学術情報流通

インドの科学技術庁(DST)、新しい科学・技術・イノベーション政策の草案を公表

2021年1月1日、インドの科学技術庁(DST)は、新しい科学・技術・イノベーション(STI)政策の草案を公表しました。2013 年の「科学・技術・イノベーション政策2013」に続く、インドのSTI政策に関する5番目の国家文書と位置付けられており、2021年1月25日までパブリックコメントが実施されます。

同政策の狙いとして、インドのSTIエコシステムにおける長所と短所を特定し対処することにより、社会経済的発展を促し、STIエコシステムの国際的競争力を高めることを挙げています。草案の“Executive Summary”では政策の概要を紹介しており、オープンサイエンス関連では以下の点等への言及があります。

Wiley社、オープンアクセス(OA)出版社のHindawi社の買収を発表

2021年1月5日、Wiley社は、オープンアクセス(OA)出版社のHindawi社を総額2億9,800万ドルで買収することを発表しました。

Wiley社は、同社のOA出版プログラムの品質・規模・成長性を高め、研究分野における主導的な役割を強化するものとして、Hindawi社買収の背景を説明しています。英国のロンドンに拠点を置くHidawi社は、代表的なOA出版社としてゴールドOAの促進を進めており、2020年12月31日を区切りとする会計年度には、前年比約50%の成長となる約4,000万ドルの収益を見込んでいます。

Wiley社は買収によって期待される効果として、Hindawi社のタイトルの追加によりゴールドOAジャーナルのポートフォリオの規模が倍増すること、Hindawi社の先進的な技術の適用により著者・編集者・査読者向けのサービスの品質が向上すること、急成長の続く中国市場への影響力が強化されることなどを挙げています。

フランス国立研究機構(ANR)、国営のオープンリポジトリHALで公開された研究助成の成果物へのアクセスを促進するためのポータルサイト“Le portail HAL-ANR”を公開

2020年12月17日、フランス国立研究機構(L’Agence Nationale pour la Recherche:ANR)は、国営のオープンリポジトリHyper Articles en Ligne(HAL)上で公開された、同機構の研究助成による成果物へのアクセス促進を図る目的で、ポータルサイト“Le portail HAL-ANR”を公開したことを発表しました。ポータルサイトの開発は、フランス国立科学研究センター(CNRS)の一部門でHALの運用を担当する直接科学コミュニケーションセンター(Le Centre pour la Communication Scientifique Directe:CCSD)との共同で行われています。

ANRは2013年にオープンサイエンスポリシーを策定し、国内・欧州等の様々なレベルで、政府のオープンサイエンス計画と協調しながら、オープンアクセス(OA)・オープンデータの促進に取り組んでいます。OAについては、ANRの研究助成による成果として出版された論文はHALに提出して全文を公開する義務を定め、OA誌やOAのプラットフォームに掲載すること、CC BYライセンスを設定することも合わせて奨励しています。

【イベント】L-INSIGHT/KURA連携プログラム パブリッシングセミナー「ジャーナルをたちあげる」&「ジャーナルを可視化する」(第1回1/19、第2回1/28・オンライン)

2021年1月に、京都大学学際融合教育研究推進センター次世代研究創成ユニットの世界視力を備えた次世代トップ研究者育成プログラム(L-INSIGHT)と京都大学学術研究支援室(KURA)の主催により、学術雑誌の新規刊行や効果的な広報・情報発信をテーマとして、ウェブ会議サービスZoomを利用したオンラインセミナーが2回に分けて開催されます。

2021年1月19日の第1回セミナー「ジャーナルをたちあげる」では、近年創刊された雑誌の関係者による刊行の背景や刊行準備、今後の展望と課題などについての講演や、休刊した雑誌の関係者による休刊に至った事情や復活に向けたシナリオについての講演が行われます。

2021年1月28日の第2回セミナー「ジャーナルを可視化する」では、Googleで検索上位になるための対策、国際的なオープンアクセス(OA)ジャーナルデーターベースへの登録、SNSを通じた情報発信など、効果的な広報のテクニックを学ぶための講演等が行われます。

京都大学の学外者を含む研究者・大学院生・職員・図書館員が参加することができますが、事前の申し込みが必要です。なお、同セミナーの開催は「紀要編集者ネットワーク」が協力しており、第3回・第4回紀要編集者ネットワークセミナーを兼ねて行われます。主な内容は次のとおりです。

日本における研究データの公開・利用条件の明確化を目的としたワークフローの検討と開発(文献紹介)

2020年12月28日付で、“Data Science Journal”誌第19巻に、国立情報学研究所(NII)オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)の南山泰之氏をはじめとする5人の共著論文として、“Investigation and Development of the Workflow to Clarify Conditions of Use for Research Data Publishing in Japan”が掲載されています。

同文献は、分野の枠を越えて研究データを取り扱うための基盤を整備し利用条件を明確化・標準化することを目的として、研究データ利活用協議会(RDUF)研究データライセンス小委員会が、2017年12月から2018年3月にかけて実施したインタビュー調査・アンケート調査の内容と分析、及び、調査結果を受けた研究データの公開・利用条件に関するガイドラインの作成について報告する内容です。

cOAlition S、エルゼビア社のジャーナル160誌がPlan Sに準拠した「転換雑誌」として登録されたことを発表

2021年1月4日、cOAlition Sは、エルゼビア社のジャーナル160誌がPlan Sに準拠した「転換雑誌」(Transformative Journals)として登録されたことを発表しました。“Cell”をはじめ、エルゼビア社傘下の出版社Cell Pressによる多くのタイトルが含まれています。

発表では、cOAlition S がPlan S準拠の転換雑誌のリストを公開していることも紹介しています。

160 Elsevier journals become Plan S aligned Transformative Journals(cOAlition S, 2021/1/4)
https://www.coalition-s.org/160-elsevier-journals-become-plan-s-aligned-transformative-journals/

研究評価に関するサンフランシスコ宣言(DORA)、2020年の研究評価についての進展を振り返る記事を公開

2020年12月18日、「研究評価に関するサンフランシスコ宣言」(DORA)は、2020年の研究評価についての進展について振り返りを行う記事を公開しました。毎年の年末に、DORAの運営委員会と諮問委員会は、研究と研究者の評価を改善するための進展について振り返りを行っています。2020年は世界的に新型コロナウイルス感染症によって多くの課題がありましたが、方針と実践の実験、ガイダンスの開発、公正で責任ある研究評価の開発を支援する新しいツールの作成が行われたとしています。

記事では、研究と研究者の評価の改善について、DORAによる進展、その他の組織による進展がリストとして記載されています。また必読の文献(Essential reading)として、書籍が2件、論文が4件挙げられています。

そのうちDORAによる進展として、以下の4点が挙げられています。

・2020年3月、南北アメリカ、欧州、アフリカの公的および私的な研究助成団体を対象とした四半期ごとの会議を開始し、研究評価の改革に向けて新しい実践について話し合い、コミュニケーションを強化した。2020年8月には、アジア太平洋地域の研究助成団体を対象に、最初の補完的な会議を開催した。

Elsevier社、Cell Pressの学術誌でのオープンアクセス出版オプションの提供範囲を拡大:“Cell”も対象

2020年12月18日、Elsevier社は、Cell Pressの学術誌でのオープンアクセス(OA)出版オプションの提供範囲拡大を発表しました。2021年1月から、Cell Pressのフラッグシップ・タイトルである“Cell”を含め、Cell Pressの全学術誌においてOA出版オプションが提供されます。

Cell Pressが現在OA出版オプションを提供していない学術誌において、OA出版オプションを利用する際の論文処理費用(APC)についても示されています。大多数の学術誌では8,900ドル(7,600ユーロ、7,000ポンド)となり、“Cell”では9,900ドル(8,500ユーロ、7,800ポンド)となります。これらの学術誌では引き続き購読オプションも提供されます。また、Cell Pressの既存のゴールドOA誌のほとんどではAPCを変更しないと述べています。

その他、低・中所得国の研究機関を支援するプログラム“Research4Life”においてグループAに属する69か国にはAPCを免除し、グループBに属する57か国には50パーセントの割引を行うこと等も発表されています。

オープンアクセス学術出版協会(OASPA)、加盟機関が2019年に出版したオープンアクセス論文のライセンス種類別統計を公表:2019年のCC-BY論文は約36万2,000本

2020年12月16日、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)は、加盟機関が2019年に出版したオープンアクセス(OA)論文の、ライセンス種類別の統計を公表しました。

統計に基づいて、主に次のようなことが報告されています。

・会員機関の出版した2000年から2019年までの累計OA論文数は約210万本であり、2019年には前年から約17%の増加となる42万5,000本以上が出版された

・2019年には、完全OAジャーナルで約32万3,000本、ハイブリッドジャーナルで約3万9,000本の論文がCC BYライセンスの付与されたOA論文として出版された

・2019年のOA論文のうち、完全OAジャーナルでは約88%、ハイブリッドジャーナルでは約66%についてCC BYライセンスが付与されている

・近年、完全OAジャーナルではCC BYライセンスの付与されたOA論文の割合は減少傾向にあったが2019年は増加に転じた。ハイブリッドジャーナルでは2019年には増加傾向がやや後退したものの、依然としてCC BYよりも制限の強いCC BY-NC・CC BY-NC-NDライセンスの付与が伸長している

ページ