は,時間とコストがあまりにかかり過ぎるために考えられない,としている
Ref:
http://books.guardian.co.uk/comment/story/0,,1746542,00.html [560]
E289 [559]
韓国では,ソウル大学を中心にして結成された学位論文全文共同利用協議会が,加入している全国158大学の学位論文全文データベースを構築し,2004年6月からインターネットで無料提供していた。ところが,このサービスに対し,著作権信託管理団体である複写伝送権管理センターからクレームがつき,同協議会や各大学がサービスを縮小する事態になっている。
韓国の著作権法第28条では,補償金を徴収することによって,著作権者の許諾を受けずに図書館でデジタル資料を出力したり,図書館から他の図書館にデジタル資料を送信したりすることができると定められている。国立中央図書館や国会図書館は,この通称「図書館補償金制度」のもと,販売資料は1ページ当たり5ウォン,非売資料は3ウォン(それぞれ約0.5円,0.4円)の補償金を利用者に負担してもらって,デジタル資料の印刷サービスを提供している。またこのサービスは館内の特定PCからのみ利用可能,と限定されている。
これに対し同協議会やソウル大学は,「図書館補償金制度施行(2004年)以前の論文は補償金の対象ではない」として,利用許諾を受けていない学位論文に対しても,補償金を取ることなくインターネットから無料で利用できるようにしていた。2006年2月,この見解に異を唱える複写伝送権管理センターが著作権法違反で両者を訴えた結果,両者は3月から,5千万ウォン〜8千万ウォン(約600万〜1千万円)かかるデジタル著作権管理(DRM)装置の導入,利用許諾を受けていない論文の学外への提供停止といった措置を余儀なくされている。
Ref:
http://www.segye.com/Service5/ShellView.asp?TreeID=1052&DataID=200604031542000152 [562]
http://www.cnbnews.com/category/read.html?bcode=6425 [563]
http://www.copycle.or.kr/library/lib.asp [564]
http://thesis.or.kr/content.jsp?content=board_view.jsp?tableName=board_notice&userGubun=user&num=118 [565]
http://library.snu.ac.kr/freeboard/boardNoticeView.jsp?tablename=board_notice&num=368 [566]
http://library.snu.ac.kr/freeboard/boardNoticeView.jsp?tablename=board_notice&num=371 [567]
失踪・虐待児童のための国際センター(International Center for Missing & Exploited Children" : ICMEC)と国際刑事警察機構(ICPO-Interpol)は,Interpolに加盟する184の国・地域を対象に,児童ポルノに対する立法状況についての共同調査をおこない,その報告書(Child Pornography:Model Legislation & Global Review 2006)を公表した。
この報告書によると,ICMECは立法状況を審査するにあたり以下の5つの基準を設けたという。
これらの基準をすべて満たしているのは米国,フランス,オーストラリアなど5ヶ国に過ぎず,ISPに関する基準以外の残り4つを満たし,「実質的に満たしている」とされているのも22の国・地域だけであるという。
逆に児童ポルノに関する明確な規定が全く存在しない国・地域は95に上り,うち児童ポルノに関する法律上の定義が存在しない国・地域が54,コンピュータを利用した児童ポルノに刑罰を科していない国・地域が27,配布を目的としない児童ポルノの所持を犯罪としていない国・地域が41,それぞれ存在すると報告書は伝えている。
報告書では最後に,このような現状を踏まえて,児童ポルノの(1)定義付け, (2)違反, (3)通報義務, (4)制裁や処罰,をふまえた立法モデルを提示している。
Ref:
http://www.icmec.org/en_X1/pdf/ModelLegislationFINAL.pdf [568]
カナダ国立図書館・文書館(Library and Archives Canada:LAC)はこのほど,2月1日付でLAC運営委員会の承認を得た「デジタル・コレクション構築方針」(Digital Collection Development Policy)を発表した。この方針は,2004年制定のカナダ図書館・文書館法(E226 [569]参照)に定められている収集対象のうち,ウェブサイトなどデジタル形式の資料の収集・保存を主眼としている。
近年,カナダにおいても最初から電子形式で発行される(ボーンデジタル)資料や,従来印刷体形式で出版された資料を電子化したものが増加している。このため,従来の媒体だけでなく電子資料も収集・保存することが必要であると認識されており,電子資料はLACの重点収集分野(注)にも加えられている。「デジタル・コレクション構築方針」に基づいてLACが収集する資料は,電子出版物(オンラインで入手できるもの,CD-ROMなどの記録媒体に保存されたものを問わず),LACが印刷体で所蔵している資料をデジタル形式で複製したもの,ウェブサイトなどを対象としている。ウェブサイトについては収集対象のガイドラインが定められているが,その他の媒体のガイドラインは作成中のようである。
(注)「蔵書構築の枠組み:主な方向性2005-2010」(Collection Development Framework: Key Directions, 2005-2010)では,特に重点的に収集する分野として電子資料,原住民関係資料など5分野を設定している。
Ref:
http://www.collectionscanada.ca/collection/003-200-e.html [570]
http://www.collectionscanada.ca/collection/024/003024-204-e.html [571]
E226 [572]
これからの図書館の在り方検討協力者会議. [文部科学省]. これからの図書館像−地域を支える情報拠点をめざして−. 2006. 34p. (オンライン), 入手先< http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701.htm [574] >, (参照2006-04-24).
文部科学省は2005年4月,今日の図書館の現状や課題を把握・分析し,生涯学習社会における図書館の在り方について調査・検討を行うため,図書館関係者や有識者による「これからの図書館の在り方検討協力者会議」を設置した。この協力者会議による調査・検討の成果報告書が取りまとめられ,2006年4月に公開された。
報告書はまず,地方公共団体,図書館職員,地域住民,各種団体・機関への「よびかけ」から始まる。図書館は地域の発展を支える情報拠点であり,地域の課題解決を支援する役割を積極的に担っていく存在であるとして,よりいっそうの図書館利用と,図書館への支援・協力をよびかけている。地域住民だけでなく,議会・行政・学校などの機関に対しても働きかけを行う必要があると繰り返し強調している点が,本報告書の特徴のひとつである。
第2章では,これからの図書館の在り方についての提案がなされている。レファレンスサービスの充実や資料・情報の効果的な提供による地域の課題解決支援,電子媒体や雑誌,新聞,音楽映像資料といった多様な資料の提供,学校との連携・協力や児童・青少年サービスの充実,図書館間協力や他の機関との連携・協力の推進などが提案されている。またこれからの図書館経営に必要な視点として,経営資源の見直しや評価,広報,図書館職員の教育・研修など,管理運営方法についても,どのように改善すべきかが示されている。さらに,このような図書館の新しいサービスや運営に際し,都道府県,国,国立国会図書館が果たすべき役割についても述べられている。
なお,この第2章では,ビジネス支援,ハイブリッド図書館,行政支援など,これからの図書館サービスとして位置づけられている各サービスや望ましい経営について,9つの先進的事例を紹介している。また,同じく文部科学省の委託により,この報告書に即した形で実践事例を調査した『これからの図書館像−実践事例集−』でも,23の事例が紹介されている。
報告書ではまた,図書館が未整備の町村がまだ多い,資料購入費が削減される傾向にある,図書館業務のオンライン化は十分に進んでいない,運営形態が多様化しているなど,公共図書館をめぐる状況も分析している。このような状況の中,図書館がどのように対応していくべきかを示す指針として,これらの報告書や各事例集の持つ意義は非常に大きいと考えられる。
Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06040513.htm [575]
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06040715.htm [576]
科学技術振興機構(JST)は3月27日,日本の学術雑誌を創刊号に遡ってデジタル化したアーカイブ「Journal@rchive [577]」を一般公開した。
JSTは平成11年度から,学術雑誌や予稿集などをデジタル化して提供する科学技術情報発信・流通総合システム「J-STAGE」を公開しているが,バックナンバーは古いものでも1990年代からに留まっており,遡及しての提供が望まれていた。そこで新たに電子アーカイブ事業を立ち上げ,選定された学術雑誌を創刊号からデジタル化するとともに,J-STAGEの技術基盤を活用した「Journal@rchive [577]」サイトで提供することとなった。
平成17年度にデジタル化されたのは1880年刊行の『東京化學會誌』など,理学,医学・薬学から人文社会科学までの各分野の学術雑誌74誌であり,3月27日にはこのうちの52誌が公開された。今後も,1時間に1,200ページをスキャンできるスキャニングロボットを導入するなどして,提供対象誌のさらなる拡大が予定されている。
なおJSTは4月1日から,国内外の情報分野の最新動向を提供する月刊誌『情報管理』も一般公開した。情報提供事業のいっそうの充実が期待される。
Ref:
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/top_ja.php [578]
http://www.jst.go.jp/pr/info/info271/index.html [579]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/24/11373.html [580]
http://johokanri.jp/ [581]
韓国では2月27日,ノ・ムヒョン大統領に対する図書館関連政策の報告会が行われた。この報告会には文化観光部長官,国立中央図書館長,図書館協会長,IFLAソウル大会組織委員長らが出席し,公共図書館政策の現状と課題について報告がなされた。
3月22日付け官報によると,ノ大統領はこの報告を受けて,(1)社会・文化・福祉分野への地方交付税の配分比率の増加,(2)図書館情報政策委員会の設置,(3)図書館関連予算の拡充,の三点を関係部署に指示した。報告会の場ではさらに,8月に行われるIFLAソウル大会を成功させるべく,徹底的な準備をするように,との念押しもなされた。
Ref:
http://www.korla.or.kr/community/notice/view.asp?pkid=441&BBSCode=N0013 [582]
英国の教育水準局(Office for Standards in Education:Ofsted)は,2004年9月から2005年7月にかけて国内の初等学校および中等学校32校を対象とした訪問調査を行い,その結果明らかになった学校図書館の現状と良質な学校図書館をつくるために必要と思われる要素を報告書“Good school libraries: making a difference to learning”にまとめ,3月21日付で発表した。
報告書によると,「優れた学校」においては,十分なトレーニングを受けた図書館員がほかの職員と協働し,児童・生徒の読書環境の整備に重要な役割を果たしているという。その一方,多くの学校図書館は利用機会の多い昼休みに開館していないこともありあまり児童・生徒に利用されていない,また,多くの学校が,学校図書館の利用状況やインパクトをチェック・評価していない,といった傾向が明らかになった。
これを踏まえて,優れた学校図書館を作るためには,校長のサポート,十分なトレーニングを受けた専門的な図書館員の存在,学校図書館業務の適切な評価,児童・生徒の情報リテラシー能力を向上させるプログラムの設定,といった要素が必要となるであろうと指摘している。
Ref:
http://www.ofsted.gov.uk/publications/index.cfm?fuseaction=pubs.displayfile&id=4170&type=pdf [583]
http://www.davidruffleymp.com/newsshow.asp?ref=463 [584]
オランダ国立図書館は,2005年12月,1998年から2005年までの活動に対する自己評価レポートと外部評価レポートを公開した。外部評価制度は高等教育・研究法に基づいたもので,英国図書館(BL)のラング(Brian Lang)前館長を委員長とする国際的な評価委員会が,自己評価レポートと職員への聞き取り調査を基に,同館の活動・経営全体を評価し,教育大臣に報告するものである。
今回の外部評価レポートでは,2005年までの戦略計画の達成度と課題,財政状態,危機管理,国際的活動,2006年から2009年までの戦略計画等をレビューしている。中でも,電子ジャーナルなどの長期保存プロジェクトe-Depot(E189 [585]参照)については重点的に触れられており,研究開発としても事業としても世界を主導するプロジェクトであると評価する一方で,国境を超えるという電子ジャーナルの性質を考慮して,他の図書館・機関との国際的協働をより強化すべきであると指摘している。
Ref:
http://www.kb.nl/bst/evaluatie/evaluatie2005-en.xml [586]
http://www.kb.nl/bst/evaluatie/finalreport_051019.pdf [587]
http://www.kb.nl/bst/evaluatie/commentkb_051123.pdf [588]
http://www.kb.nl/bst/evaluatie/selfevaluation_final_050714.pdf [589]
E189 [585]
英国BBCの報道によると,英国の成人の5人に1人は地域の公共図書館を利用したことがなく,半数以上の人は図書館を利用する正当な理由がないとも答えているという。また,図書館を年金受給者が暖を取るための場所とみなしている人も15%いるとのことであった。こうした現状の中,ラミー(David Lammy)文化担当大臣は3月22日,新世紀にふさわしい図書館サービスの新しいビジョンを提案し,図書館の価値を知ってもらうための取り組みとして,“Love Libraries”キャンペーンを開始することを発表した。
このキャンペーンは,文化・メディア・スポーツ省,博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA),英国の出版社9社,読書協会(the Reading Agency)などの合同による「将来の図書館パートナーシップ」(Future Libraries Partnership)により行われる。また,何人もの作家らがこのキャンペーンに対して支持を表明している。
“Love Libraries”では,選ばれた3つの図書館で,読書を中心とした図書館サービスを12週間で「劇的に」作り上げる。具体的には,老朽化した建物や内装を一新するほか,オンライン貸出の拡充,蔵書の再評価,開館時間の再考といった項目が考えられている。
Ref:
http://www.mla.gov.uk/webdav/harmonise?Page/@id=82&Document/ [590]@id=24142
http://www.lovelibraries.co.uk/ [591]
http://news.bbc.co.uk/1/low/entertainment/4832408.stm [592]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/march2006ab/britaincampaign.htm [593]
国際図書館連盟資料保存コアプログラム(IFLA/PAC)は,国立図書館177館を対象とした防災計画の制定状況に関するアンケート調査を2003年に行ったが,回答を寄せた73館のうち実際に防災計画を制定しているのは半数強にとどまり,大規模なところでも防災計画を制定していないことが明らかになった。防災計画を策定していない理由として「手本にすべきモデルがない」ことを挙げた図書館が複数あったが,実際には防災計画のモデルはいくつか公表されており,こうした情報が世界の図書館に十分伝わっていないという課題も示されていた。
IFLA/PACは,図書館の防災計画を策定する際に参照できる情報を世界の図書館が共有する必要があるとの認識のもと防災計画マニュアルを作成し(E420 [191]参照),この度,『災害への準備と計画:簡略マニュアル』として公開した。世界のできるだけ多くの人が読めるように英語版,フランス語版,スペイン語版がある。主に,火災や水害などにより想定される図書館のリスク分析,被害を未然に防ぐ対策や災害発生時に図書館の被害を最小限に抑える対策(リスクマネジメント),被災した蔵書の救出など災害時の対応,復旧活動(CA1570 [193]参照)といった点について,防災計画策定の際に留意すべき点を記述している。
Ref:
http://www.ifla.org/VI/4/news/ipi6-en.pdf [594]
Varlamoff, Marie-Therese et al. Survey on Disaster Planning in National Libraries. International Preservation News. (34), 2004, 23-38. (online), available from < http://www.ifla.org/VI/4/news/ipnn34.pdf [595] >, (accessed 2006-03-15).
E420 [191]
CA1570 [193]
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会(EC)は,欧州デジタル図書館計画に関してオンラインでの意見募集を行っていたところである(E390 [235]参照)が,3月2日,寄せられた意見をとりまとめ,ホームページ上で公表した。
寄せられた意見は225件,約半数が図書館・博物館・文書館の関係者からであったほか,出版業者,著作権者,大学関係者などからも意見が寄せられている。デジタル図書館計画自体は概ね支持が得られているが,コンテンツの著作権に関わる問題については,特に,著作権法制度の改訂を求める文化施設側と現行の法制度の妥当性を主張する著作権者側との間で意見が分かれている。このほか,デジタル化への十分な投資,欧州全体での協力体制,多言語対応などの必要性を指摘する意見もあった。
欧州デジタル図書館は,現在公開されている欧州図書館(TEL;CA1556 [204]参照)のシステムをもとに作られるもので,EU内の国立図書館,博物館,文書館などとの協同により,2008年には200万点,2010年には600万点の図書,映画フィルム,写真,手稿などをウェブ上で見られるようにする予定である。欧州委員会は2006年末を目途に,ヨーロッパ全体での資料デジタル化ネットワークの形成,デジタル図書館に関わる知的財産権保護についての枠組みの検討といった作業を予定している。
Ref:
http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/253&type=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en [597]
http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/doc/communication/results_of_online_consultation_en.pdf [598]
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20097817,00.htm [599]
E390 [235]
CA1556 [204]
米国で3月9日,上下両院を通過した愛国者法延長法案がブッシュ大統領の署名を得て成立した。これにより,紛糾が続いていた愛国者法(CA1547 [600]参照)の改正問題は,期限切れとなる16条項のうち14条項を恒久化し,議論の多かった2条項を2009年まで延長することで決着した。
本来の期限である昨年末に決着せず(E428 [601]参照),2度の暫定的延長を行うという状況に陥っていたが,2月9日,反対に廻っていた共和党上院議員と政府側との間で法案を一部修正することで合意に達した。主な修正点は,(1)国家安全保障書簡(NSL)の公表禁止規定(E371 [602]参照)を緩和すること,(2)NSLの対象から図書館を除外することの2点で,米国図書館協会(ALA)の要求に一定程度答えた形となった。
ただし,(1)公表できるのはNSLを受け取ってから1年後,かつ政府が機密でないと認めたものに限る,(2)図書館活動のうち電子メールの送受信など電子的通信サービスは捜査対象外としないとも規定されており,ALAは,図書館におけるプライバシー・市民的自由が十分保障されるのかがあいまいで,法的実効性があるのか疑問だとして,今後も改正を求めていくと声明を発表している。
Ref:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/03/09/AR2006030901307.html [603]
http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/march2006/HousePATRIOTvote.htm [604]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/february2006a/patriotcompro.htm [605]
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2006ndx/018feb17.htm [606]
CA1547 [600]
E428 [601]
E371 [602]
北米研究図書館協会(ARL)は2005年11月から12月にかけ,加盟する123館に対し,Elsevier社,Wiley社など大手5出版社との電子ジャーナルの一括契約(bundle)についての調査を実施した。ARLは2003年にも同様の調査を行っているが, CA1586 [513]でもレビューされているように,一括契約が有するさまざまな問題点がよりはっきりと浮かび上がってきた。
調査はウェブ経由で行われ,89館(72%)から回答を得た。回答館の93%が,5社のうち1社以上と契約しており,しかも大多数は複数社と契約している。上位3社はいずれも回答館の75%以上と契約しており,寡占状態になっていることがうかがい知れる。
契約条件の傾向としては,(1)契約に関する非開示条項,(2)キャンセルを禁止する条項,(3)契約期間の長期性,(4)電子版のみの契約への移行,などが挙げられている。(1)については回答館の61%が,締結したいずれかの契約に非開示条項が存在するとしているものの,その数は契約数全体の3分の1程度に留まっており,図書館側の抵抗も大きいことがわかった。出版社によっても,その態度に大きな違いがあるという。また(2)については,自由にキャンセルできるという契約は全体のわずか3%であり,30%以上は全くキャンセルできないというものであることがわかった。(3)については,平均の契約期間が3年程度であること,(4)については,印刷版の購読を取りやめることによる割引率は約半数が10%未満とそれほど高くないことなどがわかった。
前回の調査でも,非開示条項のため市場価格や先行事例の契約条件を知ることができず,各図書館は情報不足のまま交渉に入らざるを得ないという問題が生じていることはわかっていたが,今回の調査ではその実態がさらに明確に数値で裏付けられた。
Ref:
http://www.arl.org/newsltr/245/bundle.html [608]
http://www.arl.org/newsltr/235/snapshot.html [609]
CA1586 [513]
英国図書館(BL)は3月9日,ロンドン市の経済・社会政策を担うロンドン開発庁からの100万ポンド(約2億円)の出資を元に,ビジネス・知財センター(BIPC;E377 [611]参照)の機能を強化したと発表した。
同センターは主に,中小企業や新設の企業,起業家へのサービスを提供している。ビジネス,産業,金融など各分野のデータベース40種,特許資料5千万点を含むビジネス・知的財産関係の資料が備えられており,情報専門家がサポートする。起業家が集まってワークショップを行えるスペースもあり,BLやパートナー機関による講義,外部の専門アドバイザーの紹介などのサービスもある。また同センターは交通の要所に位置しており,ロンドン市以外からの利用者も手軽に利用できる。BLとロンドン開発庁は,中小企業の育成・支援策の優れたモデルと自負しており,今後5年間に2万5千件の起業を支援することを目指している。
Ref:
http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20060308.html [612]
http://www.bl.uk/bipc/ [613]
http://www.lda.gov.uk/ [614]
E377 [611]
発展途上国にとって,知識へのアクセス(A2K;E378 [616]参照)は発展に不可欠な要素である。世界115か国250団体超の横断的組織である国際消費者機構(Consumers International)は,2月20日,ブータン,カンボジア,インドネシアなどアジアの発展途上国11か国の著作権法がA2Kをどの程度保障しているかを調査したレポートを発表した。
レポートによれば,ベルヌ条約やTRIPS協定など国際条約では,教育用資料へのアクセスを認める権利制限・例外規定が柔軟に盛り込まれているにもかかわらず,これら発展途上国の著作権法にはそうしたフレキシビリティが十分盛り込まれていないことが判明したという。例えば,条約で認められている教育目的の利用を必要以上に制限したり,条約が要請する期間よりも長い保護期間を設定したりしている。その結果,発展途上国における教育用資料へのアクセス費用が,先進国に比べて不当に高くなっていると指摘している。
国際消費者機構は,こうした状況の背景に世界知的所有権機関(WIPO)の不十分な指導が存在すると見ており,WIPOに対してそうした指導の見直しと発展途上国のニーズを汲んだ開発アジェンダ(CA1562 [617]参照)策定への真剣な取り組みを求めている。
Ref:
http://www.ip-watch.org/weblog/index.php?p=221 [618]
http://www.consumersinternational.org/Shared_ASP_Files/UploadedFiles [619]
http://lists.essential.org/pipermail/a2k/2006-February/000985.html [620]
http://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=9643 [621]
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/bbl060207.pdf [622]
E378 [616]
CA1562 [617]
国立大学図書館協会国際学術コミュニケーション委員会, 国立情報学研究所. 研究活動及びオープンアクセスに関する調査報告書. 2006. 86p. (オンライン), 入手先< http://www.nii.ac.jp/sparc/doc/oa_report_ja.pdf [623] >, (参照2006-03-20).
国立大学図書館協会および国立情報学研究所(NII)は3月,日本の大学研究者の研究情報の収集方法やオープンアクセス(OA;E445 [624]参照)に対する意識について調査したレポートを発表した。アンケートは国立大学等の研究者2,000人を対象に行われ,613人から有効回答を得た。結果の一端をみると,OAについての認知度は29%と欧米に比べて低く,今後の理解促進が求められることがわかった。機関リポジトリなどへ自分自身で研究成果を登録するセルフ・アーカイビングについても,「行ったことがある」のは5人に1人で,「存在を知らなかった」が約60%にのぼった。これらの結果から,レポートは「すでに他の先進国の研究者の間ではよく知られるようになっているOAをはじめとする最近の学術情報流通の展開に関して,わが国の研究者がほとんど知識をもたず,また対応に関する準備ができていないことが推測される」と述べている。
なお,本調査とは別に,国立大学図書館協会は国内の学協会に対して機関リポジトリへの論文掲載許諾状況調査を1月から行っている。また,NIIは学術機関リポジトリ構築ソフトウェア実装実験プロジェクト(E323 [625]参照)に続き次世代学術コンテンツ基盤共同構築事業を開始しており,日本における機関リポジトリ構築促進が本格化してきている。
Ref:
http://www.nii.ac.jp/sparc/shiryou/index.html [626]
http://www.openaccessjapan.com/archives/2006/03/post_46.html [627]
http://www.nii.ac.jp/irp/index.html [628]
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/ir/ [629]
E445 [624]
E323 [625]
英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)は,2月20日付けプレスリリースにおいて,イングランド国内149の公共図書館行政庁の参加を得て新サービス"Reference Online"を開始することを発表した。
Reference Onlineは,「将来への枠組み」(E056 [453]参照)の一環として行われるサービスで,14の出版社が提供する百科事典などの辞典類,新聞,ビジネス情報,法律情報など,購読手続きを必要とするオンライン形式のレファレンス・ツールを一括で契約し,利用に供するものである。各図書館が個別に出版社と契約するのではなく,MLAが一括して契約することで,契約交渉にかかる時間も節約できるほか,図書館側は100万ポンド(約2億円)以上のコスト削減が見込まれると報じられている。MLAは,図書購入プロセスの合理化を目指して2005年から図書共同購入の構想を推進している(E364 [630]参照)が,Reference Onlineはその一環とも見ることができよう。
なお,このサービスにより,図書館の利用者は,Reference Online会員館のウェブサイトから26種類の電子資料にアクセスできるようになるという。
Ref:
http://www.mla.gov.uk/webdav/harmonise?Page/@id=82&Document/ [590]@id=23868
http://www.mla.gov.uk/website/programmes/online_initiatives [631]
E056 [453]
E364 [630]
英国図書館(BL)や図書館・情報専門家協会(CILIP)等で構成する図書館・文書館著作権同盟(Libraries and Archives Copyright Alliance)は,2月6日,デジタル著作権管理(DRM;E315 [633]参照)システムが図書館に及ぼす影響について懸念を示す文書を公表した。これは,超党派の議員インターネットグループ(All Party Parliamentary Internet Group:APIG)が昨年11月から行っている調査に応えて提出されたもので,DRMによるコピー防止機能やその回避禁止規定により,図書館が著作権法の枠内で伝統的に果たしてきたコピーの作成・提供といった機能が不全に陥るとし,その解決に向けた取り組みを求めている。
また,2月2日には下院でAPIGによるヒアリングが行われ,BLや王立視覚障害者援護協会(RNIB)の代表者が意見を表明した。RNIBからは,実際にDRMによって電子本の読み上げが阻害されている事例等が報告された。BLは,2020年には出版物の90%がデジタルで利用可能になるという予測(E349 [634]参照)の下,こうした状況においてDRMは長期的な保存とアクセスの確保という図書館の役割に否定的な効果を及ぼしかねず,著作者の権利と公益性とのバランスを崩しかねないと主張した。そして,これまでに定着している公正使用や図書館特権条項がデジタル出版物にも適用されることが保障されるように,著作権法の改正が必要であるとの見解を示した。APIGは,情報産業界や消費者団体にも意見を聞き,4月にレポートを発表する予定となっている。
なお,DRMについては米国でも関心が強く,1月に米国図書館協会(ALA)がDRMの図書館員向けガイドを発行している。
Ref:
http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20060206.html [635]
http://www.cilip.org.uk/professionalguidance/copyright/lobbying/apig.htm [636]
http://news.zdnet.co.uk/business/0,39020645,39250168,00.htm [637]
http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/4675280.stm [638]
http://www.apig.org.uk/current-activities [639]
http://www.theregister.co.uk/2005/11/15/outlaw_parliament_drm/print.html [640]
http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/digitalrights/DRMfinal.pdf [641]
E315 [633]
E349 [634]
欧州出版業者連盟(Federation of European Publishers:FEP)と欧州国立図書館長会議(CENL)は,2005年12月にブリュッセルで行われた会議において,電子出版物の自発的な納本(Voluntary Deposit)に関する声明(CA1401 [642]参照)を改訂したことを,2月のプレスリリースで発表した。
この声明は2000年に作られたものであるが,国立図書館や出版業者が電子出版物の受入について一定の経験を積んだところで見直すことになっていた。今回の改訂は2003年から2005年にかけて,電子出版物の収集とアクセス規定に関する国立図書館や出版業社の取組みを反映して行われたものであり,欧州委員会が実施するi2010イニシアティブ(E390 [235]参照)にも役立つものと述べている。
これとあわせて,CENLとFEPで構成される委員会に対して,メンバーである国立図書館や出版業者に対して納本の実施状況と法制化のチェック,実施に向けた助言,相互利益や課題の明確化などを指示するとともに,国立図書館には各国の状況に応じた修正を行う際の助言,各国で声明を採択したのちの利用状況のチェックなどを行うよう提案されている。
Ref:
http://www.nlib.ee/cenl/docs/05-11CENLFEP_Draft_Statement050822_02.pdf [643]
http://www.nlib.ee/cenl/working_groups.php [644]
http://www.managinginformation.com/news/content_show_full.php?id=4630 [645]
CA1401 [642]
E390 [235]
米コロラド州のデンバー市公共図書館は,現在,電子本やデジタルオーディオブックのダウンロードサービス(CA1525 [648]参照)を提供しているが,3月中旬からは米国で初めて動画のダウンロードサービスも開始すると発表した。
このサービスは電子本プロバイダーのOverDrive社との契約による。利用者は自宅等のパソコンから図書館のウェブサイトへアクセスし,図書館カードによる認証を経て動画を無料でダウンロードすることができる。動画は1週間視聴可能で,期限が切れると自動的に消去される。コンテンツは長編映画作品やドキュメンタリー,教育番組,コンサートビデオなどが予定されている。今後は,ブロードバンド環境にない人のために,ポータブル・ビデオ・プレイヤーにダウンロードできるキオスクを設置することも検討していくという。
Ref:
http://www.denverpost.com/entertainment/ci_3513777 [649]
http://www.denver.lib.co.us/news/dplnews/downloadable_movies.html [650]
http://www.rockymountainnews.com/drmn/local/article [651]
http://www.overdrive.com/news/pr/20050615.asp [652]
CA1525 [648]
韓国国立中央図書館は2月13日,ウェブ上のデジタル資源を収集・保存・提供するプロジェクト"OASIS"(Online Archiving & Searching Internet Sources)のウェブサイトを一般公開した。
OASISは,デジタル知的文化遺産の蓄積・活用とともに,それらを後世に継承することを目的として,2004年1月から推進されてきたプロジェクトである。韓国人が作成したウェブサイトやウェブ上の文書の中から,著作者の知名度,有用性,新しさ,希少性,話題性などの基準で収集対象を決定し,著作権処理を行った上でコンテンツの収集・提供を行っている。政府や大学が作成したコンテンツや会議資料,電子ジャーナルなどが優先的に収集されることになっており,マスメディアのサイトや掲示板は対象外である。
OASISのウェブサイトでは,収集したコンテンツの検索・閲覧,主題別のブラウジングが行えるほか,無料の利用者登録を行えば著作権管理情報の閲覧・照会,コンテンツの寄贈・推薦も可能である。現在の許諾を取っての収集・提供に加え,多様なインセンティブを設け寄贈による収集・提供を増やすことも検討されている。
また,国立中央図書館の隣では,2005年12月から国立デジタル図書館の建設工事が始まっている。国立デジタル図書館は2008年に開館予定であり,そのコンテンツ拡充戦略の重要な位置はOASISが担う予定である。これを見据えて,国立中央図書館は「図書館および読書振興法」(E376 [428],CA1578 [288]参照)の改正作業において,オンラインデジタル資源の納本を制度化するよう推進している。
Ref:
http://www.oasis.go.kr/ [654]
http://www.nl.go.kr/notice/board_info/view.php?bbs=BOARD_INFO&no=380 [655]
http://www.mct.go.kr/open_content/administrative/news [656]
E376 [428]
CA1578 [288]
内閣府の規制改革・民間開放推進会議が検討を行ってきた「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案」(通称「市場化テスト法案」)が,2月10日に閣議決定され,国会に提出された。
市場化テストとは,これまで「官」が担ってきた公共サービス全般について,「官」「民」が対等な立場で競争入札を実施し,その提供者を決めるという制度で,官民競争入札とも呼ばれている。(1)地方公共団体だけではなく,国や独立行政法人等もその対象である,(2)施設の管理・運営だけではなく,公共サービス全般が対象である,(3)中立的な第三者機関による競争プロセスの監視,(4)「官」が落札する場合もある,といった点で,既存のPFI制度や指定管理者制度,構造改革特区制度などとは異なる。
政府は今国会での成立を目指しており,成立すれば平成18年度中にも本格的に導入される。
(注)なお,『カレントアウェアネス』第287号(3月20日発行予定)には,業務委託,PFI制度,指定管理者制度など図書館の様々な運営形態に関する研究文献レビュー(執筆・柴田正美氏)を掲載する。
Ref:
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/ [657]
http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/2005/1221/item051221_01.pdf [658]
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NGT/govtech/20050418/159518/ [659]
国立国会図書館は,この度,図書館調査研究リポートNo.6として『パッケージ系電子出版物の長期的な再生可能性について』を刊行し,関係諸機関に配布するとともに,その全文をウェブサイトに掲載した。
今回の報告書は,当館が平成14年度から3か年にわたって実施した「電子情報の長期的な保存と利用」についての調査研究のうち,平成15年度と平成16年度に実施した,CD-ROMに代表されるパッケージ系電子出版物の利用可能性調査の結果をまとめたものである。平成15年度には当館が所蔵するパッケージ系電子出版物の最新PC環境における利用可能性調査を行い,平成16年度には,その調査で明らかになった利用上の問題を解決するために,長期保存のための対策といわれているマイグレーションとエミュレーションを試行し,これらの対策を評価した(E345 [660]参照)。
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/lis_research/no6/index.html [661]
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/preservation.html [662]
E345 [660]
ソウル市には2006年1月現在,国立1館,市立22館,区立25館,私立15館,一般開放されている学校図書館11館の合計74館,一般利用可能な図書館が存在する。ところが2004年の統計によると,韓国の公共図書館1館あたりのサービス対象人口は約10万人,中でもソウル市は約13万9千人と,他のOECD加盟国の水準,5万人未満に遠く及んでいない。市は2003年から公共図書館の拡充計画を推進してきたが,さらなる拡充が必要であるとして,2006年1月,新規の拡充計画を発表した。
この計画によると,今年は55館の拡充に着手し,うち35館は年内に開館させるという。内訳は,小規模図書館7館,公共施設複合型4館,既存の公共施設を再構築する2館,体育館やプールなどの学校施設と複合させる7館の建設と,学校図書館15館の一般開放である。さらに,2008年までに129館,最終的には150館以上への拡充が予定されている。また,「図書館および読書振興法」の全面改正案(E376 [428]参照)で規定されている広域代表図書館として,市のランドマークとなる大規模図書館も計画中である。
このような計画を受ける形で,地元のソウル新聞が「図書館を活用しよう」という連載記事を掲載した。この連載では,ニューヨーク公共図書館(NYPL;CA1117 [663],CA1224 [664]参照)を先進事例として紹介する一方,もっぱら自習室として図書館が使われている,用地取得費用の不足により新しい図書館が山頂などに建てられている,図書館間の相互連携が貧弱,といったソウル市の図書館の実態を批判している。連載後の読者からの反応も紹介されており,クォン・ヤンスク韓国大統領夫人からの努力要請のほか,小規模でも交通の便のよい立地に建設してほしいといった意見が寄せられたという。
Ref:
http://www.seoul.go.kr/seoul/citynews/newsdata/1228432_8736.html [665]
http://www.donga.com/fbin/moeum?n=society$c_708&a=v&l=27&id=200601100108 [666]
http://www.lib.seoul.kr/ [667]
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060118003006 [668]
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060125007004 [669]
E376 [428]
CA1117 [663]
CA1224 [664]
1月17日,米国・コロンビア特別区(ワシントンD.C.)公共図書館(District of Columbia Public Library:DCPL)の再構築計画の草案が,ウィリアムス(Anthony A. Williams)行政長官の設置する特別委員会から発表された。この委員会は,DCPLの現状を把握した上で,21世紀において同図書館が目指すべき姿を示すことを主目的として,2004年12月に設置されたものであり,委員には米国議会図書館(LC)のビリントン館長,ローラ・ブッシュ大統領夫人らがいる。
この草案では,優先的に取り組むべき重要なサービスとして,「利用者教育,情報リテラシー教育」「利用者の要求に的確かつ迅速に応えられるような蔵書の整備」「宿題・自習の支援」「生涯学習の支援」「(会議,集会に対する)公共スペースの提供」といった項目が列挙されている。具体的な計画としては,現在の中央館であるマーチン・ルーサー・キングJr.記念図書館に代わる新しい中央館の建設案,今後3年間で蔵書の半分を入れ替える案のほか,コンピュータへの対応の点で「(あるべき現状と比べて)50年は遅れている」といわれる現状を改善するため,市内27か所の図書館に計400台のコンピュータを追加設置するなどの案が示されている。必要となる費用は全体で4.5億ドル(約533億円)と試算されている。
特別委員会では,DCPLのウェブサイトなどを通じて草案に対するコメントを募集しているほか,2月に市民向けのヒアリングを数回行うとしているが,ヒアリング前に草案を提出したことに対して,まず住民の意見を聞くべきではないかとの批判も市民団体から出ている。
Ref:
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/01/17/AR2006011701471.html [670]
http://www.dclibrary.org/news/BRTF-Draft-Summary-Report.pdf [671]
http://dc.gov/mayor/dcpl_taskforce/index.shtm [672]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/january2006ab/dctaskforce.htm [673]
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/alnews2004/december2004ab/dcpanel.htm [674]
カリフォルニア大学図書館目録サービスタスクフォースは,2005年12月,これからの図書館目録サービスに必要な機能を検討するレポートを発表した。レポートでは,GoogleやAmazonなどのサービスが利用者にとってのスタンダードになっている現状の中で,現在の目録サービス(OPAC)はいまだに資料の所在情報しか提供していないと指摘している。その上で,電子ジャーナル本文へのリンキングや検索結果からの関連本の推薦,E-ラーニング・システムとの連携, FRBRモデルによる組織化,単一のインターフェイスといった,数多くの望ましい機能を推奨している。
また,1月には,同大学サンディエゴ校図書館のプロジェクトチームが『共有書庫:利用者からの視点』と題するレポートを発表した。同大学は,キャンパスを横断した全学的な図書館運営を目指して,2004年から業務改革に取り組んでおり,その一環として学術雑誌や図書を集中的に保管する共有書庫計画を進めている。今回のレポートは教員・学生のニーズを調査したものだが,ILLが普及している今日,資料が手元にあることよりもリクエストすれば入手できることの方がより重要であり,予算的制約の面からも共有書庫の計画を推進すべきであると多くの利用者は答えている。レポートでは,目録サービスにも言及しており,多くの利用者がOPACに目次や参照文献,索引の情報を望んでいることが分かる結果となっている。
Ref:
http://www.libraryjournal.com/article/CA6300805.html [675]
http://libraries.universityofcalifornia.edu/sopag/BSTF/Final.pdf [676]
http://libraries.universityofcalifornia.edu/planning/ [677]
http://www.slp.ucop.edu/programs/sharedprint/ [678]
http://www.cdlib.org/inside/assess/evaluation_activities/docs/2005/sharedPrintReport_nov2005.pdf [679]
出版社がウェブサイトを構えるのが当たり前となり,オンラインジャーナルも増えてきた昨今,雑誌の新刊目次をRSS(CA1565 [472]参照)で提供するサービスも普及してきた。英国では,この目次RSSデータをOPACに取り込むためのソフトウェアを開発するプロジェクト"TOCRoSS"(Table of Contents by Really Simply Syndication)が進行中である。
TOCRoSSは出版社のEmerald社,図書館システムベンダーのTalis社,ダービー大学および情報システム合同委員会(JISC)の共同プロジェクトである。(1)目次データの配信,(2)目次データの更新チェック,(3)目次データのOPACへの取り込み・更新の各機能ごとにソフトウェアをオープンソースとして開発し,出版,システム,図書館の各業界に広く普及させることが目的とされている。使用されるデータ形式はRSS 2.0を拡張したもので,書籍等の電子商取引で用いられているメタデータのONIX(ONline Information eXchange)や,書籍・カタログ等の出版コンテンツの管理・処理用メタデータであるPRISM(Publishing Requirements for Industry Standard Metadata)といった既存の規格も扱えるようになっている。
TOCRoSSの利用により,目録が正確になる,図書館員の目録作業時間が短縮できる,より有益な情報を利用者に提供できる,出版社の宣伝・図書館の情報入手が効率化されるといったメリットが期待されている。その検証のための実験が,2006年7月までダービー大学で行われる予定である。
Ref:
http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=tocross_pals [681]
http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=project_tocross&src=alpha [682]
http://www.editeur.org/onix.html [683]
http://www.prismstandard.org/ [684]
CA1565 [472]
英国情報システム合同委員会(JISC)の助成を受けて活動している英ラフバラ大学のRights and Rewardsプロジェクトは,1月,機関リポジトリ(E382 [685]参照)について大学教員430人にアンケートした結果をまとめたレポートを発表した。
レポートでは,講義ノートや教材などの教育用資料を収録するリポジトリの認知度や利用経験,利用しての評価,コンテンツ登録経験の有無とその理由などを訊いている。また,どういった見返りが登録のインセンティブとなりえるか,どういった利用条件が望ましいか,といった点についても選択肢を提示した上で質問している。
Ref:
http://rightsandrewards.lboro.ac.uk/index.php?section=1 [686]
http://rightsandrewards.lboro.ac.uk/index.php?section=21 [687]
E382 [685]
キルギス国立図書館は2005年12月25日,日本からのODA無償資金37万ドル(約4,400万円)によって購入した機材を元に,マイクロ化センターおよびマイクロ資料室を開設した。同館は学位論文,発明・特許の目録など約13万点のマイクロ資料を所蔵しているが,歴史的に重要な文書遺産の保存と,広範なアクセスの保障のため,貴重書や,自館が所蔵していない資料のマイクロ化を検討していた。
なお同館に対しては,日本以外にも米国,ドイツ,フランス,ロシアが各国の資料と閲覧室等を提供しているほか,国連開発計画(UNDP)がインターネットアクセスセンターに,ユネスコが歴史資料のデジタル化にそれぞれ資金を提供している。また,eIFL(CA1566 [689]参照),米国国際開発庁(USAID)のユーラシア財団,ソロス財団,米国大使館の支援によって,同館を含むキルギス図書館情報コンソーシアムからEBSCO社,Splinger社などの電子ジャーナル等へアクセスすることも可能になっている。
Ref:
http://www.nlkr.gov.kg/news20051222.htm [690]
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/anken/zyoukyou/h_15/040116_2.html [691]
http://www.nlkr.gov.kg/eng/partnership.htm [692]
http://www.eifl.net/countries/kyrgyzstan.html [693]
http://www.bik.org.kg/en/eifl_kyrgyzstan.html [694]
CA1566 [689]
総務省. インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 中間取りまとめ. 2006.1. 22p. (オンライン), 入手先 < http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060126_1.html [696] >, (参照2006-02-03).
米国では,図書館へのフィルタリングソフト導入の圧力が高まっている(CA1572 [482]参照)が,一方日本における議論はどの段階だろうか? IT安心会議では,インターネット上の違法・有害情報への対策として,(1)フィルタリングソフトの普及,(2)プロバイダ等による自主規制の支援,(3)モラル教育の充実をあげている。総務省の研究会では,2点目のプロバイダや電子掲示板の管理者の自主的な対応とその効果的な支援のあり方について2005年8月から検討し,2006年1月に中間取りまとめを公開した。
取りまとめでは,電子掲示板の管理者等が実施できる対応の限界を踏まえ,違法・有害情報を放置した場合,送信防止措置を行った場合のそれぞれについて,法的な責任範囲を提示している。また,電子掲示板の管理者等が送信防止措置を行うにあたっては,専門的知見,経験等を有する警察等の法執行機関が違法性の判断を行い,適正な手続きをとって管理者等を支援する仕組みが必要であると指摘している。違法ではないが公序良俗に反する情報についても,適切な団体が一定の指針を示すことで,管理者等の自主的対応を支援することが適当であるとした。
研究会の前半では,情報流通の場であるプロバイダや電子掲示板の管理者への対応について中心的に検討が行われたが,情報の発信者側,受信者側への対応についても組み合わせて検討することが必要不可欠であるとされた。今後の研究会ではプロバイダによるフィルタリングサービスの提供の在り方が検討される予定である。その他,プロバイダ責任制限法における発信者情報の開示,インターネットの匿名性,海外のサーバ等を利用した情報発信等の論点についても引き続き検討し, 2006年7月を目途にインターネット上の違法・有害情報への対応に関する総合的な考え方を提示する予定である。
Ref:
http://www.it-anshin.go.jp/ [697]
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/kettei.pdf [698]
CA1572 [482]
merican Libraries 2005年12月号に,2005年における米国図書館界10大ニュースが掲載されている。
(1)〜(4)および(7)については既に本誌で取り上げているので,各記事を参照されたい。(5)は不正が発覚し政府機関・議会などから見直しを求められているE-Rateプログラム(E073 [699]参照)について,(6)はまだまだ理解されていない学校図書館,メディアセンター機能への支援を求めて各方面に働きかけている現状について,(8)は図書館学と情報学を切り離すべきかどうかについての白熱した議論について,(9)は全米各地の図書館で頻発している貴重書やCD・DVDの盗難事件について,となっている。(10)には,米国議会図書館(LC)の協力を得て,普通の人が自分の生活・歴史について自由に語った記録を保存・公開しているプロジェクトStoryCorpsの話題が入った。
Ref:
The Top 10 Library Stories of 2005. American Libraries. 36(11), 2005, 28-32.
E369 [194]
E396 [545]
E392 [3]
E403 [4]
E370 [548]
E371 [602]
E428 [601]
E342 [546]
E073 [699]
2005年12月23日,韓国図書館協会(KLA)のウェブサイトで,インターネットで行ったアンケート結果を元にした2005年の韓国図書館界の10大ニュース(順不同)が発表された。
ここで選ばれているニュースの特徴として,図書館を取り巻く社会的な諸問題に対し,図書館界・図書館員が積極的にアプローチしていったものが多いことが挙げられる。(1),(5),(9)ではいずれも,法制化のプロセスにおいて図書館界から積極的に意見を表明している。(6)では,政府が当初司書教師は新規採用しないとしていた件に対し,図書館員たちが教員の労働組合等と協同して繰り返し要望やデモを行った結果,採用が認められた。また(7)に関連して,ソウル市立子ども図書館の別館として使用していた建物を警察庁が接収し,警官のための託児所に変えようとした事件が発生した。これも,KLAによる円満解決を要望する声明,利用者の要望やデモなどが功を奏し,別館は継続運営される見通しとなっている。
このような2005年の成果を引き継ぎつつ,2006年の韓国図書館界はIFLA大会の成功,現在審議中の各法改正への対応など,さらに大きな課題に取り組んでいくことになる。
Ref:
http://www.korla.or.kr/community/library/view.asp?pkid=372&BBSCode=N0013 [705]
E376 [428]
CA1578 [288]
E357 [700]
E393 [701]
E251 [702]
E387 [703]
E429 [704]
CA1564 [474]
2005年10月24日,フィリピンのアロヨ大統領が「組み立て式図書館計画」を発表し,3億5,800万フィリピンペソ(約8億円)の予算で全国に組み立て式図書館を1,000館作るよう,公共事業道路省に指令を出した。
フィリピンでは児童・生徒数の増加に教育施設が追いついておらず,またそのための予算も不足していた。2004年までは,日本からのODA無償資金を元に初等・中等学校の建設を行ってきたが,これに続き,これまで見落とされてきた図書館の拡充に着手するものである。1949年の地方図書館法では,1,000館の図書館を建設するよう規定されているが,法施行以後建設された公共図書館は州・市・バランガイ(町の下位レベルに当たる最小行政単位)合計でも500館に満たなかった。
組み立て式図書館の資材提供・建設は,組み立て式の鉄橋をフィリピン政府に独占供給している英Maybe & Johnson社が請け負う。同社の計画では,1館当たりの建設費として約20万フィリピンペソ(約45万円),図書館資料費とコンピュータ等の設備費として約13万フィリピンペソ(約29万円)かかると試算されている。このほか,政府は国営の石油企業に対し,組み立て式図書館に太陽電池を取り付けてもらうよう計画しているという。
もっとも,この組み立て式図書館1,000館が完成しても,1994年の共和国法第7743号(フィリピン全国に議会,市,町の図書館およびバランガイの読書センターを設け,またそのために必要な基金を充当する法律)で規定されている状況には遠く及ばない。今後の図書館拡充政策の推移も注目される。
Ref:
http://news.inq7.net/nation/index.php?index=1&story_id=54433 [706]
http://www.gov.ph/news/?i=13711 [707]
http://filipinolibrarian.blogspot.com/2005/10 [708]
http://www.deped.gov.ph/about_deped/organizationlinks.asp?id=17 [709]
http://www.chanrobles.com/republicactno7743.htm [710]
2004年にEUに加盟した10か国(注)が欧州図書館(TEL)の全面的なパートナー(Full Participants;CA1556 [204]参照)になるための支援を行うTEL-ME-MORプロジェクト(E312 [712]参照)は,1月17日付けのプレスリリースで,報告書『EU新規加盟国の国立図書館における研究開発活動と必要条件の分析』を刊行したと発表した。
この調査は,10か国の国立図書館を対象に,文化・科学資源の保存とアクセスの確保などに焦点を当てて,各館の研究活動能力の現状と,欧州委員会が推進する情報社会技術(IST)計画への応募条件を満たしているかを明らかにすることを目的としたものであった。その結果,研究開発活動への取組み体制は図書館によって大きな差−例えば保存の面では,資料のデジタル化が一定程度進んでいるのは10館のうち4館にとどまっている−があり,知識・費用・組織やデジタル資料の管理ノウハウなどの不足といった点に課題があること,多くの図書館は国家の調査研究の基盤となり得るまでには整備が進んでいないことなどが明らかになった。報告書では,これらをはじめとする11項目の結論を,国立図書館自体の能力,各国の文化遺産政策・調査研究政策および欧州の文化遺産政策・調査研究政策の3つのカテゴリに分類してまとめている。
なお,10か国のうちエストニア,ラトビア両国の国立図書館は,1月1日付でTELの全面的なパートナーとなった。これにより, TELの全面的なパートナーはサービス開始当初の9国立図書館から15国立図書館に拡大した。両国と既に加盟しているスロベニアを除く対象国7か国の国立図書館は,2007年2月までにTELの全面的なパートナーになる見込みである。
(注)チェコ,キプロス,エストニア,ハンガリー,ラトビア,リトアニア,マルタ,ポーランド,スロバキアおよびスロベニアの10か国を指す。
Ref:
http://www.telmemor.net/news.php [713]
http://telmemor.net/docs/D1.1_Final%20analysis.pdf [714]
CA1556 [204]
E312 [712]
オーストラリア国立図書館(NLA;CA1575 [392]参照)とYahoo! Australia & NZは,1月13日付プレスリリースにおいて,オーストラリアの現在の様子を伝える写真を保存するデータバンクを,Yahoo!が運営する画像共有ウェブサイト"Flickr"の中に協同で設置すると発表した。
Flickrは現在利用者約200万人,7,000万点以上の写真を保有しており,登録された写真の8割は自由に閲覧することが可能である。このFlickrの中に以下の2つのコーナーが設けられ,Yahoo!の会員であればテーマに合った写真を自由に登録することが可能となっている。
Flickrに登録された写真のメタデータとサムネイル画像は,NLAが運営する "PictureAustralia"(国内外の図書館,美術館など42機関が所蔵する100万点以上のデジタル画像のメタデータを公開するデータベース)が週一回収集し,データベースに登録する。
NLAとYahoo!の関係者は,国民全体がオーストラリアの写真を共有する意味で,また,将来の世代にオーストラリアの「現在」を伝える意味で,今回の取組みは意義のあることであると述べるとともに,写真の提供を国内に広く求めている。
Ref:
http://www.nla.gov.au/pressrel/2006/flickr.html [717]
http://www.flickr.com [718]
http://www.pictureaustralia.org [719]
CA1575 [392]
圧倒的な勢いで進む情報のデジタル化の中で,図書館はどのような展望を描けるのだろうか? 1月26日,こうしたテーマを話し合う公開シンポジウム「デジタル時代における図書館の変革−課題と展望−」が国立国会図書館(NDL)東京本館で開催された。
最初に,ユネスコ情報社会部プログラムスペシャリストのアビド氏から,知識社会の共通基盤をどのように保障するかについての国連やユネスコの取り組み(E410 [721],E137 [722]参照)が報告された。次に,松村多美子図書館情報大学名誉教授が,デジタル情報という競争市場の中で,社会的存在としての図書館がいかに適応しようとしているのかを端的に紹介された。英国図書館(BL)のブリンドリー館長からは,デジタル環境と利用者ニーズの変化に対応していこうとするBLの戦略(E349 [634]参照)について詳しい解説があった。NDLからは,電子図書館事業,特にデジタルアーカイブポータルについて報告を行った。
多彩な顔ぶれが揃ったパネルディスカッションでは,各パネリストからこれからの図書館の課題が提起され,白熱した議論となった。多様な論点が提示された講演・討論であったが,共通して「図書館はこういうことができるという社会的なアピール」,「図書館以外の社会とのコラボレーション」,「閉鎖的な環境の打破」,「利用者の情報行動についてのさらなる理解」,「全ての図書館に当てはまるシナリオはない」といった点に言及された。(報告:図書館協力課 筑木一郎)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/sym/index.html [723]
http://www.dap.ndl.go.jp/home/ [724]
E410 [721]
E137 [722]
E349 [634]
Drott, M. Carl. Open Access. Annual Review of Information Science and Technology. (40), 2006, 79-109.
昨年も多くの関心を集めたオープンアクセス運動(E294 [726],E338 [727]参照)は,図書館情報学分野の代表的レビュー誌である"Annual Review of Information Science and Technology"に1テーマとして採用されるまでになった。本稿は,オープンアクセスと題されてはいるが,学術雑誌全体に焦点を当てており,その仕組みや学術コミュニケーションの中で果たす役割・機能を再確認しながらオープンアクセスとの関連をまとめている。
オープンアクセスは社会政治的な問題であるという認識から,経済,技術,社会正義といった観点から説明がなされている。たとえば,経済的な問題として,査読制度や編集について伝統的なモデルで必要とされる費用を説明し,学術雑誌の刊行にどれだけの金額が必要とされるかを解説している。そして,オープンアクセス雑誌(CA1559 [728]参照)の運営刊行を誰が負担すべきなのかという視点から,たとえば著者支払いモデル(CA1543 [729]参照)やアーカイビングにまつわる問題などに触れているほか,Google Scholar(CA1564 [474]参照)といった検索ツールなどについても概観している。
筆者は最後に,オープンアクセスの成否は個々の研究者次第であるとし,「地球規模で考え,身近なところから行動しよう(Think globally, act locally)」というスローガンで締めくくっている。
(慶應義塾大学大学院:三根慎二)
Ref:
E294 [726]
E338 [727]
CA1559 [728]
CA1543 [729]
CA1564 [474]
2005年12月,フランスの国民議会(assemblee nationale)において,「情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法案」の票決が行われた。この法案は,フランス国立図書館(BnF)および国立視聴覚研究所(Ina)をインターネット情報の保存機関とすることや,インターネット情報の私的使用の範囲を拡大することなどを定めるもので,以前から議会において審議されてきた(E154 [730]参照)。
インターネットの私的使用について,フランス文化・通信省は著作権保護の対象となる作品の無断ダウンロードを禁止する規定を盛り込んだ法案を準備していたが,これに反して実際の票決では,社会党や国民運動連合(UMP)による,Peer to Peer(PtoP)方式によりインターネット上のコンテンツを自由にダウンロードすることを認める修正案が承認された。「情報社会における著作権及び著作隣接権に関する法案」は,情報社会における著作権に関する欧州指令(Directive 2001/29/EC:EU加盟国は2002年12月までにこの決定を受けた国内法を制定する必要があったが,フランスは未だこれに対応できておらず,2005年中に国内法が制定できない場合は罰金を支払わなければならなかった)に準拠したものと位置付けられているが,文化・通信省は,急いでこの案の可決を図るよりも,1月17日からの今会期において再度審議を行うことを決めた。
文化・通信省は,私的複製の例外規定の強化,PtoP方式によるファイル,ソフトウェア交換の抑止などを修正点として,今会期において再度,同法案に関する審議を行いたいとしている。
Ref:
http://www.ina.fr/presse/pdf/173.pdf [731]
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0 [732]@2-651865,36-724016@51-698751,0.html
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20093560,00.htm [733]
http://www.culture.gouv.fr/culture/actualites/communiq/donnedieu [734]
E154 [730]
ドイツ研究協会(Deutsche Forschungsgemeinschaft:DFG)は去る12月,ドイツの大学図書館における電子出版物利用のナショナルライセンスに2,150万ユーロ(約30億円)の出資を行うことを決定した。
今回,ナショナルライセンス取得の対象となるのは,1世紀以上前に発行された雑誌のデータベースや15世紀以降のヘブライ語の書誌データベース,中国の学術雑誌,NetLibraryなど30のコレクションである。こうしたコレクションを個々の図書館で揃えることは費用面で困難であることや,科学技術資料の提供における大学間格差を解消する必要があることを受けたもので,ベルリン州立大学,フランクフルト市立・大学図書館など7館が,すでにライセンス取得に向けて出版社側との調整に入っている。これら7館へのアクセスをとおして,ドイツ国内の研究者,学生,研究機関は,オックスフォード大学出版局,エルゼビア社,シュプリンガー社など11の出版社が提供するデータベース,電子ジャーナルへ自由にアクセスできるようになる。
DFGの出資によるナショナルライセンス自体は2005年5月から開始されており,18のデータベースへの自由なアクセスが既に可能となっているが,2006年5月からは,大学内ネットワークまたは設置場所を特定した端末からの利用により,あわせて50弱のデータベース,電子ジャーナルへのアクセスが可能になる。
Ref:
http://www.dfg.de/en/news/press_releases/2005/press_release_2005_80.html [735]
http://www.dfg.de/forschungsfoerderung/wissenschaftliche_infrastruktur [736]
http://www.dfg.de/aktuelles_presse/pressemitteilungen/2005/presse_2005_21.html [737]
2005年12月,国家図書館(台湾)の「遠距図書服務系統」がリニューアルされた。
「遠距図書服務系統」は同館の遠隔サービスサイトである。学術雑誌,政府情報,現代文学に関する合計7つのデータベースを横断検索することができる。会員登録しポイントを購入すると,データベースの検索可能な範囲が拡大するほか,検索結果から直接,文献の複写申込が可能になる。文献は郵送,FAXにより受け取ることができるほか,著作権処理が済んだものについては,電子化した画像データを自宅のパソコンから閲覧・複写することができる。電子化済みの文献はすぐに閲覧可能であり,電子化されていない論文についても同館に電子化を依頼することが可能である。
今回のリニューアルではサイトのデザインが一新されたほか,検索機能の強化,「期刊論文」(雑誌論文)データベースと「期刊目次」データベースの統合,「作家小語」(作家紹介),「期刊指南」(創刊雑誌の紹介)などの情報発信欄の開設などが行われている。
Ref:
http://www.read.com.tw/ [738]
中国・上海図書館は1月,「上海年華」(上海メモリー)と題するデジタルコンテンツの一部として「映画の記憶」を部分公開した。
19世紀後半から英・仏等の列強が租界を形成し,中国における西洋文化の窓口のひとつであった上海はまた,中国映画の発祥地でもある。昨年,中国映画誕生百周年を迎えたことを機に,上海図書館は1921年から1949年までの映画資料を収集し,デジタル化を行っている。中国で1949年以前に撮影された映画は3千本以上あったにもかかわらず,現在見られる状態にあるのは100本に満たない。そこで,1949年以前の中国語の映画雑誌をデジタル化し,往時の状況を伝えようとするものである。
「映画の記憶」はさらに2つに分かれており,研究者向けの「中国現代映画雑誌全目書誌」として雑誌の解題,目次,テキスト入力された本文,一部ページのデジタル画像が,一般向けの「中国映画スター録」として各映画の監督・キャストなどのデータや,当時の映画スターの略歴,写真などが,それぞれ提供されている。各コンテンツは相互にリンクが張られており,また一部の映画については音声や映像も見ることができる。
現在,1年あまりで収集・整理・加工した映画雑誌約100誌,映画スター約20名分のデータが提供されているが,最終的には300誌,100名程度まで達する予定であるという。ハクモクレンと懐中時計の瀟洒なページデザインも,何案も作成しては没にしながら完成させたとあり,上海図書館の意気込みが感じられる。年内には,「上海年華」のもうひとつのコンテンツとして,2万5千枚の写真で上海の歴史を振り返る「写真上海」も提供される予定である。
Ref:
http://memoire.digilib.sh.cn/SHNH/ [740]
http://www.library.sh.cn/japanese/news/list.asp?id=806 [741]
http://www.library.sh.cn/news/list.asp?id=2150 [742]
http://whb.news365.com.cn/sy/t20051022_692278.htm [743]
米テキサス州のダラス公共図書館が,2月に施行される新しい利用規則に「臭いを放つ利用者の入館を断ることができる」とする規定を盛り込んだことが,実質的にホームレスへの差別ではないかとして人権擁護団体から非難を浴びている。人権擁護団体は,新聞を買うお金のないホームレスの人でも図書館なら必要な求人広告を見られるのに,と主張している。
これに対して図書館側は,この規定は体臭だけでなく香水にも適用され,また大声で話すことやタバコを吸うことを禁じるのと同様で特定の人を対象としているのではないと説明している。同様の規定を設けている図書館は全米各地にあり,米国図書館協会(ALA)次期会長も,1992年の判例(CA1479 [744]参照)のとおり,基本的な衛生状態が保てず,スタッフや他の利用者に迷惑をかける人については,図書館は退去させることができると述べている。
Ref:
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc [745]
http://www.timesonline.co.uk/article/0,,11069-1964751,00.html#cid=OTC-RSS&attr=World [746]
CA1479 [744]
総務省. 公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会 報告書 -誰でも使える地方公共団体ホームページの実現に向けて-. 2005, 121p. (オンライン), 入手先< http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051215_1.html [747] >, (参照2006-1-13).
2004年6月の「JIS X 8341-3:2004(ウェブコンテンツJIS)」の制定とともに,公共分野におけるアクセシビリティ対応もより重要視されてきているが,実際のところ,図書館を含めた公共サービスにおけるアクセシビリティ確保への取組みはまだ十分とは言いがたい。総務省は,こうした現状を踏まえ,2004年11月から本研究会を開催,主に地方公共団体が提供するホームページのウェブアクセシビリティの維持・向上に向けた運用モデルの検討を行ってきた。
本報告書では,これまでの検討結果にもとづき,地方公共団体でのサイト運営に実際に活用できる具体的な運用モデルや各種手順書・ワークシート類を提案している。まず第1部ではアクセシビリティの国内外の動向および地方公共団体における現在のサイト運営状況の調査結果を示し,アクセシビリティ対応への課題として(1)担当者のスキル格差,(2)ウェブサイトの調達・運用・評価手順を示す具体的な運用モデルやガイドラインの不足,などを挙げている。第2部では,第1部の課題解決として,地方公共団体のウェブアクセシビリティ確保の取組みモデルである「みんなの公共サイト運用モデル」を提案,実際に当運用モデルを活用した地方公共団体での実践例とあわせてその有効性を実証評価している。付録には「みんなの公共サイト運用モデル」で用いる各種手順書,ワークシート類がまとめられている。
総務省では今後も「みんなの公共サイト運用モデル」の積極的な活用を促すための取組みを継続的に進めていくとしており,誰でも使えるホームページの実現に向けた今後の動きに期待できる。
Ref:
http://www.aao.ne.jp/accessibility/jis/ [748]
『カレントアウェアネス』の中で,特に読者の興味を引いたテーマはどのようなものだろうか? ホームページのアクセスログから「2005年『カレントアウェアネス』ベストアクセス20」を作成し,ホームページで発表した。そのうち上位10は下記のようになっている。
上位は国内の図書館情報学の動向をコンパクトにまとめた研究文献レビューが占めた。テーマとしては,最新の情報技術とその図書館への応用に読者の強い関心があることが分かる結果となった。また,Googleや愛国者法といった『カレントアウェアネス-E』で頻繁に取り上げた話題にもアクセスが集中した。
なお,「図書館に関する調査・研究」のページで最もアクセス数の多かったのは新着情報をお知らせするRSSファイルであった。RSSという仕組みが情報提供・収集の手段として普及・定着してきたことを示すものではないだろうか。
これは,あくまでホームページを通した読者の傾向であり,冊子体やメールマガジンを含めた全読者の関心を反映したものとは言えないが,ここで得られた結果を参考にして2006年の誌面作りに活かしていきたい。
Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/library/current/ca2005bestaccess.html [756]
米国議会で攻防が続いていた愛国者法(Patriot Act;CA1547 [600]参照)の延長問題は,休暇に入る直前の2005年12月22日,現行法を5週間暫定的に延長させる事態となった。内容の審議は年明けに持ち越された形だ。
愛国者法延長法案は7月に上下両議会を一旦通過したが,両法案の内容に差異があるため両院協議会で調整されてきた(E371 [602]参照)。12月8日,より強い権限を捜査機関に与える下院法案を軸に合意を得たが,その後リベラル派の上院議員が市民的自由の過剰な制限を懸念し,超党派で法案の修正を求める状況になっていた。
12月15日に下院は,期限切れとなる16条項のうち14条項を恒久化し,最大の争点となった通称図書館条項(215条)と通信傍受条項を4年間の時限規定とする法案を通過させた。しかし,上院では採択に至らず,またブッシュ政権による令状なしの通信傍受が明るみに出たこともあり,12月21日,現行法のまま6か月延長(その後下院で5週間に短縮)させ,その間に審議を続ける暫定措置で決着した。今後も215条を中心に審議が続くものと思われ,米国図書館協会(ALA)はまた徹底的なロビー活動を展開することとなる。
なお,コネチカット州の図書館が起こした訴訟は,9月に連邦地裁で国家安全保障書簡(NSL)の公表禁止規定を違憲とする判決が下されたが,現在控訴審に持ち込まれている。
Ref:
http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/december2005ab/patriotextend.htm [757]
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/22/AR2005122201229.html [758]
http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2005ab/128dec22.htm [759]
http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d109:H.3199: [760]
http://www.libraryjournal.com/article/CA6256310.html [761]
CA1547 [600]
E371 [602]
E376 [428]およびCA1578 [288]で既報のとおり,韓国の国会では「図書館および読書振興法」の改正作業が行われている。この改正作業においては,現行法を分割し,図書館に関する法律とは別に読書振興に関する法律を制定する方向で検討されている。これを受ける形で,2005年10月から11月にかけて,読書振興に関する3つの法案が与野党の議員から国会に発議された。
10月13日の「学生読書活動の振興法」案は,学校現場における組織的・計画的な読書教育プログラムを運営するよう,国家および地方自治体の施策を求めている。10月26日の「読書文化振興法」案も,韓国人の読書時間の少なさに関する報道(E387 [703]参照)への危機感に端を発し,学校教育での読み書き能力の涵養,読書関連の教科用図書の発行など,読書文化振興のための施策を求めている。いずれも野党議員主体の発議であり,現行法の読書振興に関する部分を引き継いでいるが,10月13日案は教育委員会に,10月26日案は文化観光委員会に回付されている点,また後者には,学校以外の読書に関する規定,国内外の出版物を翻訳し海外交流を行うという規定がある点で異なっている。
11月24日の「青少年読書振興法」案は,10月26日案と同じ問題意識から出発しているが,与党議員が提出した法案である点,また読書振興の資金確保のために基金を設けるとしている点で他案とは大きく異なる。この基金は,音楽・映像コンテンツやゲームの提供業者,マンガや学習教材など青少年関連の出版社,携帯電話の提供業者など,青少年を対象としたサービスを提供している業者に対し,売上額の一部を納付させて作るものであり,青少年図書館の施設拡充・運営や,読書支援事業等に用いられるとされている。
これらの3案は「図書館および読書振興法」の改正案とともに,今後国会で審議されていく予定である。
Ref:
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/172922_100.HWP.PDF [762]
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173083_100.HWP.PDF [763]
http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173460_100.HWP.PDF [764]
E376 [428]
CA1578 [288]
E387 [703]
米国研究図書館協会(ARL)は2005年12月,同年春に行ったアクセスサービスとそれを担当する部門に関する調査の報告書を公表した。ARLは1991年,従来“貸出し(Circulation)”と名付けられていた図書館資源の提供部門を,サービスの多様化に伴って“アクセスサービス(Access Services)”と呼ぶようになった図書館が増えてきたことに関する調査報告書を出した。今回の報告書は,1995年以後の状況をフォローアップしたものである。
貸出し/アクセスサービス部門が担当するサービスの中核は,1991年以来ずっと(1)貸出し,(2)書庫管理と排架,(3)宣伝・広報(billing),(4)入退館管理,(5)予約の5種類のままであるが,1995年以後,組織改編によって,新着雑誌,マイクロ資料,インフォメーション・デスク,ILLといった従来は他の部門に属していた機能を,貸出し/アクセスサービス部門に吸収させる図書館が増えてきている。また,貸出し/アクセスサービス部門がキャンパス内のドキュメント・デリバリー,ノートパソコンの貸出しなどの新しいサービスを提供するようになった図書館が2〜3倍に増加したという。このほか,サービスポイントの整理・統合,広報,製本,ILLの受付・管理といった業務での機械化の進展,ILLや書庫資料の請求におけるセルフサービスの増加などの傾向が見られる。
職員については,サポートスタッフが減り学生アシスタントが増加したこと,機械化に伴う業務の複雑化と専門性の低下により,部門をまたいだ研修の必要性が認識されていることなどが明らかになった。またほとんどの図書館が貸出数をはじめ各種サービスの評価を行っており,特にLibQUAL+(CA1526 [765]参照)を利用して利用者満足度調査を行っている館が70%に達しているという。
Ref:
http://www.arl.org/pubscat/pr/2005/announcespec290.html [766]
http://www.arl.org/spec/SPEC290web.pdf [767]
CA1526 [765]
全世界でHIV/AIDSが蔓延している。中でも,サハラ砂漠以南のアフリカ諸国の状況は深刻で,2004年時点で世界中のHIV/AIDS感染者の3分の2に当たる約2,500万人が集中している。
エイズを予防するための最大の武器は正確な情報の普及である。特に,感染の危険性の高い若者に対する教育段階での情報提供は重要であり,各国の政府ともに力を入れ始めている。では,こうしたエイズ予防政策という局面において,情報提供機関である図書館はどのように貢献できるだろうか? 大統領諮問機関である米国図書館情報学国家委員会(NCLIS;E331 [769]参照)は2005年12月,その可能性を探り,提言を行うレポートを公表した。
アフリカにも図書館は合計1,000館以上存在するが,口伝中心の文化,多言語環境,教育水準の低さといった環境の中で,植民地時代に輸入されたコレクション中心の図書館は,人々の生活に密着しているとは言い難い。そこで,アフリカの現状においては,図書館は地域の人々が必要とするHIV/AIDS情報を広範に収集し共同体に提供するリソースセンターの役割を果たすべきであると提言している。それは,資料の収集と情報の普及という図書館本来の機能を拡張するもので,教育機関やNGO,ラジオ局等とネットワークを築き,HIV/AIDSに関連する情報資源(現地語による出版物や商業出版ルートに乗りにくい情報も含めて)を収集し,地域の人々(特に若者や女性)に対して分かりやすい形(例えば現地語への翻訳や物語化,ラジオ放送など)で提供するといったモデルが提示されている。
NCLISは,こうした方向で図書館を定義し直すことは,アフリカに限られるものではなく,他の発展途上国や米国のような先進国にも有効であると強調している。
Ref:
http://www.nclis.gov/news/pressrelease/pr2005/2005-12LibrariesAfrica.pdf [770]
http://www.nclis.gov/LibrariesandHIVinfo.pdf [771]
http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/pr/pub/pamph/toa.html [772]
E331 [769]
財団法人日本経済研究所. 親と子の読書活動等に関する調査:平成16年度文部科学省委託事業 図書館の情報拠点化に関する調査研究. [2005], 97p. (オンライン), 入手先< http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05111601.htm [774] >, (参照2006-01-06).
文部科学省は,子どもの活字離れ(CA969 [775]参照)や読解力の低下が社会全体の課題となっていることを踏まえて,平成17年3月に子どもと保護者の読書活動や,保護者の読書活動が子どもの読書活動に及ぼす影響等に関する調査を行った。本調査は,「図書館の情報拠点化に関する調査研究」の一環として実施されたものである。
本調査では,小学2年生と5年生,中学2年生,高校2年生の児童・生徒およびその保護者に対するアンケート調査と,公共図書館と学校図書館に関する文献調査を実施している。アンケート結果は,(1)子どもと保護者の読書の状況,(2)子どもの読書活動への支援の状況,(3)保護者の読書活動が子どもの読書活動へ及ぼす影響,(4)保護者の支援が子どもの読書活動へ及ぼす影響,(5)マンガと読書の関係,(6)地域の環境と読書の関係,としてまとめられている。特に(1)からは,子どもと保護者の日ごろの読書,図書館の利用,書店の利用などの実態を端的に知ることができる。文献調査は,『日本の図書館 統計と名簿 2004』と文部科学省が実施した「学校図書館の現状に関する調査」をそれぞれ整理した内容となっている。
なお,「図書館の情報拠点化に関する調査研究」は平成16年度末をもって終了し,平成17年度からは平成19年度を達成年度とする「図書館の連携・協力と情報拠点化に関する調査研究」を実施している。
Ref:
http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/04083003/006.pdf [776]
http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/data/index.htm [777]
CA969 [775]
リンク
[1] http://current.ndl.go.jp/e285
[2] http://current.ndl.go.jp/e543
[3] http://current.ndl.go.jp/e392
[4] http://current.ndl.go.jp/e403
[5] http://books.live.com/
[6] http://help.live.com/help.aspx?project=booksearchhelp&market=en-US
[7] http://blogs.msdn.com/livesearch/archive/2006/12/05/live-search-books-beta-release.aspx
[8] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/2
[9] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/132
[10] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/105
[11] http://www.hm-treasury.gov.uk/media/583/91/pbr06_gowers_report_755.pdf
[12] http://www.hm-treasury.gov.uk/independent_reviews/gowers_review_intellectual_property/gowersreview_index.cfm
[13] http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20061207.html
[14] http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/newsandpressreleases/news061208.htm
[15] http://www.mla.gov.uk/webdav/harmonise?Page/@id=82&Section%5b
[16] http://www.jisc.ac.uk/news/stories/2006/12/news_gowers.aspx
[17] http://www.thelawyer.com/cgi-bin/item.cgi?id=123399&d=122&h=24&f=46
[18] http://www.cric.or.jp/gaikoku/england/england.html
[19] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/116
[20] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/32
[21] http://ejournals.library.ualberta.ca/index.php/EBLIP/
[22] http://www.eblip.net.au/
[23] http://www.newcastle.edu.au/service/library/gosford/ebl/projects/index.html#toolkit
[24] http://www.eblib.net/
[25] http://www.asebl.ualberta.ca/
[26] http://conferences.alia.org.au/ebl2005/
[27] http://www.kaken-evidence.jp/
[28] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/70
[29] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/75
[30] http://current.ndl.go.jp/e452
[31] http://current.ndl.go.jp/e538
[32] http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127guideline.pdf
[33] http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/20061127model.pdf
[34] http://www.telesa.or.jp/consortium/Illegal_info/20061127.htm
[35] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/061127_4.html
[36] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html
[37] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/87
[38] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/71
[39] http://www.ets.org/portal/site/ets/menuitem.c988ba0e5dd572bada20bc47c3921509/?vgnextoid=340051e5122ee010VgnVCM10000022f95190RCRD
[40] http://www.ets.org/
[41] http://www.ala.org/ala/acrl/acrlstandards/informationliteracycompetency.htm
[42] http://www.eschoolnews.com/news/showStoryts.cfm?ArticleID=6725
[43] http://www.nla.gov.au/lap/documents/vietnam06.pdf
[44] http://www.nlv.gov.vn/
[45] http://vietnamgateway.org/vanhoaxa/english/home.htm
[46] http://www.leaf-vn.org/english.html
[47] http://www.leaf-vn.org/libraryordinance.pdf
[48] http://www.oclc.org/news/releases/200635.htm
[49] http://www.wipo.int/edocs/notdocs/en/berne/treaty_berne_241.html
[50] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/66
[51] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/8
[52] http://www.icadl.org/
[53] http://www.icadl2006.org/
[54] http://www.springerlink.com/content/h86272541032/
[55] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/130
[56] http://www.spencerlibrary.com/index.htm
[57] http://www.spencerlibrary.com/deweybio.htm
[58] http://www.spencerlibrary.com/postcard.htm
[59] http://www.ironfrog.com/docs.html
[60] http://www.ironfrog.com/catsmap.html
[61] http://www.radioiowa.com/gestalt/go.cfm?objectid=23F0CB69-888E-464C-8123827DA0873CAD&dbtranslator=local.cfm
[62] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/12/02/AR2006120200924.html
[63] http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20061205ddm041030147000c.html
[64] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/31
[65] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/35
[66] http://www.chacha.com/
[67] http://liswiki.org/wiki/List_of_libraries_providing_virtual_reference_services
[68] http://underground.chacha.com/
[69] http://www.chacha.com/info/press
[70] http://www.cw.ua.edu/vnews/display.v/ART/2006/09/07/44ffc6bff306e
[71] http://www.idsnews.com/news/story.php?id=38027&adid=campus
[72] http://www.chacha.com/info/advertisers
[73] http://www.pewinternet.org/PPF/r/133/report_display.asp
[74] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/54
[75] http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/jp_font/default.mspx
[76] http://itpro.nikkeibp.co.jp/99/vista/index.html
[77] http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/column/ogata/
[78] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001218.htm
[79] http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0004964/
[80] http://ja.wikipedia.org/wiki/JIS_X_0213
[81] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/65
[82] http://current.ndl.go.jp/ca1604
[83] http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/165.htm
[84] http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/165/06111704/002.pdf
[85] http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/gian/16503165012.htm
[86] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06012705.htm
[87] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/127
[88] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/november2006a/bozeman.htm
[89] http://www.libraryjournal.com/article/CA6370904.html
[90] http://www.ala.org/ala/alonline/tableofcontents/2006contents/apr2006.htm
[91] http://www.bozemanlibrary.org/index.html
[92] http://www.grand.lib.ut.us/
[93] http://www.usgbc.org/DisplayPage.aspx?CategoryID=19
[94] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/69
[95] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/674
[96] http://nces.ed.gov/pubsearch/pubsinfo.asp?pubid=2006349
[97] http://nces.ed.gov/pubsearch/pubsinfo.asp?pubid=2007301
[98] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/74
[99] http://current.ndl.go.jp/e356
[100] http://www.nla.gov.au/lap/documents/sing06.pdf
[101] http://www.nlb.gov.sg/
[102] http://www.nlb.gov.sg/annualreport/fy05/
[103] http://readsingapore.nlb.gov.sg/
[104] http://current.ndl.go.jp/ca1499
[105] http://www.ala.org/ala/rusa/rusaprotools/referenceguide/ElementsforReviews.pdf
[106] http://www.ala.org/ala/rusa/rusaprotools/referenceguide/Default2277.htm
[107] http://www.ala.org/ala/rusa/rusaourassoc/rusasections/codes/codes.htm
[108] http://www.libraryjournal.com/community/891/Reviews/42795.html
[109] http://www.ala.org/ala/booklist/booklist.htm
[110] http://www.ala.org/ala/acrl/acrlpubs/choice/home.htm
[111] http://webpages.charter.net/tomeboy/bias.html
[112] http://lisnews.org/article.pl?sid=06/11/03/153256
[113] http://current.ndl.go.jp/category.php?categoryid=7%20
[114] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/123
[115] http://current.ndl.go.jp/ca1491
[116] http://www.cilip.org.uk/training/training
[117] http://www.cilip.org.uk/training/training/Trainingdirectory.htm
[118] http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/annualreport/corporateplan2006.htm
[119] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/110
[120] http://www.academiccommons.org/files/image-report.pdf
[121] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/82
[122] http://www.jla.or.jp/kenkai/mojikatuji200610.pdf
[123] http://www.jla.or.jp/kenkai/mojikatuji.html
[124] http://www.jla.or.jp/mojikatsuji2.pdf
[125] http://www.nla.gov.au/lap/documents/phil06.pdf
[126] http://www.elib.gov.ph/
[127] http://www.ndl.go.jp/en/publication/cdnlao/054/544.html
[128] http://www.nl.go.kr/international/kj_01_01.php
[129] http://www.nl.go.kr/international/kr_5.pdf
[130] http://nl.go.kr/digitalref/ref_user/ref_ask/subject_list.php?prev=ask.php
[131] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/33
[132] http://www.dcc.ac.uk/resource/curation-manual/chapters/curating-e-mails/
[133] http://current.ndl.go.jp/e178
[134] http://current.ndl.go.jp/e548
[135] http://www.ukoln.ac.uk/ukoln/staff/m.pennock/publications/docs/RMS-b_mngmt-pres-emails.pdf
[136] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/131
[137] http://makkelijklezenplein.nl/
[138] http://www.sitegenerator.bibliotheek.nl/haarlem/faq/overig45.asp
[139] http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=6613
[140] http://www.debibliotheken.nl/content.jsp?objectid=8545
[141] http://dutchlibraries.web-log.nl/dutchlibraries/2006/10/easy_reading_pl.html
[142] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/81
[143] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/14
[144] http://current.ndl.go.jp/e302
[145] http://www.andrews-consultancy.com/jisc_database_assessment/docs/Bibliographic_and_Citation_Databases.pdf
[146] http://www.andrews-consultancy.com/jisc_database_assessment/
[147] http://www.jisc-collections.ac.uk/
[148] http://www.jisc.ac.uk/whatwedo/services/services_jisccollections.aspx
[149] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/46
[150] http://current.ndl.go.jp/ca1526%20
[151] http://www.arl.org/stats/laconf/FullProgramFINAL.pdf
[152] http://www.arl.org/stats/laconf/schedule.html
[153] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/134
[154] http://www.copyright.cornell.edu/policy/Copyright_Guidelines.pdf
[155] http://www.copyright.cornell.edu/policy/Fair_Use_Checklist.pdf
[156] http://www.news.cornell.edu/pressoffice1/Sept06/AAPCopyright.shtml
[157] http://www.libraryjournal.com/article/CA6374602.html
[158] http://current.ndl.go.jp/ca1524
[159] http://current.ndl.go.jp/e519
[160] http://www.natlib.govt.nz/index.html
[161] http://epic.org.nz/nl/epic.html
[162] http://findnzarticles.natlib.govt.nz/
[163] http://www.lianza.org.nz/news/newsroom/news1137643403.html
[164] http://www.matapihi.org.nz/
[165] http://www.anyquestions.co.nz/en/anyQuestions.html
[166] http://www.asknow.gov.au/
[167] http://www.alia.org.au/publishing/aarl/35.2/full.text/wilson.keys.html
[168] http://www.liac.org.nz/
[169] http://www.natlib.govt.nz/files/initiatives/Next-Generation-National-Library.doc
[170] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/22
[171] http://www.lib.ncsu.edu/staff/kaantelm/antelman_lynema_pace.pdf
[172] http://www.lib.ncsu.edu/catalog/
[173] http://catalogablog.blogspot.com/2006/10/toward-21st-century-library-catalog.html
[174] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/104
[175] http://portal.unesco.org/ci/en/ev.php-URL_ID=22734&URL_DO=DO_PRINTPAGE&URL_SECTION=201.html
[176] http://current.ndl.go.jp/ca918
[177] http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/index.php
[178] http://informatics.buffalo.edu/org/lsj/articles/guinnee_2006_9_open.html
[179] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/42
[180] http://webjunction.org/do/Home
[181] http://data.webjunction.org/wj/documents/14077.pdf
[182] http://cogsci.l.chiba-u.ac.jp/REFORM/
[183] http://current.ndl.go.jp/e245
[184] http://current.ndl.go.jp/e366
[185] http://current.ndl.go.jp/e374
[186] http://www.nla.gov.au/lap/documents/nepal06.pdf
[187] http://www.readnepal.org/
[188] http://www.gatesfoundation.org/GlobalDevelopment/GlobalLibraries/AccessLearningAward/2006Award/default.htm
[189] http://www.tucl.org.np/
[190] http://www.nnl.gov.np/news.php
[191] http://current.ndl.go.jp/e420
[192] http://current.ndl.go.jp/e282
[193] http://current.ndl.go.jp/ca1570
[194] http://current.ndl.go.jp/e369
[195] http://current.ndl.go.jp/e516
[196] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/series/category.php?categoryid=24
[197] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/72
[198] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/122
[199] http://www.dcc.ac.uk/docs/DCC_Evaluation_Report_Final.pdf
[200] http://www.dcc.ac.uk/
[201] http://www.dcc.ac.uk/resource/curation-manual/
[202] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/58
[203] http://current.ndl.go.jp/ca1597
[204] http://current.ndl.go.jp/ca1556
[205] http://www.kb.nl/bst/beleid/bp/2006/2006-en.html
[206] http://www.kb.nl/bst/beleid/bp/2002/2002-en.html
[207] http://www.kb.nl/nieuws/2006/webarchivering.html
[208] http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=109_cong_bills&docid=f:h5439ih.txt.pdf
[209] http://frwebgate.access.gpo.gov/cgi-bin/getdoc.cgi?dbname=109_cong_bills&docid=f:h6052ih.txt.pdf
[210] http://www.stockasylum.com/text-pages/articles/a6fa092006-new-ow.htm
[211] http://www.law.com/jsp/article.jsp?id=1159347926565
[212] http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/orphanworks/orphanworks.htm
[213] http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2006ndx/091sep07.htm
[214] http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/copyagenda.pdf
[215] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/september2006a/orphanworks.htm
[216] http://www.asmp.org/news/spec2006/orphan_update.php
[217] http://www.libraryjournal.com/article/CA6346417.html
[218] http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/48/12/838/_pdf/-char/ja/
[219] http://www.copyright.gov/
[220] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/133
[221] http://www.natlib.govt.nz/files/REVISED_REPORT_Public_Libraries_Survey.pdf
[222] http://www.natlib.govt.nz/bin/news/pr?item=1156988924
[223] http://www.lianza.org.nz/library/files/store_011/StrategicFramework2006.pdf
[224] http://www.natlib.govt.nz/bin/media/pr?item=1146517363
[225] http://current.ndl.go.jp/e402
[226] http://www.nla.gov.au/lap/documents/maldives06.pdf
[227] http://www.nlm.gov.mv/main/
[228] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/34
[229] http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/ndl_ndlsh.html#txt_teikyou
[230] http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/NDLSH.html
[231] http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/pdf/renrakukaigi16.pdf
[232] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/150
[233] http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06082211.htm
[234] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/230
[235] http://current.ndl.go.jp/e390
[236] http://current.ndl.go.jp/e461
[237] http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/doc/recommendation/recommendation/en.pdf
[238] http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/index_en.htm
[239] http://www.public-cio.com/newsStory.php?id=2006.08.25-100716
[240] http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_08_20_fosblogarchive.html#115650918021900381
[241] http://www.techsource.ala.org/index.html
[242] http://www.techsource.ala.org/blog/2006/08/a-compelling-committee-or-the-story-of-uhlsdsc.html
[243] http://info.lib.uh.edu/strategic_directions.pdf
[244] http://info.lib.uh.edu/research/sub_blogs.html
[245] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/73
[246] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/40
[247] http://googleblog.blogspot.com/2006/08/finding-wealth-in-your-library-and.html
[248] http://googleblog.blogspot.com/2006/08/download-classics.html
[249] http://www.lib.umich.edu/aael/news.php?newsID=150
[250] http://mdp.lib.umich.edu/m/mdp/mdp-faq.htm
[251] http://www.lib.umich.edu/mdp/index.html
[252] http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060905-2.shtml
[253] http://chronicle.com/free/2006/08/2006083101t.htm
[254] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/91
[255] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/84
[256] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/95
[257] http://www.nla.gov.au/lap/documents/malaysia06.pdf
[258] http://www.pnm.my/
[259] http://i-baca.pnm.my/kempen/kempen_en.asp
[260] http://www.cmc.gov.my/Admin/WhatIsNew/59238834USPConsultPaper-10Aug2006.pdf#search=%22%22Universal%20Service%20Provision%22%20malaysia%22
[261] http://www.mylib.com.my/
[262] http://www.ndl.go.jp/en/iflapac/preconference/program.html
[263] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/140
[264] http://www.ifla.org/IV/ifla72/index.htm
[265] http://www.ifla.org/IV/ifla72/council2006.htm
[266] http://www.eprints.org/community/blog/index.php?/archives/93-Open-Access-Key-Strategic-Technical-and-Economic-Aspects.html
[267] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/156
[268] http://bibliban.over-blog.com/
[269] http://libraryjuicepress.com/blog/?p=118
[270] http://www.livreshebdo.fr/actualites/DetailsActuRub.aspx?id=257
[271] http://www.nytimes.com/2006/08/17/arts/design/17read.html?ei=5070%20&en=fc927ed7ccfcd2de&ex=1157515200&adxnnl=1&adxnnlx=1157364818%20-jF7o/Z+qs8pJuGxZ+YLlfA
[272] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/aug%20ust2006a/nyplbillings.htm
[273] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/124
[274] https://upki-portal.nii.ac.jp/
[275] https://upki-portal.nii.ac.jp/item/idata/odata/copy_of_upkisymposium2006/4-59275b6695939023643a306e305f3081306e516856fd5171540c96fb5b508a8d8a3c57fa76e4-upki-69cb7bc94e8b696d.pdf/
[276] https://upki-portal.nii.ac.jp/item/idata/odatao/csisymposium20060609/csi30b730f366fd6839539f5148751f.pdf/
[277] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/86
[278] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-044.html
[279] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-148.html
[280] http://www.loc.gov/loc/lcib/0510/trove.html
[281] http://www.axcessnews.com/modules/wfsection/article.php?articleid=10906
[282] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/142
[283] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060825_6_1.pdf
[284] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/90
[285] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/29
[286] http://www.nla.gov.au/lap/documents/indonesia06.pdf
[287] http://current.ndl.go.jp/e468
[288] http://current.ndl.go.jp/ca1578
[289] http://current.ndl.go.jp/ca1060
[290] http://current.ndl.go.jp/e457
[291] http://current.ndl.go.jp/e506
[292] http://www.nla.gov.au/lap/documents/korea06.pdf
[293] http://current.ndl.go.jp/e446
[294] http://current.ndl.go.jp/ca1516
[295] http://current.ndl.go.jp/ca1593
[296] http://dlist.sir.arizona.edu/1255/
[297] http://berlin4.aei.mpg.de/
[298] http://www.medknow.com/
[299] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/128
[300] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/11
[301] http://current.ndl.go.jp/ca1475
[302] http://current.ndl.go.jp/e264
[303] http://current.ndl.go.jp/ca1568
[304] http://www.dcalni.gov.uk/newsStory/default.asp?id=1291
[305] http://www.dcalni.gov.uk/Contman/includes/upload/file.asp?ContentID=1291&file=c_24
[306] http://www.dcalni.gov.uk/newsStory/default.asp?id=1262
[307] http://www.dallasnews.com/sharedcontent/APStories/stories/D8IT5A7O3.html
[308] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/july2006a/texassues.htm
[309] http://www.kwtx.com/home/headlines/3360511.html
[310] http://www.publishers.org.uk/paweb/paweb.nsf/79b0d164e01a6cb880256ae0004a0e34/494d76e59bcd2004802571a4003adff0%21OpenDocument
[311] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/76
[312] http://www.ala.org/ala/acrl/acrlissues/marketingyourlib/advocacy_toolkit.pdf
[313] http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/august2006/AASLinstructionaltoolkit.htm
[314] http://www.resourceshelf.com/2006/07/27/academic-libraries-acrls-the-power-of-personal-persuasion-toolkit-now-available-as-a-free-pdf/
[315] http://www.resourceshelf.com/2006/08/17/school-library-association-publish-advocacy-toolkit/
[316] http://www.ifla.org/VII/s11/pubs/s11_AdvocacyKit.html
[317] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/38
[318] http://eprints.rclis.org/archive/00006809/
[319] http://current.ndl.go.jp/ca1588
[320] http://www.ida.gov.sg/idaweb/aboutida/infopage.jsp?infopagecategory=factsheet:aboutida&versionid=1&infopageid=I860
[321] http://current.ndl.go.jp/e406
[322] http://current.ndl.go.jp/e425
[323] http://www.nla.gov.au/lap/documents/china06.pdf
[324] http://www.nlc.gov.cn/service/guanyuguotu/gangyao.htm
[325] http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/data/jc_23_ch_01.pdf
[326] http://www.ifla.org/V/iflaj/IFLA-Journal-2-2006.pdf
[327] http://www.nlb-online.org/mod.php?mod=userpage&menu=66&page_id=485
[328] http://www.livingpaintings.org/
[329] http://www.google.com/librariancenter/newsletter/0607.html
[330] http://www.google.com/librariancenter/librarian_tot.html
[331] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=646
[332] http://www.library.metro.tokyo.jp/1h/index.html
[333] http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/07/20g7c300.htm
[334] http://www.ifla.org/VII/s23/pub/s23_Report-QA-2005.pdf
[335] http://www.clemi.org/international/mediappro/Mediappro_b.pdf
[336] http://urfistinfo.blogs.com/urfist_info/2006/07/lecole_et_linte.html
[337] http://europa.eu.int/information_society/activities/sip/programme/index_en.htm
[338] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/10
[339] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/24
[340] http://current.ndl.go.jp/ca1502
[341] http://current.ndl.go.jp/e214
[342] http://current.ndl.go.jp/e256
[343] http://current.ndl.go.jp/e96
[344] http://www.digitalpreservation.gov/
[345] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-097.html
[346] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-129.html
[347] http://www.lockss.org/clockss/
[348] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-147.html
[349] http://www.loc.gov/today/pr/2006/06-146.html
[350] http://www.loc.gov/webcapture/
[351] http://www.nla.gov.au/lap/documents/cambodia.pdf
[352] http://current.ndl.go.jp/ca623
[353] http://current.ndl.go.jp/ca1069
[354] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/15
[355] http://www.gwinnettdailypost.com/index.php?s=&url_article_id=16100&change_well_id=2
[356] http://www.libraryjournal.com/article/CA6342794.html
[357] http://www.libraryjournal.com/article/CA6343273.html
[358] http://www.libraryjournal.com/article/CA6346389.html
[359] http://www.libraryjournal.com/article/CA6349773.html
[360] http://www.gcplwatch.org/intro.html
[361] http://bunzo.jp/
[362] http://www.archives.go.jp/news/060703.html
[363] http://www.archives.go.kr/hunjang/
[364] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/161
[365] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/367
[366] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/557
[367] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/264
[368] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/203
[369] http://googleblog.blogspot.com/2006/06/germany-and-google-books-library.html
[370] http://booksearch.blogspot.com/archives/2006_07_01_booksearch_archive.html#115214292132825547
[371] http://news.com.com/2061-10812_3-6089897.html?part=rss&tag=6089897&subj=new
[372] http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/06/29/12506.html
[373] https://current.ndl.go.jp/item.php%3Fitemid%3D398
[374] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/21
[375] http://www.ala.org/al_onlineTemplate.cfm?Section=july2006a&Template=/Content%20Management/ContentDisplay.cfm&ContentID=131559
[376] http://www.foxnews.com/story/0,2933,201411,00.html
[377] http://www.archives.gov/calendar/status/index.html
[378] http://www.archives.gov/calendar/status/facts.html
[379] http://www.hillnews.com/thehill/export/TheHill/News/Frontpage/070506/loc.html
[380] http://www.loc.gov/preserv/prepare.html
[381] http://www.loc.gov/preserv/pubsemer.html
[382] http://college.lisnews.org/academic/06/07/02/1450254.shtml
[383] http://lisnews.org/article.pl?sid=06/07/06/0023257
[384] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/271
[385] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/cae/item.pho?itemid=464
[386] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=1021%22
[387] http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=095060400&OBJCD=100095&GROUP=
[388] http://www5.cao.go.jp/koukyo/index.html
[389] http://current.ndl.go.jp/ca1589
[390] http://current.ndl.go.jp/e458
[391] http://current.ndl.go.jp/category.php?categoryid=7
[392] http://current.ndl.go.jp/ca1575
[393] http://current.ndl.go.jp/e443
[394] http://current.ndl.go.jp/ca1537
[395] http://current.ndl.go.jp/ca1438
[396] http://www.nla.gov.au/lap/meetings.html
[397] http://www.nla.gov.au/lap/documents/aust06.pdf
[398] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/144
[399] http://www.nlcy.go.kr/
[400] http://www.chosun.com/national/news/200606/200606210560.html
[401] http://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/133526.html
[402] http://www.gonews.co.kr/common/result.asp?sCode=20060628212119173
[403] http://current.ndl.go.jp/ca1504
[404] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/56
[405] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/36
[406] http://current.ndl.go.jp/ca1594
[407] http://flamenco.berkeley.edu/
[408] http://orange.sims.berkeley.edu/cgi-bin/flamenco.cgi/nobel/Flamenco
[409] http://bailando.sims.berkeley.edu/papers/flamenco-chi03.pdf
[410] http://www.museosuomi.fi/
[411] http://www.childrenslibrary.org/icdl/SimpleSearchCategory
[412] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/50
[413] http://www.rsf.org/article.php3?id_article=18015
[414] http://lisnews.org/article.pl?sid=06/06/15/2353247
[415] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/109
[416] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/27
[417] http://www.timesonline.co.uk/article/0,,716-2209120.html
[418] http://www.timesonline.co.uk/article/0,,716-2208313.html
[419] http://www.timesonline.co.uk/displayPopup/0,,102571,00.htm
[420] http://orweblog.oclc.org/archives/001048.html
[421] http://www.thetimesonline.com/articles/2006/06/20/news/porter_county/%200457f2e3afa8b4f88625719200825575.txt%20
[422] http://www.fortwayne.com/mld/journalgazette/entertainment/music/band%20_profiles/14877964.htm
[423] http://www.publicagenda.org/research/pdfs/long_overdue.pdf
[424] http://www.publicagenda.org/press/press_release_detail.cfm?list=72
[425] http://www.libraryjournal.com/article/CA6343131.html
[426] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060623_5_02.pdf
[427] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060623_5.html
[428] http://current.ndl.go.jp/e376
[429] http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60039
[430] http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=60554
[431] http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=55957
[432] http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=73707
[433] http://www.nanet.go.kr/libinfo/k01_profile.html?nav=010102
[434] http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060525006009
[435] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/68
[436] http://www.sudanarchive.net/
[437] http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/IRIN/9b43a1f73b4b7e9eb3312f7a6cf7fce9.htm
[438] http://www.balancingact-africa.com/news/back/balancing-act_290.html#head
[439] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/9
[440] http://www.archives.gov/declassification/
[441] http://www.archives.gov/isoo/reports/2006-audit-report.html
[442] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/88
[443] http://cornyn.senate.gov/doc_archive/05-02-2006_COE06461_xml.pdf
[444] http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060508-2.shtml
[445] http://www.openaccessjapan.com/archives/2006/05/post_54.html
[446] http://www.ala.org/Template.cfm?Section=News&template=/ContentManagement/ContentDisplay.cfm&ContentID=125401
[447] http://www.earlham.edu/~peters/fos/2006_05_07_fosblogarchive.html#114727228384472074
[448] http://www.harrisinteractive.com/harris_poll/index.asp?PID=671
[449] http://www.ippr.org.uk/ecomm/files/preservation_access_ip.pdf
[450] http://www.managinginformation.com/news/content_show_full.php?id=4963
[451] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/45
[452] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/108
[453] http://current.ndl.go.jp/e56
[454] http://www.goethe.de/ins/gb/lon/wis/sbi/en1435033.htm
[455] http://www.goethe.de/mmo/priv/1073952-STANDARD.pdf
[456] http://blogbbf.enssib.fr/?2006/06/01/59-le-developpement-des-bibliotheques-publiques-strategies-nationales-en-europe
[457] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/19
[458] http://www.gtfa-2006.com/
[459] http://fr.wikipedia.org/wiki/Quaero
[460] http://www.lalibre.be/article.phtml?id=3&subid=85&art_id=266363
[461] http://www.elysee.fr/elysee/elysee.fr/francais/interventions/discours_et_declarations/2006/avril/discours_du_president%20_de_la_republique_a_l_occasion_de_la_presentation_des_actions_de_l_agence_de_l_innovation_industrielle.47545.html
[462] http://www.loiclemeur.com/english/2006/05/quaero_10_reaso.html
[463] http://www.businessweek.com/globalbiz/content/mar2006/gb20060330_385311.htm
[464] http://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/infostand/2006/01/23/7051.html
[465] http://www.wkyc.com/monday/monday_article.aspx?storyid=52623
[466] http://www.wkyc.com/weblog/carlmonday/2006/05/perverts-paradise.html
[467] http://lisnews.org/articles/06/05/24/182240.shtml
[468] http://www.soumu.go.jp/denshijiti/ict/index.html
[469] http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060413/235223/
[470] http://www.blogwithoutalibrary.net/?p=197
[471] http://www.fims.uwo.ca/
[472] http://current.ndl.go.jp/ca1565
[473] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/16
[474] http://current.ndl.go.jp/ca1564
[475] http://www.arl.org/arl/proceedings/148/
[476] http://www.csmonitor.com/2006/0525/p13s01-lign.html
[477] http://msnbc.msn.com/id/12149632/
[478] http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/security/index.htm
[479] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060602_2.html
[480] http://www.fepproject.org/policyreports/filters2.pdf
[481] http://current.ndl.go.jp/ca1473
[482] http://current.ndl.go.jp/ca1572
[483] http://current.ndl.go.jp/e98
[484] http://www.fepproject.org/policyreports/filters2factsheet.pdf
[485] http://www.fepproject.org/press/Filters2.pdf
[486] http://current.ndl.go.jp/e354
[487] http://www.rlg.org/en/page.php?Page_ID=20942
[488] http://www.oclc.org/news/releases/200618.htm
[489] http://www.infotoday.com/newsbreaks/nb060508-1.shtml
[490] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/98
[491] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/146
[492] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/147
[493] http://current.ndl.go.jp/e404
[494] http://www.klaw.go.kr/CNT2/Easy/MCNT2EasyLawService.jsp?s_lawmst=73521
[495] http://www.kiib.co.kr/news/session_view.asp?tbl_str=news_01&news_num=51755
[496] http://www.etnews.co.kr/news/detail.html?id=200512080024
[497] http://www.kmib.co.kr/html/kmview/2006/0504/092017805211151100.html
[498] http://inews.mk.co.kr/CMS/economy/all/real/mk/7356724_2818.php
[499] http://www.arabnews.com/?article=81673
[500] http://www.arabnews.com/?article=70814
[501] http://www.iso.org/iso/en/commcentre/pressreleases/2006/Ref1004.html
[502] http://www.odfalliance.org/
[503] http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060504/236970/
[504] http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/USNEWS/20060522/238521/
[505] http://www.ecma-international.org/news/TC45_current_work/TC45-2006-50.htm
[506] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/79
[507] http://www.freecomicbookday.com/Default.asp
[508] http://www.libraryjournal.com/article/CA6333717.html
[509] http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/r05_allchap.pdf
[510] http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/rallchap.pdf
[511] http://www.library.metro.tokyo.jp/15/pdf/r2allchap.pdf
[512] http://www.emeraldinsight.com
[513] http://current.ndl.go.jp/ca1586
[514] http://current.ndl.go.jp/e463
[515] http://web.utk.edu/~tenopir/maxdata/
[516] http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/06041015.htm
[517] http://www.carnegielibrary.org/about/economicimpact/
[518] http://current.ndl.go.jp/ca1498
[519] http://www.bookstart.co.uk/bookstart/schemes/lammy.php4
[520] http://www.bookstart.co.uk/bookstart/professionals/packs.php4
[521] http://www.booktokens.co.uk/consumers/bookstart.asp
[522] http://www.mla.gov.uk/resources/assets//E/extending_bookstart_9400.pdf
[523] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/120
[524] http://current.ndl.go.jp/ca1583
[525] http://www.imls.gov/pdf/DesignsforChange.pdf
[526] http://www.libraryjournal.com/article/CA6325542.html
[527] http://www.mla.gov.uk/resources/assets//I/International_library_services_tender_9450.pdf
[528] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/119
[529] http://www.gpoaccess.gov/
[530] http://www.gpo.gov/news/2006/06news10.pdf
[531] http://origin.www.gpo.gov/partnership/
[532] http://www.fbo.gov/spg/GPO/PSPSD/WashingtonDC/GPOID2005/SynopsisP.html
[533] http://current.ndl.go.jp/e298
[534] http://current.ndl.go.jp/e202
[535] http://current.ndl.go.jp/ca1569
[536] http://current.ndl.go.jp/ca1548
[537] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/138
[538] http://stardata.nrf.ac.za/html/workshopCodataPublications.html
[539] http://www.codata.org/
[540] http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/pdf/china_singai_handbook.pdf
[541] http://www.bunka.go.jp/1tyosaku/kaizokuban/taisaku.html
[542] http://www.china-embassy.or.jp/jpn/xwdt/t192745.htm
[543] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/car/index.php?p=759
[544] http://current.ndl.go.jp/e439
[545] http://current.ndl.go.jp/e396
[546] http://current.ndl.go.jp/e342
[547] http://current.ndl.go.jp/e462
[548] http://current.ndl.go.jp/e370
[549] http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/march2006/stateoflibraries.htm
[550] http://www.libraryjournal.com/article/CA6322516.html
[551] http://current.ndl.go.jp/e273
[552] http://www.microsoft.com/presspass/press/2006/apr06/04-11WLAcademicSearchPR.mspx
[553] http://www.itworld.com/App/255/060407mssearch/pfindex.html
[554] http://weblogs.elearning.ubc.ca/googlescholar/archives/025077.html
[555] http://www.liveside.net/comments.php?catid=2&shownews=144
[556] http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/08/11155.html
[557] http://pcweb.mycom.co.jp/news/2006/04/13/100.html
[558] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/83
[559] http://current.ndl.go.jp/e289
[560] http://books.guardian.co.uk/comment/story/0,,1746542,00.html
[561] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/135
[562] http://www.segye.com/Service5/ShellView.asp?TreeID=1052&DataID=200604031542000152
[563] http://www.cnbnews.com/category/read.html?bcode=6425
[564] http://www.copycle.or.kr/library/lib.asp
[565] http://thesis.or.kr/content.jsp?content=board_view.jsp?tableName=board_notice&userGubun=user&num=118
[566] http://library.snu.ac.kr/freeboard/boardNoticeView.jsp?tablename=board_notice&num=368
[567] http://library.snu.ac.kr/freeboard/boardNoticeView.jsp?tablename=board_notice&num=371
[568] http://www.icmec.org/en_X1/pdf/ModelLegislationFINAL.pdf
[569] http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/cae/item.pho?itemid=232
[570] http://www.collectionscanada.ca/collection/003-200-e.html
[571] http://www.collectionscanada.ca/collection/024/003024-204-e.html
[572] http://current.ndl.go.jp/e226
[573] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/145
[574] http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701.htm
[575] http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06040513.htm
[576] http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06040715.htm
[577] mailto:Journal@rchive
[578] http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/top_ja.php
[579] http://www.jst.go.jp/pr/info/info271/index.html
[580] http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/24/11373.html
[581] http://johokanri.jp/
[582] http://www.korla.or.kr/community/notice/view.asp?pkid=441&BBSCode=N0013
[583] http://www.ofsted.gov.uk/publications/index.cfm?fuseaction=pubs.displayfile&id=4170&type=pdf
[584] http://www.davidruffleymp.com/newsshow.asp?ref=463
[585] http://current.ndl.go.jp/e189
[586] http://www.kb.nl/bst/evaluatie/evaluatie2005-en.xml
[587] http://www.kb.nl/bst/evaluatie/finalreport_051019.pdf
[588] http://www.kb.nl/bst/evaluatie/commentkb_051123.pdf
[589] http://www.kb.nl/bst/evaluatie/selfevaluation_final_050714.pdf
[590] http://www.mla.gov.uk/webdav/harmonise?Page/@id=82&Document/
[591] http://www.lovelibraries.co.uk/
[592] http://news.bbc.co.uk/1/low/entertainment/4832408.stm
[593] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/march2006ab/britaincampaign.htm
[594] http://www.ifla.org/VI/4/news/ipi6-en.pdf
[595] http://www.ifla.org/VI/4/news/ipnn34.pdf
[596] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/43
[597] http://europa.eu.int/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/06/253&type=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en
[598] http://europa.eu.int/information_society/activities/digital_libraries/doc/communication/results_of_online_consultation_en.pdf
[599] http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20097817,00.htm
[600] http://current.ndl.go.jp/ca1547
[601] http://current.ndl.go.jp/e428
[602] http://current.ndl.go.jp/e371
[603] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/03/09/AR2006030901307.html
[604] http://www.ala.org/ala/pressreleases2006/march2006/HousePATRIOTvote.htm
[605] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/february2006a/patriotcompro.htm
[606] http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2006ndx/018feb17.htm
[607] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/92
[608] http://www.arl.org/newsltr/245/bundle.html
[609] http://www.arl.org/newsltr/235/snapshot.html
[610] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/52
[611] http://current.ndl.go.jp/e377
[612] http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20060308.html
[613] http://www.bl.uk/bipc/
[614] http://www.lda.gov.uk/
[615] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/64
[616] http://current.ndl.go.jp/e378
[617] http://current.ndl.go.jp/ca1562
[618] http://www.ip-watch.org/weblog/index.php?p=221
[619] http://www.consumersinternational.org/Shared_ASP_Files/UploadedFiles/C50257F3-A4A3-4C41-86D9-74CABA4CBCB1_COPYRIGHTFinal16.02.06.pdf
[620] http://lists.essential.org/pipermail/a2k/2006-February/000985.html
[621] http://www.wipo.int/meetings/en/details.jsp?meeting_id=9643
[622] http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/bbl060207.pdf
[623] http://www.nii.ac.jp/sparc/doc/oa_report_ja.pdf
[624] http://current.ndl.go.jp/e445
[625] http://current.ndl.go.jp/e323
[626] http://www.nii.ac.jp/sparc/shiryou/index.html
[627] http://www.openaccessjapan.com/archives/2006/03/post_46.html
[628] http://www.nii.ac.jp/irp/index.html
[629] http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/ir/
[630] http://current.ndl.go.jp/e364
[631] http://www.mla.gov.uk/website/programmes/online_initiatives/reference_online/Reference_Online/
[632] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/143
[633] http://current.ndl.go.jp/e315
[634] http://current.ndl.go.jp/e349
[635] http://www.bl.uk/news/2006/pressrelease20060206.html
[636] http://www.cilip.org.uk/professionalguidance/copyright/lobbying/apig.htm
[637] http://news.zdnet.co.uk/business/0,39020645,39250168,00.htm
[638] http://news.bbc.co.uk/1/hi/technology/4675280.stm
[639] http://www.apig.org.uk/current-activities/apig-inquiry-into-digital-rights-management.html
[640] http://www.theregister.co.uk/2005/11/15/outlaw_parliament_drm/print.html
[641] http://www.ala.org/ala/washoff/WOissues/copyrightb/digitalrights/DRMfinal.pdf
[642] http://current.ndl.go.jp/ca1401
[643] http://www.nlib.ee/cenl/docs/05-11CENLFEP_Draft_Statement050822_02.pdf
[644] http://www.nlib.ee/cenl/working_groups.php
[645] http://www.managinginformation.com/news/content_show_full.php?id=4630
[646] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/129
[647] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/113
[648] http://current.ndl.go.jp/ca1525
[649] http://www.denverpost.com/entertainment/ci_3513777
[650] http://www.denver.lib.co.us/news/dplnews/downloadable_movies.html
[651] http://www.rockymountainnews.com/drmn/local/article/0,1299,DRMN_15_4474821,00.html
[652] http://www.overdrive.com/news/pr/20050615.asp
[653] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/118
[654] http://www.oasis.go.kr/
[655] http://www.nl.go.kr/notice/board_info/view.php?bbs=BOARD_INFO&no=380
[656] http://www.mct.go.kr/open_content/administrative/news/press_view.jsp?viewFlag=read&oid=@45852%7c2%7c1
[657] http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/
[658] http://www.kisei-kaikaku.go.jp/market/2005/1221/item051221_01.pdf
[659] http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NGT/govtech/20050418/159518/
[660] http://current.ndl.go.jp/e345
[661] http://www.ndl.go.jp/jp/library/lis_research/no6/index.html
[662] http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/preservation.html
[663] http://current.ndl.go.jp/ca1117
[664] http://current.ndl.go.jp/ca1224
[665] http://www.seoul.go.kr/seoul/citynews/newsdata/1228432_8736.html
[666] http://www.donga.com/fbin/moeum?n=society$c_708&a=v&l=27&id=200601100108
[667] http://www.lib.seoul.kr/
[668] http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060118003006
[669] http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20060125007004
[670] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/01/17/AR2006011701471.html
[671] http://www.dclibrary.org/news/BRTF-Draft-Summary-Report.pdf
[672] http://dc.gov/mayor/dcpl_taskforce/index.shtm
[673] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2006abc/january2006ab/dctaskforce.htm
[674] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/alnews2004/december2004ab/dcpanel.htm
[675] http://www.libraryjournal.com/article/CA6300805.html
[676] http://libraries.universityofcalifornia.edu/sopag/BSTF/Final.pdf
[677] http://libraries.universityofcalifornia.edu/planning/
[678] http://www.slp.ucop.edu/programs/sharedprint/
[679] http://www.cdlib.org/inside/assess/evaluation_activities/docs/2005/sharedPrintReport_nov2005.pdf
[680] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/153
[681] http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=tocross_pals
[682] http://www.jisc.ac.uk/index.cfm?name=project_tocross&src=alpha
[683] http://www.editeur.org/onix.html
[684] http://www.prismstandard.org/
[685] http://current.ndl.go.jp/e382
[686] http://rightsandrewards.lboro.ac.uk/index.php?section=1
[687] http://rightsandrewards.lboro.ac.uk/index.php?section=21
[688] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/141
[689] http://current.ndl.go.jp/ca1566
[690] http://www.nlkr.gov.kg/news20051222.htm
[691] http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/anken/zyoukyou/h_15/040116_2.html
[692] http://www.nlkr.gov.kg/eng/partnership.htm
[693] http://www.eifl.net/countries/kyrgyzstan.html
[694] http://www.bik.org.kg/en/eifl_kyrgyzstan.html
[695] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/78
[696] http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060126_1.html
[697] http://www.it-anshin.go.jp/
[698] http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/others/kettei.pdf
[699] http://current.ndl.go.jp/e73
[700] http://current.ndl.go.jp/e357
[701] http://current.ndl.go.jp/e393
[702] http://current.ndl.go.jp/e251
[703] http://current.ndl.go.jp/e387
[704] http://current.ndl.go.jp/e429
[705] http://www.korla.or.kr/community/library/view.asp?pkid=372&BBSCode=N0013
[706] http://news.inq7.net/nation/index.php?index=1&story_id=54433
[707] http://www.gov.ph/news/?i=13711
[708] http://filipinolibrarian.blogspot.com/2005/10/reading-and-barangay-libraries.html
[709] http://www.deped.gov.ph/about_deped/organizationlinks.asp?id=17
[710] http://www.chanrobles.com/republicactno7743.htm
[711] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/30
[712] http://current.ndl.go.jp/e312
[713] http://www.telmemor.net/news.php
[714] http://telmemor.net/docs/D1.1_Final%20analysis.pdf
[715] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/111
[716] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/151
[717] http://www.nla.gov.au/pressrel/2006/flickr.html
[718] http://www.flickr.com
[719] http://www.pictureaustralia.org
[720] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/53
[721] http://current.ndl.go.jp/e410
[722] http://current.ndl.go.jp/e137
[723] http://www.ndl.go.jp/jp/sym/index.html
[724] http://www.dap.ndl.go.jp/home/
[725] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/148
[726] http://current.ndl.go.jp/e294
[727] http://current.ndl.go.jp/e338
[728] http://current.ndl.go.jp/ca1559
[729] http://current.ndl.go.jp/ca1543
[730] http://current.ndl.go.jp/e154
[731] http://www.ina.fr/presse/pdf/173.pdf
[732] http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0
[733] http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20093560,00.htm
[734] http://www.culture.gouv.fr/culture/actualites/communiq/donnedieu/dadvsi14012006.html
[735] http://www.dfg.de/en/news/press_releases/2005/press_release_2005_80.html
[736] http://www.dfg.de/forschungsfoerderung/wissenschaftliche_infrastruktur/lis/aktuelles/liste_der_nationallizenzen_05.html
[737] http://www.dfg.de/aktuelles_presse/pressemitteilungen/2005/presse_2005_21.html
[738] http://www.read.com.tw/
[739] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/28
[740] http://memoire.digilib.sh.cn/SHNH/
[741] http://www.library.sh.cn/japanese/news/list.asp?id=806
[742] http://www.library.sh.cn/news/list.asp?id=2150
[743] http://whb.news365.com.cn/sy/t20051022_692278.htm
[744] http://current.ndl.go.jp/ca1479
[745] http://%20http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/december2005ab/dallasplan.htm
[746] http://www.timesonline.co.uk/article/0,,11069-1964751,00.html#cid=OTC-RSS&attr=World
[747] http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051215_1.html
[748] http://www.aao.ne.jp/accessibility/jis/
[749] http://current.ndl.go.jp/ca1555
[750] http://current.ndl.go.jp/ca1563
[751] http://current.ndl.go.jp/ca1528
[752] http://current.ndl.go.jp/ca1482
[753] http://current.ndl.go.jp/ca1534
[754] http://current.ndl.go.jp/ca1552
[755] http://current.ndl.go.jp/ca1529
[756] http://www.ndl.go.jp/jp/library/current/ca2005bestaccess.html
[757] http://www.ala.org/ala/alonline/currentnews/newsarchive/2005abc/december2005ab/patriotextend.htm
[758] http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/12/22/AR2005122201229.html
[759] http://www.ala.org/ala/washoff/washnews/2005ab/128dec22.htm
[760] http://thomas.loc.gov/cgi-bin/bdquery/z?d109:H.3199:
[761] http://www.libraryjournal.com/article/CA6256310.html
[762] http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/172922_100.HWP.PDF
[763] http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173083_100.HWP.PDF
[764] http://search.assembly.go.kr/bill/doc_10/17/pdf/173460_100.HWP.PDF
[765] http://current.ndl.go.jp/ca1526
[766] http://www.arl.org/pubscat/pr/2005/announcespec290.html
[767] http://www.arl.org/spec/SPEC290web.pdf
[768] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/121
[769] http://current.ndl.go.jp/e331
[770] http://www.nclis.gov/news/pressrelease/pr2005/2005-12LibrariesAfrica.pdf
[771] http://www.nclis.gov/LibrariesandHIVinfo.pdf
[772] http://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/pr/pub/pamph/toa.html
[773] https://current.ndl.go.jp/taxonomy/term/154
[774] http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05111601.htm
[775] http://current.ndl.go.jp/ca969
[776] http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/04083003/006.pdf
[777] http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/data/index.htm