アクセシビリティ

フランス・Hadopi、視覚障害者等の電子書籍利用に関するレポートを公開

2020年12月4日、フランスの「インターネットにおける著作物の頒布及び権利の保護のための高等機関(Haute Autorite pour la diffusion des oeuvres et la protection des droits sur Internet:Hadopi)」が、視覚障害者等の電子書籍利用に関するレポートの公開を発表しました。

公開されたレポートは、視覚障害や学習障害等を持つ人にとって電子書籍利用時に制約となっていることについてと、その内容を踏まえた、障害者が利用可能な電子書籍の提供における改善に関する評価と展望についての2本です。

視覚障害や学習障害等を持つ人にとって電子書籍利用時に制約となっていることに関するレポートは、2018年の6月から7月にかけて実施された質的調査をもとにしています。同調査では、視覚障害当事者10人、統合運動障害当事者1人、有識者4人へのインタビューが行われました。結論の箇所では、利用可能な書籍の充実、デジタルサービスにおけるアクセシビリティ対応、書籍の入手方法、電子書籍のリーダーやフォーマット等における互換性をはじめとした改善点が挙げられています。

イタリアの視覚障害者の読書支援団体Fondazione LIA、電子書籍のアクセシビリティ向上に関する情報を提供するホワイトペーパーのドイツ語訳作成を発表

2020年11月27日、イタリア・ミラノに本拠を置く視覚障害者の読書支援団体Fondazione Libri Italiani Accessibili(LIA)は、電子書籍のアクセシビリティ向上に関する情報を提供するホワイトペーパーとして英語で作成した“E-Books for all: towards an accessible publishing ecosystem”について、ドイツ語訳化することを発表しました。

ホワイトペーパーのドイツ語訳化は、Fondazione LIAと、ドイツ図書流通連盟(Börsenverein des Deutschen Buchhandels)・ドイツ読書バリアフリーセンター(dzb lesen)の間で締結された合意に基づいて進められます。ドイツ語版のホワイトペーパーは2021年秋までに提供される予定です。

株式会社紀伊國屋書店、大学・公共図書館向け電子図書館サービスKinoDenに本文音声読み上げ機能を追加

2020年12月3日、株式会社紀伊國屋書店は、大学・公共図書館向け電子図書館サービスKinoDenにおいて、電子書籍の本文閲覧に際しインターネットブラウザを利用して音声読み上げができる機能を追加したと発表しました。発表では、「読書バリアフリー法」に基づく図書館での「アクセシブルな電子書籍」提供への期待の高まりに応えるもの、と述べています。

KinoDenが収録する電子書籍のうち、EPUBリフロー型フォーマットのタイプの中で出版社が許諾した電子書籍約3,000点が本文音声読み上げの対象となります。この機能は、現在はインターネットブラウザからの閲覧のみに限定しているものの、2021年前半にはKinoDenが採用する電子書籍アプリbREADER Cloud上でも実現する予定とあります。

DAISYコンソーシアム、電子書籍フォーマットEPUB3の利点をまとめたホワイトペーパーを公開:企業・政府・大学でのEPUB3の利用を推奨

2020年9月10日、DAISYコンソーシアムは、電子書籍フォーマットEPUB3の利点をまとめたホワイトペーパー“It’s Time to Use the Modern Digital Publishing Format for Your Organization’s Documents:Why You Can Produce Better Publications for Everyone with Born Accessible EPUB 3”を公開しました。

法律や社会的関与の観点から、文書・書籍・企業の出版物は障害者を含めた誰もがアクセスできるようにすべきという認識が広がりつつあること、出版業界ではすでにEPUB3の使用が進んでいることを踏まえた上で、企業・政府・大学におけるEPUB3の使用を推奨する内容となっています。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC BY-NC-SA 4.0での公開であり、HTML、EPUB3、Word、タグ付きPDF形式での閲覧が可能です。

機関リポジトリ収録コンテンツのアクセシビリティに関する調査(文献紹介)

米・テキサス州立大学の機関リポジトリに、2020年8月付けで、同大学の図書館員らによる調査レポート“Accessibility in Institutional Repositories”が掲載されています。

2019年の9月から11月にかけてメーリングリストにより実施したアンケート調査の結果を報告するものであり、学術図書館の機関リポジトリにおけるアクセシビリティにおける実践の概況把握と、機関リポジトリ収録コンテンツのアクセシビリティの平均レベル測定を目的としています。なお、レポートの冒頭では先行研究の整理も行われています。

アンケートは、北米研究図書館協会(ARL)が報告書シリーズ“SPEC Kit”の第358号として2018年に刊行した“Accessibility and Universal Design”での調査内容に基づき作成されました。20か国から145の回答が寄せられ、そのうち74%は米国、9%はカナダからであり、北米からの回答が大多数を占めています。

障害のある学生12人へのインタビューに基づく米国の大学図書館ウェブサイトのアクセシビリティに関する課題と推奨事項(文献紹介)

2020年7月に刊行された、米国の大学・研究図書館協会(ACRL)の“College and Research Libraries (C&RL)”のVol.81, no.5に、米・イリノイ大学シカゴ校のヘルスサイエンス図書館でリエゾン・ライブラリアンを務めるブランスキル(Amelia Brunskill)氏による論文““Without That Detail, I’m Not Coming”: The Perspectives of Students with Disabilities on Accessibility Information Provided on Academic Library Websites”が掲載されています。

同氏は、米国の多くの大学図書館のウェブサイトには、障害のある利用者向けに情報提供するページがありますが、これらのページに対する利用者のニーズや使い勝手、期待等を調査した研究がほとんど存在しないことを背景に、同校に在籍する障害をもつ学生12人に対してインタビュー調査を実施しました。インタビューでは学生に対して、大学図書館の障害者向けウェブサイトにおける、導線や使用される文言、ウェブサイトのデザイン全体、ページの構成、提供されるコンテンツ等の印象についての質問が行われています。

欧州委員会(EC)、2016年に成立した公共機関ウェブサイト等のアクセシビリティ向上に関する指令の実施状況を調査した最終報告書を公開

2020年6月30日、欧州委員会(EC)は、欧州連合(EU)域内における公共機関のウェブサイト・モバイルアプリケーションのアクセシビリティ向上に関する指令について、その実施状況を調査した最終報告書を公開したことを発表しました。

同指令は、公共機関のウェブサイト・モバイルアプリケーションを障害者にとってよりアクセシブルなものとすることによる関連サービスの発展等を目的に定められたもので、2016年12月に発効しました。調査は外部コンサルタントにより、同指令に基づいた欧州委員会のアクセシビリティ向上のための取り組みを支援するものとして行われています。

公開された報告書では、指令で定められたアクセシビリティに関する要件に対する公的機関の遵守状況をモニタリングするための統一された手法、モニタリングの結果を欧州委員会へ報告するためのルール、指令実施による効果を測定するための基準となる指標などについての提言が行われています。また、公共機関のウェブサイト・モバイルアプリケーションのアクセシビリティ、指令が公共機関のオンラインコンテンツの利用可能性へ与える影響、ウェブアクセシビリティ関連市場に与える同指令の影響力等の指標を含んだ、効果や遵守状況測定のためのフレームワークが提案されています。

米・LYRASIS、資金助成プログラム“Catalyst Fund”の2020年の助成対象プロジェクトを発表

2020年7月6日付の、米国の図書館等のネットワークLYRASISのお知らせで、加盟館による新しい試みや革新的なプロジェクトへの資金助成プログラムとしてLYRASISが実施する“Catalyst Fund”について、2020年の助成対象プロジェクトが発表されています。

“Catalyst Fund”は、LYRASISの研究・開発・イノベーションに関する予算120万ドルの枠内で実施されるプログラムであり、2020年で4年目を迎えます。以下の5件のプロジェクトが2020年の“Catalyst Fund”による資金助成対象として選定されています。

・ユタ大学による、精度の低いOCRにより抽出された歴史的文書のテキストデータ改善を支援するガイドライン・ツール開発のためのプロジェクト“Toolkit to Assess OCR’ed Historical Text in the Era of Big Data”

フランス・文化省、公読書におけるアクセシビリティ対応状況に関する要点および推奨事項をまとめたパンフレットを公開

2020年6月29日、フランス・文化省は、公読書におけるアクセシビリティ対応状況の要点および推奨事項をまとめたパンフレット"Accessibilité numérique en lecture publique. Chiffres-clé 2019 et recommandations"を公開しました。

同パンフレットは、同省が2019年に公開した、公読書におけるアクセシビリティの指標“Baromètre de l'accessibilité numérique en lecture publique”第3版の要点を示すとともに、アクセシビリティ試験のためのツールや、取り入れるべき手法等に関する図書館への推奨事項をまとめています。パンフレットによると、同国の公共図書館は、オンラインで提供するサービスをすべての人にとってアクセス可能とすることが義務とされています。加えて、各行政機関、地方自治体は、アクセシビリティ対応方針を2020年9月までに公開することが必須とされています。

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