オープンサイエンス

オランダ科学研究機構(NWO)、オープンサイエンスに関するプロジェクトに助成を行うプログラム“Open Science Fund”の立ち上げを発表

2020年12月1日、オランダ科学研究機構(NWO)は、“Open Science Fund”の立ち上げを発表しました。

オープンサイエンスに関するプロジェクトに助成を行うプログラムであり、あらゆる分野の研究者が申請可能となっています。助成対象となるプロジェクトの例として、オープンアクセス(OA)出版の革新的方法の開発を目的としたプロジェクト、データやソフトウェアの「FAIR原則」に基づいた共有、必要な文化変革(culture change)をもたらすのに役立つプロジェクトが挙げられています。

プログラムの第1段階では100万ユーロが用意されており、研究者はプロジェクトごとに最大5万ユーロを申請できます。

New funding instrument to stimulate Open Science(NWO, 2020/12/1)
https://www.nwo.nl/en/news/new-funding-instrument-stimulate-open-science

欧州委員会の研究・イノベーション総局、欧州における研究成果の再現性についての報告書を公開

2020年12月1日付で、欧州委員会の研究・イノベーション総局(Directorate-General for Research and Innovation)による報告書“Reproducibility of scientific results in the EU:Scoping report”が、欧州委員会出版局のウェブサイト上で公開されています。

同報告書は、2020年1月23日にベルギーのブリュッセルで開催された研究成果の再現性の欠如の問題に関する専門家セミナーの議論をまとめたものです。報告書作成の目的として、欧州で生産された研究成果の再現性欠如の実態について欧州委員会の理解を深め、欧州連合(EU)における研究・イノベーションの文脈で、この問題への適切な対応を設計する際に役立てることを挙げています。

同報告書は、研究の再現性は実践の積み重ねで構築され、優れた実践を保証するメカニズム・新たな発見やイノベーションの原動力として重要であることを確認した上で、バイアスや不十分な実験デザイン、不適切な統計の取り扱いなどに起因する、再現性の欠如した研究成果物が近年増加している「再現性の危機」を報告しています。

査読に関するジャーナルのポリシーと編集者の見解(文献紹介)

2020年11月19日付で、オープンアクセスジャーナル“eLife”に、オーストラリアのメルボルン大学のDaniel G Hamilton氏らによる共著論文“Meta-Research: Journal policies and editors' opinions on peer review”が公開されています。論文では、生態学、経済学、医学、物理学、心理学のジャーナルの編集者322人へサーベイの結果が示されています。

調査対象となったジャーナルの49%が全ての投稿論文の盗用をチェックし、61%が著者に特定の査読者を推薦・非推薦することを可能としており、2%未満がオープン査読の形式を使用していることを報告しています。 ほとんどのジャーナルには、査読者からの査読レポートの編集に関する公式の方針が存在しませんが、91%の編集者が、編集者が査読レポートを編集することが適切である状況が少なくとも1例はあるとしています。

編集者はまた、出版倫理に関連する5つの事項についての見解を明らかにしています。 過半数の編集者は、共同査読、査読者がデータへのアクセスを要求すること、査読者が自身の論文の引用を推奨すること、編集者が自身のジャーナルで出版すること、レプリケーション研究(特定の論文の結果が再現されるか評価する研究)への支持を表明したと述べています。

新型コロナウイルス感染症関連論文が撤回されるリスクを最小限に抑えるために最適な査読プロセス(文献紹介)

2020年11月20日付で、Springer Nature社の刊行する欧州医療哲学会(European Society for Philosophy of Medicine and Health Care)の機関誌“Medicine, Health Care and Philosophy”に、論文“Optimizing peer review to minimize the risk of retracting COVID-19-related literature”のオンライン速報版が掲載されています。

同論文は、The New England Journal of Medicine(NEJM)やThe Lancetなどの著名な査読誌も含め、根拠データが不十分である等の理由により、公表された新型コロナウイルス感染症に関連する論文の撤回がしばしば発生していることを受けて執筆されました。著者らは、文献データベース上の表記が明確でなかったり、ソーシャルメディア等で拡散済であるために撤回済の論文の引用がしばしば確認されることや、研究者の多忙等のため時間をかけた厳格な査読よりも迅速な出版が重視される傾向が見られ査読の質の低下が懸念されることなど、現在の状況が内包する公衆衛生上の懸念を指摘しています。

プレプリントサービスAfricArXiv、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)等とアフリカにおけるオープンサイエンスの機能構築・基盤強化等を目的としたパートナーシップ協定を締結

2020年11月19日、アフリカ諸国の多様な科学分野の学術成果の共有を目的としたプレプリントサービスAfricArXivは、オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)及び非営利団体Training Centre in Communication(TCC Africa)と、アフリカにおけるオープンサイエンスの機能構築・基盤強化等を目的とするパートナーシップ協定を締結したことを発表しました。

同パートナーシップ協定は、情報共有・機能開発・アドボカシー活動を通して、アフリカにおける書誌多様性(Bibliodiversity)を促進すること、AfricArXivが国際的なプレプリント・リポジトリサービスのネットワークの中で、ベストプラクティスや次世代のリポジトリ機能に関する議論へ参加できるようにすることを目的として締結されました。

TCC Africaは、学術情報流通・科学コミュニケーションに関するスキルの獲得を支援するアフリカで初めての組織です。2006年にケニアで非営利団体として設立され、Executive DirectorのJoy Owango氏はAfricArXivの諮問委員会のメンバーとなっています。

科学技術振興機構(JST)、2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」の開催報告書を公開

2020年11月30日、科学技術振興機構(JST)は、2020年8月28日に開催した2020年度第1回J-STAGEセミナー「ジャーナルから見た研究データ:研究データ公開の意義」について、開催報告書の公開を発表しました。

同セミナーで行われた下記講演の概要、質疑応答の内容、セミナー後の反響等が掲載されています。

・研究データ公開が学術コミュニケーションにもたらす変化
倉田敬子氏(慶應義塾大学)

・Research data and scholarly journals: developments, policy and implementation
Dugald McGlashan氏(INLEXIO)

・社会科学分野における研究データ公開
朝岡誠氏(国立情報学研究所)

・実験技術開発における研究データ公開の役割について
笹川洋平氏(理化学研究所)

・J-STAGE Dataのご紹介
古瀬慶博氏(JST情報基盤事業部)

【イベント】第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」(12/18・オンライン)

2020年12月18日、第2回SPARC Japanセミナー2020「プレプリントは学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのか?」がオンライン開催されます。

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機としてますます加速する、多様なプラットフォームによるプレプリント公開の最新動向や目的を共有することによって、プレプリントの方向性を展望する機会として開催されます。特にオープンアクセスリポジトリ連合(COAR)による『Bibliodiversity(書誌多様性)の形成に向けた行動の呼びかけ』で学術情報流通における多様性の障壁として挙げられた4項目を論点として、学術情報流通の多様性をどこまで実現できるのかなどについて議論が行われます。

参加費は無料ですが事前申込が必要です。主な内容は以下のとおりです。

・開会挨拶/概要説明
 矢吹命大氏(横浜国立大学大学戦略情報分析室)

・機関リポジトリによるプレプリント公開
 河合将志氏(国立情報学研究所 / オープンサイエンス基盤研究センター)

・研究成果公開のグローバルスタンダードに向けた筑波大学の取り組み
 森本行人氏(筑波大学URA研究戦略推進室)

研究の透明性の自動評価手法の提案と生物医学分野への適用(文献紹介)

プレプリントサーバbioRxivに2020年10月30日付で、米・スタンフォード大学のStylianos Serghiou氏らの研究グループによる論文“Assessment of transparency indicators across the biomedical literature: how open is open?”が掲載されています。

オープンリサーチ、透明性の高い研究実践、及びそれらのモニタリングの重要性はますます高まっていますが、毎週数万件単位の論文が新たに発表される生物医学分野では、これを手動で行うことは現実的ではありません。著者らの研究グループは、統計分析ソフトウェアRを活用した自然言語処理によって、「データの共有」「コードの共有」「利益相反の開示」「研究助成元の開示」「研究プロトコルの登録」の研究の透明性の測定に必要な5指標を同定するオープンソースの自動化手法を開発し、PubMed Centralに収録されたオープンアクセス(OA)論文約275万件に適用しました。

E2324 - Asia OA Meeting 2020<報告>

2020年9月9日から16日にかけて,オープンアクセスリポジトリ連合(COAR)が組織するAsia OA Meeting 2020 “Building a Sustainable, Asian Knowledge Commons for Open Science Era”が開催された。Asia OA Meetingはアジア各国によるオープンアクセス(OA)およびオープンサイエンスに関する情報共有を支援する国際会議である(E2150ほか参照)。今回の会議は韓国科学技術情報研究院(KISTI)の主催であり,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により,オンラインでの開催となった。

株式会社紀伊國屋書店、F1000Researchの学術機関向け日本販売総代理店契約を締結

2020年11月6日、株式会社紀伊國屋書店は、Taylor & Francisグループとの間で、同グループ傘下のF1000 Research社が提供するオープンリサーチ出版プラットフォーム「F1000Research」の学術機関向け法人販売について、株式会社紀伊國屋書店を日本販売総代理店とする契約を締結したことを発表しました。

「F1000Research」は、2013年に立ち上げられた世界初のオープンリサーチ出版プラットフォームです。研究の透明性・頑健性・再現性の確保、研究成果の迅速な出版、出版論文の国際的な書誌データベースへの登録、人文社会学分野における学術研究の言語障壁の緩和等を特徴とします。

紀伊國屋書店とTaylor & Francisグループは、現在の学術情報流通のシステムに関わる各種問題点の解決、オープンリサーチの推進、日本の学術研究の更なる発展への貢献を目的としてパートナーシップを締結しました。紀伊國屋書店は、同グループと協力しながら、同社の学術機関への販売網を活用して、F1000Researchの普及に努める、としています。

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