学術出版

Springer Nature社、特別冊子“Nature Index Artificial Intelligence”を刊行:機械生成による論文要約3本を掲載

2020年12月9日、Springer Nature社が、特別冊子“Nature Index Artificial Intelligence”を刊行したことを発表しました。同冊子には、3本の研究論文の機械生成による要約が掲載されています。

同冊子では、ディープフェイクの検出や顔認識のバイアスの認識をはじめとした、新たな人工知能(AI)の応用事例や、研究機関や国等におけるAI関連の研究状況の調査、学術出版におけるAIの応用に関する考察等が行われています。

また、“Nature Index”が調査対象としている82の自然科学系ジャーナルにおける、2015年から2019年までのAI分野における論文シェアについて、国、機関等のランキングも掲載されています。日本は国別ランキングでは8位であり、学術機関のランキングでは東京大学と大阪大学がトップ100にランクインしています。

ルクセンブルクのLuxembourg Centre for Contemporary and Digital History(C2DH)と独・De Gruyter社がデジタル・ヒストリーに関するオープンアクセス査読誌の創刊を発表

2020年12月4日、ルクセンブルク大学の現代史及びデジタル・ヒストリー研究拠点であるLuxembourg Centre for Contemporary and Digital History(C2DH)は、ドイツの出版社De Gruyter社とともに、“Journal of Digital History(JDH)”誌を創刊することを発表しました。

JDH誌は、先進的な出版プラットフォームの提供、データ駆動型研究やトランスメディア・ストーリーテリングなどの歴史学における新しい形の研究の促進を通じて、デジタル・ヒストリー分野の批判的議論や討議の中心的なハブとなることを目指して創刊に向けた準備を進めています。同誌の概要として、トランスメディア・ナラティブ、デジタルツールやデータ活用に関する方法論的検討、開発中の出版プラットフォームによるデータやコードへのアクセス提供の3層で構成された、デジタル・ヒストリーに関する研究成果の発表が可能なオープンアクセス(OA)査読誌である、と説明しています。

JDH誌は現在、歴史学及びデジタル・ヒストリーに関連したあらゆる分野からの投稿を受付しており、2021年9月に創刊号を刊行することを予定しています。

欧州委員会(EC)、オープンアクセス出版プラットフォーム“Open Research Europe”へHorizon 2020による助成を受けた研究成果物の投稿受付を開始

欧州委員会(EC)の研究資金助成プログラムHorizon 2020が、2020年11月26日付のTwitterアカウントによる投稿で、同委員会の運営するオープンアクセス(OA)出版プラットフォーム“Open Research Europe”が研究成果の投稿の受付を開始したことを発表しています。

“Open Research Europe”は、Horizon 2020及び後継のプログラムHorizon Europeの助成を受けた研究成果物に対して、迅速な公開とオープン査読を提供するため、欧州委員会が構築を進めているOA出版プラットフォームです。11月26日以降、Horizon 2020の助成対象のあらゆる分野の研究者は、助成期間中、及び助成期間終了後に、研究成果物を“Open Research Europe”へ投稿することが可能になっています。論文処理費用(APC)を欧州委員会が負担するため、投稿時に研究者の費用負担は発生しません。

投稿された研究成果物は、2021年3月の“Open Research Europe”の正式運用開始時に公開されます。

CHORUS、GetFTRを利用してオープンリサーチの監査プロセスを強化

2020年12月3日、公的助成研究成果のパブリックアクセスに向けた官民連携イニシアチブCHORUSは、GetFTR(Get Full Text Research)を利用してオープンリサーチの監査プロセスを強化したことを発表しました。

GetFTRは、研究者が必要とする出版済学術論文への迅速なアクセス提供を目的として、2019年12月に立ち上げが発表された無料のソリューションです。米国化学会(ACS)・Elsevier社・Springer Nature社・Taylor & Francisグループ・Wiley社といった主要な学術出版社の資金提供を受けて開発されています。

CHORUS では、公的助成を受けた論文・会議予稿集の出版社版(version of record)又は著者最終稿(Accepted Manuscripts)について、加盟出版社のウェブサイト上での公開状況を監視しています。GetFTRのAPIを利用することで、出版社からデータを収集しチェックを行う作業のさらなる自動化を行っています。

英・Jisc、“Open Access Switchboard”への支援を発表

2020年12月3日、英・Jiscは、英国研究・イノベーション機構(UKRI)及び英・ウェルカム財団とともに、オープンアクセス学術出版協会(OASPA)が主導する“Open Access Switchboard”(OA Switchboard)を支援することを発表しています。

発表によれば、“OA Switchboard”は、研究コミュニティの完全・即時のOAへの移行を支援し、研究出版においてOAを主流モデルとするための取組を簡略化するものです。“OA Switchboard”のウェブサイトによれば、研究者・出版社・助成機関・研究機関間の情報交換改善によるOA戦略の実現促進を目指しており、関係者に対し標準化された論文単位の情報を交換できる「中央情報交換ハブ」となるサービスを提供します。

“OA Switchboard”の開発は2020年に開始され、2021年1月1日からの運用開始を予定しています。Jiscは“OA Switchboard”と協力し、どうすればそのサービスが提供する共有データ及びインフラから英国の機関が最大限の恩恵を享受できるかを検討しているとあります。

オープンアクセス誌eLife、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表:原則としてプレプリントとして公開済の原稿のみ査読対象に

オープンアクセス(OA)誌“eLife”は、2020年12月1日付のEditorialにおいて、2021年7月以降に適用予定の新しい査読・出版方針を発表しました。

eLife誌は新方針の背景として、研究成果のプレプリントによる共有が進み、同誌で査読中の原稿の7割近くがbioRxiv、medRxiv、arXivのいずれかで公開されていることを挙げています。このような学術出版を取り巻く変化を受けて、自身の出版社としての機能を公開済の論文を査読してそれを保証することと再定義し、伝統的な「査読後に出版する」モデルを、インターネット時代に最適化された「公開後に査読する(publish, then review)」出版モデルへと改めるため、同誌は新たな方針を策定しました。

eLife誌は新方針の適用に伴う主な変更点として、プレプリントとして投稿された原稿のみ同誌の査読対象とすること、オープン査読による評価システムの構築も含め、公開されたプレプリントの査読済プレプリントへの転換を同誌の編集実務の中心に据えることの2点を挙げています。

cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)、図書館と小規模出版社による転換契約等の締結に関する進捗状況のレビュー調査を英・Information Power社へ委託

2020年12月1日、cOAlition Sと英国の学会・専門協会出版協会(ALPSP)は、図書館コンソーシアムと小規模出版社による転換契約等のオープンアクセス(OA)出版に関する契約締結の進捗状況について、英国の研究情報に関するコンサルタント会社Information Power社へレビュー調査を委託したことを発表しました。

同調査は、学会系出版社による即時OAへ移行するための契約締結を支援するプロジェクト“Society Publishers Accelerating Open access and Plan S (SPA-OPS)”の結果を受けて、同プロジェクトのフォローアップ調査プロジェクトとして取り組まれます。プレスリリースでは、プロジェクトの主要な目標として以下の3点を挙げています。

・開発途上国において図書館を通じたデジタル情報へのアクセスを推進するEIFLを介して合意された契約も含め、2020年初頭にSPA-OPSプロジェクトが終了して以降のOA出版等に関する契約締結の進捗状況を調査する

・図書館、図書館コンソーシアム、学会系の出版社、その他の独立出版社が関与した、OA転換契約の締結と実施を成功に導く要因を理解する

査読に関するジャーナルのポリシーと編集者の見解(文献紹介)

2020年11月19日付で、オープンアクセスジャーナル“eLife”に、オーストラリアのメルボルン大学のDaniel G Hamilton氏らによる共著論文“Meta-Research: Journal policies and editors' opinions on peer review”が公開されています。論文では、生態学、経済学、医学、物理学、心理学のジャーナルの編集者322人へサーベイの結果が示されています。

調査対象となったジャーナルの49%が全ての投稿論文の盗用をチェックし、61%が著者に特定の査読者を推薦・非推薦することを可能としており、2%未満がオープン査読の形式を使用していることを報告しています。 ほとんどのジャーナルには、査読者からの査読レポートの編集に関する公式の方針が存在しませんが、91%の編集者が、編集者が査読レポートを編集することが適切である状況が少なくとも1例はあるとしています。

編集者はまた、出版倫理に関連する5つの事項についての見解を明らかにしています。 過半数の編集者は、共同査読、査読者がデータへのアクセスを要求すること、査読者が自身の論文の引用を推奨すること、編集者が自身のジャーナルで出版すること、レプリケーション研究(特定の論文の結果が再現されるか評価する研究)への支持を表明したと述べています。

新型コロナウイルス感染症関連論文が撤回されるリスクを最小限に抑えるために最適な査読プロセス(文献紹介)

2020年11月20日付で、Springer Nature社の刊行する欧州医療哲学会(European Society for Philosophy of Medicine and Health Care)の機関誌“Medicine, Health Care and Philosophy”に、論文“Optimizing peer review to minimize the risk of retracting COVID-19-related literature”のオンライン速報版が掲載されています。

同論文は、The New England Journal of Medicine(NEJM)やThe Lancetなどの著名な査読誌も含め、根拠データが不十分である等の理由により、公表された新型コロナウイルス感染症に関連する論文の撤回がしばしば発生していることを受けて執筆されました。著者らは、文献データベース上の表記が明確でなかったり、ソーシャルメディア等で拡散済であるために撤回済の論文の引用がしばしば確認されることや、研究者の多忙等のため時間をかけた厳格な査読よりも迅速な出版が重視される傾向が見られ査読の質の低下が懸念されることなど、現在の状況が内包する公衆衛生上の懸念を指摘しています。

Springer Nature社、学術界の外におけるゴールドOAコンテンツの利用について調査したホワイトペーパーを公開

2020年11月30日、Springer Nature社は、ホワイトペーパー“Open for All, Exploring the Reach of Open Access Content to Non-Academic Audiences”の公開を発表しました。

同社がオランダ大学協会(VSNU)及びオランダ大学図書館・王立図書館コンソーシアム(UKB)と実施している共同プロジェクトの最新成果であり、ゴールドOAコンテンツが学術界の外でどのように利用されているのかを探る内容となっています。

ホワイトペーパーは二つの調査に基づいています。一つ目はドキュメント(書籍の章、雑誌論文、プロシーディングを含む)の書誌計量学的分析であり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関連する2017年出版のドキュメント36万点近くを対象としています。二つ目は同社の複数のウェブサイト上でのアンケート調査であり、6,000人近くが回答しました。

発表では、主な調査結果として次のような点が示されています。

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