美術館

E2345 - 英国の国家プログラム“Towards a National Collection”

本稿で紹介するTowards a National Collection(TaNC)は,英国の世界的に著名な博物館・美術館や文書館,図書館に対し,2020年2月から2025年1月にかけての5年間で1,890万ポンドもの大規模な投資を行う,英国芸術・人文科学研究会議(AHRC)が主導する国家プログラムである。TaNCは,研究者や一般の人々が英国の文化遺産にアクセスする上で障害となっている,オンライン上の異なるコレクション間の隔絶を無くすことを企図しており,統合されたバーチャルな「国家コレクション」の創設に向けた最初の一歩として位置づけられている。そして,これまでにない新しい研究課題の設定を可能としたり,各文化施設の訪問者数を増加させたり,英国の文化遺産へのオンライン上のアクセスを劇的に拡大・多様化させたりするほか,経済や社会、健康への好影響を英国に広くもたらすことが期待されている。さらには,イノベーションを促し,デジタル人文学における英国の世界的リーダーシップを維持し,この分野における世界標準を築くという。

川崎市市民ミュージアム、映像ドキュメンタリー「川崎市市民ミュージアム 被災収蔵品レスキューの映像記録 ―2019.10.12―」を公開

2020年12月24日、川崎市市民ミュージアムが、映像ドキュメンタリー「川崎市市民ミュージアム 被災収蔵品レスキューの映像記録 ―2019.10.12―」を公開したことを発表しました。

令和元年台風第19号により収蔵品等が浸水被害を受けた同ミュージアムの、1年間の活動がまとめられています。発表によると、同館の収蔵品レスキュー活動について発信するプロジェクト『川崎市市民ミュージアム被災収蔵品レスキューの記録』の一環として制作されました。

「川崎市市民ミュージアム 被災収蔵品レスキューの映像記録 ―2019.10.12―」を公開しました。(川崎市市民ミュージアム, 2020/12/24)
https://www.kawasaki-museum.jp/news/21711/

川崎市市民ミュージアム 被災収蔵品レスキューの映像記録 ―2019.10.12―(川崎市市民ミュージアム)
https://www.kawasaki-museum.jp/rescue/movie/

国際博物館会議(ICOM)、新型コロナウイルス感染症が美術館・博物館及びその職員へ与えた影響に関するフォローアップ調査の報告書を公開

2020年11月23日、国際博物館会議(ICOM)が、新型コロナウイルス感染症が美術館・博物館及びその職員へ与えた影響に関するフォローアップ調査の報告書として、“Museums, museum professionals and COVID-19: follow-up survey”を公開したことを発表しました。

ICOMは2020年4月から5月に実施した第1回調査に続いて、新型コロナウイルス感染症が美術館・博物館部門に現在及ぼしている影響・今後及ぼし得る影響に関して、追加の情報とデータを収集するためフォローアップ調査を実施しました。フォローアップ調査は2020年9月7日から10月18日に実施され、5大陸の美術館・博物館及びその職員等から寄せられた900件近い回答に基づいて報告書が作成されました。

調査報告書は、2020年9月から10月時点で欧州・アジアでは大半の美術館・博物館が開館する一方、中南米・カリブ海地域では大半が閉館するなど、第1回調査と比較して地域による相違が確認されたこと、デジタル技術の活用が継続して増加していること、職員の職場復帰が確認される一方、ラテンアメリカ・カリブ海地域・北米・太平洋地域等では依然として在宅勤務が奨励・強制されていること、などを知見として報告しています。

横手市増田まんが美術館(秋田県)、漫画家やくみつる氏による全てのマンガ原画の寄贈を受け同館10人目のマンガ原画の「大規模収蔵作家」として整理作業を開始

2020年12月10日、秋田県の横手市増田まんが美術館は、漫画家のやくみつる氏が全てのマンガ原画を横手市へ寄贈したことを発表しました。

寄贈を受けたマンガ原画は、これまでやく氏が約40年にわたって描いてきた挿絵などを含む全ての原画であり、点数は数万点に及ぶ見込みであることが紹介されています。やく氏はこの寄贈に伴って、数万点規模の原画を預かる同館にとって10人目の「大規模収蔵作家」となりました。

同館は、今後の整理作業において収蔵数を特定するとともに、収蔵された原画を紹介する企画展等の準備を進めることを発表しています。

お知らせ(横手市増田まんが美術館)
https://manga-museum.com/date/2020/12/10/
※2020年12月10日付のお知らせとして「やくみつるさん、大規模収蔵作家に仲間入り」とあります。

やくみつるさん、大規模収蔵作家に仲間入り(横手市増田まんが美術館)
https://manga-museum.com/3597/

カナダ博物館協会、カナダの美術館・図書館・文書館・博物館がもたらす経済価値の認知度向上を図るためのツールキットを公開

2020年12月8日、カナダ博物館協会は、ツールキット“GLAM study toolkit”の公開を発表しました。

2020年5月、カナダ博物館協会は、カナダのGLAM(美術館・図書館・文書館・博物館)がもたらす経済価値を試算した報告書“Value Study of GLAMs in Canada”を公開し、GLAMによる多大な貢献を明らかにしました。本ツールキットは、GLAMコミュニティのメンバーが、同報告書で示された結果の認知度向上を図る際に利用できるものとなっています。

ツールキットは同報告書の内容に基づいて作成されており、GLAMがもたらす利益等をわかりやすくまとめたメッセージの一覧、ステークホルダーに知らせるためのアイデア、インフォグラフィック、ファクトシート、プレゼンテーションの際に素材として活用できるスライド等が含まれています。

首都圏の新型コロナウイルス感染症対策強化にともない、韓国国立中央図書館(NLK)を含むソウル特別市所在の文化体育観光部所管の図書館・博物館・美術館等が2020年12月8日から休館

2020年12月7日、韓国・文化体育観光部は、12月6日の中央災難安全対策本部が発表した、ソウル首都圏の「社会的距離を置く」措置の強化にともない、ソウル特別市所在の文化体育観光部所管の図書館・博物館・美術館等を12月8日から12日18日まで休館とすると発表しています。

中央災難安全対策本部の発表では、首都圏所在の国立・公立設置の室内文化施設は収容率30%の制限下で運営可能であるものの、ソウル市域の防疫状況が厳しいことを鑑み、同部において休館を決定したものです。

対象は、国立中央博物館、国立民俗博物館、大韓民国歴史博物館、国立ハングル博物館、国立現代美術館(ソウル・徳寿宮)、国立中央図書館(本館・子ども青少年図書館)、国立障害者図書館の9機関です。

また、国立中央劇場・国立国楽院といった8機関での公演や、国立劇団等7つの国立芸術団体の公演も中止されます。

12月19日以降については、首都圏の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に応じて決定する予定です。

ソウル市外の国立の文化芸術施設については、社会的距離を置く措置の段階別運営指針を遵守し引き続き開館中ですが、国立晋州博物館・国立全州博物館は、地方公共団体の行政命令に従って臨時休館しています。

英・Birmingham Museums Trust、バーチャル空間で美術作品の展示を作成できるオンラインゲームと提携

2020年11月18日、英・バーミンガム美術館等の9のミュージアム(総称は“Birmingham Museums”)を運営する英・Birmingham Museums Trustは、バーチャル空間で美術作品の展示を作成できるオンラインゲーム“Occupy White Walls”(OWW)との提携を発表しました。発表によれば、OWWと提携する初の“official museum”です。

Birmingham Museumsの所蔵品200点の画像(いずれもパブリックドメイン)がOWW上で利用可能となっており、今後の計画として、Birmingham Museumsがオンラインデータベースで提供しているパブリックドメインの全画像をOWWにアップロードするとしています。また、OWWではバーミンガム美術館の公式デジタル版への訪問も可能となっています。

発表では、英国での新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンのため、家で過ごす時間の増加やミュージアムの休館が発生していることに触れ、今回の連携によってOWWのプレイヤーは外出せずに世界中の美術館から作品を見つけ、展示をキュレーションできるようになると述べています。人々とコレクションの関わりについてのデータ収集・分析が可能となる点にも触れています。

【イベント】文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」(12/11・オンライン)

2020年12月11日、東京国立博物館、九州国立博物館、及び独立行政法人国立文化財機構の文化財防災センターの主催により、文化財防災セミナー「共に助け合う地域・ミュージアム」がオンラインで開催されます。

近年の頻発する災害による文化財の被害の増加、ミュージアム自体の被災という事例を受けて、最近の災害の事例をもとに、文化財関係者が今できることを考える機会として開催されます。

セミナーはウェブ会議サービスZoomのウェビナーとYouTubeライブ配信により実施されます。参加には電子メールで事前の申し込みが必要です。Zoom ウェビナーによる参加には先着順に100人の定員が設けられています。YouTubeライブ配信には定員はありません。また、YouTubeライブ配信の様子は、セミナー終了後から12月20日までアーカイブが限定公開されます。当日の主なプログラムは次のとおりです。

●「川崎市市民ミュージアム 台風被害に係る災害対応検証及び今後のあり方について」
  平井孝氏(川崎市市民文化局市民文化振興室)

●「長野市立博物館における令和元年東日本台風による被災資料の保全活動」
  原田和彦氏(長野市立博物館)

REALM Project、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第6回目のテスト結果を公表:建築材料を対象とした調査

2020年11月19日、博物館・図書館・公文書館の職員や利用者への新型コロナウイルスへの影響を軽減するための資料の取扱方法について、科学的根拠に基づいた情報を作成・普及させることを目的とするREALM Projectが、新型コロナウイルスの除染手段としての自然減衰に関する第6回目のテスト結果を公表しました。

6回目は、博物館・図書館・公文書館において一般的に使用されている、建築用ガラス(窓・展示ケース)、大理石(床やカウンター)、ラミネート(カウンターの表面)、真鍮(建具・手すり)、粉体塗装されたスチール(ロッカー・書架・ブックトラック等)を対象にテストが行われました。

実験結果として、2日後には真鍮・大理石から検出されなくなり、6日後にはガラス・ラミネート・粉体塗装されたスチールから検出されなくなったと報告されています。

オランダでCultural AI Labが創設:文化遺産機関・研究機関が連携し文化研究における人工知能(AI)の可能性等を探る

2020年11月16日、オランダでCultural AI Labの創設が発表されています。

文化遺産機関がデータを研究機関が技術を提供することで、文化遺産分野に適用可能な人工知能(AI)に関するツールを開発し、AI技術が文化的文脈を理解できるようにすることを目的としたもので、国立数学コンピュータ科学研究所(CWI)・オランダ王立芸術科学アカデミー(KNAW)人文学部門・オランダ国立図書館(KB)・オランダ視聴覚研究所(Sound and Vision)・アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)・オランダ応用科学研究機構(TNO)・アムステルダム大学・アムステルダム自由大学が参加しています。

参加する研究機関の博士課程の学生やポスドクが、文化遺産機関で4年間研究に従事するとしているほか、以下の5つの研究プロジェクトが今後数か月の間に開始されるとしています。

・AI: CULT Culturally Aware (AIを用いた博物館コレクションのオブジェクト記述の自動分析・充実)

・SABIO - the SociAl Bias Observatory(植民地時代の用語の検出を目的とした博物館コレクションのコレクション記述の自動分析)

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