学術情報流通

欧州委員会(EC)、オープンアクセス出版プラットフォーム“Open Research Europe”へHorizon 2020による助成を受けた研究成果物の投稿受付を開始

欧州委員会(EC)の研究資金助成プログラムHorizon 2020が、2020年11月26日付のTwitterアカウントによる投稿で、同委員会の運営するオープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”が研究成果の投稿の受付を開始したことを発表しています。

“Open Research Europe”は、Horizon 2020及び後継のプログラムHorizon Europeの助成を受けた研究成果物に対して、迅速な公開とオープン査読を提供するため、欧州委員会が構築を進めているOA出版プラットフォームです。11月26日以降、Horizon 2020の助成対象のあらゆる分野の研究者は、助成期間中、及び助成期間終了後に、研究成果物を“Open Research Europe”へ投稿することが可能になっています。論文処理費用(APC)を欧州委員会が負担するため、投稿時に研究者の費用負担は発生しません。

投稿された研究成果物は、2021年3月の“Open Research Europe”の正式運用開始時に公開されます。

CHORUS、GetFTRを利用してオープンリサーチの監査プロセスを強化

2020年12月3日、公的助成研究成果のパブリックアクセスに向けた官民連携イニシアチブCHORUSは、GetFTR(Get Full Text Research)を利用してオープンリサーチの監査プロセスを強化したことを発表しました。

GetFTRは、研究者が必要とする出版済学術論文への迅速なアクセス提供を目的として、2019年12月に立ち上げが発表された無料のソリューションです。米国化学会(ACS)・Elsevier社・Springer Nature社・Taylor & Francisグループ・Wiley社といった主要な学術出版社の資金提供を受けて開発されています。

CHORUS では、公的助成を受けた論文・会議予稿集の出版社版(version of record)又は著者最終稿(Accepted Manuscripts)について、加盟出版社のウェブサイト上での公開状況を監視しています。GetFTRのAPIを利用することで、出版社からデータを収集しチェックを行う作業のさらなる自動化を行っています。

英・Jisc、“Open Access Switchboard”への支援を発表

2020年12月3日、英・Jiscは、英国研究・イノベーション機構(UKRI)及び英・ウェルカム財団とともに、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)が主導する“Open Access Switchboard”(OA Switchboard)を支援することを発表しています。

発表によれば、“OA Switchboard”は、研究コミュニティの完全・即時のOAへの移行を支援し、研究出版においてOAを主流モデルとするための取組を簡略化するものです。“OA Switchboard”のウェブサイトによれば、研究者・出版社・助成機関・研究機関間の情報交換改善によるOA戦略の実現促進を目指しており、関係者に対し標準化された論文単位の情報を交換できる「中央情報交換ハブ」となるサービスを提供します。

“OA Switchboard”の開発は2020年に開始され、2021年1月1日からの運用開始を予定しています。Jiscは“OA Switchboard”と協力し、どうすればそのサービスが提供する共有データ及びインフラから英国の機関が最大限の恩恵を享受できるかを検討しているとあります。

E2332 - 消滅するOAジャーナルと長期保存のための取り組み

学術雑誌の購読料の高騰,研究成果の迅速かつ自由な共有の実現,社会への説明責任といったことを背景としてオープンアクセス(OA)が推進されてきており,2000年以降掲載論文を無料でウェブ上に公開するOAジャーナルが広まりを見せている。しかし,OAジャーナルを巡っては論文処理費用(APC)の高騰,捕食ジャーナル(CA1960参照)の興隆といった様々な課題が指摘されている。2020年8月27日付でarXivにて公開された“Open is not forever: a study of vanished open access journals”と題されたプレプリント(以下「プレプリント」)では,OAジャーナルの保存という課題について調査が実施されている。著者はフィンランド・ハンケン経済大学のMikael Laakso氏ら3人である。本稿ではプレプリント(9月3日付公開のVersion 3)に基づき,この課題の調査結果と,OAジャーナルの長期的な保存とアクセスを実現するための取り組みについて報告する。

オランダ科学研究機構(NWO)、オープンサイエンスに関するプロジェクトに助成を行うプログラム“Open Science Fund”の立ち上げを発表

2020年12月1日、オランダ科学研究機構(NWO)は、“Open Science Fund”の立ち上げを発表しました。

オープンサイエンスに関するプロジェクトに助成を行うプログラムであり、あらゆる分野の研究者が申請可能となっています。助成対象となるプロジェクトの例として、オープンアクセス(OA)出版の革新的方法の開発を目的としたプロジェクト、データやソフトウェアの「FAIR原則」に基づいた共有、必要な文化変革(culture change)をもたらすのに役立つプロジェクトが挙げられています。

プログラムの第1段階では100万ユーロが用意されており、研究者はプロジェクトごとに最大5万ユーロを申請できます。

New funding instrument to stimulate Open Science(NWO, 2020/12/1)
https://www.nwo.nl/en/news/new-funding-instrument-stimulate-open-science

欧州委員会の研究・イノベーション総局、欧州における研究成果の再現性についての報告書を公開

2020年12月1日付で、欧州委員会の研究・イノベーション総局(Directorate-General for Research and Innovation)による報告書“Reproducibility of scientific results in the EU:Scoping report”が、欧州委員会出版局のウェブサイト上で公開されています。

同報告書は、2020年1月23日にベルギーのブリュッセルで開催された研究成果の再現性の欠如の問題に関する専門家セミナーの議論をまとめたものです。報告書作成の目的として、欧州で生産された研究成果の再現性欠如の実態について欧州委員会の理解を深め、欧州連合(EU)における研究・イノベーションの文脈で、この問題への適切な対応を設計する際に役立てることを挙げています。

同報告書は、研究の再現性は実践の積み重ねで構築され、優れた実践を保証するメカニズム・新たな発見やイノベーションの原動力として重要であることを確認した上で、バイアスや不十分な実験デザイン、不適切な統計の取り扱いなどに起因する、再現性の欠如した研究成果物が近年増加している「再現性の危機」を報告しています。

米・アレン人工知能研究所(AI2)の学術文献検索サービス“Semantic Scholar”、論文の内容を人工知能で自動的に一文に要約して表示するTLDR機能のベータ版提供を開始

2020年11月17日、米国のアレン人工知能研究所(Allen Institute for AI:AI2)は、同研究所の学術文献検索サービス“Semantic Scholar”において、“Too Long; Didn’t Read(TLDR)”機能のベータ版が利用可能になったことを発表しました。

TLDR機能は、人工知能(AI)によって論文の内容の一文の要約を自動生成して提供するサービスです。最新の言語生成AI“GPT-3”による自然言語処理技術等が活用されています。ベータ版では、Semantic Scholarに収録されたコンピューターサイエンス分野の1,000万件近くの論文について、同機能により一文の要約が表示されます。

AI2はTLDR機能について、近年Semantic Scholarへのモバイル端末経由のアクセスが大幅に増加していること等も背景に、ユーザーが検索した論文の重要性を迅速に判断する際などに役立てることができることを説明しています。

オープンアクセス誌eLife、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表:原則としてプレプリントとして公開済の原稿のみ査読対象に

オープンアクセス(OA)誌“eLife”は、2020年12月1日付のEditorialにおいて、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表しました。

eLife誌は新方針の背景として、研究成果のプレプリントによる共有が進み、同誌で査読中の原稿の7割近くがbioRxiv、medRxiv、arXivのいずれかで公開されていることを挙げています。このような学術出版を取り巻く変化を受けて、自身の出版社としての機能を公開済の論文を査読してそれを保証することと再定義し、伝統的な「査読後に出版する」モデルを、インターネット時代に最適化された「公開後に査読する(publish, then review)」出版モデルへと改めるため、同誌は新たな方針を策定しました。

eLife誌は新方針の適用に伴う主な変更点として、プレプリントとして投稿された原稿のみ同誌の査読対象とすること、オープン査読による評価システムの構築も含め、公開されたプレプリントの査読済プレプリントへの転換を同誌の編集実務の中心に据えることの2点を挙げています。

figshare、年次報告書“The State of Open Data 2020”を公開

2020年12月1日、Digital Science社は、傘下のfigshareが年次報告書“The State of Open Data 2020”を公開したと発表しました。

同報告書は、オープンデータを扱う研究者の動向を調べるために、2016年以来実施されている調査の第5回目の調査結果をもとにしたものです。発表によると、研究コミュニティから約4,500件の回答が寄せられました。

今回の調査項目には、新型コロナウイルス感染症の影響についても含まれており、以下をはじめとした調査結果がまとめられています。

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